カラテカ〜うちの道場が異世界と繋がっていた件〜
——空手。
拳足による打撃技を特徴とする武道。
それを教えるのが親父の仕事であり、我が家の隣には古びた空手道場が建っている。
その親父が県外で交通事故に遭い、全治半年の怪我で入院。
おしどり夫婦と近所で評判のお袋は「克樹はもう社会人なんだから、大丈夫よね? 沙奈のことはよろしくね」と、高校生の妹を押しつけて、大きな荷物とともに出ていった。
親父が入院した病院の近くにお袋の妹、つまり叔母さんが住んでいるので、親父が退院するまで帰ってくる気はないのだろう。
沙奈は自炊もする出来た妹なので負担はないのだが、問題は師範代が消えたこの道場だ。
もともと門下生も少なく、「子供空手教室」が収入源という不人気道場。
どうやって一家の生計を立てていたのか疑問が残るところだが、半年も道場を閉めれば、子供たちも他の道場へと流れてしまうだろう。
「お兄が代わりに教えればいいんじゃない? 中学の時は全国大会に出てたんだし」
愚痴をこぼした俺に、夕飯を作りながら沙奈が返した言葉だ。
確かに俺は中学3年の時には全国ベスト8にまで残ったが……。
「あのなぁ、俺は就職したばっかだぞ。『父親が交通事故にあったので、家業の手伝いに週2回ほど早く帰ります』なんて言ったら、一瞬でクビだ」
俺がクビを切る仕草をすると、料理を運んできた沙奈は鼻で笑う。
「後継げばよかったのに。お父さん、言葉にはしてなかったけど、お兄に継いで欲しかったんだよ。まぁ、職業が空手家になっちゃうけど」
「空手家、ね。昔はよく親父が『ワシは空手家だぞ』って口癖のように言ってたっけ」
「そうそう。中学の時は恥ずかしかったなぁ」
小さな時は俺も沙奈も、親父は空手家だって自慢していた。まるでヒーローのように。
だが思春期を迎えるころになると、さすがにそんなことは言えなくなっていた。
友達にネタにされることもあり、世間一般の家庭とは違うことに恥ずかしさを感じていたのだ。
そもそも授業参観に空手着で来る親など笑いのネタにしかならない。
「お兄は空手、やっぱり恥ずかしかったからやめたの?」
「えっ。あっ……そうだな。沙奈こそ続けりゃよかったのに」
「私は一応美容のために続けてるもん」
顔を膨らませた沙奈は、それ以上何も言わず夕飯を食べ出した。
夜も更けた頃、足音を忍ばせながら俺は外に出た。
季節は秋になったばかりだが、夜は少し肌寒い。
思いのほか明るいので空を見上げると、いつもより大きく感じる満月が屋根の隙間から覗いている。
俺はゆっくりと道場の引き戸を引き、入り口のスイッチに手をかけた。
古びた蛍光灯が60畳ほどの道場を照らす。
戸を閉めて中に足を踏み入れると、全面板張りの床が俺の動きに合わせて声を上げる。
俺は空手着に着替え、正座をしてから正面に向かって、両手をついて頭を下げる。
ゆっくりと息を吐き出して立ち上がると、肩幅より少し足を広げ腰を落とす。
両手をこめかみの高さで構えると、左右交互に拳を突き出した。
親父に初めて習った正拳突きの形だ。
俺は正拳突きを繰り返しながら、さっき沙奈と話していた会話を思い出していた。
『お兄は空手、やっぱり恥ずかしかったからやめたの?』
確かに恥ずかしかったが、それが原因で辞めたわけでじゃない。
一つは全国大会でベスト8まで行った時に、周りの選手を見て「勝てない」と限界を感じたから。
そして1番の理由は……俺よりも沙奈の方が才能があったからだ。
沙奈とは2歳違うが、俺が中3の時点でほぼ互角の実力だった。
もしあいつが女子の大会に出ていたら、おそらく中学3連覇を成し遂げていただろう。
多分親父もそれに気づいていたから、俺に継げとは言えなかったんだと思っている。
それからどのくらい正拳突きを繰り返していただろうか。
俺はその場に腰を下ろした。
「やっぱり体が鈍ってるな」
汗だくになり、肩で息をする体に悪態をつく。
呼吸を整えていると、ふと見慣れぬ扉が目に入る。
道場の奥、未だになんて書いてあるのか分からないミミズの這ったような文字の掛け軸の横に、俺の知らない扉があるのだ。
明らかに不自然な、大きな観音開きの木製扉。
不審に思い開けようとしたのだが、扉はピクリとも動かない。
押してもダメ、引いてもダメ。
道場を改築したなんて聞いていないし、先週道場に入った時には無かったはずだ。
気味が悪くなり、空手着のまま衣服を持ち、逃げるように道場を出ようとしたのだが——今度は玄関の戸が開かない。
焦った俺が窓から出ようと振り向いた時だ。
あの観音開きの扉が青白い光を放ち、ゆっくりと開いていく。
俺は恐怖でそのままへたり込みそうになるのを、必死に堪えた。
夢でもみているのだろうか?
扉から2人の人間が道場に足を踏み入れる。
サウジアラビアとかの女性が着ているような、目と手足の先以外を覆った黒い布。
そう、アバヤみたいな服装に、長い……木の棒のようなものを持っている。
一見、木刀かと思ったが、真ん中あたりを持っているので、杖といった方がいいだろう。
2人は道場に入ると、顔を見合わせて明らかに動揺している。
いや、動揺してるのは俺もだ。
英語でもない、聞いたことのない濁音混じりの言葉。
そして俺の存在に気付くと、目を鋭くして杖を構える。
待て待て待て待て!
なぜ身構える!
強盗か!? テロリストか!? はたまた新手の道場破りか!?
いくら武術を嗜んでたって、急に怪しい2人組が現れて武器を構えられたら足が震える。
後ろ手で玄関を開けようとするが、やはり微動だにしない。
「ガーラーデーー!」
「グダボヤマダイ!」
「ちょ、ちょっ、待った! 待てぇー!」
俺が両手を前に突き出して、待てと叫ぶが2人はゆっくりと俺に襲い掛かろうとする。
……? ゆっくりすぎない?
スローモーションのような動作で一歩一歩近づいてくるのだが、まるでコントのような動きに体の震えが止まる。
ふふっ、よく分からんが、自分の身は自分で守らなければ!
だから急に速くなったりするのは反則だぞ?
と思いつつ、迎え撃とうにも2人がこちらまで来るのに1分くらいかかりそうなので、俺から前に出る。
無駄に振りかぶった1人に中段突きを、もう1人にそのまま回し蹴りを喰らわしてやろうと。
——だが、ここで予想外のことが起こる。
俺の拳は腹を貫き、回し蹴りは胴体を切り裂いたのだ!
まるでゼリーのような感触。
「えぇぇー!」
血が飛び散り、俺の拳や脛にどろりとした生暖かいものがまとわりつく。
ちょ、ちょっと待ってくれ! お、俺は人を殺したのか!?
陸に打ち上げられた魚のようにピクピクと体を痙攣させる2人。
血塗られた手を見て全身から力が抜けていく。そのまま崩れ落ちるように膝をつく俺の目の前で、2人は光の粒子となって消えていった。
脳の許容範囲を超えた光景だ。
『新たなカラテカを確認! 上書きを行います——完了致しました。以後撃破ボーナスを入手出来ます。カラテカのレベルアップを確認。ブーダ語を習得しました』
突然鳴り響く声。
その無機質な女性の声は耳からではなく、直接頭に語られているような感じだ。
空手家?
上書き?
ブーダ語?
混乱に混乱を重ねた俺は、眠るように意識を手放した。
「——ねぇ、————なよ。お兄、起きろー!」
体を揺らされてまぶたを開けると、目の前に沙奈の顔がある。
あれっ? 俺はいったい……。
————っ!?
がばりと上体を起こした俺を、「うわっ」と言いつつもひょいと避ける沙奈。
道場内を見渡しても、俺が見た観音開きの扉もなければ血の跡もない。
夢……だったのか?
「な、なぁ、沙奈。昨日、あの掛け軸の横に扉があったんだけど……ないよな?」
「ちょっとお兄、大丈夫? どこをどう見たって壁でしょ」
怪訝な顔を向ける沙奈は、手を伸ばして俺の額に手を当てると「熱はないよね」と呟いた。
妙にリアルだったが……そうだよな。夢だよな。
「空手の練習はいいけど、そのまま道場で寝ないでよね。朝からお兄の姿がないから心配したんだよ」
「す、すまん」
「ほら、早く朝ごはん食べないと会社遅刻するよ」
「えっ、もうそんな時間か!?」
道場の掛け時計に目をやると、時刻は7時半。
急がないと本当に遅刻だ。
慌てて衣服を持って道場を出ようとすると、後ろから『お兄』と声をかけられて振り向いた。
「ううん、なんでもない。ほら、遅刻しちゃうよ。台所に朝食おいてあるからね」
「あぁ、急いで着替えてくる。朝飯ありがとな」
その時の沙奈の顔が妙に浮かない面持ちなのが気になったが、俺は遅刻しまいと道場を後にした。
無事遅刻することなく出社し、沙奈の作った弁当を食べ、仕事を終わらせ家に帰る。
とはいえ仕事中は昨夜のことばかり考えていた。
いや、夢だとは思うが、妙に生々しい感触が拳に残っている。
誰かに言おうものなら厨二病認定されそうだ。
夕飯を食べ終わると、沙奈は「友達と約束があるから」と出かけてしまった。
昨夜のことがどうしても頭から離れない俺は、再び道場の中にいた。
やはり何度見ても掛け軸の横に扉なんてない。
コンコンと叩いて回るが、木の音が返ってくるだけでただの壁だ。
外に回ってみたが、隠し部屋など存在するスペースなどない。
夢と現実の区別もつかない自分に、失笑が漏れてしまう。
——揺らぎがある時は座禅を組め。心を無にして自分に向き合えば揺らぎはおさまり、迷いは消える。
親父が昔からよく言っていた言葉だ。
道場に戻った俺は空手着に着替え、座禅を組んで大きく息を吐き出して目を閉じる。
親父の事故で気付かないうちにストレスでも溜め込んだんだろう。
そう考えて思考を捨てていく。
自分の呼吸音だけが聞こえる静かな世界。
モヤがかった頭の中が真っ白に塗りつぶされていく。
心が落ち着い————。
『来襲者を確認! 完全結界完了。バトルモードへと移行します』
突然頭に鳴り響く声に目を開けると、掛け軸の横に出現していた扉が光と共に開いていく。
「嘘……だろ?」
現れたのは昨日と同じアバヤみたいな黒ずくめの格好をした3人組。
ただ、昨日と違うのは。
『くっ、伝承の通り、ここでは全ての魔力がかき消されているぞ』
『おいっ、あれが——伝説のカラテカか!?』
『やるしかねぇ! あいつを倒せば俺たちは勇者だ』
おいおい、日本語喋ってるぞ!
しかも魔力? 伝説? 勇者?
ごめんな沙奈。お兄ちゃんの頭はとうとうおかしくなったようだ。
『あいつビビってやがる。行けるぞ!』
『魔力が使えなくても、俺たちには鍛え抜かれた体がある』
『行くぞっ!』
三方に別れ、波状攻撃を仕掛けようとする3人組だが、
やはり動きはスローモーション。
簡単に蹴散らせそうだが、昨日のゼリーの感触は味わいたくない。
とはいえ何もしないで攻撃を受けるわけにもいかず、1人の体を押して転ばせようと手を伸ばす。
プリンのような柔らかな感触。
問題なのは————押しただけなのに、なぜそのまま貫通する?
こいつら脆すぎるだろ!?
嫌な感触を手に残しながら、やはり3人は光の粒子となって消えていく。
もう俺の頭は麻痺している。
早く目を覚まそうとほっぺをつねるが痛いだけだ。
そんな中、ヒラヒラと宙を舞いながら落ちていく、見覚えのある紙。
床に落ちた紙を拾うと……千円札だった。
何かの冗談だよね?
俺の手元に集められた3枚の千円札。
それを眺めていると、また頭の中に声が響く。
『撃破ボーナスを入手しました。カラテカのレベルアップを確認。使い魔を使役出来るようになりました。感知を覚えました』
声が消えると俺の目の前に突然現れた3つの木箱。
もう乾いた笑いしか出てこない。
この非現実的な出来事に、俺は奇妙なテンションになっていた。
手のひらサイズに、俺の腰ほどのサイズ。残りは俺の肩ほどまである巨大サイズと、大中小の箱。
——舌切り雀かよ!?
撃破ボーナスと言っていたんだ、お宝が入っている可能性が高い。
そう考えればもっとも高価そうなのは小さな箱だろうか?
こういう時に欲にかられて大きな箱を選ぶと、残念な結果になるのはあるあるだし。
逆に無難なのは間に挟まれた中くらいの箱か?
——えぇい、ままよ!
俺は舌切り爺さんを信じて、小さな箱に手をかけた。
箱に触れた瞬間、3つの箱が煙のように掻き消える。
行き場を失った右手の周りを、嬉しそうに飛び回る黒い……虫?
いや、虫というか羽の生えた体調10㎝ほどの小人だ。
チラと他の箱があったところを見れば、中くらいの箱が置かれていた場所には可愛らしい幼女。
その向こうの大きな箱が置いてあった場所には絶世の美女が立っている。
『——使い魔が決定しました』
天の声に俺はようやく理解した。
あぁ、そっちね。
なら大きい箱が良かった……。
中身を見てから選ばせてくれ。
光の粒子となって消えていく幼女と美女。
項垂れる俺の右手の甲に、残った小人がひょいと乗っかる。
『ボクを選ぶなんて、さすがっす! ボクはヤンっす。よろしくっす、御主人様』
蝙蝠のような黒い羽に、黒いレザースーツで全身を覆う小人。
肩まで伸びた銀髪に、褐色の肌。
北欧の美少年のような顔立ちでニッコリと笑っている。
『——バトルモードを終了します。結界が解除されました』
天の声が終了を宣言すると掛け軸横の扉は消え、いつもの道場に戻っていた。
右手に乗ったままの小人と、左手に握られた3千円を除いてだが。
「……ヤンって言ったっけ? 色々聞きたいことがあるんだが」
『なんでも聞いてくれっす! これでもボクの家系は代々カラテカに仕えてきた優秀な一族っす。なんでも知ってるっす』
自慢げに胸を張るヤン。
このまま質問を始めようと考えたが、また天の声が聞こえてきたらたまったもんじゃない。
俺は足早に道場を出て、自室に戻るのだった。
聞きたいことは山ほどある。
俺はベッドに腰かけると、『これがカラテカの世界っすか! すごいっす!』と興奮しながら部屋の中を飛び回るヤンを呼び寄せ、質問を始めた。
「なぁ、そのカラテカってなんだ?」
『カラテカっすか? カラテカは世界最強の伝説の戦士っすよ。純白の衣を身にまとい、魔力を使わず、肉体のみで戦う戦士っす! 世代交代の噂を聞いて、使い魔の地位を狙ってたっす』
空手家そのものに聞こえるのだが、世代交代って。
俺の脳裏に嫌な考えがよぎる。
つまり元々のカラテカって——親父かよ!
親父がよく言ってた『ワシは空手家だぞ』って言葉が、どんどん厨二臭く感じてきた。
『先代のカラテカの話を聞いて、ボクはいつも憧れてたっすよ! 一撃で敵を粉々にする『爆砕猛虎撃』に全てを切り裂く『竜尾切断脚』! シビレるっす!』
あぁ、あの親父なら言いそうな必殺技の名前だ。
いや、目の前で聞けばドン引きだが。
「俺が倒した奴らは光になって消えていったが、あれはなんなんだ?」
『何言ってるっすか? 死んだら光になって教会に転送されるに決まってるじゃないっすか』
何当たり前のことを聞いてんだみたいな顔してるが、そんなのゲームや漫画の世界だから!
さらにヤンに詳しく聞くと、ヤン達のいる世界はどこぞのゲームやファンタジーのような世界らしい。
魔法が使える人々に、亜人や魔物。
地球が機械科学で発展した世界なら、ヤン達の世界は魔法で発展した豊かなところらしい。
魔法に頼りきった人々の肉体は衰退し、あの弱さになったとか。
手に入れた3千円をチラと見て、このことも聞いてみたが、やはりこれが撃破ボーナスだった。教会に転送される際、その場に所持金の半分が置かれていくのだとか。
こちらのお金に変換してくれるのはいいが、我が家の隠れた収入源を知ってしまう。
我が家の謎が一つ解けたのだが、このやるせなさはなんだろうか。
一通り話を聞いた結論は……頭がおかしい、だ。
とにかくうちの道場は異世界と繋がっていて、その世界で最強を目指す人々が、カラテカを倒そうと扉を開く。
こっちはこっちで臨時収入があるのだが、何せやってることは人殺し。
いくら生き返っていると聞かされても、気分がいいものではない。
これからは道場に近づかない方がいい。
そう考えていると頭に天の声が鳴り響く。
『来襲者を確認。24時間以内にバトルエリアに入って下さい』
おいおい、とうとう道場じゃなくても天の声が聞こえ出したぞ。
しかもその24時間以内とかってなんなんだよ。
「なぁ、ヤンにもこの声は聞こえるのか?」
『ボクもマスターの使い魔っすからね。聞こえたっすよ』
「これって放っておくとどうなるんだ?」
だが答えたのはヤンではなく天の声だった。
『24時間以内に来襲者を撃破出来なかった場合、完全結界が消失します。それに伴い来襲者には魔力が戻り、この世界を蹂躙するでしょう』
「おいおいおい、魔法ってそんなにヤバイのか? っていうか天の声が答えてくれるのかよ?」
『そこのへっぽこでは分からない為、今回は特別です』
へっぽこ呼ばわりされたヤンは『ボクはへっぽこじゃないっす!』と、ご立腹のようだ。
今までのことを顧みても、天の声が嘘をついているとは思えない。
しかしそうなると、親父がこの世界を異世界から守っていたってことで……。ダメだ考えるだけで頭が痛くなっていく。
不意に俺の携帯が震える。
画面を見れば親父からだ。
「もしもし……」
『おー、克樹、元気か? ちょっとお前が心配になってな。どうだ最近、道場には顔出してるか? 実はお前に話があって……』
明るい声だが、妙によそよそしい。だから俺は、ボソリと呟いた。
「……爆砕猛虎撃」
『うぐっ』
「……竜尾切断脚」
『あがっ。——克樹……あとは任せたぞ』
弱々しい声でそのまま電話は切られた。
大体において今更電話してくる方がおかしい。
世界を守るために異世界人と戦えとか言われても、信じはしなかったとは思うが。
もし俺が一昨日道場にいなかったら、異世界人襲撃の最初の犠牲になっていたのは沙奈だったかもしれないのだ。
逃げ道を塞がれた俺は、こうして異世界からの来襲者を倒すカラテカになるのだが…………。
勇者との死闘やラブロマンス、いつの間にか増える異世界の門下生達。
親父の引退と秘伝の奥義の習得。
魔王襲来で絶体絶命の危機に駆けつけた最強のカラテカ(妹)と、様々な物語が生まれるのだが……あまりにも恥ずかしい話なので、俺が墓までこっそり持っていくとしよう。




