第154話 敵の真ん中へ
フクロウからの攻撃の回避で間違って崖の方に飛び退いちゃって落ちた! そして周囲には俊敏なウサギと俊敏なネズミと知恵あるイチゴがいて、そのど真ん中。
「……さてと、どうしましょう?」
3体とも私を狙ってきてる感じだし、この数は流石に逃げた方がいい? いや、3体くらいなら今までだって同時に相手をした事はあるよ! ……死んだことの方が多い気もするけども!
「よし、ここはこれしかないですね! 『雷纏い』!」
複数体を相手にするなら、雷纏いの出番だよね! ふっふっふ、これで1分間は私は凶悪に強くなった! でも、知恵あるイチゴは危険だから要注意!
咲夜 : お、完全に迎撃態勢か!
サツキ : サクラちゃん、いっけー!
いなり寿司 : まぁ雷纏いがあるなら、3体相手も不可能じゃない。
ミツルギ : 要警戒なのは、知恵あるイチゴだな。
「はい、それは分かっています! なので、最優先でぶっ倒します!」
ただ、何も用意せずに急に落ちちゃったから、再使用時間が過ぎてないスキルも多め。あと少し待てば使えるようにはなるけど、この状況では少し惜しいよね。
「根で歩きだしましたね! あ、そういえばこれってどうですかねー? 『疾走』!」
スキルを使わなくても、雷纏いでの麻痺効果はある。そして急加速が可能になった疾走と組み合わせたら……その勢いを利用して、スキルではない体当たりだー!
「おぉ!? 思った以上にイチゴが吹っ飛びましたよ!?」
麻痺にはならなかったけど、それでも思ってた以上にダメージが入って倒れたよ! ふっふっふ、根を地面から出して歩くからあっさりと吹っ飛んで倒れるのですよ!
よーし、この調子で一度減速をして、今度はウサギとネズミにも体当たりをしていくのさ! 雷纏いの疾走体当たり、続けていくよー!
「むぅ……ウサギとネズミは素早いですね! イチゴは起き上がってこないでください!」
うん、今度も上手い感じに倒れてくれた! それに急加速のおかげか良い感じのダメージ! 知恵あるイチゴだから麻痺が上手く入ってくれないのは仕方ないね。
うーん、俊敏な残り2体は回避が上手くて、この手段じゃ攻撃が当たらないー。疾走で急加速してるし、強引に向きを変えまくってるからその分だけ細かい調整が出来なくて当てにくい気もする。
神奈月 : おぉ、そう来たか。
金金金 : そういう手もありか。
チャガ : この手のはスキルではなく、通常攻撃を主体として戦う時の手段だな。
ミツルギ : 雷纏いとの相性は抜群だ!
「あ、こういう戦法ってスキルをあんまり使わない方向性のやつなんですね!」
疾走はスキルな気はするけども、攻撃用のスキルではないからノーカウントになるのかな? こういう手段なら再使用時間に左右されにくいから、良さそうではあるよね!
「そこです! 『振り回し』!」
急加速でどんどん疾走の効果時間は削れて効果が切れたけど、この状況ならむしろその方が都合はいいよ! ネズミへの疾走での体当たりは回避されて空振ったけど、すれ違い様に尻尾を叩き込む!
「とりあえずこれでネズミは麻痺になりましたね! ウサギにはこれです! 『体当たり』!」
丁度いい感じにウサギとイチゴが一直線上にいたから、ウサギを吹っ飛ばしてイチゴに当てるのです! おぉ、これは大成功! しかもウサギもちゃんと麻痺してくれたよ!
「なんか思ったよりも楽勝ですね? 『爪撃』『連爪』!」
イチゴはどうも毒を使ってくる様子もないし、根本的に攻撃らしい攻撃もしてこないよ? ウサギとネズミも、回避ばっかであんまり攻撃はしてこないよ? まぁ私としてはその方が楽で良いんだけど……ともかく今のうちにイチゴを仕留めるぞー!
富岳 : 多分、このウサギとネズミは回避からカウンター気味の連撃が主体だな。
G : サクラちゃんが次々と標的を変えて動きまくってるから、成立してない感じか。
ミナト : イチゴの方は、どうも敵としては当たりの個体みたいだねー!
金金金 : あー、個体差が大きいとか言ってたやつか。要するに知恵でも看破側の方で育ってる個体?
ミナト : 多分だけどねー。
サツキ : あー! それって奇妙なくらい全然攻撃をしてこない個体だよね!
ミナト : そうそれ!
いなり寿司 : 見た感じ、その個体っぽいな。
「このイチゴ、危なくないイチゴなんですね!? それなら先にネズミを仕留めます! 『噛みつき』!」
皆さんがデタラメを言ってるとは思わないから、このイチゴは危険じゃないと判断して良さそう! 雷纏いの効果時間は1分しかないんだから、危険度が低いのは後回し! 標的はこの中で1番攻撃が当てにくいネズミに変更して、噛みつくのさー!
「そして、こうです!」
麻痺しているウサギの脚をライオンの右脚で押さえつけた状態で、ウサギの頭に咥えたネズミを叩きつける! ちょっと狙いにくいけど、これでウサギとネズミどっちも攻撃できるのです!
イガイガ : 麻痺って、相変わらずえげつないなー。
咲夜 : サクラちゃんの咥えてから叩きつける攻撃もえげつないなー。
真実とは何か : だが、それが真実である。
いなり寿司 : ま、オフラインゲームだし、この程度は良いんじゃね?
チャガ : 雷への適応進化は機会が少ないから、これくらいの性能はあってもいいしな。
「そうですよねー!」
うふふ、雷への適応進化は本当に頑張ったもんね! 何度もジャンプして、雷に打たれまくって、何度も死んで! まぁこういう進化になるとは、あの時は分かってなかったけど!
それにしても噛みつきの威力が相当上がってる気がする! ウサギはまだ結構HPが残ってるのに、ネズミの方は瀕死状態だよ!
<成長体を撃破しました>
<進化ポイントを1獲得しました>
あ、ネズミのHPが無くなって力尽きた! 叩きつけるのはストーップ! ここで止めなきゃ、また頭を打っちゃうよ! あ、別にウサギ相手ならそれでもいいような気がする? うん、もう止めちゃったからどっちでもいいや!
「とりあえずネズミは撃破です! 次はウサギですね! 『振り回し』!」
ふっふっふ、戦ってる間に振り回しも再使用時間が過ぎた!そろそろ雷纏いの効果時間は切れそうだけど、その前にウサギは倒し切る!
サツキ : サクラちゃん、どんどんやっちゃえー!
いなり寿司 : おーい、地味にイチゴが逃げようとしてるぞ。
G : こっそり、こっそりと、忍び足で逃げてる感じだなー。
金金金 : こんな逃げ方すんの!?
チャガ : 分かりやすいくらいに、弱い方の知恵で確定だな。
ミツルギ : この逃げ方が目印なんだよなー。
「そんな風な見分け方なんですね!? ともかく逃がしませんし、大人しくしといてください! 『咆哮』!」
まさかの知恵あるイチゴの逃亡だったけど、咆哮で萎縮させて……って、効いてないよ!? むぅ……強い感じではないとはいえ、知恵あるイチゴだけの事はあるんだね!?
「だったら、これで! 『体当たり』!」
麻痺しているウサギを、今にも逃げようとしてるイチゴに向かって吹っ飛ばす! あ、雷纏いの効果が切れた。でも、イチゴにウサギは直撃だね!
「大詰めです! 『爪撃』『連爪』!」
<成長体を撃破しました>
<進化ポイントを1獲得しました>
よし、これでウサギは撃破! 残りは逃げようとしていたイチゴだけだけど、逃げる速度はそんなに早くなさそうだし、獅子咆哮を使って――
「あっ!? 獅子咆哮が誤発動になりました!?」
わー!? 使おうかなって悩んでたら、発動として判定されちゃったみたい!? うぅ、まだ完全に使う決めた訳じゃなかったのにー!
咲夜 : 誤発動かー。うん、これはどうだろうって考えた時によくある、よくある。
イガイガ : スキル名を思い浮かべながら、使い方を考えると誤発動はあるからなー。
ミツルギ : まぁこのイチゴ相手なら大丈夫だろ。
いなり寿司 : 移動速度は速くないしなー。
「あ、本当に遅いですね?」
遅そうな気がしたからこそ獅子咆哮が使えるんじゃないかと思ったんだけど、思った以上に逃げ方が遅かった! 私から離れていって……なんか崖の上によじ登って逃げようとしてませんかねー?
「……なんでこのイチゴ、崖を登ってるんです?」
ミナト : んー、まぁ単純にその方向が見失いやすいからかなー。
神奈月 : 完全に注意が逸れていたら、本当に見失う事もあるし。
G : 今みたいにバレバレの時は恰好の的だがな!
富岳 : まぁなんだかんだで、知恵で進化してるだけはあるんだよ。ウサギとネズミが健在なら、見失ってた可能性はあるからな。
「あ、そう考えるとそうですね!」
今は単純にウサギとネズミを仕留め終えたから丸わかりなだけであって、乱戦中なら崖の上って本当に見失いやすいかも! うーん、弱くても侮れないね、状態異常を使ってこない知恵あるイチゴ!
でも、普通に崖上までは獅子咆哮の射程圏内なんだよねー。流石に崖の上まで根でよじ登るのに時間がかかってるみたいだし、これなら普通に倒せそう! あ、そんな事を考えてたら溜めも終わったね!
「それじゃ獅子咆哮、発射です! これでトドメ!」
<成長体を撃破しました>
<進化ポイントを1獲得しました>
<サクラ【器用なライオン【雷】】が成長体:Lv18に上がりました>
<基礎ステータスが上昇します>
<進化ポイントを2獲得しました>
おぉ、Lvが上がったよ! ふー、3体同時の相手はどうなるかと思ったけど、何とかなったー!
サツキ : サクラちゃん、ナイスファイト!
咲夜 : なんだかんだで今回のは余裕だったなー。
イガイガ : 運が良かったのと、雷纏いの凶悪さのおかげだな。
「雷纏いがなければどうだったか分かりませんしねー!」
麻痺の効果は偉大なのさー! 雷纏いの効果はやっぱりすごいね! さーて、この調子でLv20を目指して頑張るぞー!
「乱戦終了です! 一時はどうなるかと思いました!」
「サクラ、お疲れ様」
「ふぅ、誤発動した時は焦りました!」
「そこはなんとかなってよかったね」
「本当にそうですよ! 次からは気を付けないとですね!」
「まぁミスしてくれても問題はないけどね?」
「私としては問題大ありですからね!? ミスをしない私の華麗なプレイを期待という方はブックマークや評価をお願いします!」
「……それを期待してる人は少ないんじゃないかなー?」
「何を失礼な事を言いますか、この作者さんは!?」
「さて、自覚のない主人公は置いておいて……次回は『第155話 次の敵は』です。お楽しみに!」
「なんだか言い方が失礼な気がするのは気のせいですかねー!?」