第771話 庭の制作
ふふーん! 聡さんに必要な情報を伝えて、浴衣のレンタルの申し込みは完了! もっと割り引いてくるどころか、無料でいいとかまで言ってたらしいけど、それは聡さんによって阻止されたねー。まぁ流石に無料は私としても申し訳ないから、それでいいけど!
「さてと、それじゃ庭の制作を始めようっと!」
今回の作業の時が、部屋着代わりにもリクエストの浴衣を着てみてる! うん、ちゃんと浴衣だねー! 『サクラ』へはまだ着せてないけど……それは後でちゃんとやろー!
さてと、時間を忘れて配信に遅れないようにアラームのセットは完了! あとは……。
「これをこうして……よっと!」
どうしても袖は邪魔になるから、紐でササっとたすき掛けにして……うん、これでいいね! よーし、準備完了!
「それじゃ、まずは新規作成で!」
何もない空間を生成! ……だだっ広い、真っ白な空間だよねー。このままじゃ、どこまでが庭か分からないし、まずは範囲の区切りから……の前に、こっちかな?
「一旦、仮で和室を置いてみようっと!」
和室のデータを読み込んで……とりあえず、適当に真っ白な地面に配置! これを目安にやっていけばいいね!
「さーて、塀を作っていこー!」
観光地とかにあるような、だだっ広い日本庭園は流石に規模が広過ぎて、どう考えても作る手間がかかり過ぎるしね。だから、周囲はぐるっと塀で囲んじゃうのさー!
「えーと、とりあえずはざっくりでいいよね?」
という事で、真っ白い板を仮設置! 後で和風の庭に合うように、土壁と瓦で装飾はするけど! あ、でも竹で作った塀とかもあるよね? あっちも良さそう?
「んー、悩むけど、そこは後でいいや!」
庭そのもののデザインはしたけど、塀の種類までは考えてなかったー! でもまぁ、今日1日で完成する訳もないから、後からでも問題なーし!
「まずは地面から! この辺はアセットの中にあったから……よし、これ!」
範囲内に土を敷き詰めるってやつ! 手を抜けるところは、手を抜くのは大事って姉さんが言ってたもんね。土を全部自分で描いてたら、なんか大変な事になりそうだし!
「平面のイラストの土ならともかく、立体の土は……どう描いたらいいのか、分かんないもんね」
それこそ、1粒ずつ描いて、バリエーション違いを大量に用意して、それら混ぜ込んだ上で今みたいに同じようにばら撒くしか思い付かない! そうじゃないと、見る角度が変わればおかしくなりそうだもん!
ともかく、仮設置の真っ白い板の塀で囲んだ範囲には土を敷き詰め終わったね。うん、元々あるものをばら撒いただけだから、手早く済んだ!
「これ、砂利で枯山水とかだと、割と早く完成しそう?」
今回はそういう予定じゃないけど、やろうと思えば出来そうだよね。んー、後々の変化のバリエーションとして考えておくのもありかな?
「まぁ、今はその時じゃないね! さーて、高低差を作っていこー!」
私の『サクラ』に合わせて、『桜』を作ろうかとも思ったけど、それはやめた! なんだか姉さんが作ってくれた我が家の憩いの部屋と被りそうだし、今の私に出来る事で表現したいもんね!
「あ、そういえば、これも枯山水の一種ってなってたっけ? まぁいいや!」
作る予定のものは、『枯流れ』っていうヤツ! 砂利で川っぽい雰囲気を作って、石の橋を渡して、その周囲に植物を配置するような感じ! 池を作ろうかとも思ったんだけど、あえて水を使わない方向で!
そうじゃない部分にも、飛び石なんかも用意して、地面は苔で覆って……うふふ、今から完成が楽しみだねー!
「えっと、ここから……ここまで、ちょっと蛇行させながら、凹ませて……」
真っ平な地面を変形させて、流れの部分を作っていくのですよ! 実際にリアルでやれば重労働なんだろうけど、ここは仮想空間なんだから、軽いもの!
でも、土だけだから……いまいち雰囲気が分かりにくいねー。
「地面に土がくっ付いてるのも、なんか変な感じ? まぁそう設定してるからだけど!」
現実に穴を掘ってる訳じゃないし、地面に敷き詰めるというよりは、土を地面として設定した状態だから、凹ませると自動的に土の位置も変わるんだよねー。こういうデザインの仕方、何気に初めてだから、色々と新鮮!
「よし、こんなものかな? 次にいこー!」
変に思うところがあれば、後々で調整していけばいいや! さーて、次はこれだね!
「流れを挟む、大きな石達の設置! ここは、適当には出来ないよね!」
こういう石もアセットはあるけども……この部分は自分で用意するつもり! まぁ石の表面の質感よりも、どういう風に並べていくかの方が重要だよね!
「同じ大きさの石をただ並べただけじゃ、それっぽくはならないから……何個か大きいのを置きつつ、並べていって……」
とりあえず、変形させる前の白いものをザッと並べていきつつ、バランスを見ながら配置の調整! ……むぅ、デザイン自体をした時に、大雑把な配置は決めてたけど、実際にこう立体になってくると難しいね!?
実際に大きな石を運ぶ訳じゃないし、地面への埋め込みも簡単に出来るから、何度も調整はしていってるけど……。
「これ、センスが問われてる気がする!?」
デザインをする上で、絶対に大事なとこだけど! うー、真っ白い石を並べてるみたいで、なんか違和感が凄いよ!?
「えーい! 仮で、石のテクスチャを貼っちゃえ!」
自分で雰囲気に合わせた表面を描くつもりでいるけど、それは最終段階でいいや! 今は雰囲気を掴みやすいように、これでやっていくのです!
「おー! これだけでも、一気に雰囲気が変わった!」
うふふ、仮でもこういうのは大事みたいだね! なんだか、一気に雰囲気が掴みやすくなってきた!
「ここはもう少し大きくて、こっちは小さくして……あ、ちょっと離し過ぎたかな? えーと、ここには橋を掛けるから空けておかないとだし……」
うー!? これ、思った以上に頭を使うね!? なんだか、パズルのピースを合わせているような感じ! でも、それが楽しい!
「あ、これ、ゲームでちょいちょいある、ハウジング機能みたいなものなのかも?」
やってる事、まさしくそんな感じだよね!? まぁ、今私がやってる内容の方が、遥かに自由度は高いけど! ああいうの、自分で作ったものは取り込めないし……。
「まぁいいや! ともかく、この調子で頑張っていこー!」
ゲーム感覚で、楽しんでやっていければいいよね! 今日、どこまで出来るかなー?
◇ ◇ ◇
「あ、もう時間切れ?」
むぅ……思いっきり集中してたから、もう終わりにする時間になってたのに気付かなかった!
「まだもうちょっとかかるけど、土台になる部分は出来たかな?」
色々と微調整しつつ、自分なりに納得が出来るくらいの仕上がりにはなった! 流れの部分には砂利も敷き詰めたし、そうじゃない部分には普通の土を石の高さくらいまで敷き詰めたしねー。
「うん、緑はないけど、それっぽくはなってきた!」
今の段階なら、完全に枯山水を名乗る事も……んー、土が剥き出しの部分が多いし、流石にそれは無理かも?
「さてと、次は植物だけど……そこはやっぱり、自分で作らないとね! 目玉は、松の木!」
そういう植物のアセットもあったけど、立派なのは何気に有料だった! まぁ有料を買い集めて、それを並べていくのでもいいんだろうけど……やっぱりここは、自分で作りたいもん!
「でも、今日はここまで!」
続けて作りたい気持ちもあるけど、時間切れは仕方ないもん。もう少しと拘って、この庭を使う肝心の配信の開始時間を過ぎちゃったら意味はないもんねー。
「もう少し、区切りがいいところまで進んだら、一旦ドラゴンの方をやろうかな?」
あっちはあっちで進めないとだし……庭は、植物を植えられる段階まで進めたら、一旦区切りにしようっと! 石のテクスチャを変えるのも、そこまで進んでからで!
それからドラゴンと魔法のエフェクトを作って、そこから松の木の制作って準備でいいや! 順番を決めてやらないと、中途半端になっちゃうしね。
「さてと、それじゃ今日の配信の準備をやっていこー!」
という事で、庭の制作はとりあえずここまでだー! 多分、塀はそれほど時間は掛からなさそう? 時間が掛かりそうなのは、多分植えていく植物達だねー。
特にメインの松の木! 大きなのをドーンと作るつもりだし、気合い入れていかないと! でも、まぁそれはまた後日だね!




