第735話 反撃は……
ぎゃー!? 格上のウニは棘を飛ばしてくるし、周囲にもまだ他にも何かいるみたいだし、まともに回避も出来ないよ!?
「うー! これ、どうすれば!?」
逃げようにも、海水の中から出ないとまともに走れないよ!? 陸地は見えてるのに、そんなに距離がある訳でもないのに、そこまでが遠いよ!?
金金金 : 慌て戸惑う狐っ娘アバター。まぁ状況は圧倒的に不利だよな。
咲夜 : 地の利は敵にあり!
神奈月 : 海岸エリアは、圧倒的に敵が有利だからなー。
ミナト : 出現する種族もガラッと変わるから、その辺も影響してるかなー。
富岳 : 湖でもいないような敵が、海にはいるからな。今、棘を飛ばしてくるウニなんてのはその筆頭種族だぞ。
ミツルギ : Lv帯が高いのも、厳しい状態だな。
「どうすればいいのかってアドバイスはないんですね!?」
うがー!? 現状がどれだけ危ないかってのは説明されなくても分かってるけど、打開策が……むぅ、これはもう死亡前提で動くしかないのかも?
「ランダムリスポーンは失敗でした! 改めて仕切り直しましょう! という事で、『縄張り』発動です!」
<規定以上の範囲を把握しましたので【マップ】が解放されました>
これで、マップ機能を解放して、殺されてから再誕の道標で復活して……って、ちょっと待って!?
「周辺、赤い印だらけなんですけど!? この狭い洞窟の海水の中に、どれだけ敵が――わっ!? 足に何かが絡みついて……って、麻痺毒!?」
待って、待って、待って!? ろくに回避も出来てない中で、麻痺毒まで受けるって厳し過ぎるよ!?
神奈月 : 縄張りを展開した途端、麻痺毒を受けるのはキッツイなー。
水無月 : 思った以上に、敵がいたんだ!?
ミナト : サクラちゃんがそっちの方向を見てなかったから、断定は出来ないんだけど……足に絡みついての麻痺毒は、この場所ならイソギンチャク辺りかなー? もしくは、タコかクラゲ?
富岳 : 少なくとも知恵系統での進化個体で、魚類以外の何かだな。
チャガ : 絡みついてくるのは、それなりに種族は限定されるからな。ただまぁ、クラゲは浅い部分には出てきにくいし、磯場ならタコかイソギンチャクか。
「タコやイソギンチャクとかいるんです!? って、わっー!? 他のとこからも、棘が飛んできてます!?」
待って、待って、待って!? 縄張りを展開しただけでまだ何も出来てないのに、既に活動不能で袋叩き状態なんだけど!?
サツキ : サクラちゃん、大ピンチ!?
咲夜 : 麻痺毒を受けたのが、痛過ぎる!
こんにゃく : 短時間とはいえ、完全な行動不能だしなー。
「あ、麻痺毒が解け……あー!? 今度は左脚にタコが……ぎゃー!? また麻痺毒!?」
本当に待って!? 流石にここまで何も出来ないとは思ってなかったんだけど、いくらなんでも酷過ぎませんかねー!?
左前脚に絡みついてるタコ、Lv24の『機知のタコ』だし……後ろ脚には知恵に高いイソギンチャクが絡みついてるみたいだし!? 動きを封じられたら、堅牢が高くなってもどうしようもないんだけど!?
G : こりゃ、完全に敵からハメ殺し状態にされたな。
イガイガ : 耐久性が上がってる分、死ぬまでの時間がかかるだけっぽいなー。
「正直、死ぬ覚悟でやりましたけど、ここまで一方的にやられるつもりはなかったんですよ!? って、わっ!? あー!? 何か飛んで……切られたんですけど!? ぐぬぬ!? 『出血』にもなりました!?」
今、何かが飛んできたのは分かったけど、切り裂いていくってのはなんなの!? なんか平べったいのが回転してたような気もするけど……!?
ミツルギ : 今の斬撃はヒトデだな。
金金金 : あー、ヒトデが手裏剣みたいに飛んできて、切っていくやつか? オンライン版で見たことあるが……。
ヤツメウナギ : そうそう、それ! 堅牢の突撃系統のスキルに見えるけど、実は屈強系統の単発の斬撃スキルだったりするやつ。
「そんな攻撃、あるんです!? っ!? 水を飛ばしてくる敵も増えてきました!? あ、また麻痺毒が解けたのに、すぐまた麻痺毒!? あー!? 普通の毒まで入りました!?」
ぎゃー!? どんどん状況が悪化していってるんですけど!? HPも凄まじい勢いで減っていってるし……これ、何も出来ずに終わるしかないの!? せめて、1体くらいは倒したいんだけど!?
富岳 : 堅牢が上がって、かなり耐久性が増したのが裏目に出てるな?
ミナト : 状態異常を弾けるだけの知恵があれば良かったんだけど……縄張りでの1.5倍の状態でも、知恵が上回られちゃってるねー。この状態じゃ、流石に厳しいかな?
咲夜 : 遂に、縄張りを使っても……知恵が足りなくなってきた!
チャガ : 知恵系統以外ならまだ弾けるだろうが……まぁ近くに知恵系統が2体以上いたのは、運が悪かったか。
ミツルギ : まぁそれでも、縄張りで知恵が上がってる分だけ、ダメージ量が比較的低めなのが救いか?
G : この一方的な袋叩きが長引くのを、救いと言うのか?
イガイガ : 言わないと思うぜ!
いなり寿司 : ……まぁ確かになー。
「うー!? こうなってくると、本格的に知恵を上げた方がいい気がしてきましたよ!?」
まさか、縄張りで強化した上で、こうもあっさり毒が入りまくるなんて思ってなかったもん! 知恵が足りないって言われてたけど、その意味をこんな形で実感したくなかったよ!?
「あ、またヒトデが飛んで――」
<サクラ【至妙なライオン【雷】】が死亡しました>
<死亡した為、リスポーンとなります。リスポーンの手段を選んでください>
……え? まだそれなりにHPがあったはずだけど……一気に削られちゃった!? でも、まだ目の前に迫ってたヒトデは当たってなかったような?
金金金 : 不思議そうな狐っ娘アバター。死んだのは分かるが……どうやって死んだ? 最後に飛んできてたヒトデ、まだ当たってなかったよな?
水無月 : 毒や出血でダメージもどんどん受けてたけど、まだ耐えれてたよね?
ミナト : 多分、見えてなかった方向からの溜め攻撃の直撃かな? サクラちゃんの視界に入ってたら何があったか分かるけど、さっきは全然分からなかったしさ。
ミツルギ : ミナトさんで分からないなら、完全に死角からの攻撃だな。
真実とは何か : それこそ、紛れもない真実なのだ!
「何がトドメだったのか、分からないって事ですか!? まぁ仕方ないので、再誕の道標で復活しますけど……」
ぐぬぬ!? 結局、何も出来ないまま一方的な展開で殺されたー!? 堅牢が上がってたから、これまでよりも攻撃自体には耐えられてたのが、余計に悔しいよ!?
知恵さえ……知恵さえ足りてたら、もっと色々と反撃出来てた気がする!? うー! 悔しいよー!?
金金金 : 悔しそうな狐っ娘アバター。まぁあそこまで一方的な展開になるとは思わなかったしな……。
G : 別にそうでもないぞ? あの手の場所は、すぐ近くに知恵系統がいるなんてのはよくある話だしなー。
イガイガ : 完封されるとまでは思ってなかったけど、格上に袋叩きにされるのは予想通り!
金金金 : あ、そうなのか。
水無月 : そうなんだ!?
「……死ぬのは覚悟の上でしたけど、もう少し何か反撃したかったですよ!」
格上だらけだったんだから、死ぬのは避けられなかったんだろうけどさー! でも、あそこまで完封されて、何も出来ないとは思わなかったもん!
サツキ : サクラちゃん、成果が何もない訳じゃないよ! マップは解放出来たしね!
水無月 : そうそう! そこは大事なとこだよ!
「……まぁそれはそうですけど。そういえば、さっきの洞窟ってどの辺ですかねー?」
再誕の道標で復活してきたし、とりあえず死んだ洞窟の位置の確認をしてみようっと。えーと……。
「あの……このエリア、南北に長くないです?」
さっきの洞窟は南北ではマップの中央より少し南で、東の端に近い場所だけど……なんかマップ自体が細長いのは気のせいですかねー!?
ミツルギ : あー、まぁ手前の平原エリアと全部繋がってるからな。南北は2エリア分にはなるぞ。
富岳 : 陸と海が接している部分だけが対象範囲だから、東西の範囲は狭くなるけどな。
ミナト : その辺は、海岸エリアならではの特徴だねー。まぁ南北は2エリア分の範囲には接してるけど、実際の南北の距離は1エリア分くらいだよ。
チャガ : 東西の距離は他のエリアの半分程度だから、まぁエリアとしては渓流エリアみたいに狭めな場所になるな。
「あ、そういう感じになるんですか!?」
マップが解放されて全体像が分かったけど、そういう風になってるんだ! 入ってきたのは、南北で中央より北側の方だから……南に行くほど敵が強くなる感じかな?
「……何も出来ずに死にました」
「反撃の1つも、出来てなかったね」
「ちょっと酷過ぎませんかねー!?」
「ん? 別に、そうでもないと思うけど?」
「いえいえ、いくらなんでも一方的過ぎますよ!」
「……サクラも、よく一方的にやってるよね?」
「それはそれ、これはこれです!」
「我儘な事を言ってるね、この主人公は! さて、次回は『第736話 足りていないもの』です。お楽しみに!」
「うがー! 納得いかないんですけどー!?」




