第109話 雷への適応進化
「さーて、昨日は時間が足りずに出来なかった適応進化の始まりです!」
ふっふっふ、これは昨日盛大に雷に打たれまくって死にまくった成果! まぁランダムリスポーンで全然目的地まで辿り着かなかったというのもあるけども!
まぁ運も実力のうちとも言うし、これは私に雷を纏えという天の采配なのですよ!
サツキ : あ、昨日の配信のアーカイブの最後の方で出来なかったやつだね!
いなり寿司 : 昨日の今日で、そこまで見たのか。
サツキ : 笑いっぱなしでほぼ徹夜! 今もちょっと眠い!
「サツキさん!? そうやって見てくれるのは嬉しいですけど、夜はちゃんと寝てくださいね!? 健康に悪いですよ!」
まさかの徹夜での視聴とは思わなかった! 配信3回分でそれぞれ2時間だし、その上実況外でのプレイ動画もあるから、全部見てたら本当に徹夜になっちゃう!
サツキ : 大丈夫、大丈夫! 時間の自由はどうとでもなる仕事だし、今日のを見終わったらそのまま寝るからー!
「……それなら良いですけど、無茶はしないでくださいね?」
サツキさんは、フリーランスの人とかかな? 私の姉さんもフリーのデザイナーだから、そんな感じだったもんね。時々昼夜が逆転してたもん!
うん、まぁそこの詮索はなしでいいや。人の事情はそれぞれだし、変に詮索はしない方向で! 無茶さえしなければ問題ないのです。
「それじゃ進化を始めていきますねー!」
金金金 : 進化の演出に期待!
ミツルギ : さて、初の特殊進化だな。
富岳 : まさか雷が真っ先にくるとは想定外だったからな。
イガイガ : いやー、びっくり。普通は強敵に負けまくってとか、湖エリアで溺れまくってとか、そういう状況からだもんな。
咲夜 : うん、そうだよなー。すごい特殊例。
「え、そんな感じの進化なんです!? っていうか、雷に関しては皆さんで揃って誘導してましたよねー!?」
皆さん、何を他人事みたいに言ってるんだろうね!? 特に咲夜さん! あなたが落雷死亡フラグとか言い出したのが発端だと思うけど!? まぁ結果的には面白くなったから良いけども!
「まぁ良いです! それでは進化開始ー!」
ふふーん、私としてもこの進化は楽しみだもんね! 雷の力を宿したライオンとか、カッコ良さそう! それに何か雷に関するスキルが手に入る事も期待!
という事で、進化の項目を開いてから、適応進化で『器用なライオン【雷】』を選択!
<成長体【器用なライオン】を成長体【器用なライオン【雷】】に進化させますか?>
ふっふっふ、確認メッセージが出たけど、もちろん『はい』ですとも! いっけー、初めての適応進化ー!
「わっ! 今回の進化もライオンから一度出るんですね!?」
成長体に進化した時みたいに、私の視点が上空へ飛ばされたー! 今の視点は森の上! でも、森の木々に隠れて見えないという事もなく、下のライオンの様子ははっきりと見えるね!
「って、あれ!? なんか私から雷が落ちていってません!?」
あれー!? なんで今の私から、ライオンに向けて雷が落ちていってるの!? そして、周囲の木々が落雷で倒されていって、見晴らしが良くなってるよ!?
「わっ!? わわっ!?」
なんか幼生体から成長体への進化の時と演出が全然違う! なんか私自体が放電してるっぽいし、それがライオンに向けて放出されてるっぽい!
でも、ライオンはそれに負ける事なく、受け止めてるよ! うー! 良いね、これ! これは今回のサムネイルの候補! スクショを撮っておこー!
「わっ! 最後に私が突っ込むのは変わらないんですね!」
でも、今回はなんか私自身が落雷になってライオンの中に突っ込んでいった気がする! なんか不思議な体験をした気がするのですよ!
おぉ!? 進化の最後で周りに向けてバチバチっと放電してる! わー!
<成長体【器用なライオン【雷】】への進化が完了しました>
<規定条件を達成したので、スキルツリー外の基礎スキルが解放されました>
<スキル『雷纏い』を取得しました>
<スキル『放電』を取得しました>
<スキル『麻痺耐性』を取得しました>
「おぉ、これで進化完了なんですね! それにスキルが3つも手に入りましたよ! これが雷の力の一端を宿したという事ですか!」
なんか周囲の森は今の進化の余波でボロボロになってるけど、まぁいいや! 火事になってる訳じゃないし、ここからこれ以上の悪化はしないはず!
えーと、とりあえずどんな見た目になったかな? ふむふむ、なんか顔に出てた白い模様に黄色い模様が混ざって、全身から電気がバチバチと放電されてる!
うん、如何にも雷を使いますよって感じの見た目だー! 電気系って紫だったり、青だったり、黄色だったりするけど、モンエボのは黄色なんだねー!
ミナト : サクラちゃん、進化おめでとー!
咲夜 : おぉ、ライオンでの雷への適応進化は地味に初めて見た。
イガイガ : 中々チャンスがないもんな。
金金金 : 見覚えのあるスキルと、見覚えのないスキルがある。
ミツルギ : あー、まぁそうだろうな。
「あ、スキルの内容も確認しないとですね!」
ふふーん、何となくスキルの名前的に想像は付くけど、ここはちゃんと見ていこー! 進化をして新たに得た力は確認したいのですよ! まずはこれからだー!
『雷纏い』:アクティブスキル
一定時間その身に雷を纏い、少し攻撃速度を上げる。近接攻撃時に確率で麻痺にする。
Lv上昇により、効果時間の延長。
「おぉ、『雷纏い』は近接攻撃専用のアクティブスキルなんですね! ふむふむ、確率でってなってるので絶対ではないみたいですけど、麻痺効果は良いですね!」
うふふ、これってかなり強力じゃなーい? 昨日の毒キノコに麻痺毒を受けて身動きが出来なくなったもんね! それを考えたら……あれ?
「ちょっと質問です! 麻痺毒と麻痺って別々にあるんです?」
ミツルギ : おう、別々だぞー。
富岳 : 電気由来が麻痺、毒由来が麻痺毒だな。効果自体は似たようなものだが、それぞれに別判定だから気を付けろ。
ミナト : 凶悪さは電気由来の麻痺の方が上だけどね。麻痺毒は解毒やアイテムで回復出来るけど、麻痺は出来ないから。その分だけ麻痺の方が効果時間は短いけどねー。
サツキ : まぁ麻痺を使ってくる敵って、そんなにはいないけどね!
「あ、そうなんですね! という事は、実は私、すごい強力な武器を手に入れました!?」
効果時間は短いけど、回復手段がないのがこの雷纏いでの麻痺っぽい! ふっふっふ、これは超強力ですよ!
金金金 : これ、バランスブレイカーだったりしねぇの?
イガイガ : オフライン版の『雷纏い』って、効果時間は短めで、再使用時間が長いんだよ。
ミツルギ : 初期状態で効果が1分、再使用時間が10分だったはず。
金金金 : あー、ずっと使えるって訳じゃないのか。
「むぅ……長時間は使えないんですね。これは使いどころを考える必要がありそうです」
10分に1回しか使えないなら、いつでも使いまくるって訳にもいかないよね。でも、それだけ強力なスキルなのは間違いない!
これ、場合によっては獅子咆哮の時間稼ぎにも使えるかも? ちょっと実際に使ってみる必要はあるけど、その可能性はありそう!
「さて、それじゃ次も見てみますよー!」
説明を見てみないと分からないけど、次のも強力な気がしてるんだよねー! 名前的に私が欲しい遠距離攻撃な気もする!
『放電』:アクティブスキル
その身に宿る雷を抽出して溜め、狙った場所へと放出する。稀に麻痺にする。
溜める時間に応じて、威力が増加する。
Lv上昇により、射程の延長。
「おぉ!? こっちは麻痺は低確率みたいですけど、やっぱり遠距離攻撃です! しかも溜める時間によって効果変動って良くないですか!?」
うわー! うわー! これ、もの凄くありがたい! いいの!? こんな良いスキルを使えるようになっていいの!? 私、雷に打たれて死んでただけだよ!
サツキ : ここで遠距離攻撃の手段が増えるのは大きいね!
金金金 : 麻痺効果を抜きで考えても、今のサクラちゃんには凄い有効な手段だな。
いなり寿司 : 雷雨自体が早々ないから、雷への適応進化ってすげぇ貴重なんだよなー。
咲夜 : そうそう!
イガイガ : 昨日勧めた理由はその辺だし。
「これは確かにチャンスがあるなら勧めたくなりますね! 今なら分かります!」
ネタバレ禁止にしてるから皆さんは説明できなかったんだろうけど、これはそれでも誘導したくなるよ!
うん、そういう意味ではランダムリスポーンがすぐに森までなってくれなかった事こそ、一番運が良かったと言えるね! 雷に打たれまくっている時は思い通りにいかずに荒んでたけど、実は私は運に恵まれていた! ふっふっふ、これこそ物欲センサーが働いていない時の勝利!
「それじゃ最後のスキルを確認しますねー!」
まぁこれについては特に捻りもなく、名前のままだろうけどねー!
『麻痺耐性』:パッシブスキル
状態異常【麻痺】を高確率で無効化する。
「あ、高確率で防げるだけで、完全に無効化ではないですね」
うーん、ここは完全に無効を期待してたけど、まぁ仕方ないかー! 高確率で防げるだけでも良しとしよう!
ミツルギ : サクラちゃん、まだ成長体は序盤だから、この時点でその効果は破格だからな。
イガイガ : そうそう。そもそも個別の耐性スキル自体が手に入れにくいんだぞ。
富岳 : 本来なら知恵のステータスとスキルで全体的な耐性を上げて対処するとこだからな。
ミナト : 個別の耐性スキルを得るには、一部の種族以外は適応進化くらいしか手段がないからねー。
「あ、そうなんですか!?」
ふむふむ、個別の耐性スキルを得るのって難しいんだね! やっぱり、雷への適応進化ってすごい良いんだ!
咲夜 : あ、サクラちゃん。少しだけどステータスも上がってるはずだから、見てみると良いぞー!
「おぉ、そうなんですか! それじゃちょっと見てみます!」
まさかここでステータスも上がるんだね! よーし、確認してみようっと!
【ステータス】
名前:サクラ
種族:器用なライオン【雷】
進化階位:成長体
Lv:10
生命 : 400
屈強 : 59
堅牢 : 43
俊敏 : 63
器用 : 70
知恵 : 53
えーと、何が上がってるの……? 進化前のステータス、忘れたー!? でも、器用が上がってる気はする!
金金金 : あー、『俊敏』と『器用』と『知恵』が上がってるのか。
ミナト : 『俊敏』と『器用』が+5で、『知恵』が+10だね。
富岳 : 得るスキルと連動した形でステータスが上がる感じだな。
「おぉ、そうなんですね! これはかなりのパワーアップです!」
そっか、そっか! 『雷纏い』で少し攻撃速度が上がるから『俊敏』が、『放電』は遠距離攻撃だから『器用』が上がるんだ! 『知恵』は麻痺関係の全部が影響してるんだね!
いぇーい! これで私のライオンは明確に強くなったのさー! さーて、それじゃ森の探索、頑張るぞー!
「いぇーい! 適応進化、完了です!」
「おぉ、おめでとう」
「ふっふっふ、これで戦うのが楽しみですね!」
「さて、サクラがこれらをどう扱うか……心配だ」
「それ、失礼じゃないですかねー!?」
「……暴走するから、予想出来ないんだよなぁ」
「それは知りません! さーて、適応進化後の戦いに期待という方はブックマークや評価をおねがいします!」
「……そこ、変な戦い方に期待じゃなくていいの?」
「なんでそうなるんです!?」
「さーて、次回は『第110話 適応進化の力』です。お楽しみに!」
「まずは色々と使ってみるのですよ!」