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Relay:Monsters Evolve ~ポンコツ初心者が始める初見プレイ配信録~  作者: 加部川ツトシ
第19章 完全体、強いです!

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第720話 文化祭の進捗状況


 現状では、私がやるべき事は特に変わってないっぽい! まずはドラゴンのデザインをして、その後にそのドラゴンがいる場所を映し出す枠だよね!


「あ、他に作る可能性があるものって何かある?」

「現状だと……火の球が当たった時のエフェクトや、敵の出現や撃破時のエフェクトとかは必要になりそうだな」

「エフェクト関係! そっか、それは必要だよね!」


 そりゃそうだよね! 今の状態だと、ただの半端な火の球が的に当たっただけでしかないし……見栄えが良いとは言えないもん!


「……でも、その辺はあんまり作った事はないかも?」

「え、マジか!? あー、それだと無茶は言えないか……」

「ううん、大丈夫! そこは、師匠に聞いてくるから!」

「それは助かるけど……無茶振りになってないか?」

「大丈夫だよ! 私だって、楽しんでやってるんだし!」

「……そうか。そりゃまぁ、ありがたい話だな」


 あはは、佐渡くん、照れてるっぽくて、視線がどっか他所を向きつつ頭を掻いてるねー! ふふっ、やっぱりこの文化祭の手伝い、参加してよかったかも! もう部員になったんだし、手伝いじゃない気もするけどね。

 私としてもやった事のない部分の経験だし、いい機会かも! 後で姉さんに相談してみて、エフェクトの作り方も学んでいこー!


「まぁ、現状の進捗はそんなもんだけど……その魔法の発動、櫻井さん的に気になる部分はあるか?」

「んー、大振りでも、小振りでも、普通に発動してるけど……的が動かなさ過ぎて、なんとも反応しにくいかも? あと、狙ってる感があんまりないよね?」


 目で見てロックオンになってるから、杖を振るのは、ただの発動条件にしかなってないもんね。まぁ的が動いてないから、そう思うのかもしれないけど……。


「あー、仮にでも的を動かしてみた方がいいか。少し動くように変えてみるから、ちょい携帯端末を戻してくれるか?」

「あ、うん! はい、どうぞ!」

「サンキュー。ちょっと時間がいるから……まぁ他の連中の話し合いにでも参加しといてくれ」

「うん、分かった!」


 コンピュータ部の備品っぽい携帯端末を佐渡くんに返して、的が移動するように変更するまで、しばらく待機みたい! 他の人達、どんな話をしてるんだろ?


「おっ、櫻井さん、説明は聞き終わったか?」

「説明っていうか、試作段階のを試してただけだけどねー! 私の作業、まだそんなに増えてないんだ?」

「あー、今、仕様をあれこれ考えてる最中だからな。それで、佐渡は何やってんの?」

「えっと、的を動かすように変更中?」


 佐渡くん、携帯端末のAR表示か何かで、手を思いっきり動かしまくってるけど……あれは何か入力してるのかな? 具体的に何をやってるのかは分かんないけど、多分やってる事は間違ってないはず!


「あ、やっぱりそこは言われたか! 止まった的じゃ、そりゃ狙いは楽過ぎだもんな!」

「まぁ仕方なくね? 魔法の射出自体、ついさっき仕上がったばっかだしよ」

「櫻井さんに、いきなりテストプレイをさせてたのかよ! いや、でもそれが進捗を見せるには一番早いか」

「あはは、もうそれなりに形になっててビックリしちゃったよ!」


 まだ色々と決めている最中でも、作れる部分もあったりするんだね。さっき触ったものは前に話した時に方向性が決まってた部分だから、先に作れる状態だったのかな?


「それで……しばらくこっちの話し合いに参加するって事になったんだけど、どういう話し合い?」

「あー、ちょい待ち。櫻井さんにも視界共有をしとくわ。そうじゃないと、話が噛み合わないからな」

「あ、うん! えっと……あ、これ、学校の全体像!?」


 共有の申請が出たから許可をすれば、目の前に半透明な状態の校舎の様子が映し出されてきた! みんな、何かを見てる感じはしたけど、これを見てたんだ!?

 ふむふむ、どこの教室で文化祭の出し物があるかをまとめてる感じ? その上で、なんだか色分けされてるね。


「そう、これこそが今話し合ってる内容だ!」

「どこにゲートを発生させるかって、位置決めだなー。赤く表示されてる部分は、人手が多くなりそうだから禁止にされてる部分な?」

「おー、そうなんだ! 結構、駄目な範囲が広いね?」


 校舎全体を使っていいとは聞いたけど、これを見た限りじゃ殆どの廊下はアウトじゃないですかねー!? あ、でも行き止まりの場所は結構セーフ?


「そうなんだよなー。思った以上に、振り回せる場所が限定されてるのが問題だ……」

「各階の行き止まりばっかじゃ、変化がなくて味気ないんだよな。くっ! 他の展示のとこなら、交渉次第で設置が可能とは言われたが……」

「企画と制作を同時に進めんの、キッツイなー!」


 ……あはは、みんな、色々と頭を悩ませてる最中なんだ? でも、渡り廊下で繋がってるけど、複数ある校舎の作りってどこも大して変わらないし、変化を付けるのは難しそう?

 人気が少ない場所は……普段から、あんまり人が近寄らない場所だよね。選択科目の教室とかは、普通に他の部が出し物をするっぽいし……。


「あ、中庭は普通に使えるんだ?」

「ただ、そこは他のイベントにも使われるっていう……」

「あっ! 空だ、空! 中庭の上空に、ドラゴンを飛ばさせよう! それで、参加者全員で狙える目玉のボスにすりゃいい!」

「それはありだけど……え、櫻井さんに負担がかからね? ゲートとはまた別になってくるぞ?」

「てか、データの同期はどうすんだよ。サーバーの使用許可が出ないと、流石に出来んぞ?」

「あー、そうか。そこは部長が戻ってこないとなんとも言えんか……」


 えっと、これは……中庭にドラゴンを出現させるって事だよね? それ以外の部分はよく分かんない――


「お前ら、喜べ! 学校のサーバーの使用許可、下りたぞ! これで、参加者全員の視界は同期させられる!」

「よしきた! これで、もう少し方向性が絞れる!」

「よくやった! バカップルの片割れ!」

「最近、鬱陶しいだけだったけど、今回はナイス!」

「さっきの中庭にドラゴンの出現案、いけるな!」


 おー、部長さんがやってきて……内容はよく分からないけど、なんか解決したっぽい?


「おっ、進捗ありか?」

「おう! 佐渡、中庭にドラゴンを出現させて、目玉のボスにするぞ! 参加者全員の同期が出来るから、全員参加のレイドボスってのもありだろ!」

「……そりゃまぁありだが、他はどうすんだよ?」

「そこは、まぁこれから考える!」

「行き当たりばったりだな!? ……あんまり、使うデザインデータを増やしまくんなよ? 櫻井さんの負担になるんだからな」

「あ、そういやそうか……」

「敵のパターンは、少なめ……ドラゴンの色違いで済ますか?」

「多少はアセットを使ってもいいんじゃね? 元々、その予定だったしよ」

「それもそだなー。目立たせたいとこは櫻井さんに頼んで、些細なとこは無料のアセットで済ますか」


 アセットって、確か元々用意されてる素材とかの事だよね? 私の使ってるデザインアプリにも、色んなテクスチャとか入ってるし、そういう物の呼び方だったはず! 姉さんにそう教わった!


「あー、櫻井さん、ドラゴンは……なんか目玉ボスになってるが、いけるか?」

「うん、大丈夫! イメージ自体は結構出来てるし!」


 なんだかんだで、昨日の配信中にモンエボのドラゴンを見たのも大きいよね! 大雑把なイメージは一般的なものもあるし、0から作り上げなきゃいけない訳じゃないから、そう負担でもないはず!


「今更なんだが……ドラゴンのモーションなんかも、作れるのか?」

「……え? あ、そっか! 動かした時の動作も必要なんだった!?」


 ぎゃー!? 配信で使ってる『サクラ』と違って、動きが人とは違うから、何気にやった事ない作業かも!?

 遠くを飛んでるのに攻撃していくって流れだったから、そこまで深く考えてなかったけど……中庭に出てくるボスなら、もっと細かいのがいるよね!?


「いや、最悪、3Dデータまででもいいからな!? モーションはこっちでも弄れない訳じゃないし!」

「ううん、大丈夫! そこも師匠に聞いてくるから!」

「……なんか、無茶振りを重ねてすまん」

「あはは、大丈夫、大丈夫!」


 初めてやる事だって、チャレンジしてみなきゃ話にならないもんね! やる前から無理だと決めつけて、やらないのはなーし!

 少なくとも、『サクラ』のアバターは視聴者のみんなに褒めてもらえるくらいには作れたんだし、ドラゴンだってやれば出来るさー! ……姉さんに頼る事にはなりそうだけど、その前にドラゴンのデザインを完成させるのが先かな?


「美咲、そろそろこっちは切り上げるけど、そっちはどうだい?」

「あ、楓さん! そっちは終わったの?」

「まぁ元々、今日はネット経由での軽い話し合いだけだったからね。佐渡、美咲を連れていってもいいかい?」

「現状で伝えられる事は伝えたし、用事があるなら別にいいぞ。こっちは、ここから本格的に作業に入るしな」

「あ、佐渡くん、さっきの的は……?」

「あー、悪い。流石に、時間が足りなくてまだ出来てないんだよ。まぁ改良版は、次の機会にだな」

「そっか。うん、分かった! それじゃ、今日はこの辺で!」

「おう、お疲れさん! これから、よろしくな?」

「うん! 私こそ、よろしくお願いします!」


 プログラミングとかはサッパリ分からないけど、それでも私もコンピュータ部の一員にはなったんだもんね! やれるだけの事は、頑張ってやっていくのですよ!


「さーて、お昼を食べて、昼からは美咲ちゃんの買い物だー!」

「少しうるさいよ、結月」

「痛っ!? 楓、叩かなくてもよくない!?」


 そんな結月ちゃんと楓さんの後に続いて、コンピュータ室を出ていった。うん、私が今ここで出来る事は特になさそうだしね。

 これからお昼を作って、次にフルダイブで集まった時とリアルでの私服を見繕いに行くのさー! そういえば自分で服をちゃんと買うの、何気に初めてかも?


 

「とりあえず、今日の予定、1つは終了です!」

「はいはい、お疲れ様」

「……なんか反応が雑じゃないです?」

「サクラ、この程度で大袈裟に褒め称えられたいの?」

「……それはそれで、嫌ですね!?」

「まぁご希望とあらば、過剰に褒め称えるのも――」

「わー!? やめて下さい! それ、なんか変な気分になりそうです!?」

「それならよろしい。もう少し、内容を考えて言おうね。さて、次回は『第721話 昼食を作って』です。お楽しみに!」

「それにしても……私の私生活、長くないです?」

「その辺は、サクラが成長している証だからね。……一応」

「なんで最後に『一応』が付くんですかねー!?」

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