第129話 エリアボスを探して
さてと、姉さんへの牽制は終えた! どれほど効果があるかは怪しいけど、それでも何も言わないよりは効果はあるはず!
「それじゃ『看破』と『疾走』って、あー!? 両方発動しましたよ!?」
わー!? これから使うつもりで先に宣言したら、両方とも誤発動になった!? うー、ここら辺は実況泣かせな仕様な気もするけど、これは想定して作られてないだろうし仕方ないよね……。
よし、どっちにしても使う予定のスキルだったんだから問題なし! 看破しながら走り出せー!
ミツルギ : この辺の音声での発動は、実況との相性悪いよな……。
神奈月 : モンエボに限らず、同じ系統の仕様になってるゲームではよくある事だけどな。
イガイガ : あー、あるある! 個人でも普通に配信出来るようになってから、その手のミスはよく見かける。
咲夜 : 個人向けのが出てくる前って、配信出来る人って限られてたからなー。
チャガ : まぁよほど知識や機材を持ってる人しか出来なかったからな。上手く扱える人ばかりで、目立たなかった部分ではあるだろう。
「あ、そういえばそうなりますよねー!」
うん、言われてみればそうだよね! 確かに私も他の人の配信を見てた時、そういう場面を見た事はある気がする!
「まぁそれはいいとして、エリアボスの探索を開始ですよー!」
既に走り出してはいるけど、そこはスキルの誤発動だから仕方ないのさ! という事で、しっかりと周囲を確認しつつ、改めて探索開始!
この森に来てからあちこち移動してるし、マップも結構埋まってきてる! まだどの方向の別エリアへの切り替え場所には行ってないけど、どの方向に何があるんだろ?
「こうして看破を使ってると、色々見つかりますねー! あ、また一般生物のトカゲを発見です!」
走りながら……ここ! ガブっと、えいや! よし、少しだけどこれでHPは回復! これぞ百獣の王のライオンの食事! ……こんな小さなトカゲじゃなくて、もっと大きな獲物な気もするけど、そこは気にしない!
金金金 : 本当に看破はよく分かるな。……なんでオンライン版とこうも仕様が違うんだ?
ミナト : オンライン版は他のプレイヤーも周りにいるんだから、ここまで一気に情報が見れたら取り合いになるでしょ?
富岳 : オフライン版の索敵用スキルを、オンライン版でそのまま実装って訳にもいかんだろうからな。
金金金 : あー、そりゃそうか。
ふむふむ、看破ってオンライン版だと全然違う仕様みたい? まぁ私はオンライン版をやる予定はないから、別にどっちでもいい話だけど、オンライン版をしてる金金金さんから気になるとこではあるんだろうね。
それはそうとして、成長体のイタチやネズミやキツネさんとか色々と見つけてはいる。でもエリアボスが中々見つから――
「あ、エリアボスを見つけました!」
疾走中だと止まれないから、見つけたエリアボスから距離を取りつつ周りをグルっと走る感じで移動! もっと時間がかかるかと思ったけど、そうでもなかった!
えーと、周りを走りながらエリアボスの様子を見ていこう。今回のエリアボスは木っぽいね。とりあえず看破の情報を詳しく見ていこうっと。
「……流石は森の中ですね。樫の木がエリアボスですか」
看破で見えている情報は『堅牢な樫』でLv15のエリアボス。うん、看破でここまで見えるなら、識別って必要なのか疑問になってくるね?
まぁいらないスキルになっても前提として取らなきゃいけないスキルではあるから、それはそれでいいや。あ、看破の効果が切れた。うーん、看破はこの効果時間の短さが欠点かなー? スキルLvが上がれば問題ないみたいな事は言ってた気がするし、使用頻度は高くなりそうだからスキルLvも上がりやすそうではあるよね。
ミツルギ : あー、堅牢な樫か。
イガイガ : 地味に硬いやつじゃん! しかも堅牢だと普通よりも特に硬いやつ!
いなり寿司 : ……強い訳じゃないが、倒すのに時間がかかるやつだ。
うーん、確か樫って硬い木だったよね? それが堅牢で進化してるなら、間違いなく硬そう。しかもドングリっぽい木の実が沢山あるよ?
「というか、なんでドングリなんです?」
ミナト : ん? ドングリって樫の木の実だよ? まぁ樫だけではないけどねー。
「え、あ、そうなんです!?」
うわー!? ドングリって何の木の実なのか地味に知らなかったけど、樫の木の実なんだ!? そっか、そうなんだ! うん、普通に知らなかった!
富岳 : 細かく分類すれば色々あるが、敵に関しては樫で統一されてるから細かくは気にしなくていいぞ。
ミナト : その辺の詳しい事は、一般生物の方の図鑑にあるんだよねー!
「ミナトさん、前から言ってるように図鑑埋めはしませんからねー?」
今のを聞いて何となく分かった! モンエボの図鑑埋め、それも一般生物の方は多分だけど普通にある図鑑を埋めるのと変わらない気がする! それをもしやるとしたら、ゲームの攻略ではなく、図鑑埋めをメインの目的としてやった方がいいやつだ!
「……さてと、看破の効果は切れましたけど、疾走の効果が切れないとどうしようもないですね」
思ったよりも早くにエリアボスを見つけちゃったから、疾走の効果時間が結構無駄になっちゃったなー。
金金金 : 疾走の効果を消す方法ってねぇの?
ミツルギ : あー、あるにはあるけど、あまりお勧めはしない。
いなり寿司 : あれはなぁ……。
G : スキルLvが上がれば、止まれるようにもなるんだがな。ネタバレになるから、何Lvでなのかは教えんぞ。
イガイガ : 存在自体は教えるのはありなのか?
咲夜 : サクラちゃん、その辺の判定を!
「えーと、そうですね……」
うーん、スキルLvが上がる事で解放される追加性能なら、ネタバレと言えばネタバレではあるけど……これはスキルLvまでは伏せてくれてるからセーフかな?
目標を用意してくれたと考えたら、決して悪い内容ではないもんね。うん、アウトに近い気はするけど、今回はセーフで!
「アウト寄りのセーフって事にしておきます! というか、伏せられてるお勧めはしない方法が気になるんですけど……そこを教えてもらってもいいですか?」
スキルLvを上げれば自発的に止められるようになるのは分かったし、それについては今後目指していく事で決定! だけど、それ以外にも方法がありそうなのが気になるところ。
G : 今のでアウト寄りか……。でも、ギリギリセーフ!
咲夜 : サクラちゃんのさじ加減次第だしなー。
ミツルギ : だなー。それはそうとして、他の方の手段は疾走中に何かの状態異常を受ける事だぞ。
ミナト : 簡単な手段としては毒の実を食べるとか、岩に頭からぶつかって朦朧になるとか、その辺だねー!
金金金 : 随分と強引な手段だな!?
富岳 : まぁ実際に強引に止める訳だしな。
「そういう手段なんですか!? ……確かにそれはお勧め出来ない手段ですよね」
いくらなんでもこれから戦闘をしようという時に、自分から状態異常にしろなんて無茶だよね! 朦朧なら回復はしやすいとは思うけど、それでもHPは確実に減るから、良い手段じゃないよ。
うーん、これは大人しく疾走の効果時間が切れるまで走っておくのが無難かな? 森の中での動き方も分かってきて普通に走れてるしね! というか、私ってどうやって転んでたの? ……こう慣れてしまえば、転んでいたのをどうやっていたのかが分からないよ?
サツキ : サクラちゃん、なんだか微妙に不思議そうな顔をしてるけど、どうかしたの?
金金金 : え、狐っ娘アバターのこの表情は不思議そうな顔なのか?
ミツルギ : ……普通の表情だと思ってた。
むぅ、そういう些細なとこは見破ってくるよね、姉さん。中学生の頃の件で、一番先に気付いたのも姉さんだったし、マイペースなのに妙なところが鋭いんだよねー。まぁ今回は特に言っちゃっても問題ない話だし、別にいっか!
「単純に昨日は転びまくってたのは、どうやってたんだろうって疑問に思っただけですよー! ……なんでですかね?」
サツキ : あ、そういう事かー! うんうん、何となくその気持ちは分かるよ!
いなり寿司 : あれじゃね? 自転車に乗れるようになった後みたいなもんだろ。
ミツルギ : 多分そうだろうなー。
「私、自転車には乗れないから、その感覚はよく分かんないんですってば!?」
前にも確か言ったよね! あ、でも要するにモンエボを始めた時にはまともに操作が出来なかったのが、今は特別に意識しなくても出来るようになっているのと同じ事?
サツキ : まぁ単純に慣れたから、失敗しなくなっただけだね! 成長は良い事だよー!
真実とは何か : それが真実なり。
イガイガ : 確かになー!
咲夜 : 盛大に転びまくるサクラちゃんの姿はもう見れないんだな……。そこは少し寂しい。
神奈月 : ……またフラグになりそうな事を。
成長は素直に成長として受け止めた方が良いよね。さてと、疾走の効果が切れたから立ち止まる! ……意外と奇襲を仕掛けてくる敵はいなかったね?
ミナト : あ、Lv的にはサクラちゃんが低いけど、その辺はどうするの? このままエリアボス戦?
「あ、そういえば私はまだLv14で、この樫の木はLv15ですもんね」
他にも色々敵は見つけて素通りはしてきたけど、先にそっちを倒してきてLv15になってから挑戦にするか、もしくはこのまま戦闘に突入か、どっちにしようかな? スキルツリーのステータスを解放しないなら、Lv1分のステータス上昇は僅かだし、このくらいの差ならどうにかなる?
「疾走の効果の切り方って強引ですねー!」
「まぁ任意で自由に切れると便利過ぎるとこもあるからね」
「……それくらい良いんじゃないです?」
「サクラ、あくまでも『今はまだ』なだけだからね?」
「あ、そういえばスキルLvが上がれば止まれるみたいな事を言ってました!」
「という事で、頑張ってスキルLvを上げてね」
「むぅ、まぁそこは確かにそうですね。地道に上げていきます!」
「それでよろしい!」
「という事で、私に突っ走れと応援してくれる方はブックマークや評価をお願いします!」
「……なんか適当に言ってない?」
「カンペ回避に必死なだけです!」
「そういや最近ずっと回避されてるなー。まぁそれはいいや。さて、次回は『第130話 エリアボスの樫の木』です。お楽しみに!」
「エリアボスに挑むかどうか、悩みますね!」