第672話 今日の配信の準備
とりあえず姉さんと聡さんとの通話は終了! なんか色々とビックリな話を聞かされた気がするけど……今すぐって話じゃないみたいだし、考える時間の余裕はあるよね?
というか、モンエボの開発会社の所在地が姉さんの住んでる場所の近くとは思わなかった!? まさか、今まで宣伝があった商店街とも関係があるとは……!
「……聡さん、随分と思い切って話してきたな」
「わっ!? 兄さん、聞いてたの!?」
「聞いてるも何も、ここは俺の部屋だぞ?」
「あ、そうだった!」
兄さんの作業待ちの間に姉さんと話してたんだから……って、あれ? なんで兄さんが私の通話の内容を……って、今、チェックの為に繋げてる状態だったー!?
「……兄さん、あの話は聞いてたの?」
「一応はな。ちなみにだが、最初に宣伝の話が来た時には、さっきの話ほどは広がっていなかったからな?」
「え、そうなの?」
「広がり始めたのは、実際の宣伝で目に見えて売り上げが伸びてからだ。姉さんの知り合いのプロの溜まり場にもなってるから、そっちにも話が流れて、爆発的に売り上げに影響が出ているそうでな」
「……あー、うん。それはなんとなく分かるかも……」
それ、私の宣伝効果というより、私の配信のコメント欄に宣伝効果があるって事になりませんかねー? うーん、でも私の配信を楽しみにしてくれてるみたいではあるし、決して悪い事ではない?
「聡さんから聞いた話だが、あの配信を見ているのがキッカケで始まったコラボ企画なんてのもあるらしい。詳細までは社外秘だから知らんが、同業他社の人間が妙な形で繋がっている事もあるようだぞ」
「私の配信、出会いの場になってるの!?」
待って、待って、待って! さっきまでの情報でも頭の整理が追い付いてないのに、まだ追加でそんな情報が出てくるの!?
「だから、俺としても割りが良いと言っただろう。これから宣伝の単価が上がる可能性も高いから、尚更にな」
「……なんか凄い事になってない?」
「自覚が薄いようだから、聡さんもはっきりと言ったんだろうよ。今、広告収入の方もかなり増えてるんじゃねぇか?」
「……え? あ、そういえば全然確認してないや。えーと……わー!? 滅茶苦茶、増えてる!?」
今、金額的には5桁だけど、もう少しで6桁に届きそうなんだけど!? ちょっと待って、凄い状態になってませんかねー!? アーカイブのアクセス数も凄い増えてるし!?
「これはあれだな。近いうちに聡さんのとこの税理士さんを紹介してもらうか」
「……え? 税理士さん?」
「この勢いで行けば、確実に扶養から外れるぞ。まぁ自分で処理出来るならいいが……」
「無理! 絶対、自分じゃ無理! 何をすればいいのか分かりません!」
「だろうな。だから、そういう部分はプロに任せるのが一番だ。……俺自身も必要そうだし、一緒に頼むか」
ぎゃー! 配信を始める時に何気なくゲームを買える程度にお金が稼げたらいいなーって思ってたら、それを遥かに超える額になっちゃってる!?
むぅ……楓さんが部外者として手伝いをするのが危ないって言ってた理由、こういう部分にあるのかも?
「まぁその話は、すぐに必要って話でもない。とりあえず、今必要なのは……和室の方だろう?」
「あ、うん!」
「もう新しいデータは反映させたから、使えるようになっているぞ。姉さんの草履も反映済みだ」
「ありがと、兄さん!」
ふふーん! 色んな情報で頭がパンクしそうだけど、本来の目的はそこだもんね! ……兄さんの助けがなければ、ここまでやってこれなかったよ!
「……それにしても、短期間でかなり質が上がったな」
「え、本当に!?」
「あぁ、まぁな。見た目に関しては元から高水準だったが、無駄がかなり削ぎ落とされて実用的になっている。姉さんに教わったのは、そういう部分か?」
「うん! 無駄が多いから、効率的に出来るテクニックを色々教わった!」
デザイン的な部分は、我流だけどある程度の基礎は出来てるって言われたもんね! ただ、不十分なとこもあるから、その辺は改めて時間がある時に教えてくれるとも言ってたけど……それはいつになるかなー?
「……物怖じせずに配信が出来て、自分でこの水準のアバターや建物を作れて、宣伝でも効果が出ているか。そりゃ、聡さんが今の時点で確保しようとする訳だな」
「……え? 私、何かマズい事でもした?」
「いや、逆だ。聡さんが言ってただろう? 他から勧誘や依頼は来る可能性があるって話」
「あ、うん。でも、それってまだの話――」
「まだ先なのは、商店街のイメージキャラクターの候補の方だ。勧誘や依頼は、今すぐに来てもおかしくないぞ」
「……え? えぇ!? そうなの!?」
「……というか、下手するともう来てるんじゃないか? 悪いが、配信の管理画面を確認させてもらうぞ」
「あ、うん!」
その辺、全然確認してなかったけど……そういう状況もあり得るの? 広告収入が爆増してたし……あり得るかも!?
「……やっぱり色々来てたか。美咲、色々と確認しなさ過ぎだ」
「……あはは?」
「笑い事じゃないんだが……一旦、全部コピーを取らせてもらうぞ。流石に俺には手に負えん分野だから、聡さんと相談した方がいい」
「自分じゃ手に負えなさそうなので、お願いします!」
何が何だかさっぱり分からないし、出来る人にお任せだー! ……聡さんにも、どこかで何かお礼をしなきゃだね。
「まぁすぐにはどうにもならんから、とりあえず今はいつも通りに動いとけ。改装した分、実際にフルダイブしてチェックしておけよ?」
「はーい!」
自分で分からない事は、お任せで! ともかく、今は私に出来る事をやっていこー!
◇ ◇ ◇
自分の部屋まで戻ってきて、配信用の和室を立ち上げて、いざ、『サクラ』でフルダイブ! うふふ、改装した分が反映された様子はどんな感じかなー?
「あ、障子は閉まった状態で反映になってるんだ?」
嵌め込むとこからやるつもりだったけど、ここは兄さんがやっててくれたっぽい? うん、兄さん、改めてありがとう!
「それじゃ、開けてみよー!」
スパーンと勢いよく障子を開ければ……おぉ、縁側がしっかりと見えたね! その先には竹が広がって、いい感じ!
「姉さんの草履は……あ、もう岩の上に置いてあるね!」
うふふ! まだ予定している庭そのものは出来てないけど、それでもその手前の準備段階までは完了だー!
今日の宣伝……お団子じゃなくて、例の牧場のアイスの準備も済ませたし……。
「よし! ちょっとグルッと見てこようっと!」
制作中に何度も見たものではあるけども、実際にこうやってVR空間に反映させると雰囲気が違うよね! フルダイブも『サクラ』でやってるから、そこも新鮮!
とりあえず、和室の外をぐるっと回って歩いてみよー! 草履を履いて、いざ和室の外へ!
「おー! 雰囲気、ちゃんと出てる! でも、ちょっと真新しい感が強いかも……?」
んー、もう少し年数が経って味が出てきてる様子の方がいい気もするけど……まぁ今はこれでいいや! 上手く年数が経ってるような雰囲気にするの、いまいちやり方が分かんないし……。
「あ、これ、屋根の上には登れないね?」
うーん、足場が何もないから仕方ないんだけど……作成中とは違って、好き勝手に浮いたり出来ないもんね。屋根の上で何かしたい時は、梯子か何かを用意しないと駄目かな?
「まぁ、それはその時に考えよー!」
それほど広くはないから、一周グルっと回り終えた! うん、新築感が少し気になる程度で、他は特に問題なーし!
「折角だし、今日の配信は縁側に座った状態から始めよー!」
縁側に腰掛けて……えーと、配信の画面にして、プレビューの表示! カメラの位置を、縁側に座っている『サクラ』が映るように変えて……うん、これでよし!
いつもの『ネタバレ厳禁』の注意書きの巻物もこっちに移動……あっ!? 咲夜さんの処罰が残ったままだから、ここは消しておかないと! うん、これで大丈夫!
それじゃ準備も終わったし、時間も丁度いいタイミングだし、配信開始だー!
<配信を開始しますか?>
今日は【初見プレイ】Monsters Evolve part.18! 配信を始めて18日目って事になるんだけど……なんか思った以上に、色んな事が劇的に変わってる気がするね?
まぁなるようにしかならないし、決して悪い方向には変わってないもんね! ……まだ色々と頭の中が整理出来てないけど、この配信があってこそのものなんだから、いつも通りにやっていこー!
サクラ☆モンエボ実況配信中! #***
18時から第18回目、配信開始です!
配信会場はこちら!
【初見プレイ】Monsters Evolve part.18
URL:*tp://***
完全体への進化完了!
進化してからの、本格的な活動開始です!
今日は宣伝もありますよー!
夏ならではのもの!
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さーて、今日も配信を頑張ってやっていこー! 改装した和室への反応、どんなものかなー? うふふ、ちょっと楽しみ!
「ふっふっふ! 新しい和室が使えるようになりました!」
「まぁそこは純粋におめでとう」
「ありがとうございます! イェーイ! 完成しましたよー!」
「いやいや、庭を作る為の前段階だよね?」
「まぁそれはそうなんですけど……でも、一旦の完成は喜んでもよくないです!?」
「別に喜んでもいいけど、本来の目的の方を忘れないようにね?」
「ふふーん! それくらい、分かっていますとも!」
「……忘れてそうな予感もするから、言ってるんだけどな。さて、次回は『第673話 配信前の雑談』です。お楽しみに!」
「さーて、今日の配信も頑張ってやっていきましょう!」




