第111話 夜の森
ふふーん、私のライオンは明確に強くなったー! 適応進化は良いねー!
「さーて、それじゃ雷纏いの効果が続いている間にサクサク倒していきましょう! 敵は近くにいないですかねー?」
雷纏いの効果は1分間で、もう半分以上は使ってるもんね! あれ、これって敵が多くいる時に使うべき? うん、そんな気がしてきた!
咲夜 : 雷纏いの効果の間に狙えそうな敵っている?
イガイガ : 今のところ見当たらない。ミナトさんはどう?
ミナト : うーん、見える範囲にはいないかなー?
金金金 : ミナトさんで見つからないなら、いないっぽいかー。
「そうみたいですねー。一応走ってみますけど、今回の雷纏いはこれで打ち止めな気がします」
そうだとしても他の敵を探して走り出せー! ただし、地面に出てきてる木の根っこには要注意! うん、同じ失敗は繰り返さない!
「あ、そういえば放電の再使用時間って長めなんですねー」
うーん、これって下手したら獅子咆哮と同等くらいの再使用時間があるみたい? でもあれだけ強力なら、それでも仕方ないかなー。
いなり寿司 : 放電って、再使用時間は変動するんじゃなかったっけ?
富岳 : 溜めの時間に応じて、再使用時間が長くなるタイプだな。
ミツルギ : マニュアル操作が出来る系統のスキルは大体そういう仕様だぞ。
「あ、そうなんですか! という事は、ほぼ溜めずに使えばもっと早く再使用可能になるんです?」
富岳 : そういう事になるな。その分だけ威力は低くなるが。
サツキ : 使用頻度を取るか、威力を取るかの二択だねー!
「なるほど、そういう感じなんですね! あ、雷纏いが切れちゃいましたね……」
うーん、雷纏いは使いどころは要注意だね。これで10分間は使えないから、変に乱発するよりはいざという時の切り札として取っておこう! ピンチからの大逆転に使えそうだし!
それにしても放電はそういう性質があるんだねー! 一撃の威力を重視するか、回数を使えるようにするか、自分で任意に選べるのはありがたいよ! ここら辺は使い分けだね。
ミナト : サクラちゃんに残念なお知らせ。敵、発見ー!
「このタイミングでですか!? もう少し早く出てきてくださいよー!」
まだ振り回しとかだったら使えたから、麻痺を狙えたのにー! あ、そういえばスキルには限定されてなかったような気もする?
うぅ、どっちにしてもタイミングが悪いよー! ともかく一旦停止! さて、敵はどこだー!?
「あれ? 後ろ脚に何かが巻き付いて……ってヘビですかー!」
ぐぬぬ、私のライオンの後ろ脚にヘビが巻き付いて、締め付けてきてる! その位置、地味に攻撃がしにくいのですよ! どうしよう!? どうやって振り払おう!?
というか、ミナトさんが見つけられてたなら私の視界内にいたはずだよね。いつの間に後ろ脚に巻き付いたの!? あ、走ってたから追い越したとかかな?
「うがー! 咆哮の再使用時間は……あと少しですか!」
ともかくこのヘビが嫌な位置に巻き付いてきてるのはどうにかしないと! ギリギリと脚を締め付けられて、HPが減ってるー!
「はっ! これならどうですかね! 衝撃波ありでの『識別』!」
どんな方向でもいいから、衝撃波で引き剥がせないかな!? ともかくやってみよう!
『屈強なヘビ』
進化階位:成長体
Lv:12
「うぅ、駄目ですか!? というか、格上です!?」
屈強なヘビってなってるし、攻撃力は高いんだろうねー! うぅ、締め付けられる攻撃が痛いよー! 早く! 咆哮の再使用時間、早く!
咲夜 : 完全に巻きつかれてからだと、衝撃波じゃどうにもならんなー。
イガイガ : ここはとりあえず攻撃が終わるのを待つべき?
ミナト : んー、敵の持ってるスキル次第だねー。毒を持ってたら厄介だし……。
富岳 : ヘビは毒持ちも多いしな。
いなり寿司 : 咆哮の再使用時間を待って、怯ませるのが無難か。
「うがー! 待ってるのも嫌な予感がするので、これならどうだー!」
毒持ちが多いとかいう情報を聞いて、呑気に待ってられないよ! ここが森で木があるというのなら、それを利用するまで!
私が走って根に引っかかって転んでたなら、後ろ脚は根に当たるという事! いっけー!
咲夜 : えぇ!? 強引に木の根にヘビを叩きつけるのか!?
イガイガ : 思いっきり普通に走れてるから、失敗してるけど……。
富岳 : 足元を意識したら、根に引っかかって転ぶのが難しくなったか。
「思いっきり失敗でした!? でも、締め付けのダメージが減りましたよ! 『振り回し』!」
多分巻き付くスキルの効果が切れたみたいだから、後ろ脚を適当に振り回すー! ふっふっふ、適当でもスキルで発動してくれた!
「よし、ヘビを木の幹に叩きつけました! ここから追撃……って、わー!?」
このヘビ、動きが早い! すぐに体勢を立て直して、私に突っ込んできたよ! なんとか飛び退いて回避したけど……うぅ、また回避先で木に当たっちゃった。
うーん、森の中ではもう少し回避の距離を短めにしないと、回避に失敗しちゃうなー。森の中だと戦い方の勝手が随分違うよね。
「って、またですか!?」
今度は大口を開けて突っ込んできた! ……咄嗟に上にジャンプして回避したけど、思った以上に高く跳べたね? この状況はちょっと想定外? とりあえず木の枝に着地!
「……普通に木の枝に乗れてますね?」
あー、うん。そういや雷に打たれる時に思いっきりこれくらいはジャンプ出来てた! そっか、今の私のライオンは木の上の枝まで飛び移れるジャンプ力があるんだ!
……枝がミシミシと鳴ってるけど! 私、重くはないよ!? あ、このライオンは重いかも……?
「あ、ヘビが木に噛みついて……って、いきなり木が枯れ始めましたけど!?」
ちょっと待って!? どう考えても普通の噛みつきじゃないよね!? このヘビ、毒を持ってるんじゃないですかねー!?
サツキ : このヘビ、完全に毒も持ってるねー。
イガイガ : 毒ありの噛みつきか。
真実とは何か : それが真実なのである。
ミツルギ : サクラちゃん、毒のスキルの性質は説明しようか?
「ちょっと聞いておいた方が良さそうな気がするのでお願いします! とりあえずこれで動きを封じますよ! 『咆哮』!」
よし、木の枝の上から噛みついたままのヘビを怯ませることに成功! ……毒を持ってるヘビに噛みつくと嫌な予感がするから、噛みつくのはなしで!
「潰れてください! 『体当たり』! って、わっ!? 木が折れました!?」
一気に枯れちゃった木から飛び降りて、噛みついた木から落ちそうなヘビに体当たりをしたらそのまま木が折れるとは思わなかった! このヘビめ、木は大切にしなきゃダメなんですよ!
でもこれでヘビのHPは半分くらい削れた! このヘビ、耐久性はあんまりないっぽい!
ミツルギ : 毒は『毒生成』ってスキルで使えるようになるんだよ。性質的には『衝撃波生成』に近い感じ。毒の種類はスキルLvが上がれば増える。
富岳 : 『衝撃波生成』と違うのは、近接攻撃の追撃になるのと、アクティブスキルに分類されるとこか。
ミナト : 毒の遠距離攻撃もあるけど、これはまた別のスキルだから今回は説明はなしねー!
「おぉ、そんな感じなんですね!? 『爪撃』『連爪』!」
とりあえず爪で連続でヘビを切り刻む! なるほど、攻撃スキルそのものに毒の効果がある訳じゃなくて、毒を生成するスキルで毒を追加してる感じなんだね!
というか、それって要するに毒持ちの敵の近接攻撃は全てが毒の効果があり得るって事だー!? うーん、毒持ちは嫌いー!
あ、ヘビを残りHPを1割くらいまで減らしたけど、怯んでる状況は解除になったっぽい! ちょっと他の無事な木の上までジャンプして、距離を取ろう! えいや!
イガイガ : なんかあっさりと木の枝に登ってるなー。
金金金 : 木の上にジャンプするライオンかー。
ミツルギ : サクラちゃん、流石にライオンのサイズだと木に負担があるから、長時間は無理だからな!
「はい! 何となくそれはわかってます!」
正直、木の上から獅子咆哮で狙い撃ちが出来ればありがたいんだけど、それは無茶だろうしねー。一時的な退避場所としてが限界な気はする。
「わっ!? 上ってきてますよ、このヘビ!」
ぐぬぬ、普通に追いかけてきたよ、このヘビ! うーん、今さっき聞いた毒の説明なら、噛みついても実は平気? あ、でも噛みついた後に毒を生成してスキルを使われたらアウトな気がする。
うーん、今使えるスキルは獅子咆哮と投擲かー。他はまだ再使用時間中だから仕方ないけど、投擲ならなんとかいけるかな? うん、足場は悪いけど、やってみよー!
「これでトドメです! 『投擲』!」
今まで何度かやってみた事がある、空中に取り出した小石を弾き飛ばす! これなら、足場の悪さも――
「あー!? がふっ!」
<成長体を撃破しました>
<進化ポイントを1獲得しました>
あ、一応は投擲がヘビに当たって討伐は出来たみたい! ……投擲で踏ん張った時に、思いっきり嫌な音を立てて足場にしてた枝が折れて、落下したけどねー!
むぅ、やっぱり足場が悪すぎた。これをやるなら、もっとがっしりとした立派な木でやらないと駄目みたい。うーん、森での戦いに早く慣れなきゃいけないね。とりあえず起き上がろうっと。
「まぁ勝ちは勝ちです!」
なんだかんだで雷纏いも放電も使わずに勝てたもんね! どっちも強力だけど、それに頼り切った戦い方はしないのです!
ミツルギ : あー、枝が折れたか。
咲夜 : まぁ勝ったから良いんじゃね?
サツキ : 落ちた事には誰もツッコまないのって、みんな慣れてきてるよね!
富岳 : まぁ今のは予想が出来た範囲だしな。
イガイガ : そうそう。あれくらいは予想出来る。
いなり寿司 : 俺らも慣れてきているという……。
ミナト : さーて、それじゃサクラちゃん、進めていこうー! 森の楽しさはまだまだこれからだよー!
「はーい! 毒持ちは嫌ですけど、他にどんなのが出てくるのか楽しみです!」
森だからといって毒持ちの敵ばかりじゃないはずだし、フクロウみたいなのもいたもんね! ゲームだから倒していくけど、何と遭遇するかは楽しみなのさ! さぁ、次は何が出てくるかなー?
「夜の森って、色々出てくるんですねー!」
「まぁその辺は基本的に夜行性の動物だね」
「昼には出てこないんです?」
「全く出ない訳じゃないけど、一気に下がる種族はいるよ」
「そうなんですね! という事は、寝てる敵とかもいるんです?」
「んー、そこは内緒で。ネタバレ案件だし」
「あ、確かにそれはそうですね! それじゃ聞くのはやめときます!」
「まぁその辺は本編でサクラ自身が試してみてね」
「はーい! それでは私、サクラに夜の森の探索を頑張れと応援してくれる方はブックマークや評価をお願いします!」
「サクラ、頑張れ!」
「はい、頑張りますよー!」
「さて、次回は『第112話 森の探索』です。お楽しみに!」
「探索です! 今度は何が出てくるかなー!?」