第734話 リスポーンした場所で
うがー! 油断して、水の溜め攻撃の直撃を受けて死んじゃったー!?
「……とりあえず、復活しま……あ、場所、どうしましょう?」
今なら再誕の道標かランダムリスポーンかは選べるけど……ここ、ランダムリスポーンって危ない気もする!?
ミツルギ : あー、流石にいきなり再誕の道標を使うのは……早いか?
富岳 : なんとも言い難いところだな。決して足場の良い場所ではないから、ランダムリスポーンをした先を警戒するなら、再誕の道標を使うのもありだが……。
咲夜 : この早い段階での死にっぷりを考えると、1時間はランダムリスポーンのみになるのは厳しい?
こんにゃく : 海……厳密にはここはまだ陸地だけど、これまでの種族とは勝手が違ってくるからなー。慣れる前にランダムリスポーンは、ちょっとリスクはあるか。
ヤツメウナギ : でも、その辺を体験してくるって意味では、一度ランダムリスポーンするのもありだぞ? 数回死ぬ程度なら、適応進化は発生しないしな。
「あ、そういう考え方もありですか! それなら、今回はランダムリスポーンにしましょう!」
2回目の死亡が前提になってる気がするけど……まぁここが今までの場所と比べて、何か違うのはなんとなく分かるし、再誕の道標は温存だー! という事でランダムリスポーンを選択!
「どこに出ました……って、わっ!? 海水の中!? それに、なんか暗いんですけど!?」
待って、待って、待って!? 海水の中に出る可能性はちょっと考えてたけど、なんで急に暗くなってるの!?
しかも、足が着かないから、ちょっと深いよ!? うー!? ともかく、水面に留まる為に泳いでおかないと!
金金金 : 慌てる狐っ娘アバター。これは……どういう場所に出た?
ミナト : 大体の予想は出来るけど……サクラちゃん、慌てずに沈まないようにしながら、周りを確認ねー!
富岳 : 慌てなければ、その程度はどうとでもなるからな。
「あ、はい! あ、少し泳げば、足が着きました!」
ふぅ、海水に浸かったままなのは変わらないけど、それでも溺死は免れたね! この状態なら、落ち着いて周囲の状況も確認出来るよ!
「えっと、ここは……洞窟ですかねー?」
周りをキョロキョロ見回してみれば、岩壁に囲まれているのは分かった! 少し先に光が差し込んできてる場所があるし、そっちに海水も続いてるもんね! 多分、洞窟で間違いないはず!
ミツルギ : まぁ洞窟だな。ランダムリスポーンで、そっちに出たか。
咲夜 : ランダム生成ではない、同じエリアとして組み込まれてるタイプの洞窟だな!
神奈月 : この手の洞窟にピンポイントで飛ばされるとは思わなかった……。いや、ランダムリスポーンってそういうもんだけどさ!
真実とは何か : それが真実なのである!
「あ、洞窟には2パターンあるって話でしたもんね! あれ? でも、それってエリアが切り替わるってなってませんでした?」
んー? 私の記憶違いかな? 今回、ランダムリスポーンした時に、そんな表記は出なかったよね?
ミツルギ : エリアが切り替わるのは、一定以上の規模の洞窟の場合だな。ここのは、大した広さじゃない。
こんにゃく : さっき、サクラちゃんが見渡した時点で、もう最奥と入り口のどっちも見えてた程度の広さだなー。
ミナト : この程度の規模の洞窟は、そのエリアの一部だと考えたらいいよー!
「さっき見渡したので、全てなんです!? ……なんか拍子抜けな洞窟ですね?」
んー、それでも広さとしては……一番最初に見たランダム生成の洞窟よりは広い気がするねー! まぁあそこが狭過ぎただけな気もするけど!
「とりあえず、海水から出ましょうか。洞窟の端の方は歩けそうですし!」
水の中じゃ、動きが鈍いのですよ! まぁ水への適応進化がない今は、流石に仕方ない気が――
「わっ!? なんか足がチクッと……って、ウニが刺さってます!? わー!? HPが減っていってますよ!?」
ぎゃー!? ちょっと浅くなってきたと思ったら、思いっきりウニを踏み付けちゃった!? 待って、待って、待って!? そんなのありなの!?
咲夜 : あー、あるある! 磯場でウニを踏みつける事!
神奈月 : 初めて進出した時、やりがちなんだよなー! 特にマップが解放されてなくて、『索敵』が機能してない時!
富岳 : 周囲が見える程度の暗さとはいえ、それでも暗いからな。その状態での海中ともなれば、こういう事態も起こりやすい。
「これ、割とよくある事なんです!?」
ぐぬぬ!? まさかの状態だけど……って、刺さり具合が酷くなってない!? ウニの棘自体が伸びてるような……はっ!? このウニ、完全体の敵なの!?
「あ、死んだから色々と切れてますね!? 『索敵』『見切り』『弱点分析』『看破』! あ、Lv25の『頑健なウニ』です!?」
ぎゃー!? 思った以上に格上のウニだったー!?
「待ってください!? なんか、どんどん大きくなってませんかね、このウニ!?」
待って、待って、待って!? 右前脚の様子を確認する為に水面より上に持ち上げた時は、軽く刺さった程度だったのに……今はウニが海水に浸かるくらいまで棘が伸びてるんだけど!?
ミツルギ : ウニは棘を伸ばしてくるからなー。それ、すぐにでも振り払った方がいいぞ?
チャガ : 伸び過ぎると、抜くのも大変になるからな。ただまぁ、完全に刺さった今の状態から抜くと『出血』にはなりやすいから、そこは要注意だぞ。
咲夜 : 早めに抜かないと、どんどん抜きにくくなる罠でもある!
ミナト : 急激の棘を伸ばすスキルもあるから、それに比べたら伸びる速度はマシだけどねー。
「厄介ですね、このウニ!? えい! えい! えい!」
右前脚を振って、なんとか抜けないかな? あっ、すっぽ抜けた! わー!? でも、すぐに『出血』になっちゃった!?
「チドメグサ! すぐに治療しないと!?」
大急ぎでアイテム欄からチドメグサを取り出して……あ、海水面に浮いちゃった!? まぁそのままガブっといっちゃえ!
「ふぅ、なんとか治療出来ました! ……危ないですね、この洞窟!?」
まさか足元にあんなウニがいるなんて、予想外だったよ! でも、よく考えたら海なんだし、ウニがいても当然ではあるのかな?
金金金 : ……なんか気を緩めてるが、大丈夫なのか? さっきのウニは、確実に交戦状態だよな?
イガイガ : それ、言ったら駄目なやつ!?
G : 余計な口出しは無用だ!
「……え? わっ!? 見切りに反応!? っ!?」
あ、これ、マズいかも!? 見切りの範囲から跳び退こうとしても、水が邪魔でそういう動きがまともに出来ない!?
「うぐっ! 棘を伸ばした後に棘を飛ばしてくるの、とんでもないですね!?」
うがー! 見切りで反応は出来てたのに、飛んできた棘の回避に失敗して、思いっきり左前脚の付け根くらいに突き刺さっちゃった!?
金金金 : あ、やっぱり交戦状態だし、棘を飛ばしてきたりもするのか。
水無月 : 棘を飛ばすのって、前に出てきたサボテンに近い感じの攻撃だね!
ミツルギ : まぁ棘を飛ばすという意味では、同系統の攻撃にはなるからな。今のは1本だけだから、まだ平穏なもんだが……。
ミナト : 進化系統は堅牢で、器用も高めな構成だったねー。ウニは、割と攻撃しにくいのが厄介かな?
「ミナトさんが厄介って言うの、とんでもなくないですかねー!? というか、そもそもウニがどこにいるのかが分からないんですけど!?」
ぐぬぬ!? 海中にいるのと、周囲が暗いせいで、ちゃんと視認が出来てなくて『看破』がちゃんと機能してない――
「っ!? また……ぐっ!?」
待って、待って、待って!? 見切りで攻撃してくるタイミングは分かるんだけど、回避行動がまともに取れないんだけど!? これ、早く陸に上がらないと一方的に攻撃を受けて、危険かも!?
「っ!? 今、何かの影が横切りませんでした!?」
私の右側を、何かがスッと泳いでいった気がするのは気のせい!?
ミツルギ : 何かまでは分からんけど、まぁ何かが通ってはいたな。
咲夜 : まぁ海中だし、何かが泳いでいても不思議ではないな!
いなり寿司 : 今の、ミナトさんなら何か分かるか?
ミナト : 今のは魚だねー。でも、攻撃は仕掛けてこなかったし、一般生物の可能性もあるかな? もしくは、交戦的じゃない系統の個体だね。
「一般生物ならいいですけど、そうじゃない時が怖いんですけど!?」
ぐぬぬ!? 交戦状態になってるウニ以外にも、ここには何かがいるって事だよね!? それだと、迂闊に『放電』が使えないし……どうしよう!? そもそもLv25が相手じゃ、まだ厳しくないですかねー!?
「なんか嫌な予感がするのは、気のせいですかねー?」
「気のせいだと、いいね」
「その言い方、もうかなり不穏なんですけど!?」
「さて、どうなるやら?」
「……Lv25とか、どう考えても厳しいですよねー?」
「うん、まぁね。どうなるかってのは、サクラがどういう死に方をするかであって――」
「私が死ぬのは、確定事項なんです!?」
「むしろ、この状況から生き残れるとでも……?」
「思いませんけど、そこは伏せておいても良くないですか!?」
「んー、簡単に予想出来る範囲だし? さて、次回は『第735話 反撃は……』です。お楽しみに!」
「なんか次回のタイトル、途中で途切れてませんかねー!?」




