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6.神器

 ゴゴゴゴゴゴ。


「うおっ」


 大きな音とともに地面が揺れる。

 立ってるので精一杯なレベル。


 倒れないように壁に手をつく。


 すると、この部屋の中央、はじめにポイズンスライムがいた辺りの床が円状に開き、中から円柱形の台がせり出してきた。

 

 しばらくして、台の高さが1メートルくらいになったところで、音と揺れが止まる。


 近づくと、半径20センチメートル程度の台の上にあるのは、小さい箱が一つだけ。


「これが神器なのか?」


 思ったよりも小さい。


 もっと武器とか防具みたいなのをイメージしてた。


 箱を手に取っても、そんなに重い感じでもない。


 何だろ。


 開けてみる。

 

「これ…指輪か?」


 中に入ってたのは、薄い紫色で成人男性の親指くらいの太さの、金属っぽい輪っか。


 どっかに身につける物だとすると、サイズ的に指輪以外ないよな。


 ガバガバだけど、左手の人差し指を輪っかに通す。

 

 すると、穴のサイズが小さくなって、ちょうどいい大きさに変わった。


 呪いの装備みたいに、締まって取れなくなる訳じゃなくて、ちょうどいいサイズ。


 すごいな。

 さすが神器。


 あ、そうだ、鑑定しないと。

 



『サブル島の神器』

 サブル島の隠しダンジョンで獲得できる指輪型の神器。装備者のステータスを上げ、特定のスキルを使用可能にする。


 《HP》 +20

 《MP》 +20

 《物攻》 +20

 《物防》 +20

 《魔攻》 +20

 《魔防》 +20

 

 《スキル》毒弾


 

 

 …強いな。

 想像以上にステータス上昇値が高い。

 

 一般的な戦闘職のステータスからしたら、大したことない値だけど、ダンジョンの攻略難度を考えると相当な高さ。


 非戦闘職の俺ですらクリアできるレベルだからね。


 それに加えてスキルも使えるようになるとか…。


 スキルは生まれつき持ってる物だから、後から数が増えることはない。


 だから新しいスキルが使えるようになるのは、めちゃくちゃ価値がある。


 特に攻撃スキル持ってない、俺みたいな非戦闘職からすると、すごい嬉しい。

 

 毒弾ってさっきポイズンスライムが使ってたやつだよな。

 同じスキル持ってるとか、神器とボスになんかしらの関係ありそう。


 他の神器集めれば分かるかも。


 ていうか、他のダンジョンの攻略難度と神器の強さの比率もここと同じくらいなのかな。


 サンプルが一つだけじゃ確信が持てない。

 

 もしかしたら、ここの比率が高かっただけかもしれない。


 ただ、もし本当に全部これくらいだったとしたら、神器集めていけば、相当強くなれる。


 冒険者としてやっていけるかもしれない。


「…目指してみるか」


 正直、なれるもんなら冒険者になってみたい。

 強ければ強いほど、収入もよくなるし、何より楽しそう。


 やるだけやってみようかな。

 ダメだったら他に自分できることを探せばいい。


 よし、そうしよう。


 そしたら、まずは登録試験だな。

 登録試験は先生も言ってたけど、一ヶ月後。

 正確にはあと28日。


 それまでに、最低でも低レベルの普通戦闘職くらいのステータスは欲しい。


 そのためには、とりあえず島出ないとな。


 スライムだらけの島にいたんじゃ、戦闘職に追いつくはずなんてない。

 ギリギリ勝てるくらいの敵を倒してかないと。


 それが一番効率よく強くなれるはず。


 やると決めたらとことんやってやる。

 


 ◇ ◇ ◇

    


 ダンジョンから出てすぐに島を出る準備に取り掛かった。

 試験まで一ヶ月だから急がないと。


 持ち物を片っ端からアイテムボックスに詰めて、今日の夜発の飛行船の予約もとった。


 この世界はすべての島が空中に浮いてる。

 だからどの島に行くにも飛行船に乗らなきゃならない。


 この飛行時間が勿体無いんだよなあ。


 飛んでる間は魔物と戦えないから、レベルアップできない。


 上位の冒険者たちなら、小型で速い飛行船とかを個人的に持ってるから、その無駄を少なくできるけど、それ以外の飛行船は普通に移動に1日以上かかる。


 1日あったら俺の場合そこそこレベル上がるからなぁ。

 

 まあそんなこと言ってても仕方ないか。


 夜までまだ時間もあるので、お世話になった人たちには挨拶に行った。


 その人たちから聞いた話だと、俺の元クラスメイトは全員もう島を出てったらしい。


 クルト以外はやっぱり冒険者目指してるみたいだ。


 試験の会場は色々あるから、被るか分かんないけど、もしかしたら誰かと同じになるかもしれない。


 あ、ちなみに俺も冒険者志望だってことは黙っておいた。

 絶対反対されるに決まってるからね。


 そんな感じで挨拶回ってるうちに、飛行船の時間も近づいてきたので、そっちに向かう。


 

 到着して飛行船に乗り込むと、中の人はほぼ全員、黒目だった。

 

 そりゃそうだな。


 この飛行船が向かうフュジ島も、弱い魔物しかいないから、わざわざ戦闘職が時間かけてまで行くようなところじゃない。


 俺が行き先をそのフュジ島にしたのは、次の「ダンジョンキー」の条件でゲットできる隠しダンジョンの鍵を使える場所がフュジ島になってたから。


 俺が行った場所の隠しダンジョンの鍵がもらえる訳じゃなくて、勝手にスキルに次の島を指定されるみたい。

 

 まあ今の俺のステータス的にも、フュジ島の魔物がちょうどいい強さだからいいんだけど。



 ゴーーー。


 飛行船のエンジン音がなる。

 出発だ。


 到着するのは明後日の朝だから、それまでゆっくり休みますか。





《360+80の経験値を獲得しました》

《テオ=シェーファーがレベルアップしました》



『ステータス』

 

《名前》 テオ=シェーファー 

《レベル》19→22

《職業》 ダンジョン探索者(シーカー)

 

《HP》 28→31(+20)

《MP》 28→31(+20)

《物攻》 28→31(+20)

《物防》 28→31(+20)

《魔攻》 28→31(+20)

《魔防》 28→31(+20)


《経験値》 120/155


《スキル》ダンジョンキー 

     疲労無効

     鑑定

     アイテムボックス

     毒弾


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