第201話 回復の手段
ふぅ、なんか妙に焦るイノシシとの戦いだったけど、なんとか撃破成功! それにしても4割くらいまでHPが減っちゃってるなー。噛みつきで多少の回復は出来るようになってるけど、それでも全快出来る程じゃないもんね。
「とりあえずちょっと回復させるとして、レンコンを使うか、普通の果物を使うか、そのまま自然に回復させていくか、悩むところですね……」
やっぱり『再生強化Ⅰ』が欲しくなってくるよ! んー、でも少し前に『出血効果』を解放しちゃったところだし、今の進化ポイントは……うん、5しかないね! あ、でもこれなら『再生強化Ⅰ』の前の『生命+30』が解放出来る気がする!
ミツルギ : スキルツリーを見始めたけど、残ってる第3段階の解放か?
ミナト : 残りは生命が1ヶ所と、俊敏が2ヶ所だしねー!
こんにゃく : こうやってちょいちょい回復を挟むなら、『再生強化Ⅰ』を先に取るのでもいいんじゃ?
富岳 : まぁ出血効果を先に取ったし、必ずしも決めた順番通りにやる必要もないか。
「あ、そういえば出血効果を取った時は全然その辺を考えてなかったです!?」
自分で第3段階を全部解放していくって目標を立ててたのに、知らない間に無視してた!? うん、まぁいいや! この配信では私こそがルール! だから、私の意思で捻じ曲げる分については問題なし!
「まぁ実用性での優先順位の問題ですね! 前々から欲しいとは思っていたので、『再生強化Ⅰ』を最優先での取得にします!」
目標を立てるのは大事だけど、その時に必要なものを蔑ろにするのはダメだよね! 今の私に必要なのは、HPの回復速度を少しでも上げる手段! まぁ今はまだ進化ポイントが足りないし、今回のは目標の範囲内だけど!
「という事で、生命のスキルツリー第3段階の解放です!」
<『生命』第3段階:ステータス強化『生命+30』を解放しました>
ふっふっふ、これで進化ポイントは尽きたけども、それでも着々とステータスの強化は進んでいってる! 次に『再生強化Ⅰ』を取るのは確定だけど、その先は俊敏のスキルツリーの第3段階を2つとも解放しないとね。
「さてと、今の回復は結局どうしましょう?」
スキルツリーの解放をしてる間に5割近くまでは回復しちゃったから、レンコンを使うなら今が最後のチャンスかも?
ミツルギ : 一回レンコンを使っておくのもいいかもなー。まず戦闘中には使えないし。
ミナト : 絶対に使えない訳じゃないけど、面倒なのは確かだもんねー。
G : あれを戦闘中に使うとか、面倒とかそういうレベルか?
富岳 : 面倒で済ますところがミナトさんらしいとこだな。
ミナト : え、そう?
「あはは、レンコンでの回復ってそういう感じなんですね。そういう事なら個数は少ないですけど、今使ってみます!」
ミナトさんが面倒だと言う事は、他の皆さんの反応の方が一般的で間違いないよね。戦闘中にはまともに使えず、HPを50%も回復させる必要性がある状況とは今まさにこの時!
という事で、アイテム欄からレンコンを取り出して……うん、大根くらいの大きさがあるね。えーと、これをガブリと食べたら良いのかな?
ミツルギ : それを丸ごと1本食べ切れば、回復になるからなー。
チャガ : 食べ切るのに時間を空けすぎると、回復効果が無くなるから要注意だぞ。
いなり寿司 : このサイズを戦闘しながら完食しろって、ほんと無茶だよなー。
咲夜 : ……確かに。
G : しかもHP50%もの回復が必要な戦闘中にだからな。
「それは確かに無茶ですね!?」
それをやろうと思ったら、常にレンコンを咥えながら戦って、攻撃の合間にちょっとずつ食べていくしかない気がする! うん、これは冗談抜きで戦闘中には無理! 一気の50%の回復が必要な状態って多分苦戦中だろうから、余計に無理だー!
「とりあえず、食べていきますねー!」
という事で、レンコンにガブリと噛みつく! おー、シャキシャキした感じがして、普通に美味しいね。ただ、量が多いよ! それにライオンの姿だと一口で食べ切れないサイズは食べにくい!
「むぅ……相当食べにくいですね……」
なんだろう、この食べにくさ? あ、なんとなく分かった! 棒のついてるアイスを、手で持たずに食べろって言われてる感じがする!
うーん、ゲーム内で衛生面には問題ないから、地面に置いて前脚で押さえながら食べよっと。ガブリ、シャクシャクシャク……。
「これは確かに戦闘中には無理ですねー」
食べてる状態が隙だらけになって、攻撃して下さいって言ってるようなもんだもん! 普通の果物でも戦闘中には使いにくいのに、レンコンは使いにくいなんてレベルじゃなかった!
うん、この回復量がある理由がよーく分かった! 戦闘中に使わせる気がなくて、今みたいに戦闘してない時専用なんだ!
ミツルギ : 試してみて良かっただろ?
咲夜 : サクラちゃんなら、知らずに戦闘中にレンコンを取り出しても不思議じゃなかったしなー。
イガイガ : あー、それは確かにやりそう。
富岳 : 丁度いい感じに、レンコンを使う機会があってよかったもんだ。
いなり寿司 : 戦闘中には使うなとは言わずに、食べさせる方向へいったのはナイス!
神奈月 : 割と直球じゃなかった?
こんにゃく : 普通に戦闘中には使えないって言ってたような?
ミツルギ : そこは掘り返さなくてよくね!?
「ミツルギさん、私の行動を誘導してたんですか!?」
よく考えてみたら、今回のレンコンの件って微妙にネタバレになってる気もするよ!? むぅ、ミツルギさんめ、これはやってくれたね!?
ミツルギ : サクラちゃん!? いや、それはだな!?
サツキ : なんだかレンコンが食べたくなってきたねー! あ、今あるからおかずに一品追加!? やった……って、思考入力での誤入力!?
いなり寿司 : 思考入力で、リアルのおかず情報がダダ漏れなサツキさんであった。
咲夜 : あー、油断すると時々あるやつー!
「サツキさん、何をやってるんですかねー?」
レンコンを食べたくなって旦那さんがおかずに一品追加してくれたとかそういう些細な情報だからいいけど、姉さんはリアル情報を本気で誤入力しないでねー! 間違っても私の本名とかは冗談抜きでやめてね!?
そうしてる間にもう一口、ガブリ、シャクシャクシャク……。ライオンなら4口か5口くらいで食べ切れそう? ううん、もう残り一気にいっても口に入るサイズになってきた気がする!
富岳 : あぁ、そうだ。サクラちゃん、レンコンを食べる時の注意すべき事があるんだが、聞いておくか?
ミツルギ : あ、そういえばそっちを忘れてた。
いなり寿司 : 誘導をした割に、そこを忘れるとか……。
ミツルギ : 俺だってど忘れくらいするわ! それはそうと……俺、怒られるやつ?
サツキ : レンコンってそんなに注意すべき点があるの!?
水無月 : そっかー、ライオンだから色々と違うんだね!
「それはなんだか聞いておいた方がいい気もしますから、富岳さん、教えてもらってもいいですか? あ、ミツルギさん、今回のは特に気にしてないので構いませんよー!」
とりあえず聞きながら、レンコンの残りを一気に食べちゃえ! ガブリと……あれ? ちょっと詰め込み過ぎた? うぅ、食べにくいし、適度に噛み砕いたとこで一気に飲み込んじゃえ!
富岳 : なんでこう、注意すべき事を説明する直前に実行するのか……。その状態から慌てて飲み込もうとするなよ、窒息になるからな!
サツキ : え、そんな事があるの!?
ぎゃー!? 言われるのが今で良かった! 丁度、無理してでも飲み込もうとしてた瞬間だったよ! あれ? さっきまで普通に喋れてたのに、今は何でか喋れないよ!? これ、なんでー!?
ミナト : サクラちゃん、今は喋れないと思うけど、喋れない時は食べる時の窒息の危険信号だからねー! 判別基準はそこ!
咲夜 : え、そんな判別基準あったの!?
ミツルギ : サクラちゃんは配信しながらだから分かりやすいけど、普通は気付かないやつなんだよなぁ。
いなり寿司 : 地味に初めて知った、その仕様。
富岳 : まぁオフラインゲームで喋りながら、それも回復アイテムを食べてる最中になんて早々実行しないからな。
言われてみたら確かにそうだよね!? それに今まで口の中に何かあっても普通に喋れてたから、そんな事があるなんて気付きもしなかったよ!
ともかく今は喋れるように口の中のレンコンをちゃんと噛み砕いて、窒息しないように飲み込んでいくのみ! うぅ、下手に食べ過ぎて強引に飲み込むと窒息するとか無駄に作り込まなくて良い部分な気がするよ!? 開発さん、妙なところに拘りを発揮しないでー!
「ぷはっ! なんとか食べ終わりました!」
やっと喋れるようになったし、HPもしっかりと全快! ふー、レンコンを食べるだけで、なんでこんな事になってたんだろ?
「ちなみに今ので窒息になってたらどうなるんです?」
富岳 : 回復手段が存在しないから、そのまま死亡だ。
ミナト : 慌てて食べたら、窒息して自滅になっちゃうんだよねー! だから戦闘中に食べるのは面倒なの。
G : 地味に罠仕様なんだよな、そこ。
「地味に命の危機だったんですね!?」
うがー! 変なところに罠仕様を作らないでくれませんかねー!? 富岳さんから聞かなければ、自滅してランダムリスポーンになってたとは思わなかったよ! レンコン絡みで死にかけ2回目ってどういう事なの!?
「いぇーい! 連載再開です!」
「おー、テンション高いね、サクラ」
「そりゃそうですよ! 中途半端なとこで止められてたんですもん!」
「そこはどうしてもね……?」
「まぁ過ぎた事は仕方ないです! それで作者さんは休めましたか?」
「んー、半分以上は書き溜め分の執筆したり、第3巻の制作を始めたりしたから、休めたかは微妙?」
「休みなのに何やってるんです!? 残りは休んでますよね!?」
「いやー、コロナのワクチンの1回目を打ってて、副反応で腕が痛かったし、怠かった。書き溜めは2回目の時に連載を止めないように補充してるしねー。だから、純粋な休みって期間の中では2日くらい?」
「何やってんですかー!?」
「休んでても、時間が中途半端でそんなにする事なくて暇なんだよ。という事で、今日から連載再開になりますので、応援してくださる方はブックマークや評価をしていただけると励みになります」
「なんか作者さん、執筆中毒か何かになってません?」
「……正直、あまり否定ができない? 今って、なろうで書き始めた頃の倍以上は書くようになってるしねー」
「倍以上って無茶ですね!?」
「まぁその辺の事はいいから。さて、次回は『第202話 解放された湿原のマップ』です。お楽しみに!」
「うぅ、なんか今回はツッコミ疲れました……」