第274話 琥珀を探して
ふふーん、なんだか予定外ではあったけど、大量の敵を倒せたー! それじゃ琥珀が手に入る可能性があるみたいだから、焼けた森の部分の探索をしていこー! それが終わったら、進化ポイントが沢山手に入ったからスキルツリーの方だね!
「えーと、燃え残ってる木々を吹っ飛ばせば良いんでしたよね。『獅子咆哮』!」
これで一気に吹っ飛ばして、完全な焼け野原にするのです! さーて、上手く琥珀は見つかるかなー?
サツキ : あれ? サクラちゃん、動く木と動かない木の違いは聞かなくていいの?
「あ、そういえばその話題があったんでした!? 獅子咆哮を溜めてる間に教えてもらってもいいですかねー!?」
完全に忘れてたけど、姉さんナイス! それはに気になる内容なのは間違いないもんね! どういう見分け方があるんだろ?
金金金 : さて、どういう内容なのか。
水無月 : 気になるところだねー!
ミツルギ : まぁ割と簡単なんだけどなー。
サツキ : 倒すまでに、根を出して歩かなければ動かない木!
いなり寿司 : いや、それ、普通に見たままのやつだから。
サツキ : 他の見分け方、知らないもん!
咲夜 : 知らなくてもいいけど、それならなぜそこで言った!?
「今の、本当に言う意味ありましたかねー!?」
咲夜さんのツッコミに同意だよ! 姉さん、知らないのなら無理に説明しようとコメントをしなくてもいいんだよ!?
ミナト : あはは、まぁ知らなくても何とかなるけどねー。
ミツルギ : 見分け方自体はあくまで推測によるもので、公式な情報ではないからな。確実に確定させる手段としては、倒すまで動かないってのが一番ではある。
サツキ : そうそう! そういう事!
いなり寿司 : サツキさんは絶対に適当に言ってるだけだよな?
神奈月 : 知らないって言い切ってたしね。
「……まぁサツキさんは置いておいて、その見分け方ってどんなものなんです?」
そろそろ獅子咆哮の溜めも終わるし、肝心の本題に入って欲しいところ! でも、ここまで聞いてる感じだと、確実性は微妙っぽい?
ミツルギ : 簡単に説明すると、動かない木の方が根での攻撃の射程が長い。ある一定距離……ざっくりとした目安で言うなら、動く木の場合は葉っぱの下よりも先には根での攻撃は届かないぞ。
富岳 : それ以上の距離になると、地面から『根の操作』で根を出して、そこを起点として根での攻撃を仕掛けてくる。
ミナト : 動かない木の場合は、サクラちゃんは既に体感してるよー!
「おぉ、そういう感じなんですか! というか、私は既に体感してるんです? あ、桜の木での戦闘モード(遠隔)ですか!?」
あれは根を張り巡らせて明らかに葉っぱのある範囲より先を攻撃してるもんね! そっか、そっか! 根での攻撃範囲が、動く木と動かない木の分かれ目なんだ!
そういえば、動かない木を相手に長距離戦をした事がないから、その辺は地味に敵としては把握してなかったかも!?
ミツルギ : そういう事だな。まぁその辺は実況外で育ててる桜の木を参考にすれば、体感的に分かってくるはずだぞ。
金金金 : なるほど、あの桜の木の育成も参考になってくる訳か。
水無月 : 戦闘モード(分体)で攻撃してくる木もいるの!?
「あ、それは私も気になります! 気になりますけど、溜めが終わったので先にぶっ放しておきますね! 獅子咆哮、発射!」
話してる間に、すっかり溜めが完了してたよ! 焼けた森の中には敵の反応は特になし! 燃えて倒れた木々の間に隠れてる可能性もあるけど、それを気にしてたら何も出来ないから無視! とりあえず、邪魔な木々は吹っ飛べー!
「おー、見渡しが良くなりましたね!」
燃え残った残骸をまとめて吹っ飛ばしただけではあるけど、これでかなりすっきりした! 敵も特にいる気配はないから、のんびりと琥珀の探索をしよー! でも、目印もなく探すのは大変そうだし、時間を区切っての方がいいかな? うん、そうしとこ。
「絶対に見つかる保障もないですし、獅哮衝波の再使用時間が過ぎるまでで琥珀の探索をしますねー! そこまでで見つからなければ諦めます!」
絶対にある保障があるなら頑張って探すけど、必須という訳ではない今の状態ならこれくらいでいいよね。私に必須なのは『増幅草』だしね! 琥珀探しは軽い気持ちでやっていこー!
ミナト : 水晶があるから必須な訳でもないし、それで良いと思うよー!
咲夜 : そういう気楽な探し方をしてる時の方が、物欲センサーは働かないしなー。
イガイガ : あー、確かにそれは言える。
真実とは何か : 必死になればなるほど、牙を向く物欲センサー。それが真実。
「あはは、確かにそういうとこはありますよねー!」
本気で欲しいと思ったものほど、全然手に入らないのが物欲センサーの恐ろしいところ! 冗談抜きで、次への進化までに物欲センサーに引っかからずに『増幅草』が手に入りますように!
「それじゃ気楽に琥珀の探索開始です!」
手に入るなら手に入れておきたいけど、既に水晶があるから宝石系アイテムの方が焦る必要はなーし! えっと、確か土に埋まってるって言ってたし、適当にその辺を掘り返していけばいいかな? とりあえず私の直感に従って、それっぽい場所を歩いて探してみよー!
富岳 : さて、サクラちゃんが探索してる間にさっきの話題に戻すか。
神奈月 : さっきの件はネタバレ案件ではあるけど、そこはいいのか?
「あ、はい! そこは存在自体は知ってるので大丈夫……です? って、あれ?」
動かない木が戦闘モード(分体)で攻撃してくるかどうかは結構重要な情報なんだけど、何かが引っ掛かった? 今までそういう攻撃には遭遇してないかと思ったけど、そうでもないような気がしてきたよ? えっと、いつだっけ? 確かかなり遠距離から根で刺された事があるような……?
「あー! 思い出しました! 湿原エリアで、攻撃モード(遠隔)の攻撃を受けた事がありますよね!」
地味に遠隔からの攻撃を受けた事はあったよ! なんですっかり忘れてたの、私!
咲夜 : あ、そういやそういう事もあったっけ。
G : あー、あった、あった! 威嚇の発動に引っかかって、攻撃してきたのがいたな。
ミツルギ : そう、あれが攻撃モード(遠隔)での攻撃になる。まぁイージーなら、交戦状態にしない限りはあの手段では襲ってはこない。
ミナト : 戦闘モード(分体)も交戦状態にならないと襲ってこないのは同じなんだよね。ただし、これは逃げてる場合に追いかけてくる感じで使ってくるよー!
「イージーなら、こっちから何かしなければあの遠距離での攻撃は受けないんですね!?」
そっか、あの時は威嚇を使ってたもんね。マップ越しでしか分からない距離での奇襲なんだし、イージーでは早々受ける訳もないよね! イージー以外だとそうでもないみたいだけど、そこがネタバレ案件みたい。難易度が上がれば、敵の行動も変わってくるんだー!
ミツルギ : そういう事だな。まぁ逃げる場合は戦闘モード(分体)しか使ってこないから、何度か分体を作らせて本体の生命を消費させてから、戻って本体を倒すのが良いぞ。
「あ、そういえば分体を作るのに本体のHPを消費してましたもんね!」
桜の木を育ててる時に、分体を作り過ぎてそうなってたもんね! 逃げてああいう風に分体を作らせて弱らせるのが良いって事なんだ。……そう考えてみると、私って昨日の実況外のプレイでは勝手に自分から弱ってた!? うん、そこは気にしない方向で!
うーん、話しながら歩いているけど、なんともピンとくる場所が……はっ!? 今、なんかピンときた! 私の直感が言っている! 掘るべき場所は、ここだー!
金金金 : おぉ!? サクラちゃんがいきなり地面を猛烈に掘り出した!?
サツキ : 琥珀はあるかな!?
水無月 : ワクワク!
富岳 : さて、どうなるか。
ミナト : こればっかりは運だからねー。
「あっ! 黄色い宝石みたいなのがありました! これが琥珀です……ね? ……え?」
あれ? 採集したらアイテム名が『琥珀』じゃなくて『増幅石』ってなってるんだけど……え? これってどういう……?
咲夜 : ちょ、そっちが来たかー!?
富岳 : あえて『増幅草』以外の増幅系のアイテムの存在は伏せていたが、まさかこんなに早くに手に入るとは……。
真実とは何か : だが、これこそ真実だ!
ミナト : あはは、無欲の勝利かな?
金金金 : 呆然としている狐っ娘アバター! てか、わざと伏せてたのか!?
こんにゃく : 物欲センサーに引っかからないようにだなー。
いなり寿司 : まさか本当に効果があるとは……。
ミツルギ : 何事もやってみるもんだな! 『増幅草』と『増幅石』の効果は同じだから、これで次の進化に雷の適応進化を引き継げるようになったぞ!
G : 採集出来るものの全ての中に混ざってるんだよな、増幅系のアイテム。
水無月 : そうなんだ!?
サツキ : サクラちゃん、おめでとうー!
「そうっぽいですね!? 皆さん、あえて伏せるとかそういう事をしてたんですか!? なんというか……お礼を言っていいのか微妙な心境ですけど、ありがとうございます!」
本当に狙ってない時にはあっさりと出てくるよね、こういうの! 皆さんが揃ってこの『増幅石』とやらの存在を伏せてたのもびっくりだったよ! そっか、他の採集物の中にも混ざってたんだね。とにかく、これは喜んでもいいんだよね? やったー!
「こんなにあっさりと手に入っていいんですかねー?」
「ん? 進化の段階になっても手に入らず、焦って探し回る方が良かった?」
「いえ、それはお断りします!」
「サクッと手に入ったとこは、素直に喜んでおきなさい」
「それもそうですね! やったー!」
「うん、素直なのは良い事だ。という事で、はいこれ」
「あ、カンペですね。変な内容は結構読んでない気がするので、安心して読めますねー!」
「そうそう、そうだとも」
「それじゃ読みますねー! 『サクラが一向に欲しいアイテムが手に入らず涙目になる様子を見たいという方はブックマークや評価をお願いします』って、内容が酷いんですけど!? 安心した途端これですか!?」
「いやー、需要はあるかなって?」
「私には需要はありません!」
「そのうちサクラと物欲センサーとの一騎打ちが――」
「絶対にそれはやりたくないんですけど!?」
「まぁ冗談はこのくらいにしておいて……次回は『第275話 第9段階の解放へ』です。お楽しみに!」
「……本当に冗談で済むんですかね?」