第175話 違った戦い方
さーて、さっきは俊敏な敵だったから疾走での体当たりは失敗したけど、次はちゃんと当てて威力を確認するぞー! ふふーん、それでは疾走を……。
「あ、まだ疾走は再使用時間中でした……」
すぐに走り出したい気分だったけど、使えなかったー! まぁそんなに時間がかかるわけじゃないし、今は普通に走っていようっと! 看破はまだ効果中だから問題ないよね。
咲夜 : まぁ再使用時間はしゃーない。
チャガ : どうせなら、その状態から完全にスキル無しで戦ってみたらどうだ?
いなり寿司 : あー、確かにそれはありかもな。
「それは良いかもしれないですね! ちょっとやってみましょうか!」
屈強のステータスが大幅に強化したんだから、スキル無しでどの程度通用するかを知っておくのもありかも! 多分それを本格的にやるなら、スキルじゃなくてステータス強化をもっと解放する必要があるんだろうけど、そうじゃなきゃ全く使えないという事はないはず!
「丁度いい敵はどこかにいませんかねー?」
とりあえず西を目指して駆けながら、敵を確認! うーん、Lv19の知恵あるタンポポはパス! 他には……Lv20の俊敏なヘビもスルー! あ、Lv15の屈強な……バッタは小さいからいらないよ! うぅ、いい感じの敵が見つからない!?
富岳 : 適度な大きさで、試しやすい系統の敵がいないな。
サツキ : この状況だと試しやすい敵って何になるのー?
ミツルギ : ここだと生命か屈強か器用のウサギかイタチ辺りか?
いなり寿司 : 今後の戦闘に組み込む為の実験ならLv帯は近い方が良いかもな。今みたいに雑魚敵の処理用ならLv15くらいでも良いけど。
「うーん、メインはスキルでいくつもりなので、どちらかというと雑魚敵処理用ですねー!」
1対1ならスキルを使った方が確実に威力は出るし、乱戦なら雷纏いの出番だし、遠距離なら放電の出番だもんね。あくまで通常攻撃は主力じゃないから、今までより威力が上がってるのが確認出来るならそれで問題なし!
G : まぁ適性Lvの敵との戦闘ならこの先いくらでもあるから、無理に今する必要もないだろ。
いなり寿司 : あー、まぁそりゃそうか。
サツキ : あっ! サクラちゃん、屈強なウサギがいたよ!
ミツルギ : お、Lv16なら適度に良い感じだな。
「あ、本当ですね! それじゃちょっとスキルなしで戦ってみますね!」
この辺は起伏が少なくて平坦だから見通しが良くて、少し先にウサギの姿は確認出来た! という事で、疾走なしでの全力疾走だー! うーん、遅くはないけど、スキルとしての疾走を使った時よりは数段速度は落ちるけど、問題はない範囲!
「とりあえず爪での攻撃からです! えいや!」
駆けてきた勢いを乗せた爪での1撃で切り裂く! おぉ、これでHPが1割近く削れるんだ! Lv差があるとはいえ、思った以上にダメージがあったよ!
「これは思った以上に威力が上がってる気がします! わっ! 噛みついてこないでくださいよ! えい!」
噛みつこうと反撃してきたけど、地面に叩きつけるように前脚を振り下ろす! んー? 今のはさっきの爪での1撃ほどは威力がないね?
「1撃目って、さっき走ってた分だけ威力も乗ってました?」
チャガ : まぁそうなる。ダメージは勢いがあれば増えるからな。
ミツルギ : スキルよりも通常攻撃の方が、その辺での威力は上がりやすいぞー。
ミナト : サクラちゃんがよくやる、噛みついた状態で岩に叩きつけるのもその類だからねー!
「あ、そうだったんですか!」
そっか、あの岩に叩きつけるのってミスしたら朦朧になるくらいの勢いはつけてるから、それが良い感じにダメージになってたんだ!
「それならこれならどうですかねー?」
ふっふっふ、それなら今度は引っ掻いてきたウサギの攻撃を後ろに飛び退いて、そこから一気に距離を詰める感じで勢いをつけてみよう! 走ってきた時よりは勢いはないけど、それでもライオンの瞬発力はあるもんね!
「えいや! おぉ、少し威力が上がりました!」
神奈月 : おー、良い感じの攻撃!
ミツルギ : 勢いをつけて威力を補うのは常套手段だしな。
ミナト : うん、乱戦でないならダメージを上げやすいやり方だからねー!
チャガ : 多数の敵相手のやり方もあるが、まぁそれは今のサクラちゃんの育成では向いてないな。
「沢山の敵相手のやり方っていうのもあるんですかー! まぁ私向きでないなら、気にしないで良さそうですね!」
今の私なら、沢山の敵を相手にする場合は雷纏いを使えばいい! どういうやり方なのかは気になるけど、今は気にしなくていいや! ライオンをクリアして他の種族をやる時になったら、スキル主体じゃなくて通常攻撃主体の育成もやってみたいよね!
「次はこれならどうですかねー! えいや!」
ウサギの攻撃を飛び退いて回避して、そこから今度は体当たり! おー、これも良い感じのダメージになった! ふっふっふ、何もスキルを使わずにもうHPを半分まで削ったよ!
「うーん、やっぱりスキルの方が強いですね。それに吹き飛び方も微妙です……」
良いダメージは出てるけど、スキルを使っての体当たりと比べると見劣りはする。それにウサギはちょっと後ろに吹っ飛んではいるけど、吹っ飛ばしたいならスキルを使った方が良いよね。
ミツルギ : まぁサクラちゃんはスキル主体になってるから、そこはなー。
G : その辺は使い分けだぞー。
イガイガ : 吹っ飛ばしを抑えたいなら、スキルを使わない方が良かったりするし。
「あ、確かにそれはそうですね! 何となくスキルなしでの今の状況は分かったので、最後にこれを試しましょう! 『疾走』!」
噛みつきは勢いでダメージが変わる気はしないから、元々試す予定だったこれを試して仕留めよう! 仕留め切れなかった時に噛みつきを試す感じで! という事で、疾走で少し離れてから――
咲夜 : ん? それはマズくないか?
ミナト : うーん、まぁ良いんじゃない?
金金金 : え、何が? あっ、なるほど。
いなり寿司 : あー、トンビか。
サツキ : あー!? トンビが横取りに来てる!?
「ぎゃー!? 何してるんですか、そこのトンビ!?」
なんか急に上からトンビが、私が戦ってたウサギに向かって急降下してきてる!? あー!? そういえばそういう事があるってさっき話をしてた気がする! 確かHPを半分以下にして攻撃を止めた時に狙ってくるとか言ってた!
「横取りは許さないんですよ! 急加速です!」
うぅ、今にもトンビがウサギを掻っ攫っていきそうだけど、そうはさせない! 雷に打たれまくって死にまくった、私のライオンの跳躍力で何とかするのですよ! ここで、大ジャンプー!
「やった! トンビに直撃です!」
ふっふっふ、トンビがウサギを持ち上げてちょっと飛び上がったところで衝突成功! なんとか届いたし、トンビもウサギも地面に向かって落下中! というか、私も落下中なんですけどー!?
えっと、えっと、疾走の発動中は止まるんじゃなくてそのまま駆け抜けていくように進めばいい! 着地はしてもそこで止まらないように進んでいけばいいだよね!
「……なんとか着地は成功です!」
ふぅ、今回は変に着地を失敗せずにそのまま駆け抜けていくのは成功! ふっふっふ、失敗から学んでいるのですよ! さーて、このままの勢いで先にウサギを仕留めて――
<成長体を撃破しました>
<進化ポイントを1獲得しました>
「あれ? もしかして、ウサギが落下ダメージで死にました?」
えぇ、まだ疾走での体当たりを試せてないよ!? あれ? でもさっきの大ジャンプからのトンビへの直撃で試せた事になるの? ……うん、ちょっと予定とは違ったけど試せてた気はする。
ミナト : その前にトンビと一緒に体当たりのダメージを受けて、瀕死状態にはなってたよー!
富岳 : トドメは落下ダメージだが、体当たりで落下に勢いもついてたぞ。
金金金 : 今のはサクラちゃんが倒したので間違いない。
「あ、そうだったんですね! ともかく邪魔したトンビは死んでもらいます!」
自分で思ってたよりもしっかりとダメージは与えられてたみたいで良かった! さーて、次はトンビにくたばってもらうだけだね! 邪魔をした対価として、進化ポイントをおいていけー! もう一度、急加速開始!
「あ、このトンビ朦朧が入ってますね! 狙いやすいので丁度いいです!」
という事で、無防備に地面に落ちてるトンビに向かって体当たり! ……うん、当てにくいから、踏みつけていくのに変更! 疾走の効果が切れるまで何度も方向転換を繰り返して踏み潰しちゃえ!
「意外とこの攻撃方法は良いですね!」
咄嗟の思い付きでやったけど、踏みつけた時に爪を立てる感じにしたら結構なダメージになってるね! 朦朧が続くように、出来るだけ頭を狙って踏みつけていこー!
金金金 : あぁ、トンビが何度も踏み潰されていく。
咲夜 : 地味に朦朧を狙って頭狙いなのがえげつない!?
ミツルギ : 飛んでる敵のこういう倒し方、初めて見た気がする。
富岳 : これが出来る機会もそうないだろ。
ミナト : やった事ないけど、手段としてはありだよねー。
この手段ってミナトさんでもやった事がないんだ!? うーん、まぁ疾走の発動中にトンビが地面に落ちてるって状況はそうないよね。今回は偶然こういう状況になったけど、この状況を意図的に作れって言われても微妙だもん。咆哮で落とせたなら、普通に攻撃すればいいだけだもんね。
「あ、疾走が切れました! それじゃこれでトドメです! 『噛みつき』!」
<成長体を撃破しました>
<進化ポイントを1獲得しました>
思った以上に踏みつけたのでHPが減ってたし、噛みつきでトンビのHPを全部削って撃破完了! 横取りをしようとするからそうなるのです!
「さて、トンビも倒しましたし、移動再開……あ、そろそろ時間切れですかね」
流石にもう配信時間がアウトかな? うーん、最後の〆はしないといけないし、今日の配信中のプレイはこの辺りまでにしようっと!
「ふっふっふ、トンビには報いを受けてもらいました!」
「割とえげつない事をするよね」
「横取りしてきたのが悪いのですよ!」
「……その条件を忘れて離れたのは――」
「それにしても意外と攻撃用のスキル無しでも戦えるんですねー!」
「露骨に話を逸らしたね?」
「攻撃スキル無しでの育て方ってのも楽しそうですから、そのうちやってみたいですね!」
「……まぁ結構先にはなるけど、それもいいかもね」
「まだ気が早い気はしますけど、配信中にやる2種族目は何がいいですかねー? 私としてはキツネもやりたいんですけど、他にも色々やってみたいです」
「まぁそれはライオンをクリアしてから考えようか」
「それもそうですね! それでは、私、サクラに育成をどんどん頑張っていけと応援してくれる方はブックマークや評価をお願いします!」
「おぉ、今回はまともだ」
「ふふん! まともにだって出来ますから!」
「無駄に自慢げなサクラは置いといて……次回は『第176話 今回の配信はここまで!』です。お楽しみに!」
「配信の〆ですねー!」