第773話 配信前の雑談
さーて、今日も配信開始だねー! 姉さんが待機してそうだけど、一番乗りは誰かなー?
サツキ : 一番乗り! あ、枝垂れ桜の浴衣だ!
ミツルギ : おーっす! ほほう? リクエストはそれになったか!
「サツキさん、ミツルギさん、こんばんはー! 今日は見ての通り、黒地に枝垂れ桜の模様になってますよー!」
これは確か……神楽さんのリクエスト! まぁ誰のリクエストかをわざわざ言うとややこしくなりそうだし、私から言うつもりはないけど!
ミナト : こんばんはー! おー、また随分と雰囲気が変わったね? 黒か基調だから、銀髪が映えてるよ!
金金金 : なるほど、浴衣はそれになったか。落ち着いた雰囲気でいいが……なぜ、髪を上げてくれない!?
咲夜 : おっす! ……なんで金金金さん、いきなり悔しそう?
いなり寿司 : そんなに、サクラちゃんのうなじが見たいのか……。
金金金 : 当然だろう! かんざしでまとめ上げられるのを知っているのに、それをしてくれない悲しさよ……!
「……なんというか、かなり切実な感じが出てますけど、ただの金金金さんの個人的な欲望ですよね、それ!?」
やろうと思えばすぐにでも出来るけど、ちょっと必死過ぎて戸惑うんだけど!? ……普通にリクエストしてくれるのなら、髪型くらいは変えてもいいけど……こういう流れだと躊躇するよね!?
水無月 : ちょっと出遅れたー! サクラちゃん、こんばんはー! あ、その浴衣になったんだ!
紅葉 : まぁ、ドレス型の浴衣は却下になってたしね。
水無月 : 紅葉!? そこ、掘り返す必要ってある!?
G : あれはあれで、見てみたいとこではあるけどなー。宣伝の最終日辺りなら、変わり種もいけるか?
金金金 : 狙い目はそこだな!
「あはは、まぁそれはその時に考えますねー!」
宣伝なんだから、一部の種類を意図的に避けるって事も避けた方がいいよね? 私の好みで選んでいいって事にはなってるけど、それでもレンタルのラインナップには含まれてるんだし!
G : おっと、冗談半分で言ったんだが……意外と好反応? これは、もしかするともしかする?
水無月 : え、サクラちゃん、ドレス型の浴衣、着てくれるの!?
「確約は出来ませんけど、そういう事もあるかもしれませんねー?」
ここで着るって断言したら、なんかややこしい事になりそうな予感がするから、ぼかしておこー!
ミナト : そういえば、サクラちゃん、髪飾りとかは特に何も付けないの? その辺の小物も、色々あるみたいだけど……?
サツキ : それは店舗限定のやつ! 種類によっては自分でヘアセットするのが難しいから、配送での対応はややこしくて!
ミナト : あ、そういう感じなんだ。確かに、項目は別に分かれて……あー、そもそも試着用のデータが用意されてない感じだね。
「髪飾りは、そんな感じですねー。宣伝の範囲外って事だったので、特に気にしてなかったですけど……」
んー、折角の衣装替えなんだし、多少は髪型を弄るのもありかな? ただ、前に作ったかんざしだと、配信の画面上では分かりにくかったし……。
「あ、こうしましょうか! えーと、確か前に使ったヘアゴムがあったはず……」
どこに片付けたっけなー? あ、思い出した! あれって確か、デフォルトで用意されてる物の1つだから、そこから新しく取り出せば……あ、あった、あった!
ミナト : ヘアゴムを取り出したって事は、髪型を変えるの?
金金金 : よしきた! これはポニーテールの予感!
富岳 : こんばんはっと。ん? 何かしようとしてるのか?
咲夜 : サクラちゃんの髪型の変更だな! どういうのになるか、分からんけど!
富岳 : あぁ、なるほどな。だから、黒い輪ゴムを持ってるのか。
「輪ゴムと言えば輪ゴムですけど、これはヘアゴムですねー! 今回は、ポニーテールというより、こんな感じで! サイドテールですね!」
ササっと長い髪を右側寄りにヘアゴムでまとめて、肩の前に出す感じ! 普段なら邪魔になるけど、配信中なら操作はモンエボの方だし、見栄え重視で!
G : ほほう? そうきたか。
金金金 : サイドテールか!? いや、それでもうなじは見えるはず! サクラちゃん、少しグルッと回ってくれ!
ミナト : 金金金さん、少し落ち着きなさい。変に興奮しまくってると、通報しちゃうよ?
神奈月 : おーっす! 来て早々、ミナトさんに怒られてる金金金さんとか……あー、サクラちゃんの雰囲気が随分と違うな!?
神楽 : おー! なんか、思った以上に大人びた印象だー! そして、私のリクエストが通ってたー!
「こうやって、色々と衣装を変えてみるのも楽しいですねー! えーと、こんな感じです!」
金金金さんが必死過ぎる様子だけど、宣伝的には浴衣のデザインを見せないといけないもんねー。という事で、立ち上がってクルッと一回転!
「これ、どうですかねー?」
金金金 : いいぞ! 良いうなじが見えた!
ミナト : 評価点、そこだけなの!? まぁ真面目に評価するなら、落ち着いた雰囲気で良い感じだね。
水無月 : 色合いが変わるだけで、一気に印象が変わるよ!
イガイガ : っ!? 浴衣の柄だけじゃなく、髪型も変わっとる!?
富岳 : さっき、弄って変えたとこだな。雰囲気が引き締まって、少し妖艶さが出たか?
いなり寿司 : 九尾の狐をモチーフにしてるアバターだから、黒だと神秘的な雰囲気が出ているな。
サツキ : だよね、だよね! 枝垂れ桜の色も、サクラちゃんの髪色に少し近いから、雰囲気バッチリ!
「あ、言われてみれば、確かに枝垂れ桜の色合いは近いですねー?」
あんまり気にしてなかったんだけど……この枝垂れ桜、ピンクというよりは、白に近いもんね。光の加減で私の銀髪は白くも見えたりするし、確かに合ってるかも!
水無月 : サクラちゃん! 明日は何か、髪飾りを着けよう! ただの黒いヘアゴムだけじゃ勿体ないよ!
「え、でもレンタルにはないですよ? 前に作ったかんざしだけじゃ、配信中だと隠れちゃいますし……」
手順の結構ややこしいヘアアレンジをすれば、配信中でも映えるようにかんざしを着けれるとは思うけど……それは自分じゃ無理! 私には、かんざしでまとめ上げるか、ヘアゴムで簡単に縛ってまとめる程度の事しか出来ません!
サツキ : ふっふっふ! そういう時こそ、私の出番……って、痛!? え、ここで宣言しようとするなって……あっ!? スタンバイしてる人が、いくらか出てきてる!?
富岳 : ……あー、音声なしのコメント欄が凄い事になってるな。
咲夜 : 専門の人達が立候補しとるー!?
いなり寿司 : ……サツキさん、色々と自重してくれ。ただでさえ、ここ数日で仕事量が増えてきてるんだから、更に過剰に増えるようなのは勘弁だ……。
ミナト : いなり寿司さん、お疲れ様。問題ないように、監修に入ってる感じなんでしょ?
いなり寿司 : そういう事なんだが……サツキさんが次々と持ってき過ぎなんだよ!
「……あはは、いなり寿司さん、お手間をかけているようで、なんかすみません!」
姉さんが私へと色々と宣伝を持ってきてるから、そのチェックで仕事が増えてる状態なんだよね!? 私、いなり寿司さんには報酬は払えてないと思うんだけど……それって大丈夫なのかな?
うーん、聡さんと兄さんが間に入ってるんだし、そっちから既に報酬が出てる感じなのかな? これ、今日の配信が終わったら、ちょっと確認しとこ!
いなり寿司 : いやまぁ、サツキさんのとことの契約の範囲内だから、サクラちゃんは気にすんな。詳しい内容は、守秘義務があるからここでは言えんがな。……どちらかというと、サツキさんに釘を刺す必要があるから、俺の立場を明言したってのもあるしよ。
ミツルギ : これまでの暴走っぷりを考えると、その判断も仕方ないか。
ミナト : まぁサツキさんだしねー。
真実とは何か : それが真実なのだ! そして、こんばんは!
咲夜 : ストッパーの旦那さんと顧問弁護士がいても、この有り様……サツキさんのみだと、一体どれだけの惨事に!?
サツキ : なんだか、みんなして酷い言い様だね!?
「それほど、的外れでもない気がしますけどねー」
今も、音声なしでのコメント欄で、私の髪型を弄りたがってる人とか、髪飾りを付けさせようとしてる人とか、浴衣以外の衣装を着させたがってる人とか続出してるもん! ……私が迂闊に触れると危なそうだから、スルーにしとくけども!
「さて、18時になりましたし、今日の配信を始めていきますねー!」
待機時間の雑談はここまで! 浴衣の事は既に話題になりまくってるけど、一応ちゃんと宣伝だという事を明示してから、続きをやっていこー!




