第399話 追いかけてくる敵
うがー! 再発動の時間を待つ為に止まっただけなのに、なんで3体の敵に襲われてるのー!? しかも、どの敵の正体もまだ確認出来てないよ!?
「小石が飛んでくるのが止みました……? あ、減速すると駄目ですね!?」
ただ攻撃が届かなくなってるだけだったー! 少し速度を落としたら、すぐに小石が飛んできたよ!? 即座に急加速で……って、わわっ! 背後で何かが地面にぶつかったような音もした!?
富岳 : ふむ、もう1体の敵が後ろで突撃してきたか。
ミツルギ : 今の音の感じだと、一気に距離を詰めに突っ込んできたみたいだな。
咲夜 : 移動しながらでも発動できる距離を詰められる突撃だと『瞬突撃』か!
金金金 : ほほう? そんなスキルがあるのか。
G : 堅牢のスキルツリーで『獅哮衝波』に相当するスキルだな。
ミナト : 移動速度は決して遅くはないし、堅牢が高い俊敏系統か、俊敏が高い堅牢系統かな?
「速度を落としたままだと、思いっきり当たってそうですね!? 急加速して正解でした!」
危ない、危ない! さっき踏みつけたのが何かは分からないけど、マップをチラッと見た限りじゃ疾走を使ってるのにあんまり距離は取れてないよ!?
うぅ……移動優先でそんなに戦う気はないんだけど、これは逃がしてくれそうにない感じがする!
「このまま逃げ切りたいですけど、そうもさせてくれそうにないですね! とりあえず、踏みつけた何かだけでも倒します!」
疾走でも引き離し切れないなら、もう戦うしかないよ! ……移動に専念したかったけど、この状況は仕方ないもん!
サツキ : サクラちゃん、戦闘開始!
いなり寿司 : まぁ引き離せないならそうなるか。
水無月 : サクラちゃん、頑張れー!
「はい! まずは止まって、どういう敵かを確認です!」
方向転換して、ズサッと止まって敵の姿を確認! えーと、私が踏み荒らして駆けてきた草むらを走ってるのは……あー!? そういうのもいるんだ!
「襲ってきたのって、ネコですか!? Lv10の『迅速なネコ』ですね!?」
いたんだね、普通のネコ! 脚の先が白くなってる毛が短いネコみたいだけど……ライオンでネコを踏みつけちゃったって事だよねー!?
咲夜 : ネコ科種族の対戦開始!
水無月 : 普通のネコっていたんだねー?
ミツルギ : あー、モンエボには一般的にいるペットとしてのネコはいないけどな。これ、ヤマネコ。
富岳 : オフライン版でもオンライン版でも、基本的に家畜化された動物は出てこないぞ。一般生物としては出てくる事もあるが、敵やプレイ可能な種族としては出てこん。
「え、そうなんですか!? それだとこのネコってどういうものなんですかねー? 『雷纏い』『索敵』『弱点分析』!」
今日は山麓エリアの左端まで移動に専念する事にしてるし、ここで使っちゃえー! この方が戦ってる間に他の敵を巻き込んでも戦いやすくもなるはず!
「あ、突っ込んできて麻痺してくれましたね! 『爪刃乱舞』!」
どういうネコなのかは気になるけど、追いかけてきたからには覚悟してもらうのですよ! うりゃりゃりゃりゃりゃー!
ミナト : モンエボで出てきてるネコはいわゆる『ヤマネコ』だねー。日本だと『イリオモテヤマネコ』と『ツシマヤマネコ』くらいしか生息してないけど、モチーフはその辺だよー!
金金金 : あー、あの辺がモチーフか。
富岳 : 天然記念物に指定されているネコになるな。
「『ツシマヤマネコ』はよく知らないですけど、『イリオモテヤマネコ』は聞いたことありますね! というか、天然記念物を攻撃しちゃってるんです!?」
わわっ! そう考えると、なんか駄目な事をしてるような気になってきた!? うーん、でもゲーム内のデータだし、関係ないね!
「麻痺してる間に攻撃しまくりますよー! 『双爪撃』『連爪撃』!」
草むらの中からの小石が飛んでくるのが途切れている今がチャーンス! どんどん攻撃していくのさー! うりゃりゃりゃりゃりゃー!
「あ、出血になりましたね!」
うふふ、このタイミングで継続ダメージも出るのはありがたいね! 今の一連の攻撃で、もうHPは半分を切ってるし、このまま倒し切るのですよ!
「一気に削っていきますよー! 『爪撃』『振り回し』!」
思ったより攻撃の回数が必要な感じだけど、この様子なら弱点を細かく見ていかなくてもどうにかなりそう! さっさと仕留めて、移動に戻るのですよ!
サツキ : サクラちゃん、怒涛の攻撃!
神奈月 : 相変わらず、雷纏いの麻痺はえげつない!
こんにゃく : 麻痺は高確率だから、1体相手ならほぼ完封が出来るもんな。
ミツルギ : 雑魚敵1体相手に使うのは勿体ないといえば勿体ないが、まぁ今の状況的に必要ではあるか。
「あはは、私としても勿体ない気もしてますけど、今回は仕留めるのを最優先で! これでトドメです! 『強牙』!」
<成熟体を撃破しました>
<進化ポイントを2獲得しました>
ふぅ、なんとか撃破完了! 麻痺で完封したから、雷纏いに触れてきた体当たりを受けた以外にはダメージはなしだね!
「わわっ!? また小石が飛んで……って、見切りの効果が切れました!? ここは戦略的撤退です! 『疾走』!」
戦おうと思えば戦えそうだけど、索敵で見た感じ近くに他にも敵が結構いるもんねー。Lv10のネコが出てきたなら、他にも出てくる可能性もあるし、今は無理には戦わないのですよ!
見切りの効果が切れたなら再使用時間を待つ必要もあるし、移動を最優先にしていこー! という事で、逃げるのさー! さらばです、姿も見ていない投擲をしてくる敵さん!
金金金 : 潔い逃げっぷりだなー。
いなり寿司 : まぁ器用系統の相手と、雷纏いの麻痺効果は相性が悪い。移動を優先してる今なら、悪くない判断だ。
ヤツメウナギ : 絶対に全ての敵と戦わないといけない訳じゃないからなー。
G : 地味に適正Lvの敵が出てき始めてるし、索敵への反応も多めだから撤退はあり。
「倒してしまいたい気持ちもあるんですけど、今日は色々と運が悪いので嫌な予感がするんですよねー!」
私の直感が、今は出来るだけ戦うのを避けろと告げている! 多分、あの投げてきてる2体の敵は倒せるけど、それ以外に厄介な敵が出てきそうな予感!
咲夜 : 今の状況で厄介な敵……知恵系統の敵、それもLv10が複数?
こんにゃく : 可能性としては、十分すぎる程にあり得るな。
神奈月 : 雷纏いが効かない知恵系統の敵が出てきたら、器用系統の敵2体の相手も厳しくなるか……。
チャガ : 今日のサクラちゃんなら、その辺は本当に引き当てそうだしな。
「そんな状態になってランダムリスポーンとか嫌ですしね! なんか今、ランダムリスポーンしたら遠くに飛ばされそうな気がします!」
洞窟の前に設置した『再誕の道標』でリスポーンすれば、まぁそこまで飛ばされ過ぎる事も無いとは思うけど……それでも結構な距離を移動し直しになるもん! 戦闘よりも移動を優先ってサイコロでも決めたし、移動に専念なのですよ!
「……とりあえず、小石は飛んでこなくなりましたね。このまま、索敵で敵の位置を確認しながら東に向けて駆け抜けていきましょう!」
サツキ : サクラちゃん、思いっきり駆け抜けていっちゃえー!
「はーい! 今度は何かを踏みつけないように気を付けないとですね!」
さっきのネコだって、踏みつけなければ襲ってきてなかったかもしれないもん! 俊敏の敵は、襲ってきにくいって話だもんね。
イガイガ : まぁ俊敏系統で堅牢が高めの構成だったしな。
富岳 : 弱点は『生命』と『器用』と『知恵』になっていたし、屈強もスキルの方で弱点表記は出てたからな。踏みつけなければ、さっきみたいな襲い方はしてこなかっただろう。
ミツルギ : サクラちゃん、『疾走』使用中の『索敵』の重要性は分かったか?
「……あはは、そういえばそういう話をしてたとこでしたねー。思いっきり実感出来ました!」
完全に様子を見渡せる場所なら無くても問題なさそうだけど、背の低い草むらの中でも隠れてる敵は結構いるみたいだもんね。普通の移動中ならもう少し注意深く見れるけど、疾走中にはそれが出来ないから索敵は重要! うん、覚えた!
「そういえば、ペットとしてのネコはいないって言ってましたけど、犬もいないんです? あと、ネコはプレイ可能ですかねー?」
この辺、戦ってる最中に少し気になった! もうさっきの敵は振り切れたみたいだから、ここからは雑談しながらでもいけるよね。
サツキ : ネコはアンロックすればプレイ可能だよー!
富岳 : 犬もペットとして飼われてるタイプはいないな。出てくるのは元になるオオカミだけになるぞ。
ミナト : イヌ科として考えるなら、オオカミ以外にもキツネやタヌキも該当するけどねー。
咲夜 : モンエボではいわゆる『イエネコ』や『イエイヌ』は出てこない!
こんにゃく : 出しても良さそうなものではあるけどなー。まぁその辺は開発のこだわりらしい。
ヤツメウナギ : ペットとしての猫や犬を出すと、品種が多過ぎるってのもあるんだろうけどな。
「キツネさんってイヌ科だったんです!? なるほど、開発さん達のこだわりの部分なんですねー! 品種が多くなるのも、確かにありそうです!」
色んな種類がいるもんね、犬も猫も! 我が家にいる犬は中型犬だけど、小型犬や大型犬とか、挙げ出したらきりがないもん!
……少しは家の犬の相手もしなきゃいけないかなー? うーん、私が地味に一番下に見られてる感じだから、あんまり好きじゃないんだよね……。
「作者さんは犬派ですか!? それとも猫派ですか!?」
「唐突だね?」
「そこはなんとなくです!」
「まぁ別にいいけど、猫派だよ」
「おぉ、そうなんですか! 私はキツネさん派です!」
「……二択から外れるのはやめようか?」
「……我が家の犬は、私にとっては可愛くないんですもん!」
「あー、設定上はいるけど全然出てこないあの犬ね」
「あれ? 出てきてないです?」
「……サクラ、見に行こうととすらしてないよね?」
「飼い始めた頃からずっと、完全に舐められてますもん! わざわざ見に行く気はないです!」
「そうして距離を取るから、尚更舐められるっていうね?」
「え、そうなんです!?」
「いや、犬は飼った事ないから知らないけど」
「適当に言っただけですか!?」
「まぁね。さて、次回は『第400話 目的地へ』です。お楽しみに!」
「ふっふっふ、次で400話達成ですよー!」




