第101話 落ち続ける雷
サイコロで設定した目的地である高台の森への切り替え地点まで、落雷で死亡でのランダムリスポーン! 私がさっさと辿り着くか、何かを企んでいる視聴者さん達の思惑が勝つか、果たしてどっちになるかなー?
<サクラ【器用なライオン】が死亡しました>
<死亡した為、ランダムリスポーンとなります>
「さぁ、今度はどうですか!? あー!? 今度は湖側!?」
ぐぬぬ、またもや高台の森ならず! うぅ、既に勝負を始めてから結構な回数外れてるんですけどー!
神奈月 : これで死亡は何度目?
ミナト : 今ので落雷で16回目の死亡だねー!
ミツルギ : さて、もうちょいだな。
G : 視聴者側の勝利が見えてきた。
金金金 : あれって、もうそんなに近いのか?
富岳 : あぁ、金金金さんは知らないのか。あれはオンライン版の方が地味に条件がキツイぞ。
ミナト : オンライン版は操作キャラは限られるけど、オフライン版は実際に操作するキャラは多いからね。
金金金 : あー、そりゃ確かに。
うわー!? 話を聞いてたら、何か私の負けが近付いてきてるっぽいー!? というか、皆さんが企んでるのに必要な事って、死ぬ回数?
あれ? ちょっと待って……何か思い出せそう。 これ、皆さんから何か聞いた覚えがあるやつ! えっと、何だっけ? うぅ、あと少しのとこまで出かかってるのに、出てこないくてもどかしい!
よし、思い出せないのは思い出せないでいいや! それにしても、死亡還元を取ったのに16回も死んで……あ、取る前に3回は死んだはずだから13回かな? それだけ死んでも出ないんだねー。
「これはあれですか!? 物欲センサーみたいなのが働いてますか!? 物欲ではないですけども!」
ミツルギ : まぁ運要素で思った通りの結果が出ないのは、ゲームをやってればよくある事だよな。
いなり寿司 : そうそう、よくある事。あ、咲夜さん、迂闊な発言注意で!
咲夜 : ……何か言えば、それがフラグになりそう。
イガイガ : 確かに結果が変わってきそうな予感。
富岳 : あー、話すのもいいが、もうそろそろ雷雨も収まってくるだろうし、急いだほうがいいぞ。
チャガ : そうなると、どっちの目的も達成できずの可能性もあるか。
「そういえばその可能性を失念してました!? 話をしながらでも、動いてないと駄目ですね!」
ランダムリスポーンは本当にランダムだし、雷雨がいつまでも続かないのなら呑気にしてる場合じゃなーい! 急げ、急げ、急げー!
「雷が収まって、森にも、皆さんが企んでいる何かにも到達しなければ、勝負は引き分けです! えいやー!」
話しながら、駆け出して大ジャンプ! さぁ、私を森へと誘って下さいよ、雷さん! ここまでわざわざ殺されたんだから、その結果を寄越せー!
<サクラ【器用なライオン】が死亡しました>
<死亡した為、ランダムリスポーンとなります>
<『死亡還元』の効果で、進化ポイントを1獲得しました>
「おぉ、初めて死亡還元の効果が出ましたよ! これは場所も期待……って、滝の上じゃないですか、ここー!」
うぅ、なんだかサイコロで選ばれなかった場所には何回も行ってる気がする! 何この、サイコロの結果と、ランダムリスポーンの結果のかみ合わなさ!
「えぇい、もう一度です! えいやー!」
時々、雷が落ちてこない事もあるから、滝の上から飛び降りるような真似はなし! より低いとこに行ってどうするのって話ですよ! よし、落雷はきた!
<サクラ【器用なライオン】が死亡しました>
<死亡した為、ランダムリスポーンとなります>
<『死亡還元』の効果で、進化ポイントを1獲得しました>
「って、2連続で進化ポイントが貰えましたよ! 場所は……草原エリアへの切り替え地点じゃないですか! なんなんですか、さっきからこの妙な運は!?」
死亡還元で2連続の進化ポイントの獲得は本当に運が良いはず! でも、私が今求めている運はそこじゃなーい! なんでここまで森方面へランダムリスポーンしてくれないの!?
「うがー! 次です、次! えいやー!」
いなり寿司 : ここまで見事に外し続けるのも、ある意味凄いな。
チャガ : 偏る時は、本当に偏るからな。まぁ今みたいな条件付きってのは、そもそも普通はないんだが。
真実とは何か : 配信だからこそ存在する真実なのだ。
ミナト : あはは、まぁ確かにねー。
「今度は雷が落ちてこないんですか! 中々思い通りに行きませんけど、諦めませんよ!」
思った通りに簡単に攻略が出来ないからって諦めはしなーい! ゲームのイベント中でお使いクエストで指定されたものが中々出ないなんてこともよくある話!
「……少し雨脚が弱くなってきましたし、本気で急いだほうがいいですね! もう一度です!」
今度はちゃんと落ちてきてくださいよ、雷ー!
<サクラ【器用なライオン】が死亡しました>
<死亡した為、ランダムリスポーンとなります>
<『死亡還元』の効果で、進化ポイントを1獲得しました>
よーし、今度はちゃんと雷が落ちて、ランダムリスポーンになったー! って、あれ?
咲夜 : え、そんな事ってある!?
いなり寿司 : マジか……。
富岳 : いや、理屈としちゃあるにはあるが……。
ミツルギ : うっわ、滅茶苦茶レアケースじゃん。
うん、皆さんも驚いてるけど、これってどうなってるの? 私、変なとこに運を消費してませんかねー? ランダムリスポーンした場所は湖と川の中間くらいでまた外れだし……。
「3連続で進化ポイント入手って、そもそも確率低いんですよね!?」
使った進化ポイントは回収出来たから、ある意味狙い通りではあるんだけど、私の求めている結果はそこじゃないのですよ! ランダムリスポーンで森方面の近くに行かせてくださいよ!
ミナト : そのはずなんだけど……3連続は初めて見たよー?
チャガ : 俺は1度だけ遭遇した事はあるが、早々あるもんじゃないぞ。
咲夜 : だよなー? レアだよな、これ!
いなり寿司 : あ、雷が収まり始めたか?
富岳 : あー、そろそろ時間切れか。
「うわー!? 時間切れで引き分けは微妙に嫌なんですけど! うぅ、これが最後のチャンスかも……」
あからさまにゴロゴロ鳴ってた雷鳴は少なくなってきたし、これは時間切れが近いっぽい。進化ポイントは成果だけど、ここまでやってそれだけで終わるのは嫌ー!
「うがー! 私は最後の最後で引き当てるのですよ!」
もうこれが最後のつもりで、再び雷に打たれる為に大ジャーンプ! おぉ、光ったから――
咲夜 : おし、これで20回目! 俺らの勝ち!
<サクラ【器用なライオン】が死亡しました>
<死亡した為、ランダムリスポーンとなります>
<規定条件を達成したので、『適応進化』の進化先が解放されました>
「……え? 『適応進化』……って、あー!? 思い出しましたよ! 確か昨日、皆さんが同じ死亡理由で何度も死ねば発生する特殊進化って言ってたやつですよね!?」
そっか、そっか、そっか! さっき思い出しかけてたけど、思い出せなかったのはこれなんだ!
皆さんが企んでたのはこれを発生させる為の死亡回数を稼がせる為だったんだ! だとすると死ぬ為の回数は20回なんだ!
え、でもこの場合って何に適応するの? 雷に打たれても平気になるの? うーん、とりあえずそれは詳細を確認して……って、皆さんの反応がないね? 皆さんの勝ちなはずだけど、どうしたんだろ?
ミツルギ : あー、この場合はどうなるんだ?
神奈月 : ……引き分け?
いなり寿司 : まさか同時に達成とはなぁ。
真実とは何か : 信じがたい真実もあるものだ。
ん? あれ、皆さん引き分けとか言ってるのはなんで?
金金金 : あ、狐っ娘アバターがキョトンとしてるぞ。
イガイガ : あれ? サクラちゃん、状況を把握してない?
ミナト : サクラちゃん、周囲を見てみてー!
「え、周囲ですか? って、ここは高台の森への切り替え地点じゃないですか!?」
うわー! まさかの最後で私と皆さんの企みが同時に達成!? しかも、雷雨が収まってきてて、ただの雨になってるよ!
「なんというか、色々と運が良いのか、悪いのか、よく分からないですけど、結果オーライって事で引き分けです! とりあえず出た進化を見たいんで、そっちを見ていきますね!」
という事で、サクッと進化先を見てみよう! 適応進化は特殊進化って言ってた気がするけど、どんな風になるんだろ? そもそもすぐに実行出来るのかな? うーん、とりあえず見てみよ!
【解放された進化先】
『適応進化』
・器用なライオン【雷】
進化階位:成長体
進化ポイント:不要
度重なる落雷を受け、落雷への耐性を身に着け、その力の一端を宿したライオンの姿。
「おぉ!? 雷の力を宿したライオンになるんですか!? しかも進化ポイントがいらないとか、良いじゃないですか!」
うわー! これ、思いっきり進化させたい! すぐにでも選択出来るみたいだし、やってみようかな!?
金金金 : 満面の笑みの狐っ娘アバターは良いですなぁ。
咲夜 : これぞ、自然への適応進化!
ミツルギ : ネタバレ案件だから、詳細は言えなかったんだけどなー。
ミナト : かなりギリギリだけど、条件を達成出来て良かったよー!
「確かにこれは良いですね! では、早速進化を……って、そういえば今何時です?」
んー? ちょっと待って、時間を確認せずにいたけど、ザリガニを倒してから雷で死にまくるのでどのくらい時間が経ってるのかな? えーと、時計を見て……あ、もうあと5分で20時だー!?
いなり寿司 : あ、良いとこで時間切れっぽいな。
ミナト : んー、進化の時間は厳しそうだね。
「申し訳ないですけど、時間切れです! 最後にちょっと森を覗いてから、ステータスとスキルの一覧を載せて、今日の配信は終わりにしますね!」
うぅ、私としてもすぐに進化させたいけど、今日はお父さんもお母さんも晩御飯の時にいるから、配信の時間を引き延ばすのは無理だー! でも、実況外でのプレイで森には行きたいから、森への進出だけは済ませて終わりにしようっと!
「ふふーん! いぇーい!」
「妙にご機嫌だね、サクラ」
「そりゃそうですよ! 特殊進化ですよ、適応進化!」
「雷に文句言いまくってたのに、手のひら府返しが酷い!?」
「その節は雷さん、申し訳ありませんでした!」
「あ、雷に謝るんだ?」
「悔しいのは、時間切れっぽいとこですね……」
「あー、まぁそこはね……」
「まぁ、そういう事もありますね! 私のライオンの適応進化が楽しみだという方はブックマークや評価をお願いします! 多分今回の配信内では無理ですけど!」
「という事で次回は『第102話 今回の配信はここまで!』です。進化は次の章からなので、お楽しみに!」
「もう少しで第3章も終わりです!」
「まだ数話はSNS回や配信外のプレイ回があるけどね」
「あ、そうでした!」