第352話 便利な弱点分析
ふふーん! カウンター攻撃への対応策の1つは思いついたし、マップの解放を目指して思いっきり駆け巡れー! そうしないと、折角の『索敵』の効果が分からないのですよ!
「なんというか、マップの解放が毎回必要なのって面倒ですね……」
新エリアに来るたび、ここからやらなきゃいけないのがねー。今日は特にそれを強く感じるのですよ! ……進化やスキルの解放に時間を使い過ぎた!
ミツルギ : 気持ちは分かるけど、初めての場所だけはどうしようもないからなぁ……。
咲夜 : だよなー。初めての場所でなければ、ある程度の手段はあるんだけど……。
イガイガ : その辺、まだサクラちゃんには早い段階だし……。
「あ、マップ解放についても何か先に要素があるっぽいです?」
んー、まぁ考えてみたらそれもそうかも? ゲームをやってれば、進めていけば新たな要素が解放される事はよくあるもんね! まだ早い段階って事は、完全体に進化したら解放出来るスキルの中にそういうのがあるのかも!
「まぁ今は無いものねだりをしても駄目ですね! ともかく、マップの解放を目指して進んでいきますよー!」
チラホラと敵の姿は見えているけど、今はただひたすらに駆け巡れー! マップの解放が出来たら『索敵』を使って敵の位置を確定してから、効果が2分に伸びた雷纏いでの乱戦をするのもありだよね!
適度にLvが上がった段階で、縄張りでの戦闘に移行するのもありなはず! あ、それをするなら先に、残ってる進化ポイントを使って堅牢の強化をするのもいいかも?
「……やっぱり今日中に、この山麓エリアから出るのは難しそうですね! まぁたまにはそういう事もありますよねー!」
いなり寿司 : まぁ探索以外に色々やりまくってたからなー。
神奈月 : そういう日もあるもんだ。あ、そういや、あと30分もしないくらいで朝日も出始めるか。
「あ、そういえばそうですね! 今日は日の出が見れそうです!」
ふふーん、確かにもうそのくらいの時間経過だもんね。時間を飛ばしたい時ってどちらかというと夜だから、その辺を気にする必要も特になーし!
日の出が見れるなら、今日のサムネイルの候補になるかなー? あ、でも今日のサムネイルは、進化の時のを連写で撮ってるからそっちかな? うーん、まぁそれは決める時に考えよ!
「それにしても、この辺の敵は草むらに隠れてる小さなのが多いですねー。なんだか看破に表示されてないだけで、見落としてる敵が結構いそうな気がします」
ミナト ; んー、まぁ看破で見えてないのもチラホラいるにはいるねー。というか、実は攻撃を仕掛けてきてる敵もいたんだけど……気付いてないよね?
咲夜 : え、マジで!?
富岳 : 確かにいるにはいたな。サクラちゃんの視界の端を、石が飛んでいってたぞ。
ミツルギ : 疾走中だから、攻撃されてもすぐに射程から抜け出たパターンか。たまにあるんだよな。
ヤツメウナギ : あー、あるある。それでマップを解放した時に覚えがないのに表示される敵がいて、いつ遭遇したのか分からなくて悩むやつ。
「え、そんな敵がいたんですか!? というか、そんな事もあるんですね!?」
うわー、全然気付かなかった! 石が飛んでいったって事は、器用系統の『巧妙な』敵だよね! 種族が何かまでは分かんないけど、知らない間に避けてたっぽい! 私に向かって飛んできてなかったから、見切りにも反応が出なかったのかな?
「なんだかんだで、疾走って便利なんですねー! 敵を振り切るには丁度いい感じ……って、わっ!? わわっ!? ぐふっ!」
サツキ : サクラちゃん!?
水無月 : 何事だー!?
神楽 : これは……奇襲な予感!
ちょ、ちょっと待って!? 今、前脚を掬うようにライオンの真下の方から衝撃があって盛大に転んだー? 踏ん張ろうとしたけど流石に無理だった……。
うがー! どこのどいつですか、今の攻撃! 転んだ状態で疾走してても仕方ないから、ストーップ! そしてちゃんと起き上がって――
「わっ!? ぐふっ!? ま、またですか!?」
うぅ、何かが私のライオンの脚を狙って攻撃してきてる! 起き上がろうとした瞬間に衝撃があったから、上手く立ち上がれなかったよ!? 敵は、敵はどこ!?
ミツルギ : あー、何となく敵の構成の予想は出来た。
富岳 : まぁこういう状況ならある程度は限られてくるが……この襲われ方は、知らずに踏んだか?
ミナト : ん-、見てはいないけど、その可能性はあるかも?
いなり寿司 : 想像通りの敵なら、好戦的ではないタイプだろうしな。
なんか皆さんが敵の分析をしてるけど、今はそれどころじゃなーい! マップが使えたら既に交戦状態に入ってて分かるはずだけど、まだ使えないのが痛いよ! でも、なんとかその状況からでも敵を探し当てるしかない!
「はっ!? 草むらから音がしてるから、そっちですね! って、わー!?」
今度は頭に向かって赤い見切りの表示が出た!? えっと、反応があるなら避ければ何とかなるし、ここは後ろに飛び退くんじゃなくて横に跳んで回避! あ、危なかったー!
「ふぅ、回避成功です! 今の敵は……って、あー!?」
ちょっと待って!? 私が回避した敵の方を見てみれば、一目散で離れていってるLv4の迅速なトカゲがいるんだけど!? どう考えても、今の攻撃はこのトカゲだよね!?
「急に襲われたのに、逃がしてたまりますか! 『放電』『放電』『放電』! うぅ、すばしっこいです!?」
うがー! ちょこまかと左右に動きまくってて、放電がしっかりと当てられない! ぐぬぬ、俊敏系統で進化してるだけの事はあるみたいだけど……これは厄介だよ!
ミナト : サクラちゃん、慌てて攻撃ばっかじゃなくて、弱点分析の内容の確認も忘れずにねー!
富岳 : 完全に逃げる敵の場合は、攻撃はまず仕掛けてこないからな。今みたいに意図的に離れていってる場合は、次の攻撃への下準備だ。
ミツルギ : 攻撃に備えつつ、落ち着いて情報確認をする方がいいぞ。
「あ、はい! ……とりあえず落ち着いてですね」
ふぅ、慌てて攻撃に移ったけど、今はそうすべきじゃないんだね。今ので2割くらいHPは削られたし、ここはちゃんと落ち着いて対処!
『弱点分析』の内容は見れているし、トカゲの姿も見失ってはいないから、今は焦り過ぎる方が失敗だもん! うん、ちょっと落ち着いた。えーと、まずやるべき事は……これだー!
「ついさっき、カウンター攻撃で痛い目を見たばっかですからね! これをカウンターに使わせてもらいます! 『放電』!」
放たずに溜め状態にしておけば、突っ込んできたら勝手に反撃してくれる! そのタイミングに合わせて、咆哮を叩き込んで萎縮にしよう!
こんにゃく : おっ、放電でのカウンターか!
ヤツメウナギ : この状況なら、有効な手段だな。
「ふっふっふ、突っ込むなら突っ込んできてください! えーと、それで弱点は……スキルが『生命』『屈強』『俊敏』『器用』『知恵』で、ステータスが『生命』『屈強』『器用』『知恵』ですか! ……俊敏系統で進化しててもスキル基準で『俊敏』が出てくる事ってあるんですね?」
どういう事なんだろう、これ? 『生命』と『屈強』と『器用』と『知恵』が弱点なのは分かったけど……そもそも弱点表示が多くなーい?
金金金 : サクラちゃんのツッコミにも同意だけど、そもそも表示が多くねぇ?
水無月 : それ、私も思った!
「あ、それは私も疑問です! 状況が状況なんで、この辺の理由を教えてもらっていいですかねー?」
逃げてたトカゲは方向転換して私の周りをぐるっと走り始めたし、そっちに集中してないとまた攻撃を受けちゃいそう。放電でカウンターを用意したとはいえ、咆哮を当てるには完全に位置を見失うのだけは避けないと!
ミツルギ : おし、説明だな。弱点の表示が多い場合は表示されてない部分が特に秀でている事が多いぞ。
G : 一芸特化で他が育ってないパターンだな。こういう場合は弱点に何が出てるかじゃなくて、何が出てないかが重要だ!
いなり寿司 : 今回なら『俊敏』のステータスが高い、『堅牢』のスキルを多用する敵だな。
富岳 : 『堅牢』のステータス構成のスキルツリーには連撃系の突撃攻撃があるから、それに特化した構成だと考えたらいい。
ミナト : 『俊敏』自体のステータスは進化系統になってるからかなり高いよー! 攻撃を当てるなら、しっかりと動きを封じる事かカウンターが狙い目! そういう意味では、放電でのカウンターは正解だね。
「あ、これってそういう事なんですか! 皆さん、ありがとうございます!」
そっか、そっか! そんなパターンもあったりするんだ! なんだかんだで、私が考えた反撃手段は有効っぽいね!
ふっふっふ、トカゲめ、襲い掛かってくるがいいのですよ! HPが少ないのなら、咆哮で萎縮にしてから反撃なのさー! これが私なりのカウンター攻撃!
「弱点分析、役立ってます!」
「サクラがというよりは、視聴者さんが分析に使ってる感じだけどね」
「むぅ……まだ解放したてで、あんまり使い方が把握出来てないんですもん!」
「まぁその辺は、徐々にでいいから慣れていこうね」
「はい! そのつもりでいますよー!」
「それならばよし!」
「でも、これだけ情報があると……敵が多い時は特に混乱しそうです!」
「まぁそりゃ数が増えれば増えるだけ、方法の処理量が増えるしね。情報に縛られ過ぎるのも、駄目ではあるよ?」
「それもそうですよねー! 私のマイペースで頑張ればいいと思ってくれる方はブックマークや評価をお願いします!」
「……今更サクラのマイペースさを気にする人もいない気もするけど?」
「あれ? そうですかねー?」
「うん、いないと思う。まぁそれはいいとして……次回は『第353話 迅速なトカゲ』です。お楽しみに!」
「ぶっ倒しますよ、あのトカゲ!」




