第265話 乱戦を終えて
なんだかキツネさんを倒す事で妙に心配をかけちゃったみたいだし、私自身も表情に出ちゃってたみたい。やっぱり、そういう状況で視聴者さんを心配させるのはダメだよね……。
「……決めました! エリアボス以外ではキツネさんが出てきても、可能な限りスルーしていく事にします!」
これが私にとっての最大の妥協点。今回みたいな乱戦だと厳しいかもしれないけど、エリアボスを除けば避ける方向でもいけるはず。うん、そうしよう!
サツキ : それで良いと思うよー!
金金金 : 苦虫を噛み潰したような表情をされるよりは、そっちの方が遥かにいいしな。
水無月 : 無理はしなくていいから、それでいいよー!
咲夜 : だなー。苦手だからって理由じゃなくて、好きだからって理由なのが何とも言い難いし……。
イガイガ : 苦手なら即座に苦手生物フィルタに放り込めば済むだけなんだがな。
ミツルギ : 悪い事って訳でもないのが何ともなー。まぁサクラちゃんがそう決めたのなら、それを尊重するぞ。
ミナト : そだねー! ゲームは楽しくやらなきゃね!
真実とは何か : ゲームは楽しむべきもの。それこそが真実である!
「はい! それじゃキツネさんへの今後の対応はそういう感じで!」
うん、特に変な事を言われる事もなく普通に受け入れてくれた! エリアボスの場合は避けられない事もあると思うけど、それ以外は無理して戦う必要はなし! それで方針は確定ですよ!
「さーて、それじゃマップの解放の続きをやっていきましょう!」
進化ポイントを稼ぎながらマップの解放をやっていくけど、雷纏いは使っちゃったからしばらく乱戦は無し! 流石に雷纏い無しじゃ厳しいもんね。
「というか、この場に留まると火事に巻き込まれそうです!」
地味にキツネさんが放ってた火で、森が火事になってるんだよね! 規模はまだそれほどでもないけど、あんまり長居したら危ないかも。
水無月 : 山火事だー!? これ、本当に大丈夫なの!?
ミツルギ : 大丈夫か、大丈夫でないかで言えば、あんまり大丈夫とは言えない!
ミナト : あえて、焼け死にまくって火への適応進化を目指すって手段もあるけど……サクラちゃん、どうする?
金金金 : あぁ、そういう手段もあるのか。
「え、火への適応進化とか出来るんですか!?」
そっか、落雷で死にまくったら雷への適応進化が発生するなら、焼かれて死んだらそれ相応の適応進化が発生するんだ! ちょっと心が惹かれる、その適応進化!
富岳 : あるにはあるが、正直今のサクラちゃんにはおススメはしないぞ?
こんにゃく : 雷の適応進化を捨てるのは惜しいしなー。
咲夜 : 折角Lvが上がってる放電も使えなくなるし、現状でのメリットは薄い気がする。
ヤツメウナギ : 一応、宝石の中に雷への適応進化を保存しておいて狙うって手段もあるにはあるが……。
「あ、確かにそれはそうですよね。うーん、まぁ雷の適応進化よりは狙いやすそうなので、今回は見送りにしておきます!」
というか、キツネでプレイすれば適応進化が無くてもああいう火の球は使えるんだから、ライオンで焦って手に入れる必要もなーし! まだまだ他の種族は出来るんだから、その時にやっていけばいいのさー!
「それじゃとりあえず火事からは離れる方向で! 『看破』! ちなみに、この火事ってどうすれば収まります?」
とりあえず切れてた看破を再発動して、ここから離れるのさー! 流石にこのまま燃え広がると危ないけど、その辺はどうなるんだろ? いくらなんでも、全部燃え尽きるまで燃え広がっていくなんて事は……ないよね?
ミツルギ : あー、場合によっては全焼もあり得る。
水無月 : あるの!?
こんにゃく : まぁ大体は途中で鎮火するけどなー。
G : 意図的に火事を広めるように動けば、全焼させる事も出来るって感じだぞ。
ヤツメウナギ : それをやるのは、それこそ適応進化を狙って火を絶やしたくない時くらいか。
「なるほど、そういう感じになるんですね! ……ここから森を全焼させたら、進化ポイントがごっそり手に入ったりしません?」
もしそれが出来るなら、いっそこの森林を燃やしまくって乱獲という手もあり? もう自然破壊とか今更だし、そこは気にしない!
ミナト : 全焼でそれは止めといたほうがいいよー。最終的には敵の数をごっそりと減らす事は出来るけど、それまで逃げ惑う敵の集団と戦ったり、自分自身が焼かれて何度も死んだりするからね。
富岳 : 火種そのものがサクラちゃんが作り出した物じゃないから、攻撃判定としても駄目だな。別の攻撃手段で、交戦状態にしておく必要がある。
ミツルギ : 自前で火を着けてるなら、攻撃判定にはなるんだがなー。その場合は自分が焼け死ぬ事はない。
こんにゃく : 中々、その辺はややこしいところ。
サツキ : それ、やっちゃった事ある! 敵を倒した判定にならずに、焼け死にまくって適応進化したよ!
いなり寿司 : 分かりやすい見分け方。自分が火傷する火は敵への攻撃判定にはならないから、そういう火だけになれば問題なし。自分が火傷しない火なら、敵への攻撃判定になる。
神奈月 : でも、後者の場合だと影響範囲の敵全てと交戦状態になるんだよなー。
「……流石にリスクが高そうなので止めときます」
私が全焼させてる犯人になって全ての敵に狙われるか、被害者となって焼かれまくるかの2択だよね、これ! 焼かれまくるのは火への適応進化を目指すならありかもしれないけど、今はそれをやるのはなし! でも、他の種族でやる機会があればやってみよー!
「それじゃ気を取り直して、マップの解放を目指していきますよー!」
火事の様子が気になったからゆっくり走ってた離れてたけど、もうその必要はなし! という事で、全力疾走を開始なのさー!
「えーと、そういえば私はどこに向かってるんですかねー?」
適当に走ってたから、さっき乱戦をしてた場所がよく分からなくなってきた! 背後の火事になってる辺りなのは間違いないけど、私はあそこからどこに向かって走ってきたの?
咲夜 : それを聞いちゃうの!?
イガイガ : 完全に無計画に進んでたー!?
ミツルギ : まぁ思いっきり後ろを振り返りながら進んでたしな。マップが無ければ、方向も分かりにくくなるか。
富岳 : 今はあれだ、才智のハチがいた方向に向かってるはずだ。
「おぉ、あの何かあるっぽいハチの方ですか! 何があるのか気になってたので、少し見ていきましょうかねー?」
咲夜さんが、近くに何かあると今日のネタバレで言っちゃってたやつ! えーと、火の手は……うん、今はこっちに広がってくる様子はない! これなら止まっても大丈夫なはず! という事で、ストーップ!
水無月 : 何があるかなー?
金金金 : ネタバレ案件みたいだし、気になるところ。
G : 咲夜さんのいつものやらかしだなー。
咲夜 : そこ、掘り下げなくていいから!
ミナト : サクラちゃん、才智のハチには要注意ね!
「はーい! 先に才智のハチを見つけてしまいましょう!」
なんだかハチに関連している内容みたいな気がするし、周囲を探る前に敵の把握をした方が良いよね。えーと、立ち止まって周囲を確認! 才智のハチはどこにいる……って、あー!?
「大きなハチの巣を発見です! わっ、一般生物のハチが沢山いますね!?」
わわっ! リアルで見たら、危ないから即座に逃げたしたい光景だー! でも、ゲーム内なら大丈夫! 一般生物のハチなんて、私のライオンの敵じゃないよ! って、あれ? この位置でハチの巣を発見? 才智のハチに要注意?
「……ふと思ったんですけど、もしかしてハチミツが手に入ったりします?」
サツキ : サクラちゃん、大正解!
ミツルギ : 採集出来るからな、そのハチミツというかハチの巣。
いなり寿司 : ハチミツ単体だと液体で持ち運べないから、ハチの巣ごと食べる形になってるんだよ。
ミナト : 巣蜜とかコムハニーって呼ばれるやつだねー!
「おぉ、そうなんですか!」
食べた事はないけど、何かで巣ごと食べてるのを見た事はある気がする! どうやってハチミツを採集するのかと思ったけど、そういう風になってるんだ!
ふっふっふ、そういう事なら採集しないという手はない! どんな効果があるのかも気になるし――
「……え? あ、才智のハチですか!?」
ぎゃー!? なんか背中の方がチクッとしたと思ったら、刺されて麻痺毒になって力が抜けていくよ!? 注意しろって言われてたのに、何やってるの、私! どう考えても、才智のハチは巣の護り役だよね!?
咲夜 : あ、完全に奇襲された。
ミナト : あらら、背中から来ちゃったかー。流石に死角からだと厳しいねー。
富岳 : 今更言っても遅いが、奇襲対策で放電を使っておくべきだったか。
「確かに今更ですよねー!? 早く、麻痺毒は解除になってください!」
才智のハチが護ってるのなら、ハチミツは良いアイテムな予感がする! 麻痺毒はそんなに長くは続かないんだから、回復したら倒すのさー! 才智でも1体だけなら、倒せる相手!
「キツネさんへの対応は、私なりの結論は出しました!」
「うん、それならよろしい」
「なんだか重荷を下ろせたような気分ですね」
「……そこまで無茶する必要はないからね?」
「そうですよねー! ゲームなんだから、楽しくやらないとです!」
「そうそう、そういう事」
「それにしても……割と大惨事になってません?」
「まぁなってるね。火の扱いには注意しましょう!」
「確かにそうですね! 作者さんの方の時期はそろそろ冬ですし、火の用心です! 火の扱いには気を付けようという方はブックマークや評価をお願いします!」
「それ、ブックマークや評価とは関係なく大事なとこだから!?」
「あ、それもそうでした」
「……まったく。さて、次回は『第266話 才智のハチ』です。お楽しみに!」
「麻痺毒が切れてくれないと危険な状況ー!?」




