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夢を語る桃源郷  作者: 四太郎
8/50

プエリトの今

ギュッタは、冬の寒さとは違う冷気を感じた。

ファイアが戦死していれば、こうして会うこともできない。

「ウルヴァンさんやマスターも?」

ファイア

「うん、桃源郷の店主達も半数は召集されてよ〜、フロリバンダとの国境線まで駆り出されたぜ~」

ギュッタにとって他国の戦争は、貴族や職業軍人が行くものだと思っていたので、街の人々が駆り出されているとは夢にも思わなかった。

ファイア

「帰れなかった店主もいたよ、俺の行きつけの店だった。 片腕を失った旦那もいてね。 息子は学校辞めて、自分が店を継ぐって言ってさ〜、母ちゃんと夜遅くまで働いてんだ〜」

ギュッタ

「その子何歳なの?」

ファイア

「10歳かな? 可哀想だな、賢いのに。金がない、時間もない、チビの頃は簡単なおもちゃ作って一緒に遊んでやったがよ〜。今の俺には何もしてやれね〜」

突然隣の店の窓が空き、禿頭の老人が顔を出した。

「何じゃとぉ~!!」

ギュッタ

「わー!! 何!?」

ファイア

「びっくりさせるな!! 糞爺イ!」

禿頭の老翁

「誰が糞じゃあ!! バルバロッサ爺と呼べ!」


ファイア

「バル爺! 盗み聞きしていたのかよ」

バル爺

「不可抗力じゃ、本棚の整理しとったら、子どもが教育を受けられぬ話を、お前がしおったから、思わず顔を出したのじゃ!」

ファイア

「本の整理って、バル爺売れてんのか? 小難しい古本ばっかでなく、大衆向けのエロ本も置けよ~」

バル爺

「この阿呆! お前が心配せんでも得意先くらい掴んでおるわ!」

バル爺はギュッタを見て

「わしは『夢幻堂古書店』のジラフ・バルバロッサじゃ、昨日から狼亭の手伝いに来た子じゃな。よろしく頼むぞ」

ギュッタ

「こちらこそ、俺ギュッタです。よろしく!」

バル爺

「本は好きか? …そうか! 店に立ち読みしに来い。隣でわしの妻が隣の店で『創健堂』という薬草屋をやっとるので、お茶を奢ってやるぞ。」

ギュッタ

「ありがとうございます」

バル爺

「若い時には、勉強をして欲しいものじゃ。何とかせねばのう~焼豚よ」

ファイア

「うん。あの子1人じゃねぇぜ~、貧しさや戦争で勉強どころじゃねぇ子はよ〜」

バル爺

「ファイアが街に賑わいを作っておるなら、わしも一肌脱ぐか…」

ファイア

「爺イのヌードなんざ、見たくねぇぜ~ぃ。ゲッヘッヘ…」

バル爺

「この阿呆!!」


昼食が終わり、ファイアは用事があると言って何処かへ出かけた。

ウルヴァン

「ありゃ女の所だよ、昼間から元気だぜ! 俺、これから出かけるけど、ギュッタはどうする?」

ウルヴァンはクラノス軍の退役軍人で、週に1回プエリトのクラノス軍駐屯基地の教練を頼まれている。

ギュッタも、街の散策に自分も出かけることにした。


プリエトの街は、北東部が高く南西部が低い丘陵地だ。

西側は安値の宿屋街と庶民の住宅が建っている。

北西にはグルージヤ神教のプリエト教会や墓地があるようだ。

教会の横に、国境が近いので大規模なクラノス軍駐屯基地がある。


北にはプリエト領主の居城がり、北東に地元貴族達の館が並んでいる。

東門の通りは宿賃の高いホテルが並んでいる。

南東は、城や城門の役所で務める下級貴族、兵士達の集合住宅が整然と並んでいた。

南西は、表通りは庶民のマーケットで、裏通りは桃源郷を含む飲み屋街。


街の中心には、大きな広場があり周りには商店や劇場が建っている。

ここに、クラノス王国やプエリト城主からのお触れ書きが出され、月一度の満月祭には広場中に露店や芝居小屋が並ぶとのことだ。


更に南西に行くと、『5番街』と呼ばれるひと夜の夢を売る花街がある。

南部の大半は貧しい人々が住む地域スラム街だ。


挿絵(By みてみん)


ギュッタ

「あ、教会の鐘の音だ。帰らなきゃ食堂が始まる。今夜は蜜蝋ギルドで魔導教本を借りよう、あの黒い服を着た人に会えるかな?」


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