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第296話 東に進もうとして


 さーて、何はともあれマップの解放が最優先! サイコロで東に進むと決まったし出発なのさー!


「これは必須ですよね! 『看破』!」


 草むらはあるけど大きな遮蔽物がほとんどないもんね、ここ! エリアボスのウサギに殺された時はあんまり見えてなかったけど、ちらほらと敵の反応はある! あるけども……。


「あのー、敵がLv28とかLv29とかばっかりなんですけど……」


 なんか見えてる範囲の敵って格上ばっかなんだけどー! わー、機敏なユリとか、巧みなヨモギとか、強烈なナデシコとか、才智のトリカブトなんてのもいるよ! ウサギやイタチやヘビとかもいるけど……うん、どれも私より格上!


水無月 : なんか草花系の種族がいっぱいだー!

富岳 : ここは動物系より草花系が目立ちやすい感じだからな。まぁエリアボスがウサギだったみたいに、小動物系もいるが。

ミツルギ : 大型の動物系は少ないと思っていいぞ。あと、木も基本的にほぼいない。

こんにゃく : それはいいとして、全体的にLvが高い場所じゃん!

神奈月 : これ、かなりエリアの端の方まで飛ばされてるっぽいけど、無事に進めるのか?

咲夜 : サクラちゃんが再び死ぬ予感!?

サツキ : サクラちゃん、死んじゃダメー!?


「まだこの敵たち相手に死んだわけじゃないのに、勝手に殺さないでくれませんかねー!? 私としても本当にそうなりそうな予感もしてますけども!」


 今は全然こっちに気付いてないみたいで何もしてきてないけど、こんな格上だらけの敵の中に突っ込んでいって大丈夫なの? トリカブトとか有毒植物で有名なやつだよね!? って、あー!?


「……雨が降り出しちゃいましたね。むぅ、ただでさえ敵が危険なLvなのに、悪天候は最悪です……」


 実際に天候が変わるまではどうなるか分からなかったけど、雨天回避は無理だったみたい。うーん、もうこれはランダムリスポーンを覚悟しつつ、移動に専念して戦闘は回避した方がいいかも?


水無月 : まだ小雨だし、大丈夫?

ミナト : うーん、この場合だとむしろ土砂降りの方が良いかも?

G : 確かにそれはそうか。

富岳 : だな。そうなれば、この格上だらけの中でも移動はしやすくなる。


「え、そうなんです? あれ? もしかして、天候が悪くなると敵の動きが鈍くなるとかそんな感じだったりします?」


 この状況で荒れた天気の方が良いって、そういう事くらいしか思いつかないよ! 即死級の雷がどんどん落ちる状況なら、特にそうなりそう! でも、私は動いでも全然平気だもんね。


ミツルギ : いや、敵の攻撃自体はあんまり鈍くはならない。ただ、サクラちゃんの視界も悪くなるのが欠点だけど、土砂降りだと敵から見つかりにくくなるんだよ。

ヤツメウナギ : 水中以外だと結構役に立ったりもするから、覚えといたら便利だぞ。

イガイガ : まぁ雨で視界が悪くなるのは、リアルと一緒だな。


「あー、そういう感じですか! 今の私には丁度いいかもです!」


 どの敵とでも戦ったらすぐに死にそうなこの状況で先に進むには、この天候こそが私の味方! 今はまだ小雨だけど……って、考えてる間に一気に土砂降りになってきたー!?


「わっ!? 看破で見えてた情報が一気に減りました!?」


 凄い土砂降りになっって、見通しが悪くなったせいだー! でも、これは敵から見ても同じって事だよね。疾走は使うと滑りそうだから使わない……じゃない! これは渓流エリアで学んだ、爪を立てながら走って滑りにくくする走り方が役立つ時!


「天候は私の味方になりました! それじゃ出発です! 『疾走』!」


 ふふーん、大地に爪を突き立ててスパイクのようにして進んでいくのですよ! 土砂降りを味方につけて、いざ進んでいくのさー!


いなり寿司 : あー、なんとなくオチが見えた。

サツキ : サクラちゃん、それは駄目ー!?

ミナト : あらら、ここまでの土砂降りだと……ちょっとそれじゃ厳しいかな。


「え、駄目なんで……ぐふっ!」


 ぎゃー!? ちゃんと地面に爪を突き立ててたはずなのに、思いっきり滑ったー!? え、なんで!? あ、そういう事なの!?


「あっという間に水溜まりが出来て、完全に泥濘んでるじゃないですか!? あー!? 地味に朦朧が入ってるのは酷くないですかね……」


 うぅ、いくら地面に爪を突き立てても、地面自体が踏ん張れる状況じゃなければ意味が無かったー! でも、転んだ先に岩があるのはイジワルじゃない!?


いなり寿司 : 転ぶとは思ってたけど、まさか岩に頭をぶつけるとは……。

咲夜 : ある意味、凄いな!?

金金金 : しょんぼりしている狐っ娘アバターが可愛い。

イガイガ : それは分かる。

名無しのカカシ : でも、疾走のキャンセルになって丁度良かったんじゃね?

ミツルギ : まぁそれは確かにそうだな。急加速も減速も、どっちもこの状況じゃ滑りやすくなるだけだし。


「あ、そういう考え方もありです……か? ぎゃー!? なんか目の前に強烈なネズミがいるですけどー!? え、Lv30で(上限)の表示が出てますよ!?」


 ちょっと待って、ちょっと待って、ちょっと待って! 転んで朦朧になってるタイミングで、その情報を持った敵が出てくるのは勘弁してもらってもいい!?


金金金 : サクラちゃん、大ピンチ!

水無月 : おぉ! Lv30が未成体の上限なんだ!

こんにゃく : まさかこんな形で未成体の上限Lvが判明か。


「分かるの自体が良いんですけど、こんな状況では酷い気がしますよ!? というか、雨が全然役立ってないんですけどー!?」


 ネズミは溜めに入ってる感じだし、このままじゃ一方的に殺されるー!? 朦朧、早く回復して! そうしたら咆哮でとりあえず発動は潰すから! 倒されるとしても一方的に何も出来ずには嫌ー!


ミナト : まぁ見えにくくなるだけで、遭遇しなくなる訳じゃないからね。これは運が悪かったかなー。

イガイガ : ……サイコロで進む方向を決めた意味がなくなりそうだ。

ヤツメウナギ : まぁこの状況を凌げても、Lv差がキツイしな。


「はっ! 朦朧が解除になったので、これで! 『咆哮』! って、躱さないでくれませんかねー!?」


 うがー! 明らかに溜めてる様子なのに、動いて躱されたって事は獅哮衝波と同系統のスキルだー! どうやって咆哮を避けてるのかが分からないけど、ネズミに蹂躙されるライオン……それも何か嫌! って、雷まで鳴り出したよ!?


富岳 : お、これは雷雲だったか。

チャガ : なるほど、雷雲か。


 雷雲だからって、なんだって話ですよ! ともかく咆哮が不発になっちゃったし、切り抜ける方法を考えないと! 疾走を使わず水溜まりを避ければなんとか走ってはいられる範囲だし、このネズミからの攻撃をなんとか躱さないと!


「もうどうせなら、このネズミに雷でも落ちて死んでくれませんかねー?」


 うぅ、そんな無茶な要望をしても……って、あれ?ちょっと待って、それってやろうと思えば出来るんじゃない? ……このまま殺されるくらいなら、賭けでもやってみよう!


「一か八かです! 『強牙』!」


 うがー! 噛みついて上に放り投げてしまおうと思ったけど、躱されたー! このネズミ、なんだか回避が上手い! うぅ、躱され過ぎだよ!


「だったら、これでどうですか! 『識別』!」


『強烈なネズミ』

 進化階位:未成体

 Lv:30(上限)


 識別の情報はどっちでもいいけど、体勢を崩す為に衝撃波を生成する! ふっふっふ、これは回避できなかったみたいで、右斜め上に吹っ飛んだ!


「ここです! 『振り回し』!」


 そして、下から弾き飛ばすようにネズミを上へと前脚で吹っ飛ばす! やった、成功! 


水無月 : おぉ! 上空に投げ飛ばした!?

ミナト : 敵に雷と落とす作戦はありだねー! 早々使える機会がある訳じゃないけど……あ、これはちょっと高さが足りないかも?

富岳 : 惜しいけど、これは失敗か。


「ここまでいったら、雷にちゃんと打たれてくれませんかねー!?」


 確かに私がジャンプした時よりも低い気はするし、このまま着地して攻撃に移られそう……。体当たりで吹っ飛ばして……うん、触れた瞬間に溜め攻撃を食らって私が死にそうな気がする。もう1段階目の溜めは終わってるだろうし……。

 あーあ、良い手段だと思ったけど失敗みたい……。なんか悔しいから、自然の雷ほどの規模はないけど、これでも代わりに食らえー!


「『放電』! って、わっ!?」


<未成体を撃破しました>

<進化ポイントを1獲得しました>


<サクラ【巧みなライオン【雷】】が未成体:Lv24に上がりました>

<基礎ステータスが上昇します>

<進化ポイントを3獲得しました>


<サクラ【巧みなライオン【雷】】が未成体:Lv25に上がりました>

<基礎ステータスが上昇します>

<進化ポイントを3獲得しました>


<サクラ【巧みなライオン【雷】】が未成体:Lv26に上がりました>

<基礎ステータスが上昇します>

<進化ポイントを3獲得しました>


 え、凄い音がしながら私に向かって雷が落ちてきたよ!? その間にいたネズミは即死したみたいだけど……えっと、そういう事もあるんだね?

 私のライオンも落雷は受けたけど、全然ダメージはないけども……具体的に何がどうなったの、今の!? というか、一気にLvが上がり過ぎ!?


「えっと、何がどうなったんですかね?」

「あー、そこはまだ説明出来ないよ?」

「え? なんでです?」

「それこそ次話の内容だからだよ」

「あ、それは確かにそうですね!? それでは次回をお楽しみに!」

「こら、〆るのはまだ早いから!?」

「でも、次回の内容なら言及出来るとこって無いんじゃないです?」

「え、盛大に転んだのとかあるでしょ?」

「……雨は仕方ないと思うんですよ」

「まぁ滑りやすい状況だから、滑るの自体は仕方ないね。でも土砂降りで疾走は……」

「そこは気にしない方向でいきましょう! 誰にでも失敗はありますよ!」

「その意見自体には賛成だけど、サクラって転ぶの何回目だっけ?」

「数えてないので分からないですね!」

「まぁここで回数を答えられても困るけど」

「なるほど! それじゃ私がこれまで何回転んだか、知りたいという方はブックマークや評価をお願いします!」

「……サクラはそれでいいの?」

「……勢いで言いましたけど、全然良くないですね!」

「勢いで言わないで!? という事で、次回は『第297話 天候を味方に』です。お楽しみに!」

「なんだか私にとって良い予感がするタイトルですね!」

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これまでの第1巻〜第19巻はこちらから。
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― 新着の感想 ―
[一言] 上に弾き飛ばしたら、ネズミじゃなくて、サクラに雷が落ちてネズミが巻き添えに....... 雷の直撃って、すごいんだね.......
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