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夢を語る桃源郷  作者: 四太郎
13/50

嫌な予感

今回は少々長文ですが、どうかお付き合い下さい。

よろしくお願いいたします。

 ギュッタは普段、青空教室が済むまでの間にランチを食べ、魔導の勉強をして過ごしている。

 ファイアは午後から、青空教室でバル爺を手伝っていた。

 フロリバンダ難民の生徒がクラノス語を理解できず、苦しんでいるのが放って置けない。


 最近は2人とも収入が増え、プエリトB級グルメを堪能することもあるが、大体は狼亭のランチであった。

 ギュッタ

「ウルヴァンさん、ご馳走様!」

 ファイア

「へい、お代!」

 ウルヴァン

「要らねぇよ! 青空教室の駄賃の内だぜ! 散歩にでも行ってきやがれ!」

 ウルヴァンの大きな声に送られて2人は大通りに出た。


 ギュッタ

「ねえ、ファイアさん。俺、最近呪文唱える練習すると、何か空気が変わるんだ」

 ファイア

「ほう、そりゃ上達したなぁ」

 ギュッタ

「でも、うっかり街中で魔法がかかったら、大変じゃない?」

 ファイア

「それ不味い、ご法度だぜ~」

 ギュッタ

「魔導の実習をしたいけど、魔導教室に行く金ないし…街の外なら使っていいの?」

 ファイア

「微妙~。街を出るのには許可証がいるぜ〜、でも何か考えないと…」


 その時である、街の新聞売りが大声で叫んでいる。

「号外!! 号外だ!! フロリバンダに出兵された領主様が、戦死された!!」

 大通りに緊張感が走る。

 通りにいた住民たちが先を争って、新聞売りから号外を受け取っていた。


 ファイアは、あっさり号外を手に入れていた。

「何てこった…悪い夢を見ている様だぜ〜。後継ぎの坊ちゃんは、まだ8歳だぜ~」


 ファイアは号外を2枚も手にしている。


 渋い顔をしながら号外を1枚ギュッタに差し出し、

「これ、マスターの所に持って行って『後でそっちに行く』て、伝えてくれ。俺は狼亭に戻るよ」

 ギュッタ

「はい、でも…マスターこの時間寝ているよ」

 ファイア

「うん。可哀想だけど起こして、頼む」

 ギュッタは了承し、蜜蝋パブに駆けて行った。


 ファイア

(生き残った地元貴族に、ろくな奴がいない。嫌な予感がするぜ~)


 ギュッタは渋々店で仮眠中のマスターを起こし、号外を読んでもらった。


 マスター

「うげ! 目が覚めたよ。領主さんは良い人だったけど弟は守銭奴で隙あらば、税や露店の出店料を上げようとするんだ」

 ギュッタ

「ええ!! そんな…俺たち貧乏人は、夢も希望もなくなっちゃう!」

 店の扉が開き、バル爺の後ろから声がする。

「落胆するでない! わしには対抗策があるぞい! よう聞け~!!」

 マスター

「バル爺、青空教室は? 何? ファイアとウルヴァンが来て生徒の勉強を見てる」


 広場からファイアが喚いている。

「爺ジィ! 早く授業戻れよ~! 俺たち急ぎでマスターに話があるんだよ~! 爺ジィは後でガッツリ相談したいことがあるんだよ~!」

 バル爺

「分かっとるわい!! 爺ジィではな~い! バル爺と呼べ!」


 ファイアとウルヴァンがパブにやって来た。

 ウルヴァン

「俺、先生は無理! 顔怖い、声デカいって子どもに泣かれて…夢に出てそうだぁ!」

 ファイア

「気にするな、向き不向きがあるわ、俺は女の方が得意だぜ~!」

 マスター

「ファイアって本当不思議だ、その面で女日照りないもんね」

 ファイア

「俺はマメだし、通りすがりの女には必ず声かけるからね、ヘッヘ。ギュッタ悪いけど、俺の代わりにバル爺の手伝い頼むぜ〜」

 ギュッタ

「はい、分かりました!」

 ファイア

「ありがとうよ〜、さっきの話は明日しようぜ~。何とか力になりたいからさ〜」

 そう言って、ギュッタの肩をギュッと抱きしめた。


 ウルヴァン

「ギュッタ、 どうした?」

 ギュッタ

「ファイアさんの感触? 匂い? どこか懐かしくて」

 マスター

「この子、霜降り肉で柔らかいから、母さん思い出した?」

 ファイア

「匂い? お前、村で豚の肥育手伝っていたろ?」

 どちらかと言えば、マスターの意見に近かった。


 ギュッタは青空教室終了まで、バル爺の手伝いをした。

 日が傾くと桃源郷の店主たちも青空教室の後片付けを手伝い、開店準備を始めた。


 ファイアも蜜蝋パブから箒とちりとりを持って出て来た。

「お~い、チビども。ゴミはちりとりに入れろ~、ペンはここに戻せ、テキスト借りる奴は爺に言えよ!」

 青空教室の生徒たち

「は~い、焼き豚先生!」

 すっかり焼き豚先生が定着し、子供たちの人気者だ。

 広場の掃除も終わり、ギュッタ、ファイア、バル爺は狼亭へ戻っていった。


 ギュッタ

「ファイアさん、どうしてファイア・レッドって名前なの? だって…豚さんを火で炙ったら焼豚だよ」

 ファイア

「よく考えたらそうだわな~」

 ファイアは話を変えた。

「バル爺さっきさ~、領主の弟が実権握っても『策がある』 て言ってたがよ、店に着いたら教えてくれや。桃源郷のお時間までちょっと間があるからさ〜」

 バル爺

「了解じゃ!わしらの暮らしを、夢を、諦める訳にはいかん」


 ギュッタは1人で、狼亭に向かった。

 ファイアはバルバロッサ爺と話がある様だ。


 狼亭に戻ると既にウルヴァンはパブの仕込みを始めていた。

 やがて仕事帰りの常連客や、宿屋の止まり客たちがパブに集まって来た。


 早耳の常連客

「聞いたかい? ウルヴァンの旦那! 領主様が戦死しちまったって」

 ウルヴァン

「たまげたぜ!! 良い人だったのに」

 職人風常連客

「お陰で仕事が手に付かねえぜ! 後継の坊ちゃんが成人するまであの守銭奴の弟が代理領主か?」

 心配性の常連客

「そのまま奴が乗っ取って坊ちゃんを何処かに、やっちまうんじゃねえか?」


 皆な同じことを心配している。

 常連客達も食が進まず早々に帰宅し、店を早く閉めた。



 ギュッタは不法侵入で就労ビザを所持しておらず、プリエトの街の外で魔導の実習できないことを説明するのか、プリエト領主が実は領主の弟に暗殺されたことまで書き込むのか、相当悩んだ結果辞めました。

ギュッタの成長と仲間との繋がりであるこが主題であることを考慮しました。

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