第744話 リベンジに向けて
うがー! 元々、死ぬ可能性は考えてたけど、予想外の死に方になっちゃった!?
「むぅ……。まぁ死んだのは仕方ないですし、切り替えていきましょう! とりあえず、ランダムリスポーンです!」
もう少し耐えれば、縄張りが使えたんだけど……どっちにしてもLv差が厳しかったから、仕方ないもんね! 今やるべき事は、Lv上げ!
サツキ : リベンジに向けて、Lv上げだー!
水無月 : Lv上げだー!
「はい! そのつもりです! えーと、周囲は……また磯場ですね? あ、でもさっきまでの場所よりも広いです!」
さっきまでの場所が別に狭いという訳ではなかったけど、ここはあそこの何倍かの広さがありそう! 潮溜まりもいくつかあるし!
金金金 : おー、潮溜まりがいくつかあるし、さっきの場所より色々いそうだな?
ミツルギ : 位置的には……そこそこ南の方に出たか。
富岳 : この辺だと、サクラちゃんより少し格上が多いくらいか?
ミナト : 大体、Lv22前後ってとこじゃないかな?
「ちょっと格上って感じですかねー? とりあえず、どのくらい敵がいるのか、確認してみます! 『索敵』『見切り』『弱点分析』『看破』!」
という事で、いつものセットを発動なのですよ!
「あっ! 近くの潮溜まりの中に『至妙なヒトデ』が……これ、なんか飛んできそうですね!?」
視認が出来る位置だし、攻撃範囲に入ってる気がする! ……ちょっと看破で見えないように、位置を変えとこ!
サツキ : サクラちゃん、ヒトデを避ける!
ヤツメウナギ : あー、それで正解だぞ。浅瀬にいるヒトデ……それに、器用系統はガチで飛んでくるからな。
こんにゃく : 洞窟の中でも、飛んできてたしな。視認されないようにしとくのが安全だ。
チャガ : 潮溜まりは内と外で高低差があるから、少し動けば容易に死角が作れるのはメリットではある。まぁデメリットでもあるがな。
「やっぱり、ヒトデは飛んでくるんですね!? でも、視覚を遮りやすいのはありがたいです!」
見えなきゃ攻撃は出来ない……って、スキルにもよる気はする? んー、まぁでも、狙われにくくなるのは間違いないよね!
水無月 : さっきのヒトデ、Lvは22だったねー!
富岳 : 大体の読み通りだな。少し高さが……まぁ仕留められない範囲ではないだろ。
ミツルギ : サクラちゃんの構成的には、格上過ぎない格上を、遠距離範囲攻撃で一掃するのがやりやすいLv上げの手段だからな。
咲夜 : 完全体は、殺られる前に殺れの精神が大事だしな!
「あはは、まぁ確かにそうですよねー。ヒトデがいた潮溜まり、それほど広くはなかったですけど……索敵で、6体くらいの反応はありますね。狙うなら、まずここからですかねー?」
ヒトデを見つけて、すぐに見えない位置まで引っ込んじゃったけど……何とか倒せる範囲かな? んー、出来れば他の敵の確認もしたい! でも、ヒトデが飛んでくるのも嫌ー!
「ふと思ったんですけど……ヒトデが飛んでくる攻撃って、堅牢系統の体当たり系のスキルなんですかねー? それとも、器用系統の遠距離攻撃なんです?」
遠距離攻撃だと思って、すぐに場所を動いたけど……その辺、どうなんだろ? ヒトデ自身が飛んできてるし、体当たりとも言えそうな気がする?
咲夜 : ずばり、そこは器用系統だ!
ミツルギ : ……思いっきり断言してるけど、微妙に違うぞ?
金金金 : 自信満々に言ってるのに、違うのかよ!
ミナト : 『両方ある』が正解だねー。大きな違いは、射程距離と陸での使用時の挙動の違いだよ。水棲種族の堅牢系統の体当たりとかは短距離かつ水中じゃないとまともに威力が出ないけど、器用系統の場合は陸でも結構な距離を飛ぶからね。
「あ、そういう違いがあるんですか!? それなら、やっぱり警戒は必要そうですね……」
器用系統なら陸へも飛んでこれるなら、下手に交戦状態に入ったら、すぐにでも飛んでくる可能性はあるもんね! 至妙なヒトデには要注意!
「あ、だったら、こういうのもありですね!」
ふふーん! いい事、思い付いた! ヒトデが飛んでくるのを警戒しなきゃいけないけど、それだといつまで経っても潮溜まりの中の確認が出来ないし……こうしちゃえ!
サツキ : サクラちゃん!? 隠れずに、覗き込むの!?
G : おー、自ら当たりに行ったか?
イガイガ : ほほう? これはどういう狙いだ?
「ふっふっふ! 狙うなら、狙ってくるといいです……って、もうですか!?」
見切りに反応が出るの、早いよ!? でも、狙われるのが狙いだし、これでいいのです! これを避けさえすれば……今!
「回避、成功です! ヒトデさん、さようならー!」
手裏剣みたいに飛んできたヒトデを、横に跳び退いて回避! そのままさっきまで私のいた方向へ、思いっきり飛んでいってるし、狙いは成功なのですよ!
「あ、別の潮溜まりの中に落ちましたね? あれ、他の敵と戦ってくれませんかねー?」
ちゃぽんと音を立てて落ちたし、そこにいた敵と潰しあってくれたらいいんだけどねー。そっちの潮溜まりの中の敵の反応は……あ、結構多いかも?
金金金 : なるほど、単純に回避するだけでそうなるのか。
こんにゃく : 落ちた潮溜まりにある敵の反応が、一気に動き出したな?
いなり寿司 : これは……ガチでサクラちゃんの希望通り、他の敵と戦い始めたか?
富岳 : 可能性はあるな。あそこの潮溜まりは……さっきまでヒトデがいたところよりも、広めだったはず。
ミナト : 反応的にも、10体くらいはいるね。これ、美味しいチャンスかも?
G : くっ! 変な事を期待したのに、ラッキーな事が起こっただと!?
イガイガ : 躱したと油断した後、背後から襲われるのに期待したのに!?
「どういう期待をしてるんですかねー!? でもまぁ、漁夫の利チャンスは逃しませんよ!」
あっちの潮溜まりに何がいるのかは分かんないけど……潰しあってくれてるのは間違いなくチャンス! 『破壊の咆哮』は再使用時間に入ってて使えないから、狙うなら『獅子咆哮』か『獅哮衝波』でかな?
あ、でも潮溜まりが深かったら、流石に威力が足りないかも? あのエリアボスのウツボがいた潮溜まりの水を吹き飛ばせたのは、最大まで溜めた『破壊の咆哮』だったからだろうし! それなら、今はこれだー!
「これで一網打尽といきましょう! 『放電』!」
ふふーん! 潮溜まりは範囲が限られているんだし、流れていっても、それは限定的!
金金金 : おっ、そうきたか!
ミツルギ : この状況なら、それがベストな選択だな。
富岳 : 問題は……どこまで溜めるかになってくるか。
チャガ : 早過ぎると生き残りが多く出て、『放電』が使えない状態で戦う事になるからな。
神奈月 : 遅過ぎたら、数も減るし、経験値も少なくなるから……丁度いいタイミングが難しいな!?
ミナト : どのくらいの溜めが丁度いいのか、目安はないからねー。どうなるかは、実際にやってみるまで分かんないよ。
真実とは何か : それが真実なのだ!
「確かに、どのタイミングで放つかが問題ですよねー」
そのタイミングでも発動が出来るからこそ、いつ発動するかが悩むところ! 威力を求めるなら長いほうがいいけど、それだと敵同士の潰し合いが終わっちゃう可能性もあるし……。
それなら、いっそ潮溜まりの中を覗ける位置まで移動して……んー、それはそれで、流れ弾とか飛んできそう! どこか、そこそこ距離があって、その上で中を覗けるような場所ってないかな?
金金金 : 周囲をキョロキョロと見渡して、どうした?
サツキ : サクラちゃん、何か探してるの?
「えっと、上から覗き込めるような場所がないかなーって思ったんですけど……この周囲、崖はないんですね……」
ぐぬぬ! ウツボがいた潮溜まりの側にはあったのに、この周辺は磯場が広がってるだけだよ!? 西の遠くの方にそれっぽい場所はあるけど、流石にあそこは遠過ぎるから!
金金金 : あー、そういう場所を探してたのか。まぁザッと見た限り、岩の起伏はそれなりにあるが……見下ろすのに丁度良さそうな場所はないな?
ミナト : 潮溜まりの場所によっては、そういう場所もあるにはあるんだけどねー。でも、あのヒトデが入っていった潮溜まりには、そういう場所はない感じ。
富岳 : この周辺、起伏は控えめだしな。まぁだからこそ、綺麗にヒトデが他の潮溜まりの中まで飛んでいったとも言えるが……。
「あ、途中で高くなってる部分があれば、そこにぶつかったりしそうですもんね!」
うーん、地形的な問題は仕方ないのかも……。まぁ、とりあえずちょっと近付くくらいはしておこうかな?
「ヒトデ、面白い動きをしますよねー!」
「まぁ現実では絶対にあり得ない方法だしね」
「……そんなヒトデ、リアルでは見たくないです!」
「飛んでくるヒトデとか、どう考えても危ないからね」
「形を考えると、手裏剣みたいではありますね!」
「まぁ確かに、そうはなるね。オンライン版には、そういう風に使うプレイヤーもいるしさ」
「あ、いるんですか!?」
「そりゃねー。さて、次回は『第745話 一網打尽を狙って』です。お楽しみに!」
「Lv上げを狙っていきますよー!」




