第750話 見下ろせる場所へ
んー、リベンジする洞窟の近くまでは来たけど……まだちょっとLv差はあるから、どうにか埋めたいよね。どう立ち回れば有利になるのか、思いつかないし!
あ、よく見てみたら、ここの洞窟の水って完全には海に繋がってないんだ? 洞窟にはなってるけど、ここも潮溜まりの一種なのかも! でも、まだ突入する気にはなれないねー。マップに出てる反応の数、とんでもなく多いし!
「近くに、浅い潮溜まりとかありませんかねー?」
周囲にいくつか潮溜まりがあるのは見えるし、その中に敵の反応があるのも『索敵』の効果で分かるけど……肝心の深さは分かんない!
サツキ : サクラちゃん、ここなら上から見下ろせそうだよ! 洞窟の上から!
水無月 : あ、それはいいかも!
「あ、確かにそれは出来そうですね! えーと、どこから登れそうですかねー?」
姉さん、ナイスアドバイスなのですよ! さっきまでいた磯場は高い場所って遠かったけど、ここはそうでもないもんね! 洞窟の入り口が崖みたいになってるから、その上に行ければ見渡せる!
それに、極端に高過ぎる訳でもないから、上手くいけば上からでも狙い撃てるかも!
ミツルギ : あ、これって……あー、ここで言うのはやめとくか。
金金金 : ん? 何かあるのか?
ミツルギ : 何かあるというか……まぁ効果的な戦略が取れる場所とでも言うかな?
咲夜 : ちょ!? それ、気付いてたけど、言わずにいたやつなんだけど! ミツルギさんが言うのかよ!
神奈月 : ここ、なんかあったっけ?
咲夜 : ここ、稼ぎやすい場所! 正確には、ここと言うよりは、ここみたいな場所!
富岳 : まぁそれには、条件が結構限定的だがな。サクラちゃんの構成なら、成立はしているが……。
「え、ここって稼ぎやすい場所なんです!?」
それに、私の構成で出来るみたい? 稼ぎやすいって事は、敵を大量に倒しやすいって事だよね?
確かに色んなゲームで、経験値を稼ぎやすい場所ってあるけど……この場所が、モンエボでそういう場所になるの? でも、どうやればいいんですかねー!?
金金金 : 悩み顔の狐っ娘アバター。まぁそんな中途半端な情報じゃ、悩みもするか。
水無月 : んー? サクラちゃんが持ってる手段で出来そうな事ってなんだろ?
いなり寿司 : ……サツキさん、知ってて崖上へ行かせようとしたか?
サツキ : ……え? あ、うん! そ、そうですとも! ここの崖上が大事なんだよね! うん、そういう事だよ!
イガイガ : 露骨な誤魔化し方ー!?
G : 知らずに言ってただけっぽいなー。
「えーと、そういう反応って事は、とりあえず崖上に行けばいいんですかねー?」
姉さんの反応は知らなかった感じだけど、崖上がヒントなのは間違いなさそう! 崖上から見てみれば、どういう風にすればいいのか分かるかも!
「えっと……あ、洞窟の南側に、登れそうな場所がありますね! ともかく、崖上まで移動してみます! 『疾走』!」
何をどうすればいいのか、さっぱり分からないままだけど……ともかく、見てみれば分かるはず! だから、今はその辺の潮溜まりはスルーして、移動を最優先!
金金金 : 今度は落ちるなよー!
神奈月 : 険しめとはいえ、ちゃんと登れるルートには向かってるし……『移動守護』もあるから、大丈夫なはず?
富岳 : 磯場への登り降りは落ちやすい場所ではあるが……まぁ『移動守護』の恩恵が大きく出る場所だな。
チャガ : 本来なら、磯場で『疾走』の使用は厳禁でもあるしな。だが、今のサクラちゃんなら問題ないか。
「ふっふっふ! 『移動守護』は、本当に便利ですね!」
この凸凹の悪路でも、なんて事なく駆け抜けていけてるもん! ふふーん! あっという間に磯場は駆け抜けて、崖上へ続くルートへと突入!
とても真っ当な道とは言えないけど、それでも他の場所よりかは道らしくなってるもんね! そこを駆け抜けて、崖上まで……あっ!?
「崖上は崖上で、敵が出るんですか! ……白いキクですけど、キクの群生地です?」
交戦状態に入らないように、疾走を止めて、崖を登る道にちょっと戻る! そこから顔だけ出して、偵察だー!
G : ほほう? こう来たか。
イガイガ : なるほどなー。
金金金 : これは……菊か? あー、『看破』に反応が出たな。やっぱ菊か。
「……そうみたいですね。これ、結構な数がいそうです」
むぅ……『機知のキク』がいるのを見つけたし、他にも『頑健なキク』や『至妙なキク』もいるから……どう見ても、ここって菊の畑だー! たまにあるよね、こういう植物の集団!
ミナト : ここにいるのは海浜植物の1つの『ハマギク』がベースのキクだねー。知恵系統が群生地を形成してるやつだよ。
富岳 : ここでは既に縄張りを展開してたから、ずっと反応は出てたが……高低差があって、マップ上では分かりにくい部分だな。
ミツルギ : まさか、真上のここに、この手のが群れを形成してたとはな。こればっかりは、実際視認するまで分からんぞ。
いなり寿司 : 何かしらの敵はいるとは思ってたが、このタイプとはなー。
サツキ : ワサビや、ヒマワリや、イネと同じタイプのヤツー!
「あ、そりゃ上にも敵がいる可能性はありましたもんね!? とりあえず、ここから一気に仕留めましょう! 『獅子咆哮』!」
こそっと顔だけ出してる状態だから、一方的に狙えるはず! ふふーん、ここなら仮に生き残ったとしても、攻撃を凌ぐのは楽だよね!
遠距離攻撃が飛んできても、しゃがめばそれで回避出来るし、近付いてこようとすれば、放電で攻撃して近寄る前に仕留め切れば……って、あれ?
「あー!?」
もしかして、さっき皆さんが言ってた稼ぎ場所ってそういう事!? どういう風にやればいいのか、分かったかも!
金金金 : いきなり大声を上げて、どうした?
サツキ : ……サクラちゃん?
水無月 : どうしたの?
「ふっふっふ! さっき言ってたやり方、分かったかもしれません!」
多分だけど、これなら私の持ってる手段で成立するはず! ……『縄張り』は多分使えないけど、それでも十分いけるよね!
こんにゃく : あー、今の状態がヒントになったか。
富岳 : まぁ今の状況は、重なる部分は確かにあるからな。差異もあるが……本質は近い。
チャガ : ……これで、俺らが想定しているものと違うのが出てきたらどうする?
イガイガ : それはそれで、大歓迎だな!
G : だな! それも面白い展開だろうよ!
真実とは何か : それが真実なのだ!
「……あはは、多分合ってるとは思うんですけどねー。まぁともかく、あのキク集団をどうにかしないと、実行は無理ですし、サクッと倒しちゃいましょう!」
思ってる通りの手段なら、最低でも崖下の洞窟へ繋がってる海水が見える場所に行かなきゃ駄目なはず! あそこ、微妙に海に繋がってないのも重要だよね!
ヤツメウナギ : どう考えても邪魔だし、良い経験値にもなるし、一掃一択だな。
こんにゃく : ところで、この菊……何体いるんだ? 『縄張り』で出てる反応だけど……真下の洞窟内も含んでるから、正確な数が分からんのだが……。
サツキ : こういう時は、ミナトさんの出番だね!
ミナト : んー、最低でも6体……全部の進化系統は揃ってるね。ただ、それ以上いる可能性もあるよ。……ここ、普通に採集出来る『ハマギク』も含んでるから、紛れてて根本的に見えてないのも混じってるかも?
「あ、この白い菊って、採集出来るんですか!? かなり大量に生えてますけど!」
今まで、こういう職場の群生地を見つけた時も採集出来たんだし、そう不思議でもないかも?
ミナト : うん、採集出来るよー! 『鎮痛』の効果があるアイテムだね。
水無月 : 『鎮痛』って、継続ダメージの軽減だったっけ?
神奈月 : その効果で合ってるぞ。まぁ『鎮痛』の効果しかないから、ちょっと微妙なとこではあるけどな。
富岳 : サクラちゃんの場合、『再誕の道標』への変化の方が、今は嬉しいかもな?
咲夜 : でも、それって無事に残った場合の話だよな? これから『獅子咆哮』をぶっ放す訳で……。
「むぅ……確かにそうなんですよね。まぁ採集は、無事に残った時に考えましょう!」
アイテムとしての効果自体は……正直、それほど魅力ではないもんねー。『出血』や『毒』の継続ダメージを減らせられるのは悪くないけど、どっちかというと大元を治して、継続ダメージ自体を消したいもん!
まぁともかく、洞窟内の敵を一掃する為にも、邪魔者には消えてもらうまでなのですよ!
「ちょいちょい、群れが出てきますよねー」
「まぁそういう性質の敵だしね」
「あれ、ズルくないです?」
「ズルいって、何が?」
「群がってる事がですよ! 初めっから、プレイヤーの方が圧倒的に不利じゃないですか!?」
「いやまぁ、そういう敵だしね。戦いたくないなら、避けるのもありだよ?」
「それはそれで、なんか嫌です!」
「……我儘を言ってるなー。てか、今まで倒してきてるでしょ? 相手にするのが無茶な訳じゃないよ」
「それはそうですけど……! 倒せない場合とかあるんじゃないですかねー!?」
「そりゃ相性もあるから、そういう時もあるさ。さて、次回は『第751話 見下ろす場所の確保』です。お楽しみに!」
「あっさり肯定されました!?」
「そこはほら、飛行種族を倒せないとかと一緒だから」
「あ、そうなるんですか!?」




