第116話 少しだけ休憩
妙に集中し過ぎてちょっと疲れたから、VR空間で少しだけ休憩の為に切り替えー!
「はぁー! 放電での一点狙いは慣れないと疲れそうですねー!」
狐っ娘アバターに切り替わったから、思いっきり脱力ー。作った机の上に突っ伏して、だらける! あぁ、和室はやっぱりなんかホッとするー。
いなり寿司 : 切り替えた瞬間、思いっきり寛いでるー!?
金金金 : ……ゴクリ!
ミツルギ : なんか変な反応をしてる奴がいるぞ!
咲夜 : どこを見て反応してんだ、こいつ!
金金金 : え、うなじ?
ミツルギ : 即答かい!
神奈月 : よし、通報しよう、そうしよう!
イガイガ : それしかねぇな!
金金金 : あぁ、すればいい! 今のサクラちゃんに一切の魅力がないと断言出来る奴はな!
ミナト : ……そこで一斉に反応が途絶えるのはなんだろうねー? まぁ実際に可愛いけどさ。
むぅ、折角だらけてるのに、皆さんがなんだか騒がしいね。はぁ、やっぱり和室は落ち着くー。あー、このまま横になっちゃいたいくらい。
サツキ : サクラちゃん、自宅じゃないんだから無防備過ぎだよ? 机に突っ伏すまでは良いとしても、寝っ転がるのはどうかと思うよ?
「え、あっ! 確かにそれはそうですね!」
言われて気付いたけど、いつの間にか寝っ転がってたー! いくらなんでも、配信中にこれは無防備過ぎる! すぐに起き上がれー!
「わっ、わっ、わっー!? がふっ!」
うぅ、慌てて起き上がったら、机に足をひっかけて転んだ……。うぅ、痛くはないけど、やらかしたー!
あ、服は乱れてないよね!? ……うん、大丈夫だったみたい。ふぅ、流石にそこは配信初日にやらかしたから気を付けないと!
金金金 : ちっ!
富岳 : 完全に集中力が切れてるっぽいな。……なんだ、その舌打ち。
ミツルギ : またか!? お前はまたか!?
イガイガ : こいつは!?
金金金 : さっき反論できなかった奴らは黙ってろ!
ミナト : それじゃ私が通報しよっか?
金金金 : すみませんでしたー!
咲夜 : なんというか、反応が素直過ぎる……。
ミナト : はい、とりあえず余計な事はそこまでで……サクラちゃん、大丈夫? まぁVR空間だし、大丈夫だとは思うけど。
「はい、大丈夫です! リアルと違ってVR空間の中なら、転んでもケガはないですしね!」
それにしても、集中力が切れてるのは本当だねー。流石に起き上がる時に転ぶのとか、1年ぶりくらいじゃないかなー?
ミツルギ : なんだかリアルではよく転んでいるような反応?
サツキ : んー、転び癖はまだあるんだねー?
イガイガ : ん? まだ?
サツキ : あっ、ほら! 配信の中でよく転んでたでしょ!?
神奈月 : まぁ確かに、昨日の実況外の配信とか思いっきり転びまくってたしなー。
咲夜 : 数日じゃ、そういうとこは治らないんじゃね?
サツキ : うんうん、そうだよねー! さっきのは気にしないでー?
「あ、はい。そうしますね」
んー? サツキさんの今の反応が妙に気になるね? でも、気にしないでって言ってるから別にいっかー!
さてと、それじゃ……あ、良い事を思いついた! これなら、地味に今まで皆さんに見えていないとこを見せられるんじゃない!?
「寝っ転がるのも、こういう使い方ならどうですかねー?」
配信のカメラを私の目線に切り替えて、その上で寝っ転がるのです! これなら私のアバターの姿は見えないし、寝っ転がったからこそ見える場所もある!
真実とは何か : 天井が映し出された。
富岳 : なるほど、これなら確かに問題ないか。
ミツルギ : おぉ、天井も作り込んでるのか!
サツキ : あら、よく出来てる。
金金金 : 相変わらず作り込みが凄いなー。
ミナト : うんうん、確かにねー!
天井も頑張って作ってたけど、今まで見せる機会もなかったもんね! これを皆さんに見せる機会が出来たし、さっき転んだのとか無防備に寝っ転がったのは結果オーライって事にしておこう!
よーし、それじゃ今度は転ばないように普通に起き上がって……うん、大丈夫! そもそも寝っ転がってから起き上がるのに転ぶことなんて早々ないよー!
「とりあえず今までお見せしてなかった天井はこんな感じですね! それで、さっき突っ伏してた机と、この箪笥が今日追加した家具です!」
サツキ : あ、懐かしい!
イガイガ : ……懐かしい?
サツキ : あっ、えっと、同じデザインの箪笥を実家にいた時に使っててね? うん、それを思い出しただけ!
いなり寿司 : ほー、初耳だ。まぁリアルの話とか早々しないしなー。
サツキ : いやー、今のはついね?
「おぉ、そうなんですね!」
この箪笥、デザイン的には姉さんの部屋にあったのがベースになってるもんね! そっか、サツキさんは姉さんが使ってた箪笥と同じタイプの箪笥を使ってたんだー!
和風好きな人もいるとこにはいるんだね! 私も姉さん程じゃないけど、和室は好きだからなんか嬉しくなるよー!
さてと、カメラが映す範囲を私の視点から、固定場所に戻してっと。もう少し休憩したいし、雑談でもしてようかなー。
「さてと、それじゃ新しく追加した家具の紹介は簡単ですけどこんなものですね! あ、風鈴を作りたいとか思ってるんですけど、音が出たら配信の邪魔ですかねー?」
ミツルギ : あー、風鈴か。季節的には良いけどなー。
咲夜 : 映ってない時に音だけだと、流石に邪魔かも?
ミナト : んー、頻度にもよるけど、無い方が良いかな? こっちのVR空間にいる時だけ鳴らすって設定も出来るけど、サクラちゃん、出来る?
神奈月 : こっちだけでなら、ありっちゃありだな。
「……えっと、やり方が全然分からないですね」
うーん、配信用のVR空間にいる時だけに鳴らす設定も出来るみたいだけど、私の知識外だー! これは兄さんに相談したらどうにか出来るかな?
サツキ : こういう時は、いつも設定してくれているお兄さんに頼んだらどうかな?
「あ、はい。そうしてみようかと……あれ? 私って、兄がいるって今まで言いましたっけ?」
あれー? なんで、サツキさんが私に兄さんがいるのを知ってるの? え、なんで? ちょっと待って。本当になんで!?
サツキ : はっ!? しまった!?
咲夜 : ……サクラちゃんに兄がいるのは初耳だな。
イガイガ : 確かに……。
金金金 : というか、今まで色々と調整してくれてたのは兄なのか。
富岳 : 相当、技術的な知識は持ってそうだが……。
真実とは何か : その真実はどこからきた?
ミナト : サツキさんって、何者なのかなー? それ、どこで入手した情報? 場合によっては、然るべきところに通報しなきゃいけなくなるんだけど。
サツキ : わー!? 待って、待って、待ってー! 通報されるような問題はないからー!
ミツルギ : この反応の仕方、どことなくサクラちゃんに似てる!?
えーと、確かにこの雰囲気には覚えがあるような気はする。音声はコメントだとどうとでも変更出来るし、そこを差し引いて考えたら……え、まさか、サツキさんって……?
「……サツキさんって、もしかして姉さんですか!?」
サツキ : はい、サクラちゃん、大正解ー! お姉ちゃんでしたー! あぁ、もう内緒で見守ろうと思ったのに、初日でバレちゃった! 呼び方は本名じゃない方が良いよね?
ミツルギ : サクラちゃんの実の姉!?
咲夜 : ……本物か?
いなり寿司 : え、サクラちゃんとサツキって、姉妹!?
ミナト : サクラちゃん、今すぐリアル側での本人確認! 確認が取れなかったら、即座に警察に通報するから!
サツキ : えぇ!? 待って、待って、待って! 今すぐサクラちゃんにメッセージを送るから、それで確認してー!?
<システムメッセージ:新着のメッセージがあります。接続しますか?>
え、本当に姉さんからメッセージの通知がきたよ!? えっと、今は私の視点じゃ無くなってるから、ここで接続してメッセージを開いても皆さんには見えないはず。
姉さんが見に来てたとは全く想像してなかったけど……うん、とりあえずメッセージの中身を見てみよう! ミナトさんが言ってたけど、姉さんかどうかの判断は大事だよね。なりすましだったら、本当に警察に通報する必要があるし……。
えっと、内容は……うん、兄さんから配信の事を聞いたとか、和室の事を聞いてきた理由が気になったとか、そんな感じの内容。それとSNSや今使ってるサツキの名前のアカウントは仕事用じゃなくて趣味用だって書いてる。疑うなら兄さんに聞けとも……。
どう考えても、これはなりすましじゃないよねー。これでなりすましだったら、姉さんのメッセージ自体が乗っ取られてる事になるし……。
「……間違いなくサツキさんは私の姉さんですね。なんでいるの、姉さん!?」
ミナト : ……通報はしなくて良さそうだね。
咲夜 : まさかのガチな身内の降臨!?
サツキ : それは単純に面白そうだったからだよ! 仕事の大型案件が片付いて、何気なく息抜きをしてる時にSNSで可愛い妹がやってる配信が流れてきたら、そりゃ見るでしょう! あ、ここじゃサツキ呼びでお願いね、サクラちゃん!
いなり寿司 : あー、なるほど。……偶然って怖いな。
むぅ、確かにそれはそうかも……。私だって、姉さんの仕事用のSNSに載せられてるデザインとかは見たりしてるし。
とりあえず呼び方は姉さんじゃなくて、サツキさんにしておこうっと。姉さん、本名で仕事してるから、ここでそれが広まるのは多分良くない。
「というか、サツキさんもモンエボをやってたのー?」
サツキ : 仕事の都合で空き時間が中々取れなくて、そんなにはやれてないけどねー! まぁもう私の事は良いから、休憩して、再開しよう?
「……むぅ、まぁそれもそうですね」
色々と釈然としないけども、まぁ姉さんとの会話を配信で長々とするのもあれだもんね。その辺は後回しにするとして、とりあえず一休みー!
「……なんか姉さんの出現で疲れました」
「なんというか、お疲れ様?」
「お疲れ様じゃないですよー!? なんで姉さんがいるんですか!?」
「……さぁ? あ、それよりちょっとしたお知らせがあるんだけど……」
「それでは誤魔化されないですからね!?」
「いや、大真面目なお知らせ。次の土曜の更新で、一旦更新お休み」
「……え? えぇ!? なんでですか!?」
「非常に申し訳ないけど、あっちが第28章が終わって一区切りになるから少し休憩させて? 流石に100話越え2作同時連載は疲れる」
「うがー!? こっちにしわ寄せがー!?」
「……出来れば区切りを合わせたかったけど、流石に無理だった」
「むぅ……連載中止ではないんですよね!?」
「あ、うん、そのつもりはないから大丈夫。2週間後には再開するから」
「でしたら、これですね! 続きを待っているという方はブックマークや評価をお願いします!」
「詳細は活動報告に書いてあるから、ご確認下さい。あ、まだお休みまでの更新は2話あるからね?」
「あ、明日から休みじゃなくて、休みの予告なんですね!」
「うん、そうなる。お休みの直前の更新で改めて告知はします」
「ちなみにいつ再開予定ですか!?」
「4月12日の月曜日の予定だから、大体2週間の休みだね」
「分かりましたー!」
「さて、そういう大事なお知らせは済んだし、次回は『第117話 森の拓けた場所には』です。お楽しみに!」
「作者さんが休むまでは全力で突っ走りますよー!」