第167話 油断の先には
うぅ、乱獲をしてた事でLv5以上離れた敵を攻撃したら未成体に襲われる状態になってるのをすっかり忘れてて殺されたー! あのネズミ、進化したら確実に仕留める!
「それで、結局どこにランダムリスポーンしたんですかねー?」
エリアボスのタカの場所に向かって移動中だったけど、現在地がどうなったか心配なところ。遥か遠く離れた場所になってませんように! えーと、マップを最大表示にして……。
「え、ここって草原エリアの近くじゃないですかねー!?」
ぎゃー!? 思いっきり遠い場所だよ! えぇ、これってどうしよう? タカがいる場所から相当離れちゃった……。
ミナト : あらら、かなり遠くまで飛ばされちゃったね。
いなり寿司 : まさかここにまた来るとはなー。
チャガ : ここからだと、あのタカの場所は遠いか……。
G : これはもう一度死んでランダムリスポーンか?
ミツルギ : そこらの敵を倒せば、まぁ即座にランダムリスポーンは可能ではあるか。
咲夜 : でも、場合によっては更に遠くなる可能性も……。
「この周辺の敵を倒せば、また私を殺しに未成体がやってきますもんねー」
どうせ遠くまで飛ばされてるのなら、もう一度ランダムリスポーンに賭けるという手段は選択肢としてありだよね。ただ、咲夜さんが言ってる通り、どこに飛ばされるかは実際にやってみないと分からない。
時間をかけて地道に戻るか、それともランダムリスポーンに賭けて未成体のネズミにまた殺されるか……。あ、そういえば適応進化の状況は大丈夫かな!?
「ちょっと質問です! 今の私の状況で死んでも、適応進化は発生しないですよね!?」
ミツルギ : あー、多分発生するだけの回数は行ってないから大丈夫なはず。……死因が敵に殺されるので重なってる気もするから、このまま死に続ければ危険だが。
イガイガ : この場合で発生するとしたら、堅牢を強化するタイプの適応進化か?
神奈月 : 格上に負けまくった場合はそうなるはず。
咲夜 : エリアボスに負けまくらなければ、そこは大丈夫じゃない?
イガイガ : あ、サクラちゃんに負けフラグが立った?
いなり寿司 : あー、サクラちゃんは負けるのか。
サツキ : 咲夜さん、不用意な発言はダメだよ!?
咲夜 : なんか理不尽!? というか、サツキさんだけには言われたくない!
「なんか猛烈に不安になってきたんですけど、大丈夫ですよね!? 私、そんなにタカに殺されまくったりしませんよね!?」
咲夜さんの発言が本当にフラグになる事が結構あるから、本当に不安になってきた……。対抗出来るスキルがあるとはいえ、それでも相性的には根本的に悪いって話だしね。うぅ、本当に私はタカに勝てるの?
金金金 : 狐っ娘アバターの不安そうな表情。
神奈月 : 実際問題、相性は悪いしなぁ……。
チャガ : 放電と雷纏いがあるとはいえ、普通の格上と戦う以上に厄介であるのは間違いない。
サツキ : サクラちゃん、やればできるよ! ファイト!
富岳 : まぁ実際に今の状況で戦ってみないと何とも言えないとこではあるな。勝ち目がない訳じゃないから、やめておけと言う気にもなれん。
ミナト : そうなんだよねー。だから、どうするかはサクラちゃん次第だよ?
うぅ、死んでランダムリスポーンになったせいで、ちょっと弱音が出ちゃった……。とりあえず深呼吸して、少し気持ちを落ち着かせよう。私に勝ち目はあるという判断はしてくれてるし、今は焦りこそが一番の敵!
「……ふぅ、ここで弱気になってたら駄目ですね! 今は勝つことを考えて挑みに行きましょう! って、その前に移動をどうするかが問題なんでした……」
うーん、適応進化が発生するだけの死亡回数にはなってなさそうだし、とりあえずは大丈夫? サクッと殺されてランダムリスポーンをしてしまっても、そこまでリスクはなさそうかな?
ミツルギ : あ、そうか。サクラちゃん、どうしても心配なら一度草原エリアに戻るといいぞ。
神奈月 : それで適応進化のカウントはリセットされるか!
ミナト : そういえばそうだね。うん、場所が場所だし、それはありかも?
「そういう手がありましたか! そのミツルギさんの案を採用です!」
そっか、そっか! ここってもうすぐそこが草原エリアだもんね! エリアの切り替えをしたら適応進化の条件のカウントがリセットされる仕様なら、そういうやり方もありだー!
という事で、早速北に向かって出発! すぐに戻って来るけど、少しだけスタート地点の草原へと帰郷です!
<『名も無き丘陵』から『プリン草原』へとエリアが切り替わりました>
そして、戻ってきました、草原エリア! そういえばエリア名を変えてから草原へやってきたのは地味に初めてかも! よく考えたらエリア名に関係なく、戻ってきた事自体が初めてだった!
「そういえば、ここで成長体の乱獲をしたらどうなりますかねー?」
ふと思ったから聞いてみる! もし出来るのなら、ここで進化ポイントの乱獲を――
G : それはやったらダメなやつ!?
チャガ : 乱獲防止で始末しにくるのはエリアは関係ないから、草原エリアでランダムリスポーンをしたくないならおススメはしないぞ。
「そこはエリアが変わっても駄目なんですね!? それなら止めておきます!」
今のは聞いてみて正解だったみたい! ふぅ、何も聞かずに実行してたら危ない事になってたよ! あのタカの位置に近付きたいから手段を模索してるのに、更に移動距離が延びる事をしてどうするのさー!
「それじゃ丘陵エリアに戻りますねー!」
<『プリン草原』から『名も無き丘陵』へとエリアが切り替わりました>
草原エリアへの帰郷はこれで終わり! まぁ目的は適応進化のカウントのリセットだけだから、これで目的は達成だー! さて、これからまたあのネズミに倒されてランダムリスポーンをしていこー!
「あ、その前に手に入ってる進化ポイントで『身構え』を取っておきたいですね!」
うふふ、死んでここに来てるのは誤算も誤算だけど、良い方の誤算もあるもんね! 移動途中で稼ごうと思ってた堅牢のスキルツリーの第2段階にある『身構え』を解放出来るだけの進化ポイントの余裕は出来ているのです!
いなり寿司 : そういや運よく『死亡還元』の効果が出てたっけ。
サツキ : サクッと取っちゃえ、サクラちゃん!
「はい、そのつもりです!」
具体的にどの程度の効果があるかは使ってみないと分からないけど、全く無意味な効果ではないはず! という事で、とりあえず堅牢のスキルツリーを表示!
<『堅牢』第2段階:スキル『身構え』を解放しました>
ふっふっふ、進化ポイントを3消費して解放完了! これがあのタカの猛攻を凌ぐのに役立ってくれたらいいんだけどねー!
「さて、それじゃ死にましょう! あ、折角なのでちょっと無茶をしましょうか! 『看破』『放電』!」
咲夜 : え、何やるの?
ミツルギ : ん? なぜそこで放電を溜め……あ、そういう狙いか!?
富岳 : ……なるほど、無茶なことを考える。
ミナト : あはは、まぁそれなら特に対策らしい対策はされてないからいけるね!
いなり寿司 : そうか、1撃でも攻撃したらアウトな状況だけど、これだけ周囲に1撃で倒せる敵が複数いたらそうなるよな。
咲夜 : あ、放電で一気に雑魚敵を仕留めるのか!
チャガ : この状況自体が早々整わないが、死ぬのが確定してるならやらないのは損だな。
ランダムリスポーンを使って移動しようとしてるんだから、死ぬこと自体は仕方ない。仕方ないというか、死ななきゃ実行できないしねー! でも、ここにランダムリスポーンしてきた時の事を学習したのさ! 攻撃してしまったらアウトだけど、その攻撃で仕留めてしまえば進化ポイントは貰える! だったら、狙わない手はないよね!
ふふーん、放電よ、溜まっていくのです! 最大まで溜まったら、看破で見えてる6体の敵を一気に仕留めて進化ポイントにするのさー!
「放電、最大まで溜まりました! それでは放電、開始です!」
6体の敵、それぞれに同時に当たるようなイメージで狙いを付けて放電開始! この後すぐに私は死ぬけども、その前に進化ポイントを寄越せー!
<成長体を撃破しました>
<進化ポイントを1獲得しました>
<成長体を撃破しました>
<進化ポイントを1獲得しました>
<成長体を撃破しました>
<進化ポイントを1獲得しました>
<成長体を撃破しました>
<進化ポイントを1獲得しました>
<成長体を撃破しました>
<進化ポイントを1獲得しました>
<成長体を撃破しました>
<進化ポイントを1獲得しました>
ふっふっふ、一気にこれで進化ポイントが増えましたよ! これで何か他のスキルかステータスを解放するのもありかも?
「さぁ、得るものは得ました! 強烈なネズミ、私を殺すと良い……って、ネズミじゃなくてヘビが出てきたんですけど!?」
しかも相当大きなヘビなんだけど!? 堅固なヘビってなってるけど、完全に大蛇だー!?
金金金 : あ、これで出てくる格上の敵って固定じゃないんだ。
ミナト : そのエリアで出てくる種類の敵のどれかになるよー。
ミツルギ : さっき殺しに来たネズミが同じだったのは、単なる偶然だな。
え、そんな内容だったんだ? って、ぎゃー!? 大蛇に巻き付かれて締め上げられ――
<サクラ【器用なライオン【雷】】が死亡しました>
<死亡した為、ランダムリスポーンとなります>
うん、大蛇に締め上げられて死んだね! てっきりまたネズミに殺されるかと思ったけど、未成体って1体じゃないんだ。よーし、仕留める対象としてあの大蛇も追加で!
それはともかく、ランダムリスポーンでどこに移動になったか確認だー! エリアボスのタカがいる場所に近ければ良いんだけどね。
「まさかの草原エリアへの帰郷でした!」
「ほんの少しだけだったけどね」
「ですねー! それにしても、今日はやっぱり妙にランダムリスポーンに偏りがありません?」
「そういう時もあるさ」
「うーん、まぁ成果はあったので良いですけども……」
「進化ポイントは大事だからねー」
「ですよねー! 新スキルが取れたのは良かったです!」
「それにしても、サクラは死ぬと決めたら躊躇がないね」
「足掻くだけ無駄ですしねー! 私の死にっぷりが見事だという方はブックマークや評価をお願いします!」
「……死に芸じゃないとか言ってなかったっけ?」
「まぁそこは気にしない方向で!」
「いいのか、それで……。さて、次回は『第168話 エリアボスの元へ』です。お楽しみに!」
「おぉ! という事は、比較的近場に出るんですね! 頑張ります!」