第724話 配信前の雑談
ふふーん! 今日はいつもと大きく違うところがあるけど……反応はどうだろ? これまでの桜模様の着物から浴衣に着替えて、縁側に腰掛けてる状態なんだよね。
「誰が一番乗りですかねー?」
最有力候補は、事情を知ってる姉さんな気はする! 他にもいつもの人達は、誰が一番乗りでもおかしくないけど!
サツキ : 一番乗り!
水無月 : あー!? サツキさんが先だったー!? あ、見た目が違う!? 浴衣だー!?
紅葉 : へぇ? ガラッと雰囲気が変わったね?
「サツキさん、水無月さん、紅葉さん、こんばんはー! ふふーん! 今日は見ての通り――」
金金金 : おーっす。……何? 浴衣になってるだと!?
ミナト : こんばんはー! おー、白を基調にした、青い金魚模様の浴衣だね。昨日、チラッとサツキさんが言ってた件、実行になった感じ?
G : SNSの告知を見て、何かあるとは思ったが……話が進むの、早いな!?
「あはは、まぁミナトさんの言う通りですねー! 今、私の着ている浴衣は、宣伝のものになりますよー! これ、配信中にずっと着たままになるので、18時になったら宣伝しちゃいますねー!」
兄さんから宣伝情報を貰ってるし、それを読んだ感じでは、配信の最初に言ってしまえば、後は大丈夫そうだしね。配信中にホームページに飛べるようにしとけば、それで問題なーし!
サツキ : というか、サクラちゃんが私のリクエストを選んでくれてる! ふふーん、作戦勝ちだね!
ミツルギ : おーっす……って、浴衣になっとる!?
ミナト : 作戦勝ちって……サツキさん、何したの?
サツキ : 選択肢が沢山あったらサクラちゃんは絶対に悩むから、宣伝にする対象は自由選択にした上で、リクエスト!
富岳 : 来て早々、なんか凄い事になってるな。そして、サツキさんのその作戦は……サクラちゃんには有効そうか。
いなり寿司 : 事前に聞いちゃいたが……見事に成功してんなー。
「あー! どれを選んでもいいって、そういう狙いがあったんです!?」
ぐぬぬ!? あの状態からだと、私が悩むのは必然だったのを利用されたの!?
サツキ : ふふーん! 私の策略が見事に……って、痛っ!? え、なんで今怒られたの!?
イガイガ : なんかサクラちゃんの装いが変わってる上に、いきなりサツキさんが怒られてるんだけど……いきなり情報量、多過ぎない?
ミナト : そういう策略は、本人相手に喋るものじゃないよ?
咲夜 : おわっ!? なんか浴衣になってる!? しかも、サツキさんが怒られて……そりゃ、本人にそう言えば、怒られるよな。
富岳 : 『口は災いの元』とは、まさにこの事だな。
いなり寿司 : 確かに、その言葉がピッタリな状況か。
「……あはは、言わなくても済む事をわざわざ言ってますもんね。でもまぁ、この浴衣も好きではありますよー!」
今までと雰囲気がガラッと変わってるし、白が基調だから明るい雰囲気だもんね。これまでの桜模様の着物はピンクがメインだったから、全然違った装いだもん!
金金金 : ……自由選択と言ったな? ちゃんとした宣伝は18時からなんだろうが……何を着るかは、サクラちゃんの裁量次第なのか?
「あ、そうなりますねー! 宣伝の内容を見たのが……30分ほど前なので、まだ一覧もサラッとしか見れてないんですけど……」
よく考えたら、このスピード感、とんでもなくない!? 昨日の配信の途中に話題が出て、今日の配信では既に実現してるんだもん!
ミツルギ : フットワーク、軽過ぎね?
イガイガ : まさか、昨日の今日で現実のものとなるとは……。
サツキ : ふふーん、そうでしょうとも! まぁ元々、サクラちゃんに興味を持ってたからこそのスピード展開だね!
いなり寿司 : ……少なからず、それで振り回された人間もいるんだがな。例えば、急に宣伝方法に問題ないかチェックを入れさせられた俺とか。
ミナト : あはは、いなり寿司さん、お疲れ様ー!
「わー!? いなり寿司さんの仕事が急に増えてたんです!? そこは、なんというか……すみません!」
私、今日は色々とやってはいたけど、配信関係はほぼ手付かずでごめんなさい!
いなり寿司 : まぁ急な無茶振りは今に始まった事でもないし、気にすんな。サツキさんに限っては、旦那さんがしっかりしてるから、内容自体はほぼ目を通すだけで済むしな。
サツキ : ふふーん、そうでしょうとも! うちの旦那は優秀……って、痛っ!? 褒めたのに、なんで怒られるの!?
ミナト : 思い付きで動いて、その調整を旦那さんがしてるからじゃない?
富岳 : 旦那さんに頼りっぱなしで、振り回し過ぎて……見捨てられても知らんぞ。
サツキ : っ!? 見捨てられるなんて、そんな事はないよね!? あ、痛っ!? え、今のはなんでー!?
ミツルギ : 少なくとも、コメントを通じて本人に聞く事ではないな。
イガイガ : ……それは確かにそうだな。
「あはは、まぁその辺は大丈夫じゃないですかねー?」
聡さんは、姉さんの無茶苦茶っぷり知った上で結婚してるだろうし、それが理由で見捨てられるなら、もう既にそうなってる気がする! 今そうなってないんだから、今後も大丈夫だよね?
金金金 : 少し確認だ! サクラちゃんの裁量で決められるのなら、宣伝が始まってから、一覧を見て……どれを着てほしいかというリクエストは可能なのか? 確か、昨日の段階では日替わりで着るとか言ってたよな?
イガイガ : っ!? 確かに、そんな話だったな!?
ミナト : そういえば、そうだったね?
「えっと、確かにホームページにレンタル対象の浴衣の一覧もありますし、1週間の日替わりって話なので……リクエストは受けようと思えば、受けれますね?」
私が自分で決めるつもりでいたけど、視聴者さんから具体的にどの浴衣を着てほしいかって意見を聞くのもありかも?
金金金 : よっしゃ! それなら、リクエストを希望だ! サツキさんだけ、特別扱いってのも癪だしな!
G : ほほう? 確かに、そういうのも悪くはないか。
咲夜 : てか、1週間は日替わりで浴衣になるんだな!
水無月 : おー! それ、いいね! サクラちゃん、それでやろー!
「んー、まぁ自分で選ぶと色々悩みまくりそうですし、そういうのもありですね。あ、でも誰のリクエストを選ぶかは、私の独断で決めさせてもらいますよ!」
最終的な決定権は、私にあるからね! そんなに変なものはなかったと思うけど、そこはちゃんと自分で決めないと!
ミツルギ : そこは『サイコロで決める』とはならないんだな?
ミナト : あはは、まぁ一応は宣伝なんだしねー。ところで、なんでサクラちゃんの自由選択なの? どの浴衣か、指定されても良さそうな気はするんだけど……。
サツキ : それはあれだね! お店の人も迷いまくった結果、時間的に間に合わないから、サクラちゃんにお任せって形になりました!
「そういう経緯だったんです!?」
わー、昨日の今日で進んだ話だから、時間がそんなになかったのは分かるけど……決定権、私にぶん投げてきてるだけだよね、それ!?
ミツルギ : 随分と自由だな、おい!?
ミナト : フットワークの軽さは、個人事業主の強みだからね! お偉い人から、許可を貰う必要はなーし!
富岳 : 確かにそれはそうだが……まぁ本人達が納得しているなら、法的に問題がなければ別にいいか。
「あはは、まぁ私としても選ぶ楽しみがあるのはいいですしねー。今日は、急に進み過ぎて、じっくりと見ている時間がなかっただけですし」
リクエストは受け付けるけど、1着か2着くらいは自分で選ぼうっと! 折角、色々とあるんだし……あ、そうだ!
「いきなりではあるんですけど、ちょっと配信についての質問をしていいですかねー?」
今週末にあるお祭り、参加したいもんね! 場合によっては、このレンタルの浴衣を実際に借りるのもありかも? 家に浴衣もあるけど……たまにはこういうのも良さそうだし!
ミツルギ : ん? 何かあるのか?
咲夜 : どういう内容?
金金金 : 真剣な眼差しの狐っ娘アバター。こりゃ真面目な話か?
「えっと、今週末に近場でお祭りがありまして……ちょっと友達と行きたいなーって話が出てまして? ただ、配信時間と思いっきり被っちゃうんですよねー。でも、お休みにしたい訳じゃないので、時間の前倒しとかって大丈夫です?」
ミナト : あ、そういう内容! うん、そこはサクラちゃんの自由にやってくれて大丈夫だよ!
ミツルギ : リアルの人間関係を削ってまで、無理に定時の配信にこだわる必要はないぞ。
サツキ : あっ、そっか! そういえばそういう時期だった!? そういう事なら……仮に文句を言う人がいれば、私が相手をしてあげましょうとも!
いなり寿司 : サツキさんが動く場合、結果的に俺の仕事になりそうだがな? ただ、祭りに行くだけで、そこまでするのはどうかと思うが……。
富岳 : そもそも、俺らがそれを止める権利はないしな。事前に告知さえしてもらえれば、それで問題はない。
G : 告知なしで配信時間がズレたり、いきなり配信なしになると焦るが……まぁ事前に分かってれば心配する事もないしな。
「あ、時間を変えるのは問題ないんですね! 事前の告知は……日程が決まり次第、ちゃんとしておきます!」
これなら、今週末のお祭りは行けそうだね! 土日での開催だったから、どっちで行くかは後で相談するとして……。
「さーて、18時になりましたし、今日の配信を始めていきましょう!」
うふふ、まずは宣伝からだね! 今日は2件あるから、サクサクやっていこー! まぁ既に浴衣は、宣伝になってる気もするけど!
「あのー、作者さん?」
「ん? どうした?」
「これ、読者さんからリクエストとかきたらどうするんです?」
「あー、それ? 作中の誰かの希望として、採用する可能性はあるかもね」
「可能性、あるんです!?」
「まぁ絶対に採用とは、断言出来ないけどね。……自分で考えなくて済むし」
「あー!? それが本音ですね!? 手抜きですよ、手抜き!」
「……そもそも、サクラがリクエストを断れば済む話だけど? 思いっきり、サツキの思惑通りにもなってるし」
「うっ!? それはそれ、これはこれです!」
「まぁもし、何か浴衣のデザインで希望があればどうぞ。さて、次回は『第725話 19回目の配信』です。お楽しみ!」
「ようやく、今回の配信開始ですねー!」




