第329話 新しい環境で
ご飯を食べ終えて、昼からは新たなホームサーバーで、姉さんの作ったあの桜の木が植わってる和室へとフルダイブしてやってきた!
操作用のメニューのデザインが少し変わってて少し戸惑ったけど、兄さんが言うには今までが弄り過ぎてただけらしいんだよね! 今は最小限で使えるようにして、その辺の特に急がないものは合間で調整していくとのこと!
ちょっと操作に戸惑いもあるけど……まぁそれは今はいいや! それよりももっとびっくりした事があるよ!?
「……姉さん、これって姉さんの仕業?」
「さーて、何の事かなー?」
「絶対に姉さんの仕業だー! 姉さんから貰ったデザイン用のアプリ、もっと違ってたもん! なんかアップデートって出てるもん!」
フルダイブをして、午前中に姉さんのアドバイスを受けながら作ったラフ画像をこっちから呼び出してみたら……そんな状態だもん! アプリの名前は同じだったけど、絶対に今までと同じやつじゃなーい!
「ふっふっふ、その通り! お姉ちゃんの仕業なのでした! まぁ俊くんから、最新のデータ容量の少ない形式に対応してるバージョンに切り替えてくれってお願いされたってのもあるんだけどねー! 今は最新バージョンにアップデート中なのさー!」
「……そうなの? これ、お金は大丈夫? ……いくらなんでも無料な訳がないよね?」
「絶対気にすると思ったけど、そこは大丈夫! 美咲ちゃんは高校生だからアカデミック版でかなりお安く済んでるんだよねー!」
「……アカデミック版ってなーに?」
なんだかそれでお安くなってるみたいだけど、そもそもの理由が分かんない! んー? 私が高校生な事って関係あるの?
「アカデミック版ってね、教育関係者や学生向けの大幅割引のやつ! 高校生なら、その証明が出来れば割引対象! その辺の証明処理は、お父さんにやってもらいました!」
「え、そんなのあるの!? ……ちなみに、それでおいくら?」
「美咲ちゃん、耳貸して?」
「……他に誰もいないのに?」
「まぁいいから、いいから!」
「はーい!」
姉さんに、変なとこで変な拘りがあったりするのは今更かな? 元々、プロ用の物って事で相当お高かったはずだけど……どの程度まで安くなってるんだろ?
えーと……えぇ!? 姉さんから聞いた額って、半額くらいになってるんだけど!? うぅ、それでも私からしたら結構な金額……。自分で買おうかと思っても、すぐには手が出ない金額だー! なんとかお金を節約して貯めれば、手が届く範囲?
うーん、ホームサーバーの買い替えにお金を出してもらったばっかなのに、ここで姉さんに買ってもらうっていうのも微妙な心境だし、投げ銭で頑張って貯めてみる?
「美咲ちゃん、ちょっと真面目な話をいい?」
「姉さん? それはいいけど……どんな話?」
「アプリの方は買ってあげるんじゃないからね。お姉ちゃん的にはそれでも良かったんだけど、聡さんと俊くんに駄目って言われたから……今回は貸してあげてるだけ。なんだかんだで配信で利益は出てるって聞いたから、出世払いを期待してるよ!」
「え? あ、うん! 分かった!」
「それでよろしい!」
わー! 本当に大真面目な内容だった! そっか、今回は姉さんが私に貸してくれてるって形なんだ! アルバイトをしてる訳じゃないけど、それでも確かに視聴者さんから投げ銭でお金は貰ってるもんね!
その配信の中で使うものを作る為に使うんだし、そういう用途でお金を使うのはありだよね! うん、なんかやる気がどんどん出てきてるよ!
「美咲ちゃんがこれで何を作るかを楽しみにしてるからねー!」
「うん! 頑張って作ってみる! あ、アップデートが終了って出たよ!」
「さーて、それじゃ新バージョンでの微妙な操作の変更点や新機能のレクチャーをしていこー! その辺、あった方がやりやすいよね?」
「え、いいの!?」
「こういう時はお姉ちゃんを頼ってくれたら嬉しいなー?」
「そういう事なら、お願いします!」
「任せなさーい!」
うふふ、今日の姉さんは凄い頼もしく見えるよ! ううん、そうじゃないね。変な時もあるけど、姉さんは本当に大事な時はいつも私の味方だもん! 姉さんだけじゃなくて、兄さんもお父さんもお母さんも! 私の大事な家族だもんね!
さーて、それじゃ配信を始めるまでの間に色々と姉さんから教わっていくのです!
「あ、美咲ちゃん、あとで携帯端末の方に入ってるのもアップデートしておいてねー! 個人認証が済んだら自動でアップデートにはなるはずだけど、もし分からなかったら俊くんに聞いてね?」
「はーい! そういえば、姉さんはその辺は詳しくなった感じだね!」
「……あはは、まぁ……人は成長するからね!」
あ、姉さんのこの反応は……うん、実際に色々やったのは姉さんじゃなさそう! これは兄さんか姉さんの旦那さんが主導で動いてる気がする!
そっか、機能はかなり制限されるけど携帯端末だけでも使えてたあのアプリだけど、そっちもアップデートになるんだね。兄さんは何か他の作業をしてた感じだし、手が空いた時に見てもらおうっと!
「それじゃ始めるよー! まずは……はい、これ! 変更点や新機能の一覧!」
「おぉ、そんなのがあるんだ!」
姉さんから渡された紙の束のデータを受け取って、軽く眺めてみる。おぉ、なんだかこれは分かりやすい!
なんだか兄さん謹製のマニュアルを見てるような……って、あれ? 普通にちょいちょい姉さんへの名指しをしてる表記があるけど、これってひょっとして……?
「……姉さん、これって旦那さんの自作?」
「そうだよー! どう? 分かりやすいでしょ!」
「うん!」
やっぱり姉さん自身は詳しくなってる訳じゃないみたいだけど、そこは私も人の事を言えないもんね。今はこの分かりやすいお手製マニュアルを見ながら、実際に色々とやってみよー!
◇ ◇ ◇
集中して時間を忘れないように17時半にアラームをかけていたら、そのアラームが鳴った! わー! 実際に使ってみて、色々とやってみてたらあっという間に時間が過ぎちゃった!
「あらら、もう時間切れ? 美咲ちゃん、もう少しで配信の時間だねー!」
「うん! 姉さん、色々とありがとうねー!」
「いえいえ、どういたしまして! あ、そういえば昨日の実況外の配信は見れてないよー!」
「そうなの!? あ、そんな時間も無かったもんね」
時間があったとすれば私が姉さんに朝、起こされる前くらい? その後は、ずっと私の作業に付き合ってくれてたもんね。
「でも昨日は全然ライオンの育成はしてないから、見てなくても大丈夫だよ!」
「あ、そうなんだ? それじゃ後で見る事にして……ちょっとで良いから、美咲ちゃんが作った和室にフルダイブしてもいーい? 俊くんがロックをかけてるみたいで、美咲ちゃんの許可が無いと無理なんだよねー」
「あ、兄さん、そんな事をしてたんだ!? 配信中でなければいいよー!」
「やったー!」
そっか、そっか! 昨日、地味に実況外でのプレイで姉さんの乱入を警戒してたけど、そこは兄さんが防いでてくれたんだ! というか、そういう機能があったんだね! うーん、初めから兄さんに相談すればよかっただけの話だったみたい。
「それじゃ少しの時間だけど、サクラちゃんとしての和室にお邪魔させてもらうねー!」
「はーい! あ、承認の確認が出たから……承認で!」
「ありがとー!」
これで姉さんも私の作った和室へのフルダイブが可能になったので良いんだよね? えーと、あとはフルダイブ先を切り替えればいいだけだけど……先に配信用の和室を展開しなきゃだね!
という事で、配信用の和室を準備なのですよ! えーと、アバターも配信用の狐っ娘アバターに切り替えてっと! うん、姿が変わった!
「おぉ、直接同じ空間で見るのは初めてだね、そのアバター! それにしても美咲ちゃん、毎回VR空間は起動してるの?」
「え、駄目なの?」
「駄目じゃないけど……私は普段から起動しっぱなしだからねー」
「おぉ、そうなんだ!?」
そっか、姉さんの作った憩いの和室もいつも出しっぱなしだもんね。別に私の配信用の和室も出しっぱなしでも問題はないのかな? その辺は後で兄さんに確認してみよー!
「それじゃお邪魔しまーす! 折角だから、私も遊びで作った狐っ娘にしてみよう!」
「そんなのあるんだ、姉さん!?」
ほんと、姉さんって色々と作ってるよねー! まぁ今はもうそんなに時間は無いから、配信前にサクッと姉さんに和室の中を見せちゃおう! という事で、切り替え!
◇ ◇ ◇
そうして私の配信用の和室へと移動完了! なんだか今までよりも、ほんの僅かだけどスムーズに切り替えが出来たような気がする? 極端な差はない感じもするけど、これが新しいホームサーバーの影響かな?
まぁ実感は薄いとは言われてたし、基本的にあんまり変わった感じはしないよね! むしろ、横に姉さんがいるという事の方が今までとは違う部分!
「わー! 姉さんの狐は金色だー! 尻尾は1本だけ?」
「ふっふっふ、多ければ良いというものでもないからねー! とりあえず和室の様子、見させてもらうよー!」
「はーい!」
まだ配信開始まで10分くらいあるし、そこは姉さんに自由に見てもらってたらいいや! というか、姉さんは少し声まで変えてるのは芸が細かいね!
えっと、今のうちに配信用の告知をしておこうかな? いつものように、ここをポチっとね!
<配信を開始しますか?>
新しいホームサーバーでの配信は【初見プレイ】Monsters Evolve part.10から! ふふーん、それじゃSNS用の告知文を入力していこー! 入力までして投稿をしない状況で待機してれば、配信は始まらないもんね。
サクラ☆モンエボ実況配信中! #***
18時から第10回の配信をやっていきます!
配信会場はこちら!
【初見プレイ】Monsters Evolve part.10
URL:*tp://***
今日は成熟体への進化からやっていきますよー!
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さてと、今日の分はこれでよし! それじゃ投稿せずに待機して……って、あー!? 間違って配信開始になっちゃった!? わわっ!? これ、どうしよう!?
「……作者さん、どうしましょう!?」
「あー、盛大にやらかしたね」
「流石にそれは分かってます! どうすればいいんです!?」
「ん? まぁどうにか頑張ってとしか?」
「頼りにならない作者さんさんですね!」
「いやいや、そこで文句を言われても……」
「作者さんの力でなかった事に出来ますよねー!」
「……どういう要求をしてくるんだ、この主人公!?」
「私のやらかしをなかった事にして欲しいという方はブックマークや評価をお願いします!」
「いや、多分それは誰もいない内容じゃないかなー?」
「私は切実に望んでますよ!?」
「サクラは読者さんじゃないけどね!? さて、次回は『第330話 配信事故』です。お楽しみに!」
「ぎゃー!? 完全にやらかしてる内容です!?」




