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Relay:Monsters Evolve ~ポンコツ初心者が始める初見プレイ配信録~  作者: 加部川ツトシ
第9章 次の進化が近付いてます!

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第326話 実況外の探検録 Part.17


【5】


 地面を這う木の根からの視点が次々と移り変わっていく。エリアボスを探すのと、この根の届く範囲を確認する為に、サクラは視点移動モードで移動を続けている最中だ。


「全然動けなくなる様子がないですね! これなら、次のエリアまで行けちゃいそうな予感です!」


 そんな風にちょっとテンションが上がりながら、サクラはどんどんと移動を続けていく。何の説明もないまま、川沿いをずっと進んでいる。

 ツッコミを入れる視聴者がいないと、本当にちょいちょい説明が欠落するね!? ダイジェスト化になるから、どうしてもカットされる部分が出てくるからある程度は仕方ない部分ではあるけども。配信中とは仕様が違うのはもう少し意識してもらいたいところである。


「ふぅ、それにしても川があって良かったですね! でも、このまま先に進むと渓流……って、あー!? すっかり忘れてました!?」


 急に何かを思い出したようなサクラ。さて、忘れている事はいくつかあるけども、何を思い出したのか。川へ来た経緯か、湖の中を調べなかった事か、エリア名の事か、それとも他の何かか。


「エリア名、ライオンの方で決めた『光湖の森』にはなってないですね! ここはライオンで行った『始まりの森林』とは別の『始まりの森林』です!」


 うん、もう少しそれは早く気付こうか。今進んでいるのは川沿いだけども、明らかに方向が違うから!

 ライオンの方は北に向かって川が流れてたけども、今は西に向かって流れてる状況なのである。別に方向音痴じゃないんだから、そこでも気付く要素はあった! 


「……よく考えたら、方角も違いますよね! 完全に別エリアならこの川の先も渓流エリアではない可能性もありますし、このまま川沿いに進んじゃいましょう!」


 そうしてサクラは西へと、川沿いに視界を移動させていく。その先にサクラの思っているような光景があるのかどうかは、まぁ行ってから判明する事だろう。まぁ、川の地形とか、早々変わるものでもないけどね。



【6】


 川沿いに下りながら、サクラはどんどんと先へ進んでいく。もう間もなく『始まりの森林』の西側から、次のエリアへと切り替えといったところである。


「うーん、『看破』が欲しいです!」


 急に動きを止めたかと思えば、そんな事を言い出したサクラであった。まぁ敵を見つけるのが決して得意ではないサクラだし、『看破』自体は便利なスキルだから欲しくなっても不思議ではない。

 だけど、まだそれを求めるには早すぎるというもの。いや、別に最優先で取っても構いはしないのだが……他の攻撃手段を増やさないと『根の操作』を取っていないサクラの桜の木だと厳しいぞ?


「エリアボス、どこにいるんですかねー? 川沿いに進むだけだと見つけられませんでした……」


 探すという割には川沿いのみを進んでいた気もするが、一応サクラ的にはエリアボスを探していたようである。まぁ他のエリアへの移動も考えつつの捜索ならそんなものか。

 というか、昨日言っていたマップの完全踏破はもうどこかに消え去っている様子だ。途中で方針を変えても別にいいのだが、単純に忘れているだけの可能性が高いのが何とも言えない所である。


「そういえば、木で水の中の敵って倒せるんですかねー? ちょっとやってみましょうか!」


 川沿いをただ移動してきただけで、川の中の敵とはまだ一度も戦っていないサクラ。移動中に見つけた他の敵を倒して多少の進化ポイントは得ているが、Lvは4のまま。

 まだ極端にLv差は出ていないからまだそれなりに経験値は入ってはいるが、それでも効率は下がってきている現状である。時間を飛ばすか、次のエリアへ進まなければ、Lv5まで上げるのが精一杯だろう。


 そういう状況だから、サクッと先に進んでしまった方が良いのだが……サクラは全然気にした様子はない。まぁマイペースにやってくれて問題はないけどね。


「さーて、あの魚はヒレが白いですし、ちゃんと敵な気はします! という事で、『識別』! おぉ! Lv2の『屈強なイワナ』ですね!」


 進化している敵にはちょっとした見た目の変化がある要素を、ちゃんと覚えていたようだ。秀でている部分に白い模様がある。それが、識別を使わずに一般生物と進化した敵とを見分けるコツ。

 ただし、元々の模様があったりして全ての敵が判別しやすい訳でもないし、植物系だとその手の特徴は現れなかったりもするが……今はしっかりと見つける役には立った内容だ。


「それじゃ戦闘開始です! 分体モードにして……これです! 『毒生成』『根刺し』! あー!? 避けられました!?」


 分体のミニ桜がニョキニョキを生えてきて、サクラは気合を入れて根でイワナを串刺しにしようとするけども、場所は水中。川底から出てきたサクラの木の根も、サラッとイワナは回避してしまう。

 まぁ水中にいる魚を交戦状態に入ってから串刺しにしようというのは、正直無茶な話である。地形の優位性は向こうにあるのだから。


「わわっ!? 根をヒレで斬らないでくれませんかねー!? うぅ、なんで少し根が出したままになるんです!?」


 空振りに終わった突き刺す為に出した根を、イワナが鋭いヒレで斬りつけていく。根での攻撃には、攻撃直後に少しの硬直時間があるのがデメリット要素である。

 だからこそ、今みたいに空振った場合は大きな隙となる。敵として倒す場合は狙い所ではあるけども、自分が操作する場合には注意が必要だ。

 というか、そういうデメリット要素が無いと動けない木の場合は、戦闘モード(遠隔)で根での一方的な攻撃が可能になっちゃうからね!? その辺はゲーム的なバランスの問題だから、苦情は受け付けておりません。


「だったら、これです! 『葉っぱカッター』! あぁ!? 全然駄目でした!?」


 勢いよく葉っぱが飛ばされたものの……水面に当たった瞬間に、一気に勢いが落ちていく。水中では地上と全く同じように動く事は出来ない。それはスキルであっても当然の事。

 そして……今のサクラには、これ以上の攻撃手段は存在していない。


「これ、どうやっても勝てないやつですよねー! 格下相手なのが気に入らないですけど、戦略的撤退です!」


 そうしてサクラはイワナとの戦いを中断し、分体を消して移動に切り替えていく。まぁ意地になって根で刺さるまで攻撃して何とか倒したところで、得られる経験値は少ないのだから、懸命な判断だろう。


「もうこのまま次のエリアへ進出ですね! 川の中の敵以外を狙っていきましょう!」


 そう宣言したサクラは、西側のエリアへと進出していった。さて、その先には何が待ち受けているのか。



【7】


 エリアが切り替わり、それに伴い景色も切り替わっていく。エリア名も『始まりの森林』から『名も無き渓流』へと変わっていった。

 サクラの目の前に広がるのは、大きな岩が乱立し、その合間を流れ落ちていく川の様子。そしてその左右へと広がる森であった。まぁエリア名通りに渓流そのものだ。


「……普通に渓流エリアでしたねー。この川の先は、湿原エリアだったりするんですかねー?」


 なんだか少し残念そうな表情をしている狐っ娘アバターだけども、ある程度は予想出来ていた範囲の内容である。まぁその先が湿原かどうかは……まだ分からない部分だけど。

 根本的に種族が変われば攻略方法自体が変わるから、その辺で新鮮さを感じて欲しいものだ。というか、渓流とはいえ、ライオンで行った場所とは別エリア。エリアの様子は似ているとはいえ、全く同じという訳でもない。下流から上ってきたライオンと、上流から下ってきた桜の木という違いもある。


「まぁ良いです! それじゃここでのLv上げを始めましょう! 『樹液分泌』!」


 おいこら、ちょっと待ちなさい!? エリアの切り替えをして早々に、そういう事を始めるの!? さっきので現状では攻撃手段が少ない事は分かった筈だと……うん、その辺をサクラに求めるだけ無駄なのかもしれない。

 いや、でもせめてあっちの仕様は覚えてて!? そうでないと……あぁ、新エリアに進出の早々に死ぬのは割といつもの事か。……今回はそれは避けられるのか?


「えーと、使い過ぎると危険なので、1回にしときましょう!」


 どうやら『樹液分泌』は重ね掛けは出来るけども、それをし過ぎると敵が集まり過ぎて危険だという事はしっかり覚えていたらしい。そこを忘れていたら、また死ぬことになっていたけども、今回は避ける事は出来たようだ。


「ふっふっふ、カブトムシが飛んできましたね! それでは戦闘開始です!」


 自信満々な様子でサクラは分体のミニ桜を生やして、カブトムシと戦い始めていく。危険な部分はちゃんと把握出来ているし、これなら大丈夫なのかもしれない。



【8】


 それからしばらく、サクラは意外なほど危なげなく敵を倒していった。川沿いに来た事で、水分吸収では吸い尽くせない程の水量が常に確保出来ていて、弱ればすぐに回復が出来たというのも大きいだろう。


「あ、そろそろ時間切れですねー。Lv7までは上がりましたし、今日はここまでです!」


 新たなスキルを増やす事もなく、ただひたすらに今あるスキルだけで倒し続けていたサクラであった。まぁその結果、『根刺し』がLv3へ、『葉っぱカッター』がLv4になり、進化ポイントも合計21まで溜まっている。

 そして一番大きな変化といえば、『毒生成』がLv2になって『麻痺毒』の生成が可能になった事だろう。……生成出来る毒が増えている事に地味に気付いていないのが、サクラの残念なところだが。やはり、ツッコミを入れる視聴者の存在は必要か。


「元々今日はこっちの木の育成がメインのつもりだったので、ライオンは無しです! まぁちょっとはやろうと思ってたんですけど、単純に時間切れなんですけどねー!」


 時間の確認を忘れて、黙々と木の育成を頑張っていたからね。黙々とし過ぎて、戦闘の大半はダイジェスト化の際にカットではあるけども。


「それでは今回はこの辺で! 明日の配信は、ライオンの進化からやっていきますよー! って、わー!? 姉さん、待って、待って! すぐ行くから!」


 何やら慌てたサクラの声を最後に残しつつ、今回の実況外のプレイ……そして、今のホームサーバーでの配信は終わりとなった。明日からは、新たなホームサーバーでの配信へと切り替わっていく。まぁ特に極端に何かが変わるという訳でもないけども。


 それはそうとして……今回の新たに生成出来るようになっている『麻痺毒』については誰かが触れるのだろうか?

 地味に木の方の育成は触れない方針の人が多いから、その辺がどうなるか……今はまだ分からない。


「ふぅ、最後はちょっと焦りました!」

「焦るのは分かるけど……録画になってる事は気にしないの?」

「……編集の仕方が分かりません! まぁ今の私には関係ないので、これからの私に任せます!」

「前にそれで過去の自分を殴りたいって言ってなかった?」

「それはそれ、これはこれですね! というか、それを言うなら実況外のプレイをやってる私を殴らないと意味ないんじゃないです?」

「まぁそれはそうだね」

「どうやってもそれは不可能なので、気にしないという事で!」

「……それでいいんだ」

「良いんですとも! それより、私的に良くないのは今日の更新でしばらくお休みって事なんですけど!」

「無尽蔵な体力があるわけじゃないんだし、少しは休ませて。2作で合計週10話の更新と、それに平行して電子書籍を作るとか結構無茶なスケジュールで動いてるんだから……」

「むぅ……確かにそれはそうですけど! 連載再開を待ってますって方はブックマークや評価をお願いします!」

「少し間は空きますが、打ち切りではないのでそこはご心配なく!」

「そりゃそうですよ! もうそうなら、私がブチ切れてますよ!」

「という事で、次回の更新は3月14日(月)から第10章『第327話 連休初日の土曜日』となります。お待たせする事にはなりますが、お楽しみに!」

「再開を待っててくださいねー!」

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あっちのオンライン版は自力での電子書籍版もありますので、よろしければどうぞ。

最新巻はこちら!
電子書籍版『Monsters Evolve Online 〜生存の鍵は進化にあり〜』第20巻

これまでの第1巻〜第19巻はこちらから。
電子書籍版『Monsters Evolve Online 〜生存の鍵は進化にあり〜』シリーズ
― 新着の感想 ―
[一言] 姉よ やってる事後わかってるんだから、邪魔したらダメだろう? 大人なんだから....... 旦那に怒られとけ
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