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プロローグ

 う〜ん。朝かぁ。今日も憂鬱だなぁ。

もう少し寝られないか?時間は、7時か。

じゃぁダメだなぁ。起きなきゃ。

着替えは、後で良いか。とりあえずダイニングに行ってと。

 みんなもう出かけたみたいだな。

げっ、味噌汁が冷えてやがる。温め直すかなぁ。

待ってる間に制服に着替えよう。

 そろそろ温まったかなぁ?よし、良い感じだ。

食べ終わったら寝癖を直して、高校に登校か。

ふ〜、まぁ行かなかったらもっと面倒なことになりそうだからなぁ。

 食べ終わっちゃった。食器は洗い機においてスイッチをつけて。

歯磨きしないとなぁ。洗面所に行ってと。

 あぁひどい寝癖だなぁ。歯磨き前に寝癖直しをつけておくか。というか最初にやっておくんだった。

 ・・・準備が終わってしまった。仕方がない、登校するかぁ。

あいつらと会わなければ良いんだけど、いや、登校中の方がまだマシか?

高校は近所にあるから、歩いて15分で着くのに、毎日毎日とても長く感じるんだよなぁ。

 玄関を出て、信号を渡って、交差点を曲がって、通学路もあと少しだったのに。

見つかっちまったか。いつもの3人組に。

 「やぁやぁ。九十九時久くん。どこへ行くのかな?」

 ニヤニヤしながら話しかけてきやがって。

そして残りの2人も楽しそうにしやがって。

 「おはようございます。学校です。」

 「え?なんだって?」

 「高校に行くところです。」

 ぐっ。いきなり胸ぐらを掴むなよなぁ。

 「なんでお前なんかが俺らの高校に来るんだよ?」

 「いや、そんなこと、」

 「うるせぇ。」

 ごふっ。腹が。みぞおちに拳を入れやがった。

 「おいおい。早く行こうぜ。遅刻するとうるさい奴もいるし。」

 とか言いながら楽しそうにするなよなぁ。

 「何見てんだよ。」

 ごぐふっ。蹴りはないだろ流石に。だから嫌なんだよ。

うずくまってやり過ごすしかないか。

 「あはっ。早く行くんじゃなかったのか?」

 「良いだろ別に。もう行こうぜ。」

 「ちょっと待てって。まだ殴ってないのがいるじゃん?」

 「俺の分はないだろ?お前らやりすぎだ。」

 「あぁ。悪い悪い。」

 早く行ってくれよ。痛いっていうか苦しいんだよなぁ。

まだ話し声が聞こえてきやがる。

まだか。まだか。そろそろいいか。チラ見だけして。

 大丈夫そうだなぁ。う〜、まだ痛む。

これは昨日なんかあったな。不機嫌そうだったし。

これで帰るのも癪だからさぁ。登校はするけどさぁ。

あ〜やだやだ。歩く度にまだ痛む。


 やっと着いた。いつもと変わらない道なんだけどなぁ。腹が痛いんだよ。

なんだかすごい睨まれてる気もするしなぁ。

俺の席は、今日は何もされていないみたいだな。

 「おはようございます。」

 あれ?委員長?どうしたんだ?

 「今日の放課後に文化祭でやることを決めたいので、みなさん集まってくださいね。

それだけで〜す。」

 文化祭かぁ。そういえばあったなそんなの。

あんまり乗り気しないし、帰っちゃうか。

俺がいなくても誰も気づかないだろうし。

それにこのクラスでまともな文化祭ができるのか?

 さて、授業中はさすがに何もされないから平和なもんだな。

と思っていたけど、美術があるのか。グループ作業は少し面倒だな。

4グループに分かれるんだけど、さてどうしたものか。

 「おーい。九十九。突っ立ってないでここに座れよ。」

 相変わらず無頓着だなぁ。

インターハイ出場のスポーツマンは、

こういう時にグループに入れてくれるから助かるんだよなぁ。

周りも嫌がったりできないし。

 「なぁなぁ。ここ、どう描けばいいんだ?」

 おまけに俺にアドバイスを求めてくるし。

お前だけだぞ。そんなことできるのは。

まぁクラスで一番絵が上手いのは俺だからなぁ。

ある意味間違ってはいないんだけどね。

 さて、昼休みは図書室に逃げようかなぁ。

あそこなら朝の3人も来ないし、と思ったんだけどなぁ。

見つかってしまった。

行き先は屋上かぁ。朝と同じ感じになるんだろうなぁ。



 やっと放課後になってくれた。さて、帰ろうか。

昼休みに見つかっちゃったせいで調子悪いし。

 「あれ?九十九くん。帰っちゃうの?これから委員長の話が始まるよ?」

 そうだった〜。まともに話しかけてくるのはもう1人いたんだった。

なんでだかこの子も話しかけてくるんだよなぁ。

クラスで一番可愛いのに。

いや話しかけてくれるからとかじゃなくてね。みんなそう言っているし。

でもやめて欲しいんだよなぁ。勘違いしそうになるから。

周りの視線も痛いし。

 「どうしたの?」

 そんな可愛い目で見つめられると、動けないじゃないか。

あっ、委員長が教壇に立っちゃった。

仕方がない、席に座ろう。

 でもなぁ。文化祭は難しいと思うんだよなぁ。だってこのクラスには不良が多いし。

しかもそのうち5人は、もう暴力団に入っているって噂まであるし。

朝の3人も入れると問題児ばかりだからなぁ。

 「はいは〜い。それじゃぁ何をするか決めようか。」

 ガヤガヤ話してるところ悪いんだけどさぁ。早く終わってくれないかなぁ。

朝の3人が残ってる間に帰りたかったなぁ。仕方ないんだけどさぁ。

 「おばけ屋敷でいいんじゃない?作っちまえばあとは楽だし。」

 なんだ?不良グループの奴が言い出したぞ。

きっとサボりたいから楽そうなやつを言っているだけだろうなぁ。

まっ俺も賛成なんだけど。

 「他にやりたいことある人〜?」

 なんでもいいけど早く決まらないかなぁ。

・・・ん?あれはなんだ?天井の隅に何かあるような。

あれは、木の根?どうしてあんなところに?

というか天井に一面に拡がっていってないか?

天井が木の根に覆われていくぞ。

 「おい、そこの。何、見てんだ?」

 げっ。この声は。暴力団の。

ん?でもおかしくないか?

木の根はどんどん拡がっていて、壁一面が覆われちゃっているんだぞ?

そりゃ、見るでしょ。

 「なんだ?あいつ。」

 「どうしたの?何かあった?」

 「九十九?顔色悪いぞ?」

 「九十九くん?」

 「いいから続けろよ。」

 「チッ。」

 みんな見えていないのか?

やばくないかこれ?

なんか木の根が光りだしたぞ。

うわっ。なんも見えねぇ。

これは、ダメだ。

眠くなってきた。

寝ちゃダメ、だよな?

そう、なんだけど。

なんだ?

木の根が?

なんで?

俺は。

もう、こんな生活。

・・・。

何で?

・・・。・・・。

だって。

・・・。・・・。・・・。


 ・・・。・・・。・・・。ここは?すごい木のにおいがする。

 ・・・。・・・。そうか。図書室か。

 ・・・。どこからが夢だったんだ?あいつらに見つかっちゃったところからか?

 あれ?そういえば仰向けだなぁ。

仰向け?図書室で?それはおかしいなぁ。

もしかして屋上かなぁ?

なんだか目を開けるのが怖いなぁ。

 はぁ。まぁ嫌な予感はしたんだよなぁ。

どこだよ、ここ?

そりゃ、木のにおいもするさ。だって森だし。

しかも見たことない花がたくさん咲いてるし。

どういうことだ?

 そういえば、みんなはどうなったんだろう?会いたくないやつもいるけど。

とりあえずこの辺りには誰もいなそうだなぁ。どうしよう?

あんまり動き回るのは良くないんだけどなぁ。

でも助けが来るとも思えないし、このままじゃぁ埒が明かないし。

仕方ない。少し歩くか。

こういう時は、とりあえず高いところに行った方が良いよなぁ。

 それにしても何があったんだ?

う〜ん。まっ今考えても仕方がないか。

思ったよりはやく森を抜けられそうだし。

さてさて、誰か見つけられるといいんだけど。

 

挿絵(By みてみん)


 すげぇ。あれは木か。

ただ大きいだけじゃない。

なんというか、神秘的というか、力強いというか。

そういえば、なんでこんなに冷静なんだろうな。

もう帰れないかもしれないっていうのに。

・・・。

これから、どうなるんだろうか。

・・・。・・・。

どこに行けばいいんだ?

・・・。・・・。・・・。

みんな、どこに?


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