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第146話 俊敏なイタチ


「早く、早く!」


 うがー! 獅子咆哮の溜め、早く終わってー! このままじゃ溜めてる無防備な状態でイタチが突っ込んでくる!


「これは……間に合わないですね!? ぐふっ!」


 駆け上ってきたイタチがライオンのお腹に突っ込んできたよ! うぅ、HPが1割くらい削られて……あっ!?


「ぎゃー!? また転がり落ちるんです!?」


 ここに来た時に滑り落ちて、さっき登ったばっかなのに、また落ちたよ!? しかも今度は滑り落ちるんじゃなくて、ゴロゴロと転がりながらだー! 溜めの関係でライオンが動かせないから、体勢が戻せない!?


サツキ : サクラちゃん!?

咲夜 : ……再び落下かー。

ミナト : あらら……。

いなり寿司 : 今のはタイミングとか位置とか、色々悪かったしなー。

G : 見に来たら、いきなり転がり落ちている最中のライオンだった。

神奈月 : こんばんは! てか、なんで転げ落ちながら獅子咆哮の溜め……?


「うぅ……なんだか酷い目に合った気がします……。あ、Gさん、神奈月さん、こんばんはー!」


 今回は盛大に転がり落ちちゃったから、あちこちにぶつかってダメージが結構あるね……。でも、その状態でも溜めが中断されない獅子咆哮は凄い! 追撃しに駆け下りてくるイタチに、落ちながら溜めが終わったのをぶっ放してやりますよ!


「うがー! イタチも転げ落ちたらいいんですよ! 獅子咆哮、発射!」


 まだ転んだままで起き上がれてないけど、イタチを無事に駆け下りさせてなるものかー! 今ならイタチにも転げ落ちる痛みをプレゼント出来るよね! いっけー!


神奈月 : あ、もしかして獅子咆哮の溜めの間にあのイタチに落とされた感じ?

チャガ : それで正解だな。

ミツルギ : そして、今その反撃に出た。


「よし、命中です! イタチはそのまま転がり落ちてくると良いですよ!」


 ふっふっふ、少し回避されかけて焦ったけど、獅子咆哮の効果範囲内には収められたね! 見事に命中して、ゴロゴロと転がり落ちてくるイタチはざまーみろなのさ! HPは3割も削れたし、あちこちぶつかりながらだからそれでもダメージは入ってる!

 とりあえず今のうちに起き上がって、目の前に落ちてきたとこを狙って攻撃していこう! さぁ、目の前に転がり込んでくるのです、獲物のイタチ!


「わっ! 獅子咆哮の余波で剥き出しになった岩で跳ねました!?」


 えぇ、そんなのありなの!? うぅ、爪で狙い澄ましていたのに、転がっていく向きが変わったよ! 逃してなるものかー!


ミナト : なんというか今日はとことん間が悪いね?

咲夜 : ピンポイントでタイミングがズレてるなー。

チャガ : でも、今ので岩が剥き出しになったのはラッキーかもな。

金金金 : あぁ、サクラちゃんの良くやるあれか!


「あ、そういえばそうなりますね! とりあえずそれまでに極力弱らせます! 『爪撃』『連爪』!」


 落下地点は岩に当たってズレたけど、落下地点に回り込むのはなんとか間に合ったー! そして爪で切り刻んでいくのです! よし、4連撃はちゃんと当たったから次は――


「あっ!? 逃がしませんよ! 『咆哮』!」


 このイタチ、劣勢になった途端に逃げようとしたよ! 咆哮で萎縮させて防いだけども! 


サツキ : 逃げ出すって卑怯だね、このイタチ!

ミツルギ : 俊敏だと割と逃げるからなー。

咲夜 : そうそう。不利になったら逃げやすいのが俊敏。

金金金 : そういう特徴があるのか。

ミナト : うん、進化の方向性で行動パターンはそれなりに変わってくるからねー。屈強は攻撃性が高いとか、堅牢は比較的襲ってこないとか、そんな感じ。


「あ、そうなんですね!?」


 でも、そう言われてみたらそうだよね! 進化の方向性で強い部分が変わってくるんだから、行動パターンがそれに合わせて変わるのは不自然でもなんでもないよ。だからと言って、逃がしはしないけども!


「ともかく人を落として逃げようとしたイタチはこうです! 『振り回し』からの『体当たり』!」


 怯んで動かなくなったイタチを尻尾で坂の方に叩きつけて、そこに追撃で頭突きをするような感じで体当たり! ふふーん、吹き飛ばす効果も後ろにぶつかるものがあれば、大丈夫だもんね! イタチはこれで残りHPは2割を切った!


「近いですけど、これも使っときましょう! 『投擲』!」


 ちょっとお試しで、昨日手に入れたドングリを弾き飛ばしてみる! うーん、聞いてはいたけど、小石と大して変わらないねー。まぁちょっと使ってみたかっただけだから別にいいや!


金金金 : ドングリ、小石と威力は大して変わらんなー。

チャガ : まぁ変に弱いよりは良いがな?

咲夜 : 使えない訳じゃないから、問題なし!

サツキ : サクラちゃん、いっけー!


「はい、ここから怒涛の攻撃です! 『噛みつき』!」


 ふっふっふ、萎縮が切れる前にイタチに噛みついて、さっき転げ落ちてる時にイタチを跳ね飛ばした岩まで移動! あ、萎縮が切れて暴れ出した!?


「逃がしはしませんよ! そして目的地に到着です!」


 ふっふっふ、岩があればこれが出来る! 噛みつきながらの岩への叩きつけ! イタチの残りHPは噛みつきで1割を切ったから、これで仕留め切る!


「私を転ばせたイタチは、ここでくたばってください!」


 せーの、えいや! ガン、ガン、ガンとイタチを岩に叩きつけるのです! どんどんHPが減っていくねー! あ、朦朧が入ってぐったりしてる! それじゃ次を最後の一撃にして仕留めよう!


<成長体を撃破しました>

<進化ポイントを1獲得しました>


「これでトドメ……あれ?」


 ぎゃー!? 岩に頭をぶつけて朦朧になった!? 完全にタイミングを見誤ったー!? 今のは何もせずに、噛みつきで死ぬのを待つべきだったよ!? 


サツキ : サクラちゃん、ドンマイ!

金金金 : 今のこそサクラちゃんって感じだな!

いなり寿司 : やはり、称号『ドジっ子』を渡すべきか?


「いなり寿司さん、それは出してこなくて良いですから! 私はドジっ子じゃなーい!」


 うぅ、その話題は出なくなってたと思ってたのに、なんで復活させてくるの!? ちょっとミスして岩に頭をぶつけて朦朧になって身動きが取れなくなってるだけじゃないですか! ……あれ? 前も同じようなことがあったような気がしないでもない?


サツキ : え、でもピッタリな称号じゃない? あ、痛!? え、駄目なの? ……あ、言われて嬉しくないもんね。サクラちゃん、今のは無しで!


「どう考えてももう遅いですよね!?」


 明らかに姉さんの旦那さんから止めが入ってるけど、もう言っちゃってるもんね! うぅ、姉さんにそんな風に思われてたのはなんだかちょっとショックだなぁ……。


金金金 : あ、なんか狐っ娘アバターが涙目に……。

チャガ : 泣かすなよ、いなり寿司さん。

いなり寿司 : え、俺のせいなの、これ!?

咲夜 : 少なくとも責任の一端はあるはず。

サツキ : あわわ!? サクラちゃん、ごめん!?


 むぅ、姉さんが必死で本気で謝ってるのは分かるけど、ショックはショックなんだよね。ミスしちゃったのは事実だけど……ドジっ子は不名誉過ぎるから認めたくない!


「……まぁいいです! ドジっ子と言えないだけの事をすればいいだけですよ!」


 そうとも、もう一度返上してしまえばいいのみさー! 凹んで拗ねそうな気分ではあるけど、それを配信中でやっちゃったら楽しくなくなるもんね。実況プレイでドジっ子と呼ばれたならば、その中で返上するまで!


金金金 : おぉ、普通に立ち直った!

サツキ : そうでもないよね!? サクラちゃん、ちょっと怒ってるのと拗ねるのが混ざってるよね!? 多分私に向かって!? 

ミナト : 感情豊かなアバターとはいえ、そこまで分かるのになんで余計な事を言っちゃうかなー?

サツキ : うぅ、それはごもっとも……。私の方がドジっ子だー!? あ、痛!?


 むぅ、なんとか心境を誤魔化そうとしてるのに、姉さんはなんで全部言っちゃうかなー? まぁ旦那さんに怒られてるみたいだから、今はスルーでいいや。


「さてと、そうしてる間に朦朧も回復したので、本格的に移動を開始です!」


 草原エリアの方に近付けばLvが低めの敵がいるみたいだから、進化ポイント稼ぎにそっちに向かって出発! さっきのイタチは経験値の為に倒したけど、Lvが近い格下はスルーしようかな?


「……またか」

「またですよ! 何がどうしてこうなるんです!?」

「え、サクラがまたやらかしたからじゃない?」

「……ここでなら本気で拗ねていいもですかねー?」

「別に良いけど?」

「あっさり認められました!?」

「認めたら拗ねないでしょ、サクラ」

「……ぐぬぬ、行動を読まれていましたか。ではこうしましょう! 私が拗ねている姿が見たいという方はブックマークや評価をお願いします!」

「サクラ的にはそれでいいの?」

「……勢いで言いましたけど、良くはないですね!?」

「さーて、次回は『第147話 丘を駆けて』です。お楽しみに!」

「まるで無かった事のようにスルーですね!?」

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― 新着の感想 ―
[一言] さすがサクラ(さすサク) 落ち着いて行動することが出来ないドジっ子(笑) そうして、エンターテイメント的には、見てる人を楽しませられるドジっ子(笑) 素晴らしい称号を持って生まれ…
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