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Relay:Monsters Evolve ~ポンコツ初心者が始める初見プレイ配信録~  作者: 加部川ツトシ
第11章 昨日の続きです!

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第373話 今日の配信の準備


 水瀬さん……ううん、結月ちゃんと知り合った! ……去年クラスメイトだったんだから、知り合ったは間違ってる気がするけど。全然その辺は気にしてないでいてくれてるみたいだけど、ここは今までの私の反省点……。


「さーて、結構長居しちゃったし、そろそろ帰ろっか」

「それもそうだね。帰る頃には18時も近いだろうし、そろそろお暇しようか。美咲ちゃんの都合もあるしね」

「はっ!? もうそんな時間!?」


 姉さんが言って初めて気付いたけど、もう16時半を過ぎてる!? 片道1時間はかかってるのに、今から帰って準備をしたらそんなに時間の余裕はないよ!?


「えっと、ここから帰って18時が近いって……美咲ちゃんの家って割と遠い?」

「あ、うん。いつもは電車で、もうちょっと短いくらい?」

「結構な距離があるね!? あ、そっか……」


 まぁ中学時代の同級生とは絶対に一緒になりたくなかったから、あえて遠くの高校を選んだわけだし……。ちょっと自分の成績よりも上を選んじゃったから、授業についていくのが大変だけど!

 それなのに、テスト勉強中に何を作ってるの、私!? まぁそれが今のこの時間に繋がってるんだし、問題なしなのですよ! 赤点はギリギリだけど回避してるしね!


「んー、まぁその辺りは深くは聞かないでおくね! 時間もそんなにないなら、私が配信の邪魔しちゃ悪いしさ」

「そうしてくれると助かります!」


 結月ちゃん、気遣ってくれてありがとう! なんか私の気にしてる部分を察して、必要以上には踏み込まないようにしてくれてるみたい。……意識して変えていく気ではいるけど、まだすぐに切り替えるのは無理だもんね。


「それじゃまた明日……って、明日は祝日だった……。あー!? お店の手伝いもあるんだった!?」

「そうなの?」

「連休中だから、普段できない大掃除と痛んだところの修理をやってるの。歩合制でお小遣いも出るから、そこはほら? 全力でね?」

「あはは、そうなんだ!」


 ここって平日の会社員や学生向けの定食屋だもんね。初めて店内に入ったけど、家族での個人経営みたいだし、そういうのは今みたいな連休でやってるんだ!


「え、でも今日は……?」

「そこはお互いの姉が理由となっています!」

「ほら、多忙な2人がこっちに帰ってきてて時間が空いてるっていうじゃない? 会うの久しぶりだし、急遽開催された昨日のプチ同窓会には参加し損ねたし、そこら辺はねー?」

「ゴールデンウイークの時に会う予定はしてたんだけど、花苗が体調崩して無理だった……って、今日は暇だから遊びにおいでって言ってなかった!? 用事あったんじゃん!?」

「いや、だって、ほら……それを言ったら、次にいつ会えるか分かんないじゃない? それに『立花サナ』にご執心の我が妹を見てて心苦しかったのに、更に妹さんのファンにまでなってるのを見てたら……もう明日忙しくなってもいいかなーって?」

「えぇ!? お姉ちゃん、全部知ってたの!?」

「まぁ葵がやらかしたのは知ってたんだから、そのやらかした場所が妹の美咲ちゃんの配信だって事も知ってるよ? 美咲ちゃん、自慢の姉に負けないように頑張りなよ! 『立花サナ』の名前は重いかもしれないけどさ」

「……はい!」

「それに葵ったら、最近の話題は美咲ちゃんの事ばっかりで『私の可愛い自慢の妹だー!』って、それはもう――」

「それ以上は言わなくていいからー! 聡さん、車! 冗談抜きでこれ以上は時間が厳しいよ!」

「はいはい、すぐに用意してくるよ」


 あはは、姉さんってば、どれだけどこで私の事を話してるんだろうね? いや、同級生の友達との間でならいいけど、それが同業者のプロの方達の中で広まっている事実がもうあるんだった!?

 こっちは本当にどう受け止めたらいいんだろうね? うーん、私の『サクラ』の着せ替えを目論む、姉さんを筆頭にしたプロ集団……改めて考えてみると、何その変な状況!?


「あ、美咲ちゃん、ちょっといい?」

「ん? もうあんまり時間はないけど……」

「うん、だからこそかな? 連絡先、教えてもらえない? SNSじゃなくて、メッセージの方」

「あ、うん! それなら大丈夫だよ!」

「やった! それじゃ連絡先の交換だー!」


 そっか、随分とそういう事はしてなかったし、SNSで連絡を取ろうと思えば取れるから意識にも上がってこなかったけど……個人的なリアルでのやり取りはそっちだよね。家族以外で連絡先を交換するのって、何年ぶりだろ?

 高校入学当初は聞かれる事もあったような気はするけど、教える事は結局なかったもんね。……そういえば、今更だけど男女問わずに結構な人数に聞かれてたような覚えもある? 聞かれ過ぎて面倒になったっていうのもあったような気はするけど……何だったんだろ、あれ。まぁそれはいいや!

 

「あれ? えっと、どこをどうやるんだっけ?」

「美咲ちゃん、まさかの機械音痴!? あ、そういえば配信もお兄さんが用意してくれたみたいな話もあったね!?」

「き、機械音痴なんて事は…………ないとは言えないかも……? 姉さん、ヘルプー!」

「聡さん、お願いします! 私に自分の物以外を教えられる知識はなーい! 教えられるのは、デザイン関係のみ!」

「……えっと、何がだい?」


 ぎゃー!? 即座に聡さんにぶん投げたよ、姉さん!? 助けを求める相手を間違えたー! というか、車を出しに行ってて話の内容が伝わってないから、聡さんが不思議そうな顔をしてる!


「聡さん、美咲ちゃんに連絡先の交換方法を教えてあげてー!」

「あぁ、そういう事かい。それなら――」


 自分で何とかしたかったけど、時間も無いからここは聡さんにお任せで! むぅ……この辺は、なんとか自分で出来るように頑張らないと!



 ◇ ◇ ◇



「たっだいまー!」


 最後は色々バタバタとしたけども、結月ちゃんとは無事に連絡先の交換は出来て、1時間かけて我が家へと戻ってきた! さーて、そんなに時間は無いから、急がないと!


「あ、美咲ちゃん! 今日こそ、姉妹配信をやっちゃわない?」

「姉さん、『サツキ』名義で配信者デビューとか狙ってない!? それで、堂々と『サクラ』の衣装を着せ替えをさせようとしてない!?」

「……な、なんの事かなー?」

「わー!? やっぱり狙ってたんだー!? それなら却下!」

「えぇー!?」


 『立花サナ』名義だと私が嫌がるから、既に姉妹だと判明している『サツキ』名義で色々やらかす気だー! その裏に『サクラ』の着せ替えを狙っているプロ集団がいるなら、警戒しないと何をされるか分からないよ!?

 そういう狙いが無いのなら昨日の実況外のプレイ動画みたいなのはありな気はするけど……裏の狙いがあるなら、流石に勘弁! 着せ替えが嫌とかいう訳じゃなくて、まだそんな心構えは出来てないもん……。


「葵、それ以上やるなら……」

「……やるなら?」

「『サツキ』名義で動く事も禁じるよ? 許可するのは見るまでで、コメントは禁止」

「それは嫌ー!?」

「なら、自重する事。いいね?」

「……はーい」


 ほっ! 流石は聡さん! 姉さんの暴走を抑えてくれるのは助かるね! それにしても、姉さんは今回のは思いっきりグイグイ来るね……。私に対して伏せてたお仕事の話をしたからとか、そういう理由だったりするのかな? ……1つは、姉さんからの物だったわけだし。


 あ、そんな事を考えてたら新着のメッセージの通知が来たね。うん、早速の結月ちゃんからのメッセージだ! えーと、内容は……無事に辿り着いたかの確認と、あ、昨日の実況外のプレイを見たとこなんだ!

 あはは、姉さんとの姉妹での会話が面白かったって書いてる! それに……『今日の配信も頑張って! 待機して待ってます!』とも書いてるね。うん、そう言われたら、普段以上に頑張れる気がする!


「さーて、それじゃ今日の配信の準備をやってきます!」

「頑張ってね、美咲ちゃん!」

「はーい!」


 あ、そういえばお父さんとお母さんの姿が見えないけど、車が無かったしどこか出かけてるのかな? 兄さんは……多分、自分の部屋? んー、まぁいいや!

 ともかく自分の部屋に戻って、配信の準備を……その前に結月ちゃんへ返信をしておこう! 『無事に家に到着! これから配信の準備をしていくよー!』……うん、これで送信!


 という事で、VR機器を頭に被ってベッドに横になって、配信用の和室を起動してからフルダイブ開始! すぐに意識がそっちに切り替わって、いつもの和室に移動完了!


「さーて、今日も配信をやっていこー!」


 今日は色々とあったけど、なんだか心は随分と軽くなった気がする。思わぬ形で友達も出来たしね。こうなるともう夏休み直前だっていうのが、少し残念になってくるかも……。学校とか面倒なだけとしか思ってなかったんだけどなぁ。

 姉さんとその同志のプロの人達による着せ替えの狙いは……私の色々な心の整理と心構えが出来るまで、少し待ってて下さい。これは確実に姉さんが暴走しそうだから、直接は言えないけど。……今言ったら、毎日衣装を変えても尽きないくらいに作り溜めしそうだもん。色々と私の中でしっかりと整理がついた時に、その話はしてみよう。


 うん、私なりの今出来る決意はこのくらい! ここからは、いつも通りに配信の準備なのですよ! 配信開始をポチっとね!


<配信を開始しますか?>


 今回の配信は【初見プレイ】Monsters Evolve part.11から! もう11回目か、まだ11回目か、どっちなのかはよく分かんないけど……この配信を始めた事で、何か色々変わってきてるよね。これからも、色んな事はありそうな予感!


サクラ☆モンエボ実況配信中! #***

 18時から第11回の配信をやっていきます!


 配信会場はこちら!

 【初見プレイ】Monsters Evolve part.11

 URL:*tp://***


 昨日の続きで山麓エリアからスタートです!


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 だから、今日も配信を始めよう! とりあえず昨日の続きから、山麓エリアを抜けるとこから開始なのさー! まぁその前に少し開始までの待機時間だけどもねー!


「これにて今回のリアル回は終わりです!」

「サクラ的には終わってみてどんな印象?」

「色々とビックリしました!」

「まぁそうだろうね」

「作者さん的にはどうでした?」

「正直に書いてる時に思った事を言っていい?」

「え、何かあるんです?」

「まぁね。大きな節目になったから……最終回っぽいなーって感じはした」

「最終回!? ちょっと待ってください、今回で終わりなんです!?」

「いや別に?」

「あ、焦りましたよ、今!?」

「今のところ、打ち切り予定はないよ」

「確かに今終わると打ち切りの最終回って感じですよねー!? 私、サクラの話はどんどん続けという方はブックマークや評価をお願いします」

「まぁもうポイント数とか関係なしで動いてるから、意味はないけどねー」

「……だったら、私が言う意味ってあるんです?」

「ぶっちゃけ、特にない」

「ないんですか!?」

「この話数まできて、してくれる人がとっくにしてくれてるだろうし、しない人はまぁそのままだろうし? さて、次回は『第374話 配信前の雑談』です。お楽しみに!」

「確かにそれはそうな気がします? 今回の配信、待機段階だけどスタートです!」

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あっちのオンライン版は自力での電子書籍版もありますので、よろしければどうぞ。

最新巻はこちら!
電子書籍版『Monsters Evolve Online 〜生存の鍵は進化にあり〜』第20巻

これまでの第1巻〜第19巻はこちらから。
電子書籍版『Monsters Evolve Online 〜生存の鍵は進化にあり〜』シリーズ
― 新着の感想 ―
[一言] 姉、やっぱり色々狙ってるんだね でも、姉の正体が衣装でバレると思うよ?自重しよう(笑) 旦那さん、大活躍だね~
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