表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Relay:Monsters Evolve ~ポンコツ初心者が始める初見プレイ配信録~  作者: 加部川ツトシ
第19章 完全体、強いです!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

767/785

第767話 実況外の探検録 Part.37


【6】


「……死にました」


 まぁ調子に乗って、油断してたからね。しょんぼりしながらランダムリスポーンを選んでいるけど、割と自業自得ではある。


「私の方が遥かに格上なのに、なんで死んだんですかねー?」


 いや、理由が分かってないんかい! 昨日の九尾の狐も、今日のウツボも、仕留める過程で格下の敵達の数の暴力に晒されていたからね!? それがさっき、サクラに向かっただけの話だから!


「まぁ過ぎたものは仕方ないですね! えーと、どこに出て……あっ! 丁度いい具合に南の方に出ました! これはラッキーですね!」


 あー、うん。移動の手間が省けたという意味ではラッキーなのかもね。それで満足していいのかは、ちょっと疑問の余地もあるけども……。


「おー、この辺はもう崖上はかなり低くなってるんですね! 上から狙い撃ちは、難しそうです?」


 そりゃまぁ同じエリア内でも地形の変化は出てくるし、河口に近付けばそれだけ高低差は減ってくるからね。高低差がなければ、上かの一方的な攻撃が難しくなるのも当選の事ではある。


「でも、砂浜はないんですねー。ちょっと期待してたんですけど、残念です……」


 まぁそれは……ここの海岸エリアのメインではない要素だからね。砂浜に期待するのであれば、こことは別の違う海岸エリアに向かってもらうしかないんだけど……。


「んー、でもここなら同じ戦い方が……あ、色々と再使用時間中でした!? せめて、縄張りは使いたいですよねー」


 どういう戦い方をするかはサクラに任せるけども、まぁLv30に到達したのなら、『縄張り』を活用するのは大いにありだ。Lv30以外の敵なら向こうから襲ってくる事はなくなるから、安全性はかなり確保されるしね。

 ただまぁ、同様の効果は今でも得られるんだけど……さては、『威嚇』の存在を忘れているな? あれでも、『縄張り』のようなステータス強化の恩恵は得られないけど、敵を怯ませる役割は果たせるんだけども……。


「とりあえず、縄張りが使えるようになるまで待ちましょう! あ、でもこの辺は発動しておきますねー! 『索敵』『見切り』『弱点分析』『看破』!」


 誰からの意見も届かない実況外のプレイでは、サクラの行動は自由そのものだなー。まぁ特に明確なプレイ方法が定められている訳じゃないから、自由にやってくれていいのだけど……それでも、ツッコミ不在は痛いものだね。



【7】


「あっ! 見つけました、サザエです! ふふーん、それも3個もです!」


 再使用時間を待っている間、急に近場の潮溜まりに入ったサクラは……貝を採っていた。採り始めたとこ、なんでカットになってる!? あー、無言で急に採り始めたから、見所として判定されなかったのかも……。

 いざ採ってみれば、狐っ娘アバターが満面の笑みを浮かべているのだから……初めから宣言してすればいいのにねー。


「いやー、時間潰しに期待せずに探してみたら、意外とあっさり見つかりましたね!」


 あ、どうやら宣言しなかったのは、それほど期待はしてなかったようだね。そういう時こそ、意外とポロッと出てくるのは、確かによくある事。


「まだ縄張りが使えるようになるまでかかりますし、その間にもっと採集してしまいましょう! ウニとか、エビとかも手に入りませんかねー?」


 いるにはいるけども、変に欲を出せば……いや、それは自ずと結果として出てくるか。必ずしも、物欲センサーが働くとも限らないし、何一つ手に入らなくなる訳でもない。

 何も見つけられないとすれば……それは単なる、サクラの観察力不足の問題だ。潮溜まりで手に入れられるアイテムは、決して少なくないのだから。


「さーて、張り切って採集していきましょう!」


 少なくとも……南の方へとランダムリスポーンをしてきたとはいえ、ここはまだLv30の個体は出ない位置。Lvが1でも下ならば、サクラが何もしなければ襲ってこないのだし、採集はしやすい環境ではあるからね。



【8】


「……いざ、本格的に探し始めると、中々見つからないですねー?」


 いやいや、視界の中にサザエの貝殻が映ってるから!? 視界の端に伊勢エビのヒゲなんかも見え隠れしてるし、足元には今にも踏みつけそうなウニとかもあるんだけど!?


「ちょっと、ここの潮溜りは深かったですかねー? 他の浅い場所にしてみましょう!」


 あー!? 色々と見えているのに、勿体ない!? 視聴者がいれば、絶対に指摘が入って確保出来ているのに、サクラだけだと気付けないのか!?


「敵もチラホラいたみたいなので、そこは変に触れないように要注意ですね!」


 海水に浸けていた頭を持ち上げ、潮溜まりから出るべく移動を始めたサクラ。これ、採集出来るのに気付いてないんじゃなくて、敵だと勘違いしてるのか!? そこは看破の情報をちゃんと見よう!?

 動物だと一般生物にも看破で情報が出るから、植物と違う仕様なのが仇となってたか!? ……やはり、視聴者からのツッコミは必須なのかもしれない。


「痛っ!? あ、ウニが足に刺さって……あー!? これ、採集可能じゃないですか!? ……あれ? 看破に表示が出てます?」


 あ、踏みつけた結果、ようやくそこに気付いたっぽい! 正直、サザエを見つけた時に気付けとも思うけども、今気付いたのでも、まだ遅くはない!


「え、これってもしかして……あー!? 看破で『一般生物』って表示が出るんです!? っ! もしかして!?」


 すぐさま背後に振り向いて、出て行こうとしていた深めの潮溜まりの中に戻り……再び、水にライオンの顔を浸けていく。


「おぉ! 敵の数が結構いると思ってましたけど、何気に一般生物が合間に混ざってるじゃないですか!?」


 あー、うん。サクラが見落としていた理由、大体分かった。今は大々的に縄張りを展開している状態じゃないから、敵は分かりやすい逃亡行動は見せていない。

 なので、看破の反応の中には、潮溜まりにいる敵の反応もそれなりにある。一般生物も同時に表示されているのだが……それを全て敵だと誤認したのが、サクラが見つけられなかった理由だろう。まぁ単純に、よく見ろって話だけども!


「サザエとウニ、ゲットです! どっちも、食べにくそうですけど……その分、HPの回復量は多いですね!」


 サザエは貝殻ごと噛み砕く必要があるし、ウニは割らなければ食べる事は出来ない。だが、手間がかかる分だけ、回復量は多めという性質にもなってくる。

 もちろん、これらは食べられない種族も出てくるが……サクラのライオンならば問題はない。


「さーて、この調子でどんどん採っていきましょう!」


 えーと……なんか、目的がズレていってるような? あのー、実況外の配信プレイはそれほど長くは出来ないから、適度なところで採集は切り上げようね?

 一応、Lv30への到達と、進化ポイント稼ぎはそれなりに達成してるけど、まだ南の端まで辿り着いてないからね!?



【9】


「……なんですかね、これ? 『カメノテ』?」


 完全に移動を忘れ、採集に夢中になっていたサクラが、他の潮溜まりに移ろうとした時に触れたものに反応を示していた。

 『カメノテ』とは、まぁ簡単に言えば岩場にくっついている、小さな貝のようなものだ。厳密にはカニやエビと同じ甲殻類であり、『亀の手』に似ている事から、このような名前が付いている。


「採集は出来るみたいですし、食べれるみたいですけど……よく分からないですね?」


 まぁ馴染みがなければ、知らなくても不思議ではないものではある。視聴者がいれば解説してくれる部分だけども、今は実況外のプレイだから、サクラに説明してくれる人は誰もいない。

 というか、採集に夢中になり過ぎだから! 適度に採ったら、他の潮溜まりに移動してを繰り返して、少しずつ南に進んではいるけども……移動の事、すっかり忘れてるよね!?


「あ、そろそろ時間切れ……って、わー!? 移動、忘れて……あれ? ほぼ、南の端まで来てます?」


 あー、ようやく本来の目的を思い出したか。……Lv30の敵も近くにいたりしたんだけど、好戦的なのを引き当てなくてよかったね。いや、むしろ好戦的な敵を引き当てて、意識が採集から外れた方がよかったのか?


「んー、気付いたら南の端まで来てましたけど……まぁ結果オーライって事にしておきましょう! かなり、採集出来ましたし!」


 とは言うものの、実はサクラが採れたのは、動きの鈍い貝やウニなどに限られる。タコやカニ、魚なんかには普通に逃げられまくって、捕まえられていなかった。

 単純に仕留めればいい敵と違って、直接の触れなければ得られない仕様なので……まぁサクラには荷が重かったんだろうなー。水中を移動するのを捕まえるのは、普通でも難しいから……。


「それじゃ、今日の実況外のプレイはこの辺で終了です! 明日は、ここの南側のエリアへの進出からですねー!」


 途中で脱線した結果、進化ポイント稼ぎは控えめになってしまったけども……その代わり、生命の回復手段が増えたのであった。食べるのに一手間かかるけども、胃袋の回復には丁度良いものではあるし、結果的には良い内容だったのかもね。


 

「……サクラ、進化ポイント稼ぎは?」

「えっと……採集に夢中になって、忘れてました!」

「まぁ別にそれでもいいけどさ……」

「ふふーん! どうやるかは、私の自由ですからね!」

「……自由過ぎない?」

「何か問題、ありますかねー?」

「まぁこの辺は今更か……」

「ふっふっふ! そういう事です!」

「なんでドヤ顔? まぁそれはいいとして……しばらく、お休み期間に入ります。再開は4月8日(火)の予定!」

「作者さん、しっかり休んでくださいねー!」

「電子書籍の方の作業をしてるんだけど、なんか妙に不調なんだよなぁ……」

「全然、休んでないじゃないですか!? 不調ならちゃんと休みましょうよ!?」

「……だよねー。うん、ちゃんと休もう……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あっちのオンライン版は自力での電子書籍版もありますので、よろしければどうぞ。

最新巻はこちら!
電子書籍版『Monsters Evolve Online 〜生存の鍵は進化にあり〜』第20巻

これまでの第1巻〜第19巻はこちらから。
電子書籍版『Monsters Evolve Online 〜生存の鍵は進化にあり〜』シリーズ
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ