第165話 リベンジの準備
ふっふっふ、成長体の上限Lvに到達! 進化は可能になったから、とりあえずエリアボスのタカへのリベンジを果たす時!
「それじゃタカへのリベンジをしに行きましょう! 『看破』『疾走』!」
現在地はあのタカがいる場所から結構離れちゃってるから、途中で見つけた敵を倒しつつ移動なのさー! 一般生物は見つけ次第、HPの為に食らうのです!
「あ、一般生物のトカゲを発見です!」
狙いやすいように疾走を減速させつつ……ガブリを捕食! 劇的なHPの回復量ではないけど、これならちょっとずつでも回復していける!
イガイガ : ほんと、躊躇が皆無だなー。
サツキ : 昔から思ってたけど、サクラちゃんはなんでそんなに平気なの!?
「え、小学生の頃に毎年おじいちゃんの家で見てたから……あ、そっか! サツキさんはいつも一緒には行ってなかったですもんね!」
姉さんとは10歳差だし、私が小学生の頃って受験生だったり大学生だったりでほとんどおじいちゃんの家には一緒に行ったことがないんだ! そっか、改めて考えたら姉さんとはおじいちゃんの家にあんまり行った事ないんだ……。
サツキ : そっか、おじいちゃんの家かー。虫が沢山出てきて、その辺は苦手だったなぁ……。
咲夜 : 見て平気なのと、触るのも平気なのと、口に入れて平気なのは違う気もする。
ミツルギ : 良くも悪くも、サクラちゃんの方がゲームとして割り切ってるんじゃね?
ミナト : その辺の方が大きい気がするねー。
サツキ : あれ!? そういう結論なの!?
「そうなんですかねー? あ、Lv16の屈強なウサギを発見です!」
よーし、タカに挑むまでに少しでも耐久性を上げておきたいから、ここは倒しておこうっと! 疾走で急加速して、思いっきり体当たりで吹っ飛ばす!
「とりあえず疾走が切れるまでは、これで削ります!」
減速しながら方向転換をして、再度突撃ー! ふっふっふ、このウサギは偏ってるタイプみたいで思った以上にダメージが入っている! かなり急加速と減速で効果時間は減ったけど、もう1発いっけー!
神奈月 : 偏りが出て堅牢が低めの敵なら、疾走での急加速でかなりダメージは出るな。
チャガ : 欲を言うなら、屈強と俊敏と堅牢の全てを上げればもっと威力は上がるんだがな。
富岳 : 体当たり系の攻撃の威力は、その辺全部が影響してるしな。
「え、そうなんです!? てっきり、体当たりは堅牢だけなのかと……」
あ、でも堅牢だけで体当たりの威力が決まるなら、私の攻撃の中で一番弱いはずだよね? そういえば堅牢のカブトムシを武器代わりに使った時も結構ダメージが変わってた気がする!
ミナト : 屈強のスキルツリーにあるのは屈強のステータスだけで決まるみたいなんだけど、他のスキルツリーにある近接攻撃は屈強以外のステータスも影響あるみたいでね。とは言っても、一番影響が強いのは屈強だけど。
ミツルギ : キャラの硬さとか、攻撃の勢いとか、その辺がダメージ量に影響するからな。ステータスそのものというよりは、ステータスが上がる事でその辺が強化されて、ダメージ量に反映されてる感じか。
「ダメージ量って、そういう風になってるんですか! えいや!」
とりあえずもう1発は急加速で攻撃! へぇ、今までそこまで考えてなかったけど、言われてみたら確かにそんな感じはあったよね! 堅牢が高ければ硬くなるみたいだし、俊敏が高ければ攻撃速度が上がるから、その辺の影響でダメージ量が上がるんだ!
あ、今の急加速で疾走の効果時間を使い切ったね。そういう形でダメージ量が決まるなら、疾走での急加速の体当たりの威力が結構あるのは必然なのかも! 結構敵を選ぶから、万能とは言えないけど!
「わっ!? 『咆哮』!」
ウサギが噛みつこうと飛びかかってきたから、即座に咆哮で無効化! ふぅ、咆哮は本当に便利だね!
「とりあえず、さっさとウサギには死んでもらいます! 『爪撃』『連爪』!」
なんか4連撃の攻撃としてセットで使う事が多くなってきてるけど、これでHPは半分以上削った! えっと、噛みつきでのHPの回復も狙いたいから、トドメになる前に使った方が良いかな?
「これでHPも回復です! 『噛みつき』!」
さーて、これでどのくらいHPが回復したんだろ? まだ全快にはなってなかったけど……おぉ!? HPが20くらい回復してる!? アイテムでの回復量には全然届かないけど、攻撃のおまけで回復する量なら結構良い気がするよ!
「思ったよりも回復しますね、これ!」
咲夜 : まぁどんな敵にも有効って訳じゃないけどなー。
いなり寿司 : 毒を使う敵とか、空を飛ぶ敵とか、水中の敵とか、噛みつけない場合は無力ではある。
金金金 : でも、そういう敵以外には有用そうだな。
ミツルギ : どんな敵にも噛みつくのに躊躇がないサクラちゃんなら、かなり有用に使えるだろうな。
サツキ : その躊躇のなさは、流石はサクラちゃんだね!
ミナト : さっきまで平気なのを不思議に思ってたのは、どこ行ったんだろ?
サツキ : そこは気にしなーい!
「まぁこの根本的に噛みつく事自体が危ない敵と、届かない敵については仕方ないですけどねー」
とはいえ、知恵で毒を使う敵以外は、放電と雷纏いで麻痺を狙えばどうにかなりそうな気もする。というか、通用してくれないと今目指しているタカとの戦闘が困るもん!
「あ、暴れ出しましたけど、これで終わりです! 『体当たり』!」
<成長体を撃破しました>
<進化ポイントを1獲得しました>
うふふ、これでとりあえず雑魚のウサギは撃破! 出来ればタカと戦う前に、防御用に堅牢の『身構え』を取っておきたいんだけど、あと進化ポイントが2ほど必要だよね。
まぁまだ距離はあるから、あっさり倒せるLvの敵を狙っていこう! 経験値は入らないんだから、Lvが低い敵の方がどう考えてもお得!
「さてと、それじゃ……あ、まだ疾走は再使用時間中でした……。仕方ないので、普通に走っていきましょう!」
G : なんだかんだで、サクラちゃんは強くなってきてるよなー。
いなり寿司 : まぁ変なところはあるから順当かどうかは怪しいけど……。
「変なところって何ですか! 変なところって! その言い方、失礼じゃないですかねー!?」
私だって試行錯誤しながら頑張ってるんだもん! 1人でRPGをプレイしてる時はもっと詰みまくってるけど、モンエボは意外と詰んでないもん! 死にまくってはいるけど……あれ? 死にまくっても大丈夫なゲーム性だから、詰んでないように見えるだけ……? ううん、そんな事はないはず!
チャガ : サクラちゃん、正直に言うなら順当な育成からは相当ズレてるからな?
富岳 : まぁ1種族目で攻略情報抜きでやるなら、効率良い育て方を引き当てろという方が無茶ではあるがな。
真実とは何か : 先の真実を知っているからこそ、その真実に辿り着けるのだ。
金金金 : ま、初めてやるゲームの最初の最初は試行錯誤になるか。
ミナト : 初めから正解は引けないからねー!
いなり寿司 : まぁそりゃそうか。俺も育成ミスって詰んだ種族もあるし……。
イガイガ : でも、雷への適応進化を1種族目では相当珍しい。
ミツルギ : それは確かに……。
「私の雷への適応進化って、そんなに珍しいんです?」
かなり頼りにしてる雷纏いと放電だけど、そもそも適応進化自体が苦戦しまくらないと発生しそうにないよね? 溺れたら水への適応進化は発生しそうだけど、そこは普通に泳いじゃったし?
ミナト : 単純に雷雨に遭遇するかどうかは運任せだからねー! その上で狙ってやらないと、ほぼ確実に雷の適応進化は出来ないよ。
ミツルギ : タイミング次第では、他の適応進化を解除したくないって場合もあるしな。
神奈月 : あー、あるある。水中戦用に適応進化してて、水中でいた時に雷雨とかあったなー。
咲夜 : 海の種族で海にいる時に、海面で雷雨とかもなー。
「あ、そういう事もあるんですね!」
そっか、雷雨になって初めて落雷で死んだ時はイラっとしたけど、あれってなんだかんだで相当貴重な機会だったんだね。あ、そうしてる間に疾走の再使用時間が過ぎた!
「それでは改めて――」
ミナト : あ、サクラちゃん、待った! 左の方の高台の上、見える?
「え、なんです? あー!? 赤い果物が生ってますね!」
ミナトさんに言われた方向を見てみたら、ちょっと遠いけど赤い実が見えるよ! 識別に敵の表示としては出てないから、多分採集出来るやつ! ここからだと野イチゴなのか、毒の実なのか、どっちか分からないけど、どっちだとしてもやる事は1つ!
「タカと戦う為にも、ここは採集をしていきましょう! ミナトさん、教えてくれてありがとうございます!」
ミナト : いえいえ、どういたしまして!
サツキ : ミナトさん、ありがとうー!
咲夜 : なぜ、サツキさんがお礼を……?
神奈月 : なんというか……不思議な人だよな、サツキさん。
うん、神奈月さんの意見には私も同意! 姉さんってマイペース過ぎるのと、私の事を可愛がり過ぎるとこがあるから、割と謎! んー、姉さんとは10歳も年の差があるのが影響してるのかな? まぁいいや、とりあえず採集をしに高台に向かって出発だー!
「……私、死に過ぎてます?」
「うん、まぁね」
「あっさり肯定されましたよ!」
「だって、事実だし」
「そうかもしれないですけど、もうちょっと言い方ってないんです!?」
「……具体的にどう言えと?」
「そこは作者さんにお任せします!」
「……それなら、はい」
「カンペに書いて渡さないでくださいよ!? うぅ、自分で言った事だから読みますけど……えーと『サクラの見事な死にっぷりに今後も期待という方はブックマークや評価をお願いします』って、何ですか、これ!?」
「ほら、死ぬことを前向きに捉えたら気にならないでしょ? ゲームなんだし」
「死に芸をやれって事ですか!?」
「……既にやってるのでは? あ、次回は『第166話 採集をしてから』です。お楽しみに!」
「私はそんなつもりでやってませんよ!?」