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トキヒサのやりたいこととトキヒサがこれからやること

 次の日に王宮に戻った後、

いろいろあって授与式はさらに次の日に開かれることになってしまった。

それで出席したのはいいんだけど、それにしても無駄に長い授与式だったな。なんなんだろうね。

要するに、この10年間ご苦労様、魔物の討伐に尽力してもらって助かります、これからもよろしく、

感謝のしるしに爵位を授けます、領地はないけど、王都に屋敷を用意します。

って、それだけ伝えるのになんで3時間もかかるんだ?

なんか疲れたな。はやくアリシアと帰ろう。

 「トキヒサ。ちょっと待って、これから寄らなきゃいけないところがあるから。」

 「そうなの?じゃぁ一緒に行こうか。」

 「えーっと、ほら、縁談の話が合ったでしょ。

それのお断りに行かなきゃいけなくって、だからね、私だけで行ってくるね。」

 あぁそのことか。なら俺が行くわけにはいかないな。

でもこの様子は、断りにくそう。

一方的に断る事になるわけだしね。それなら、

 「実は、どっちにしても断らなきゃいけなくってさ。

テルペリオンが用事があるって言ってて、一緒に出かけることになっていたんだよね。」

 「えっそうなの?何するの?」

 「それが、何の用事なのか聞いていなくって、よくわからん。」

 「私も一緒に行けるかな?」

 「どうだろう?聞いてみないとわからないな。」

 「聞いてみて。」

 「それはいいけど、危ないところだったらダメだからな。」

 「わかってる。・・・トキヒサ。」

 「どうした?」

 「ありがとう。」

 「ん?」

 「今回のこと。全部、私の思い通りにしてくれて。」

 「あぁ、いいよ。気にしなくて。」

 「そう?トキヒサってさ、10年間ずっと大変だったからさ。

実は自分がどうしたいのかわからないんじゃない?」

 「えーっと、そうなのか?」

 「だって、私とかお父様のお願いを聞いてばかりじゃない。」

 「あー、まぁ、そうかも。」

 「私ね、トキヒサにはちゃんと考えて欲しかったんだ。

それで、誰かを助けるためじゃなくて、

トキヒサがそうしたいって考えたんだったら、

ハーレムは諦められるから。

ちゃんと考えておいてね。」

 そう言ってアリシアは行ってしまったけど、俺はどうしたいんだ?

うーん。・・・わからん。

今日はとりあえず、テルペリオンに用事のことを聞きに行こうかな。


 「おーい、テルペリオン。っと委員長も一緒だったんだ。」

 「トキヒサか。」

 「九十九君。授与式は終わったんだね。」

 「まぁね。ものすごく退屈で、しかも長かったけどね。何の話をしていたの?」

 「それが、転移直前の事を聞かれていて。」

 「転移直前?なんで今さら。」

 「トキヒサにとっては今さらだが。この娘にとってはつい2か月前の事らしい。

ちょうど例の3人が転移してきたのと同じタイミングになる。」

 「へー。」

 でも、それがどうしたんだ?

 「私、直前の事はよく覚えていないんだよね。九十九君が突然立ち上がった所までは覚えているんだけど。」

 「そうだっけ?」

 そういわれればそうだったような。

10年前の事だから、よく覚えていないんだよね。たしか木の根がすごかったような。

 「十分な参考になった。引き留めてしまったな。」

 「いえ、こんなことならいくらでも。では、準備に戻りますんで、これで。」

 ヨシエ委員長はエルフの里に行く準備で忙しいみたいだな。足早に行ってしまった。

 「それで、私に何か話でもあるのか?」

 「そうなんだけど、その前に委員長で思い出したことがあって、昨日の話なんだけどさ。

転移者が他にもいるってどういうこと?」

 「あれか。そういう噂を聞いていてな。」

 「噂?めずらしいね。そんな、なんていうか、ちょっと騙す感じで話すなんて。」

 「ああでも言わなければ収まりがつかないだろ。だが来ている可能性が高いとは考えている。」

 「俺もそうならいいと思うけどさ。でも居なかったらどうするんだ?」

 「なにもしない。というかなにもできないな。」

 「どういう意味?」

 「あの娘の望みは地球と同じ生活だ。我々には提供できない。」

 「それは、そうだけど。・・・委員長、大丈夫かな。」

 「さてな。我々には時間を与える事しかできない。

エルフとの暮らしで、あの娘の中の何かが変わることを祈るしかない。

異世界で生きるというのは、そういうことだ。」

 「・・・俺は変わったということか。」

 「何を言っているんだ?

10年で大きく変わったし、今でも変わり続けているではないか。

お前は呆れるほどたくましい。」

 俺ってそんなに変わったのか?

10年前ってどんな感じだったか、あまり思い出せないしな。うーむ。

 「自分自身の変化には気付かないものだ。そんなことよりも。

縁談はなくなったらしいが、私の用事には付き合ってもらえるんだろうな。」

 「それは大丈夫、というかその話をしに来たんだよね。

だけど、何の用事なんだ?そろそろ教えてくれていいんじゃない?」

 「いいだろう。人気のないところに移動してからな。」

 「はいよ。あと、アリシアもいっしょに行けるか?」

 「アリシア?・・・構わんぞ。」

 アリシアも一緒でいいのか、一体何の用事なんだろうね。

それにしても、俺とアリシアが一緒に居るのはいいとして、

ヨシエ委員長はエルフの里で、クレアさんは実家に帰り、

パトリックは・・・王宮で絞られてるらしい。

みんなバラバラで寂しい感じだな。

またみんなで集まれればいいんだけど、ってそんなの無理なのはわかっているんだけどさ。

例えば、地球のどこかで、同じ教室で出会えていたら、楽しかったんだろうなぁ。


挿絵(By みてみん)

until the day we meet again


2章【終】


 お読みいただきありがとうございます。

誤字報告などのご支援、大変感謝しております。


 これにて2章は終了となり、3章が開始となります。

以前にも話しましたが、

本作は私の書きたいように書かせていただいていますので

ちょっとモヤモヤする最後だったかもしれません。

しかも3章は全く別のエピソードになります。

 この後の展開については、プロローグで示唆していますので、

気になる方はもう一度お読みいただければと思います。


 さて、2章投稿中に初めて☆☆☆☆☆で評価をいただき、

ブックマークも順調に増えてきており大変うれしく思います。


 引き続き作品をお楽しみいただければ幸いです。


 今後ともよろしくお願いします。


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