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一途なトキヒサと一途な皇太子

 「何かと思えば。断ればよかろう。」

 朝早く抜け出してテルペリオンに縁談のことを相談してみたんだが、

そう簡単にいくなら苦労しないんだよな。

 「いやだって、アリシアがやる気満々だからさ。」

 「無理やり、ならば私が止めてやろう。

気持ちの問題、ならば自分でなんとかするんだな。」

 「それはそうなんだけど。」

 テルペリオンの言う通りではあるんだけどさ。放っておくとドンドン話が進んじゃうからさ。

 「急がなくともよかろう。先延ばしにすればいい。」

 「それがな、授与式の後に予定が決まっちゃてるみたいで。」

 「ならば、私と遠出すればいい。用事があると言ったろ。」

 「なるほど。」

 そういえば、何か用事に付き合ってほしいと言っていたな。流石、頼りになるな。

 「それじゃ、よろしく。」

 「やれやれ、世話のやける。」

 そんなこと言わないでくれよ。

何故かわからんけど、テルペリオンには地球の常識が全て通じるんだよな。

ドラゴンの文化なのかな?

 「そう言えば、なんでこんな制度になっているんだっけ?」

 「前に説明しなかったか?」

 「わかんなくなっちゃって。」

 「時間がかかりそうだな。あとで説明してやろう。もう帰る時間になる。」

 あっ本当だ。そろそろ戻らないと。


挿絵(By みてみん)


 「アリシア様、トキヒサ様。ご来客です。」

 それにしても豪華なティーセットだな。

今日来るのが皇太子だからか?そんなに気を使わなくてもいいのにな。

まっアイツとは気兼ねなく話せるから楽でいいか。

ん?ベンジャミン、どうした?

 「トキヒサ様。あまり失礼の無いようにお願いします。」

 「はいよ。」

 そんなに心配しなくても大丈夫だってば。

ベンジャミンの知らないところで、とても失礼なことを散々やっているからね。

おっ来た来た。ちょっと元気ないな、疲れているのか?

 「トキヒサ、久しぶり。」

 「久しぶりだな。パトリック。」

 いつ以来だっけか。半年前にワイバーンの巣で一緒に暴れ回って以来になるはず。

人類最強のパトリックと遊ぶのは面白かったな。

今日は女性2人が同伴か、1人はいつもの使用人で、

もう1人はなんでフードを目深に被っているんだ?

 「なんだ?護衛も連れずに来たのか?」

 「そんなの意味無いだろ?」

 まぁな。

人類最強は言わずもがな、この世界の貴族とか王族は馬鹿みたいに強いからな。

魔力量的な意味で。

 「フードの人は新しい使用人?」

 「あ~違う違う。」

 じゃぁなんで連れてきたんだ?っと聞こうと思ったら、

なぜだかフードを取りながら近づいててくるな。

・・・というか、この顔は。

 「え?委員長?」

 「やっぱり。九十九君なんだね。」

 こりゃ驚いたな。委員長も転移していたとは。

あの3人も転移してきたんだから、不思議ではないけど。

それで連れてきてくれたのか。

んでこの雰囲気は、もしかして。

 「委員長って、今いくつ?」

 「え?17だけど?どうして?」

 やっぱりな。10年前と歳は変わっていないのか。

本当に俺だけ過去に飛ばされたんじゃないか?

 「でも良かったぁ。私だけ迷い込んじゃったのかと思って、他にも来ているのかな?」

 「それは、んーっと。」

 来ているっちゃ来ているんだけどね。

 「まぁ長くなるから、座って話そうか。」

 それで座って紅茶を飲みながら3人の事とついでにこの10年の事を話すと、

なんだか重い雰囲気に。

無理もないよな、同級生が処刑されていたなんて。

 「そんなことがあったんだ。それに九十九君も10年間大変だったんだね。私はラッキーだったのかな。」

 路頭に迷っていたところをたまたまパトリックに出会って助けてもらったって言うのは、

ものすごくラッキーだな。

あの3人については、行動自体がね。

ラッキーとかそれ以前の問題で、

そもそも序盤で俺に会ったのもラッキーと言えばラッキーだからな。

 「ところで、その3人って誰?」

 「えーっと。10年も経っているし、名前は忘れちゃってて。」

 「え?聞かなかったの?」

 「そんな雰囲気じゃなくて。」

 「私の名前は?」

 「・・・忘れちゃった。」

 「・・・。」

 「いや、しょうがないでしょ。だって10年も前の話だしさ。」

 「ヒドい。」

 「そんなこと言われましても。」

 今さら転移してくるとも思わんしな。

二度と会うことが無いと思っている人の名前なんて、全部覚えてられないって。

一部は覚えているけど。

 「それでお名前は?」

 おっ、アリシアのナイスフォロー。

 「あっ、私は正木義恵って言います。えーっと。」

 「私はアリシア。トキヒサの妻よ。」

 「妻!?あっごめんなさい。」

 あーあー勢いよく立ち上がるから。

紅茶がこぼれちゃってるじゃないか。

というか、そんなに驚くことなのか?

 アリシアは照れ笑いしてるし、パトリックは苦笑いしているし、

そんな中ベンジャミンだけ冷静に委員長のケアをしているし、やけににぎやかだな。

でも今日のパトリックはちょっと大人しいな、どうした?

 「ありがとうございます。でも、本当に10年経っているんだね。

あの九十九君が、結婚しているだなんて。」

 「俺としては、2人が知り合いだったことに驚いているけどな。」

 パトリックよ。やっと口を開いたと思ったら今さら過ぎないか?本当にどうした?

 「パトリック、大丈夫か?なんか悩んでいるのか。」

 「まぁ、そうなんだよな。」

 ん?本当にそうなの?冗談のつもりだったんだが。

 「なんだ?どうした?」

 「実はな、クレアと結婚したいんだ。」

 「え?」

 クレアって使用人のこと?だよな。


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