5.初ボス
おはよう。
今回もまた9レベル上がったな。
まあ昨日は100体以上倒してるからね。
今日はこの階段降りてみようと思う。
この下にまだ階層があるのか、それともボスなのかは分かんない。
ただ、ほぼ確実に言えるのは、スライムより強い魔物がいるってこと。
下の階層に行くほど、敵が強くなるってのはダンジョンの基本だからね。
正直まだ早いかも知れない。
けど、そろそろスライムでレベル上げするのは、効率悪くなってくる。
どうせ大してレベルアップしないなら、早めに行っちゃった方がいいでしょ。
まあ遠くから鑑定して、無理そうだったら階段上がってくればいいしね。
てことで出発。
先の見えない暗い階段を、一歩ずつ降りていく。
◇ ◇ ◇
500段くらいの階段を下りたところで、やっと下に光が見えてきた。
疲労無効やっぱりめちゃくちゃ役に立つ。
500段とか、普通だったら疲れるわ。
残りの階段を下り終わると、見えたのは、半径10メートルくらいの円形の空間。
先に続くような道は見当たらない。
「てことは、ボス戦か…」
目を凝らして見ると、円形の真ん中辺りに、またもや見覚えのある形。
けど今回は色が違う。
これまでのスライムは緑だったけど、今見てるヤツの色は紫。
鑑定しとくか。
『ステータス』
《種族》 ポイズンスライム
《HP》 40/40
《MP》 40/40
《物攻》 40
《物防》 40
《魔攻》 40
《魔防》 40
《スキル》毒弾
…やっぱり格上か。
まあでも、これくらいだったら何とか勝てるかもしれないな。
先手必勝。
ポイズンスライムに向かって突っ込む。
すると、ポイズンスライムの口から紫の弾が発射された。
速っ。
普通のスライムの酸とは比べ物にならない速さで飛んでくる。
避けきれない。
どちゃっ。
直撃。
8ダメージ+毒の状態異常。
ジワッ。
毒で1ダメージを受ける。
…キッツイな。
スライムがあんまり酸出してこないから油断してた。
一旦戻って体勢を立て直す。
その間にも毒でジワジワHPを削られていく。
合計5ダメージ食らったところで、やっと毒がきれた。
薬草を使ってHPを全快させる。
薬草の効果はHP25回復だから、最大が28の俺にとってはめちゃくちゃ使える。
まあ使ってる間は無防備だから、敵と距離取らないと使えないのが難点だけど。
…さて、どうしようか。
あの毒弾をどうにかしないことには、俺に勝機はない。
まずは様子見かな。
幸い動きは遅いから、ダッシュすれば追いついてこない。
だから薬草があるうちなら、毒弾食らっても痛いけど死にはしないから、大丈夫。
今度はしっかり観察しながら、ジリジリと距離を詰めていく。
そして、俺とポイズンスライムとの距離が3メートルくらいになった時。
ポイズンスライムが一気に息を吸うような素振りを見せる。
その直後に毒弾が飛んでくる。
どちゃっ。
今度もかわせなかった。
やっぱり速い。
一旦撤退して、毒がきれるのを待ってから薬草で回復。
…よし。
ダメージは受けたけど、もう毒弾のモーションと射程距離は把握した。
次はもう食らわない。
約3メートルの位置まで近づく。
やっぱり息を吸った。
それを確認した瞬間に横っ飛び。
スッ。
紫の弾が俺の横を通り過ぎていった。
よし、かわせた。
すぐにポイズンスライムを確認するが、毒弾を撃ってくる様子はない。
連続では出せないみたいだ。
インターバルがあるのか。
その隙に一気に距離を詰める。
今度は突進してくるが、これは普通のスライムと変わらない。
もう見慣れてる。
軽くかわし、カウンターを入れる。
そのまま体を捻ってもう一発。
4ダメージ ×2。
…かてえな。
思ったより効いてない。
こっちに振り返ったポイズンスライムが、また息を吸う。
させるか。
すぐに斬りかかる。
何とか間に合った。
俺の攻撃を受けたポイズンスライムは、毒弾の発射に失敗。
大きい隙ができる。
その間に追撃を入れる。
ザクッ、ザクッ、ザクッ。
三連撃。
《HP》 16/40
《MP》 12/40
やっとHP半分きったか。
…あれ。
そういえばMPのこと考えるの忘れてた。
今、毒弾4発で28減ったってことは、1発あたり消費MP7。
…あと1発じゃん。
だったら最初から、MP切れ待ってから倒せば良かったな…。
ま、いいや。
途中でも気づいて良かったってことにしよう。
また、3メートル位置まで下がる。
そしたら案の定、毒弾撃ってくるからかわす。
もうこの距離なら余裕。
《MP》 5/40
これでもう毒弾は撃てないね。
安心して向かっていける。
毒弾さえなけりゃ、ただステータスの高いスライムだ。
行動はもう把握してる。
剣の届く位置まで近づいて斬る。
予想通りの敵の攻撃をかわしてまた斬る……。
《隠しダンジョンのクリアを確認しました》
《報酬:神器、ダンジョン内獲得経験値 ×2》