第772話 今日の配信の準備
ふふーん! 庭の作成、順調、順調! 大物の松の木や、他の植物を作るのにはちょっと時間がかかりそうだけど……。
「まぁちょっとずつでも、進んでるもんね!」
今の竹林の中にある和室も、決して悪くはないし! ただ単に、元々用意されていたものだけでやるのが物足らないってだけだもん。
まぁその辺は、夏休み中に頑張るとして……今は、今日の分の配信の準備!
「さーて、『サクラ』の方で、浴衣を着替えないとね!」
という事で、一旦フルダイブを終了なのですよ! 今は自宅用のリアルと同じ見た目のアバターに、今日の宣伝予定の浴衣を着てるだけだしね。……よし、フルダイブは終了!
「やっぱり、この椅子はいいね!」
背もたれを倒せば、そのままフルダイブが出来るのはいいよね! 座ってる分には、背もたれにある傷は気付かないし……うん、これはお買い得だった!
「んー!」
とはいえ、それなりの長時間はそのままの体勢だったから、一回立ち上がって全身を伸ばしたい! ベッドじゃないから、寝返りが出来ない部分は欠点かも?
ちょっと喉が渇いたから、休憩を兼ねておこー! 少し早めに切り上げるようにアラームはセットしてたから、そのくらいの時間はあるもんね!
◇ ◇ ◇
お茶とお煎餅を食べて一息ついてから、自室に戻ってきた! ちょいちょい食べてたから、姉さんが送ってきたお煎餅は無くなっちゃった。まぁ無茶苦茶な量が送られてきてた訳じゃないし、順当に食べ終わったねー。
「さーて、準備、準備!」
とりあえず、『サクラ』に今日のリクエスト分の浴衣として、黒地に枝垂れ桜のものに着替えていこー! 既にデータ自体は取り込んでるから、普通に着替えるだけ!
「……あれ? そういえば、今日って宣伝コーナーはいるのかな?」
待って、今疑問に思ったけど、浴衣の宣伝って1週間は続くんだよね!? その間、毎回宣伝コーナーをやっておくべきなの!?
「兄さんに聞いて……って、まだ帰ってきてない!?」
わー!? 聞こうと思っても、兄さんが不在だー!?
「だったら、姉さんに!」
配信を始めたらすぐに姉さんは来るんだから、多分もう手は空いてるよね!? 空いてなかったら、ごめんなさい! でも、これは確認せずにやるのは駄目な気がするから、通話させてー! あ、すぐに出てくれた!
「美咲ちゃん? どうかしたー?」
「あ、姉さん! ちょっと浴衣の事で、質問があるんだけど!」
「あっ! 私のリクエストを聞いてくれる気になった!? ふふーん、表では言えないから、ここで直接聞いて――」
「そういうのじゃないから!? 浴衣の宣伝、今日も時間を割いてやった方がいいの!?」
「ありゃ? ちょっと待ってて、その辺はどうなってるんだろ? 聡さん、ちょっといいー?」
わー!? なんで姉さんが、そこを把握してないのー!? ……まぁ聡さんに聞いてくれてるみたいだし、それで分かるならいいけども!
「美咲ちゃん、聡さんも通話に繋ぐからねー!」
「あ、うん!」
「こんにちは、美咲ちゃん。その辺の話は、俊くんに伝えておいたはずだけど……いないのかい?」
「まだ兄さんは、今日は帰ってきてないです!」
「……俊くんが、伝え忘れていたのかい? 珍しい事も……いや、色々とまとめたファイルの中に、記載はないかい?」
「……え? あ、ちょっと見てみます!」
えっと、浴衣の宣伝関係のファイルは……これだー! 宣伝手順の記載があったのは、これだね? えーと……。
「……あ、普通に書いてました!? 初回ほど大々的にやる必要はないけど、ホームページへの記載と、宣伝のものであるって説明だけはやっておけばいいんですね?」
「そういう事になるね。それは、ステマ判定にならないようにする作業だと思ってくれればいいよ。宣伝は、明確に宣伝だという事を示しておく必要があるからね。動画が分かれるから、尚更にね」
「あ、はい!」
「今後、複数日に渡って宣伝する場合、それにも同様の事が言えるから、そのつもりでいてくれるかい?」
「分かりました!」
そっか、そっか! 宣伝関係なのは間違いないから、浴衣だけ着て他はスルーって訳にもいかないんだ! ……あれ? ちょっと待って!?
「……あの、実況外のプレイでは、その明示はしてなかった気が……?」
「っ!? それ、本当かい!? 葵、昨日の美咲ちゃんの実況外のプレイを出してくれるかい?」
「はいはーい! えっと、はい、これ!」
「少し、確認させてもらうよ」
「……はい」
うー!? これ、もしかしてやらかしちゃってる!? もう公開済みになってるけど、今からでもどうにかなるの!?
「……あぁ、これなら大丈夫だよ。美咲ちゃん、ホームページへの誘導の巻き物がそのまま放置になってて、それが結果的に宣伝だと明示になってるね」
「えっ!? あれ、残ってました!?」
ぎゃー!? 実況外プレイをする前に、いつもは片付けるようにしてるのに、すっかり忘れてたー!?
「今回に限っては、そのミスが功を奏した結果になってるけどね。まぁ団子の方も載っているのは……あんまりいいとは言えないけども」
「わー!? 両方とも、表示になったままでした!?」
でも、そのお陰で変な事になってないなら……不幸中の幸いなのかも?
「まぁ正直なところ、既にサクラちゃんの所有物へと変わっている浴衣だから、宣伝のものではないとも言えるんだけどね。ただ、宣伝期間中だから……一応、安全の為に宣伝を明示する事には気を付けてくれるかい?」
「あ、はい! 分かりました!」
「ねぇねぇ、聡さん? 宣伝期間が終わった後は? ずっと明示が必要?」
「いや、宣伝期間が過ぎた後なら、気にしなくてもいいよ。あくまでも、念の為の措置だしね」
「おー、なるほど!」
なんでプロの姉さんが、そこで色々と納得してるんだろ? そういう部分、完全に聡さんに丸投げなのかな?
「まぁ宣伝期間中に、ホームページへの誘導の記載だけは怠らないでくれれば問題はないよ。浴衣そのものについては、リクエストで触れていくんだろう?」
「あ、はい! それはそのつもりです!」
「その時に、『ユーカ呉服さんからのご提供です』とでも言っておいてくれれば、それで構わないよ」
「あ、そのくらいでいいんですね! 分かりました!」
兄さんには聞けないタイミングだったけど、聡さんに聞けてよかった! そして、姉さんはこういう場合には頼りにならないのも、よーく分かった!
「……あれ? 姉としての株が下がった気がする!?」
「聡さん、ありがとうございました! ……ちゃんと書いてあったのに、読み飛ばしててすみません!」
「いやいや、この程度は構わないよ。美咲ちゃんはまだまだ不慣れだろうし、分からない部分を分からないまま進められるよりは、聞いてもらった方が色々と安全だからね」
「聡さん、なんで私を見ながら言うの!?」
「……葵、心当たりがないとでも?」
「うっ!? ……ごめんなさい」
姉さん、色々とやらかしてそうだー!? まぁ手土産が多過ぎる問題とか、結構色んなとこでやってるみたいだし……他にも色々なんかやってそう!
「それじゃ、そろそろ準備をした方がいいだろうし、ここで切るよ」
「あ、はい!」
「今日の『サクラ』の浴衣は、なんだろなー?」
「そこは、見てのお楽しみで! それじゃ、失礼します!」
という事で、通話終了! それじゃササっと準備をして……って、そんなに時間の余裕がない!? うー!? 呑気にお茶とお煎餅を食べてる場合じゃなかったよー!?
◇ ◇ ◇
大急ぎで配信用の和室へフルダイブして、『ユーカ呉服』さんのホームページだけに書き換えて、『サクラ』の浴衣を黒地の枝垂れ桜のものに着替えて……。
「なんとか、間に合ったー!」
現在時刻、17時49分! ギリギリもギリギリだけど、遅れる事はなかったよ! あ、50分になったし、やっていこうっと!
<配信を開始しますか?>
今日は【初見プレイ】Monsters Evolve part.20! ふー、危ない、危ない。余裕を持って時間を調整してたつもりだったけど、先に配信の準備をしてから、他の作業をしておくべきだね! 明日からはそうしよう!
サクラ☆モンエボ実況配信中! #***
18時から第20回目、配信開始です!
配信会場はこちら!
【初見プレイ】Monsters Evolve part.20
URL:*tp://***
今日は河口エリアに進出ですよー!
そして、浴衣リクエストの結果は如何に!?
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という事で、配信開始! さーて、今日の配信も頑張ってやっていこー!




