第235話 足場に注意
さーて、滝っぽい感じの場所に出たけど、どうやって上に行こうかなー? 多分、ジャンプして届く範囲だとは思うけど、着地地点は見えないのが不安……。
「こう、魚なら泳いで滝登りをしてみたいですね! 出来るか分からないですけど」
出来るか分からないとは言ったけど、普通にモンエボなら出来そうな気がする! だって、木が根で歩いて、魚も地面を歩いてくるモンエボだもん!
ミツルギ : また変なとこに目を付けるもんだなー。
イガイガ : 確かになー。まぁ気になるとこなのは分かるけど。
サツキ : あれ? その辺って何か要素無かった? 自分じゃやってないから自信ないけど……。
いなり寿司 : あるにはあるけど、ここの滝じゃ無理だぞ。もっと規模の大きな、それこそサクラちゃんがザリガニと戦ったあそこの滝くらいじゃないと無理だ。
サツキ : あ、そうなんだ!
石突 : 言ってる事の内容がさっぱり分からねぇ!?
水無月 : 同じくー!
ミナト : あはは、ネタバレ防止で最低限の内容しか言ってないからね。まぁ話題に出す事自体がネタバレ要素でもあるんだけど……。
うーん、些細な一言がネタバレ案件に繋がってたっぽい? 今回は私が発端みたいな感じだし、流石に何も言えなさそう。うん、だったらこうするまで!
「今回は私の呟きがきっかけですし、気にしないという事で! まぁ何があるのか気になりますけども、今はどうやって上に行くかが先決ですね!」
どっちにしてもここの滝じゃ無理みたいだし、そもそも魚でって話だもんね。今はライオンだから関係なーし! なんだか色んな種族で色んな楽しみ方があるみたいだから、早くそっちもやってみたいねー。その為にもライオンのクリアが先決!
富岳 : ここは普通にしっかり足場を確認しながら進んでいくのを勧めるぞ。
チャガ : だな。ジャンプでも届くけど、着地に失敗してそのまま川の中に落ちかねん。
「あ、やっぱりそうなんです? それじゃ……あえて、ジャンプしてみましょう! えいや!」
やらない方が良いと言われると、何となくやってみたくなるこの気持ち! 別に川に落ちる程度なら、問題はなーい! それに元々滑って落ちる可能性があると分かっているのなら、そう覚悟は出来ているから問題ないのです! さーて、着地は……あ、滑った!
「わわっ!? やっぱり落ちるっぽいですねー!」
あはは、言われた通り本当に滑って、盛大に水飛沫を上げて川に落ちた! でも、ここは多少深めになってて足も付かないから大丈夫……って、あれー? なんだか何かに当たったような衝撃があったような?
咲夜 : 盛大に落ちたー!?
いなり寿司 : むしろ、今のは嬉々として滑り落ちに行ってないか?
G : 確実にそうだろうな。
金金金 : もう狐っ娘アバターは普通に笑ってたしなー。
富岳 : まぁそこはサクラちゃんの自由にしてもらって良いとこではあるが……。
「あはは、やっぱり今のはバレバレでした? まぁおふざけはこれくらいにして、次はちゃんと滑らないとこを選んで進んでいきますねー!」
今のは流石にわざとやったのはバレるよねー! それにしても、何かに当たった気がするのは気のせいかな? 場所的に川の中に何かがいても不思議じゃないけど、ちょっと潜って見てみよ!
「わっ! 堅固なコイがいました!? さっき落ちた時に当たったの、これですね!」
ちょっとHPが減ってるから、当たったのはこのコイで間違いない! でも、Lv9だから私より格下だねー? 他には……一般生物の魚はいても、敵自体は特に見当たらないね?
水無月 : おー! 全身に白い模様のコイ! でも黒い部分や赤い部分がないから錦鯉っぽくはないね!
ミツルギ : 元になってるのが普通の野生のコイだからな。まぁこれはこれで独特な雰囲気は出てるけど。
富岳 : コイには詳しくないが、くすんだ金色に白色って模様はいそうだけどな。
イガイガ : あー、確かに!
サツキ : コイ、飼いたいなぁ……。
「そういう模様のコイっていそうですねー! まぁそれはともかく、川の中から脱出です!」
姉さんが今住んでるのはマンションなんだからコイは多分飼えないと思うけど……それは配信の最中に言うべき内容じゃないもんね! だからそこはスルーで!
とりあえずコイしかいないとはいえ、水中で戦うのは不利でしかないから却下! でも、ここにコイしかいないのを確認出来たのは――
「ぐふっ!?」
ぎゃー!? コイが突っ込んできたみたいで、ライオンが吹っ飛ばされて宙に浮いているー!? わっ!? 空中だから身動きが取れないし、今の1撃でHPの4割くらい削られた!
サツキ : サクラちゃん!?
いなり寿司 : なるほど、溜め攻撃ときたか。
ミツルギ : ちょっとのんびりし過ぎてたな。
ミナト : おー、見事に吹っ飛んでるねー!
富岳 : クリーンヒットだな。
「皆さん、実は気付いてましたよねー!? ぎゃー!? 落ちる、落ちる、落ちるー!?」
上に吹っ飛ばされたんだから、必然的に落下していくよ!? 覚悟してる時に落ちるのはいいけど、全然その覚悟が出来てない時に落ちるのは嫌ー!? うぅ、盛大に水飛沫を上げて川の中へとまた落下……。
富岳 : まぁぶっちゃければ、気付いてはいたな。
ミナト : サクラちゃん、流石の今のは油断し過ぎだよー。堅固な敵が何を使ってくるかは、今までので予想は出来るからね? 滑って落ちるのは分かってても、川の中に敵がいるのを忘れてなかった?
「うぅ、確かにそれはそうでした……。そこは反省です……」
そこはミナトさんの言う通りだよね。そもそも川の中に敵がいるのは川下りをする前に確認してたんだし、こういう事が起こるかもしれないのは考えておくべきだった! ちょっと川下りではしゃぎ過ぎて、油断し過ぎてた気がする……。
「って、反省はしなきゃですけど、水の中にいる方が危険ですよねー!? ぐふっ!」
見えないけど多分コイの体当たりがまた当たった! このコイ、地味に強いかも!? うがー! 魚と水中で戦おうなんて、無謀もいいとこだー!? Lvが私より下だからって甘く見過ぎてたー!
咲夜 : このコイ、まさに水を得た魚だな!
G : 捻りも何もなく、そのままだな。
いなり寿司 : 上手い事を言おうとして、滑ってる感よ……。
咲夜 : なんか辛辣!? 確かにそのままだけど!
なんか咲夜さんがしょうもない事を言ってるけど、今はそれを気にしてる余裕はない! ここで身構えなんか使ったらそのまま沈んで溺れそうだし、コイは泳ぐのが早くて泳ぎながらじゃ咆哮は当てられそうにないし……って、これならいけるよ!
「これで麻痺してください! 『放電』『放電』『放電』『放電』!」
水中にいる今なら、放電を連発しながら泳いでいける! でも、そんなに都合よく麻痺してくれないよー!? うがー! それでも少しの隙は作れるから、その間に陸を目指すのさー!
「よし、もう少しで陸地です! って、わっ!? がふっ!」
岩の上に登ろうとした瞬間に、脚に体当たりされたー!? うぅ、バランスを崩して思いっきり岩に顔を打ち付け……って、朦朧になっちゃってる!? なんでこんなタイミングでこうなるの!?
イガイガ : あっ!
神奈月 : ここで朦朧とは……。
G : タイミング悪いなー。
チャガ : 今回のこのコイ、妙に運が悪いな?
富岳 : 油断があったのは確実だろうが……確かに運が悪い。
こんにゃく : でも、状態異常って運な部分もあるし……こういう時もたまにあるからなー。
ミツルギ : 確かになー。
咲夜 : 運が悪い状況になるのは、正直心当たりはそれなりにある。
いなり寿司 : 俺もだな。てか、やってたら何度かは遭遇してるだろ。
石突 : お勧めをスルーしたバチが当たったか?
「皆さんからしても、今回のは運が悪いんです!? ぎゃー!? 待って、待って、待って!? 悪ふざけしてごめんなさい!」
私が動けない状態だから、どんどんコイから攻撃されまくってるんだけど!? この勢いで攻撃されまくったら、コイに殺されちゃう!? 富岳さんの勧めと真逆の事をしたのが悪かったなら、本当にごめんなさい!
わわっ!? 水の中まで吹っ飛ばされて、ライオンの顔が水中に!? これ、早く朦朧が治らないと窒息になって死んじゃう! 朦朧、早く治ってー!?
「あ、なんとか朦朧が回復しました! 急いで水面に……って、ぎゃー!?」
また体当たりで吹っ飛ばされて、今度は水中の中の岩に頭をぶつけて朦朧になったー!? なんで連続でこんなに朦朧を引き当てるの!? いらないよ、そんな連続での朦朧とか!
ミツルギ : あ、また朦朧になった。
イガイガ : 本当に今回は運が悪いな!?
いなり寿司 : あ、窒息にもなったな。
咲夜 : こりゃ死んだ?
G : ……まさか、コイにハメ殺しにされるとは。
「もう死ぬのは確定なんですかねー!?」
確かに朦朧と窒息の合わせ技なんて、回復の手段が思いつかない! 朦朧の効果時間は長くはないし、窒息は水面に出ればすぐに回復するけど、その2つが重なるのは最悪過ぎるよ!
あぁ……凄まじい勢いでHPが減っていくし、コイも容赦なく攻撃しまくってくる……。うがー! はしゃぎ過ぎた上に、格下だと油断し過ぎた結果だけど、この死に方はあんまりだー!
<サクラ【巧みなライオン【雷】】が死亡しました>
<死亡した為、ランダムリスポーンとなります>
「……死にました。……なんか凄く凹む死に方をした気がします」
うぅ、まさかこんな死に方をするなんて欠片も思ってなかったよ……。うがー! 今回はいくらなんでも油断し過ぎたー! だからこそ、なんだか凹む……。
サツキ : えーと……サクラちゃん、ドンマイ!
ミナト : サクラちゃん、まだ進出したての新エリアって事は忘れないようにね?
富岳 : そうだな。今回のは油断し過ぎだ。
チャガ : とはいえ、運が悪かったとこもあるから何とも言い難いとこではあるが……。
ミツルギ : そうなんだよなー。まぁエリアの特徴として、次は気を付けろとしか……。
「はい、次は気を付けます! ……悪ふざけで落ちるのは本当にやめときます」
全てはあの悪ふざけが原因だしね。もう油断し過ぎにはならないように気を引き締めるとして、ランダムリスポーン先の確認から! って、まだマップの解放がまだだった!? まずはそこからやらないと駄目だったー!
「また死んだんですけどー!」
「別にいつもの事じゃない?」
「うぐっ!?」
「というか、今回は普通に自業自得だよね?」
「ぐぬぬ!?」
「自分から滑るのが分かってて、滑りにいってたよね?」
「……確かにそうですけども! 連続で朦朧とかは酷くないです?」
「その辺は確率だからね。偏る時があるのは仕方ないよ」
「うぅ……こうなれば! 私、サクラに幸運をという方はブックマークや評価をお願いします!」
「神頼みならぬ、読者頼り?」
「これでどうにかなりませんかねー?」
「需要的に無理だと思うけど……。さて、次回は『第236話 渓流エリアの罠』です。お楽しみに!」
「それ、どういう意味ですかねー!? というか不穏なタイトルだー!?」




