第７２３話 今日の配信の準備
今日は1日中、外出だったけど、17時には帰宅！ もうちょっと遊んでたかったけど、距離の関係と配信の準備をしないといけないから、そこは仕方ないね。
「たっだいまー！」
「……ようやく帰ったか」
家に入ったら、すぐ目の前に兄さんがいた！？
「あれ？ 兄さん、玄関でどうしたの？」
「ただ単に飲み物を取りに来てただけだが……まぁタイミングとしては丁度いい。その荷物を置いたら、ちょっと俺の部屋まで来い」
「うん、それはいいけど……何かあったの？」
「……おい、忘れたとは言わせんぞ。昨日、浴衣の日替わりの着せ替えの話はあっただろ」
「あっ！？ そういえば、そうだった！」
「ついさっき、聡さんからそのデータが届いてな」
「おー！ 届いたんだ！」
配信前に買ってきた服を片付ける時間が必要だと思ったから、少し早めに帰ってきたけど、そのお陰でセーフだったみたい？
「急な話だったから、場合によっては明日からのつもりだったが……今日からやるか？」
「うん、やる！ 買ってきた荷物を置いたら、すぐ行くね！」
「……ところで、何をしていた？ 入部するって話は聞いていたが……思った以上に時間がかかってないか？」
「友達と服を色々と買ってきてた！ あ、これ、VR空間で使う方法を教えて！ ちゃんと使えるやつ、買ってきたから！」
「……その程度、自分で出来るようになってほしいもんだがな。まぁ浴衣を見ている間にでも、やっておくか」
「おー！ 兄さん、ありがと！」
なんだかんだで、やってくれるんだからありがたいよね。兄さん、面倒見がいいのですよ！ とりあえず、ササっと自室に買ってきた服を置いて――
「あー、VR空間用のダウンロードコード付きなら、買った服は俺の部屋まで持ってこい。その方が手間が少なくて済む」
「あ、うん！ そっか、この服達はいるんだ！ あ、でも制服は着替えてくるね」
「手早く頼むぞ。それほど、時間をかけたくはないからな」
「はーい！」
どこをどうすれば取り込めるのか分かんないけど、買ってきた服にセットで付いてる物なんだから、そりゃ必要だよね！
とりあえず、大急ぎで着替えてこよー！ 暑かったから、結構汗もかいちゃってるもんね。シャワーを浴びる時間は……流石になさそう？
◇ ◇ ◇
制服から部屋着に着替えて、買ってきた服達を持って、兄さんの部屋まで移動してきた！ 汗はタオルで拭う程度はしておいた！
「ほれ、レンタル浴衣の衣装データの一覧だ。その中から、好きなのを毎日1着ずつ選んで着てほしいって内容だ」
「……え？ 指定されてる訳じゃないの！？」
携帯端末のAR表示に出された表示に、浴衣の一覧があるけど……かなりの数だよ！？ むぅ……これは、悩む！？
「一応、姉さんからのリクエストはあるが……」
「……それって、どれ？」
「これだな。白に水色の金魚模様のやつだ」
「あっ！ それ、配信の時に言ってたような気がする！？」
参考までに希望を聞いてみたら、姉さんが言ってたやつだよね！ 本当にそれがリクエストされてるよ！？
「嫌なら、無理に姉さんのリクエストを聞く必要はないぞ。ただ、まぁ『悩みそうなら、リクエストで選んじゃって！』って伝言もあるがな」
「迷うの、見透かされてる！？」
ぐぬぬ！？ 私が咄嗟には決め切れないのを完全に読まれてるよ！？ まぁでも、今回はそれに頼らせてもらおうっと！
「今日は、姉さんのリクエストのやつにする！ 選んでたら、時間が足りなさそうだし！」
「それでいいんだな？ とりあえず、その一着を適応しておくから、フルダイブしてアバターの着替えをしとけ」
「はーい！」
「その間に、買ってきた服のデータも取り込んでおくか」
「よろしくお願いします！」
という事で、自室に戻って調整だー！ あ、そういえば、昨日の宣伝は急遽順番が変わったけど……宣伝って、同時に2つやってもいいのかな？ これ、聞いとこ！
「ねぇ、兄さん？ 昨日、後回しにしちゃったお団子の宣伝、一緒にやっても大丈夫？」
「……同じ商店街にあるんだし、横に繋がりがあるから大丈夫だとは思うが……一応、聡さんに確認しておく。それで問題がなければ、やっていいぞ」
「はーい！」
期限が特に決められてる訳じゃないけど、それでも先にあったお団子の宣伝をあんまり後回しにも出来ないからね。場合によっては、浴衣は明日からで、お団子を今日やった方がいいのかも？
まぁそこは兄さんが確認してくれるみたいだし、とりあえず今は『サクラ』で浴衣に着替えてこよー！
◇ ◇ ◇
うふふ、フルダイブをして『サクラ』で浴衣を着てみたけど、結構いい感じ！ 桜模様の着物と比べて、一気にガラッと雰囲気は変わったよね。
9本の尻尾は勝手に浴衣を素通りするようになってるから、特に支障もなかった！ たまにはこういう衣装変更も、気分転換になるよねー！
「あ、髪の毛、どうしよう？」
浴衣なら、髪はまとめちゃった方がいいかな？ んー、でも普段の『サクラ』は下ろしたままだし、そのままでもいいや！
「いざとなれば、髪をまとめるのはすぐに出来るしね！」
少し前に作ったかんざしがあるから、難しい事ではないのですよ！ すぐにでも取り出せるから、必要があればすぐにでもどうにか出来る！
それにしても、この浴衣……結構いいね。でも、これって、データとしてはどういう状態になってるんだろ？ 1回だけ着れるとか、そういう感じかな？
「……自分で用意したVR空間で、試着って出来たっけ？」
ぐぬぬ！？ 普段、自分では全然服を買ってないから、その辺の勝手がいまいち分かんないよ！？ 今日も服を買ってくる時、楓さんに色々教わったし！ 結月ちゃんは、私に色々と着せようとしてきてたけど！
「その辺も、兄さんに聞いてみよっと」
という事で、チェック自体は出来たから、フルダイブは一旦終了！ 兄さんの部屋に戻るのです！
◇ ◇ ◇
フルダイブを終えて、兄さんの部屋まで戻ってきた。とりあえず、さっき気になったこれを確認しとこ！
「兄さん、兄さん！ あの浴衣の衣装データって、何回まで着れるの？」
「ん？ あぁ、あれは無制限だぞ。製品そのものを、ギフトとして送ってきてるからな。まぁアバター用の物だけだが……」
「……え？ 制限、なしなの！？」
「衣装データは、一度作ってしまえば、追加費用はかからんからな。こういう宣伝の場合だと、変に制限をかけるより、そのまま製品データを渡す方が楽なんだとよ」
「そうなんだ！？」
「ただ、宣伝に使う7着までとは言われているからな。あと6着は、欲しいのを好きに選べばいい」
「おー！ それは嬉しいかも！」
そっか、そっか！ 衣装データだけだけど、実際に貰えるのは嬉しいね！ レンタルじゃないけど……あ、レンタルになるのは、実際に着る現物だから別にいいのかな？
「それと、団子との同時宣伝も問題ないそうだ。むしろ、一緒にやってくれって乗り気みたいだぞ」
「そうなの！？」
「ただまぁ、両方の情報の記載や告知は忘れるなよ？ どっちかの抜けがあると、色々とややこしいからな」
「うん、分かった！ そこは気を付けるね！」
ふふーん！ 浴衣に着替えて、お団子を食べるってのもいいよね！ どっちも和風で、相性バッチリ！
縁側で座りながら、おやつを食べるみたいな感じでやるのも良さそう？ うん、それでいこー！
「さてと、買ってきた服の衣装データの取り込むも完了だ」
「あ、うん！ 兄さん、ありがと！」
「一応、軽く手順をまとめておいたから、次からは自分でやれよ。もう姉さんから、あれこれ買ってもらって済ます気もないんだろ？」
「うん！ そのつもり！」
これまでは姉さん任せだったけど、今日みたいに楽しんで買いに行けるなら、これからはそれでいいよね！ 姉さんにはこれからも色々頼りにする部分はあると思うけど、それでも自分で出来る事は、自分でやっていきたいし！
兄さんにも、出来るだけ頼らずに済むようにしていきたいなー。そもそも、今年度いっぱいまでだって宣言されてるんだから、ちょっとずつでも覚えていかないと！
「それじゃ、あとは頑張れよ」
「はーい！」
あ、そういえばコンピュータ部の顧問の先生に話が通ってたのは……まぁ後でいいかな？ あんまり、今は時間の余裕もないしね。
◇ ◇ ◇
兄さんに色々とやってもらって、今日の準備は完了！ 浴衣には着替えてるし、お団子のデータの準備もよし！ それぞれのサイトや、紹介内容のチェックも出来た！
「それじゃ、今日も始めていこー！」
という事で、配信開始のボタンを押すのです！
＜配信を開始しますか？＞
今日は【初見プレイ】Monsters Evolve part.19！ 毎日やってるの、どこまで続くかなー？ 他の事との兼ね合いも出てき始めたし、配信しない日や時間がズレる日ってのも考えないとね。
サクラ☆モンエボ実況配信中！ #＊＊＊
18時から第19回目、配信開始です！
配信会場はこちら！
【初見プレイ】Monsters Evolve part.19
URL：＊tp://＊＊＊
今日も完全体の育成をしていきますね！
宣伝は、今回は同時に2件！
どういうものかは、見てのお楽しみ！
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衣装の宣伝は初めてだけど、どんな反応が返ってくるかな？ 昨日の今日で決まった内容だし、結構びっくりされそうな予感！
「ふふーん！ 浴衣ですよ、浴衣！」
「テンション高いね、サクラ」
「着替えるのが嫌いな訳じゃないですからね！」
「……そうやって油断してると、あっという間に着せ替え人形にされて――」
「ぎゃー！？ 本当にありそうな事を、言わないでください！？」
「まぁ既に、毒牙にはかかった訳だけども……」
「……え？」
「第一段階、突破完了だね」
「ちょっと待ってください！ 不穏な言い方過ぎますよ！？」
「その毒は、ジワジワとサクラの精神を蝕んで……さて、次回は『第７２４話 配信前の雑談』です。お楽しみに！」
「色々と不安になってくるんですけどー！？」
