4.隠しダンジョン
気がつくと薄暗い場所に立っていた。
「とりあえず無事に入れたっぽいな」
ダメージ受けたり、状態異常になってる様子はない。
周りにあるのは、俺のすぐ後ろと、左右約5メートル先に土っぽい壁。
上にも、4メートルくらいに土の天井が見える。
要するに、真っ直ぐ前以外は全部土に囲まれてる。
奥を目指すなら直進するだけ。
分かりやすくていい。
すぐ近くには魔物の気配は無いようなので、早速歩き出す。
トン、トン。
足音が壁に反響する。
…それにしても、何でダンジョンの中見えてるんだろうか?
周りは壁だし、前もどこまで続いてるか分からない。
光が入ってくるような場所は無いはず。
壁が光ってるとかも感じられない。
うーん。
ドンッ。
うっ。
考え事してぼーっとしてたら、腹の辺りに衝撃を受けた。
足元を見ると、見慣れたフォルムの生物。
「またスライムかよ…」
2日間ずっと戦い続けて、やっと終わったってのに、またスライム。
いい加減見飽きてきた。
…いや、ラッキーか。
もし攻撃してきたのがもっと強い魔物だったら、今ごろ俺は死んでた。
ていうか、よく考えたら、脱出方法が分かってないんだから、ダンジョン内に強い魔物いた時点で逃げきれずに死ぬな。
…あんまり深く考えないでダンジョン飛び込んできたけど、思った以上に危険じゃね?
もっと強くなって、万全な状態に整えてから来れば良かったかな。
なんかいきなり不安になってきた。
…まぁでも、来ちゃったもんはしょうがない。
今更どうしようもないか。
気を取り直して、スライムを倒す。
今回はあの電子音が聞こえなかった。
やっぱりダンジョンキーの効果だったか。
◇ ◇ ◇
どこを見ても土しかない道を、ずっと真っ直ぐ歩き続ける。
出てくる魔物もずっとスライム。
ここ入ってからもう28体倒した。
全く同じ状態が続くと心配になる。
ちゃんと進めてるんだよな。
漫画とかでよく見る、何かしらの術で同じ道をグルグル回ってる、みたいなことないよね?
そんな不安が募ってきた時、とうとう目の前の景色に変化が見えた。
前方にも壁がある。
一瞬、行き止まりかと焦ったが、よく見ると真ん中に扉がある。
「もしかして、この先にボスがいるのか?」
ダンジョンの奥には、ボスがいるのがお決まり。
ドアの先とか、ボスがいそうな感じが出てる。
…大丈夫かな。
これまで俺が倒したのはスライムだけ。
しかも経験値が入ってるのは昨日の分だけだ。
この先にいるのがボスなら、正直厳しい気がする。
せめて一回寝て、今日の分の経験値をゲットしたい。
ただ魔物は、どういう原理か分からないが無限に湧いてくる。
一応、道中のスライムは全部倒したけど、また出てきて寝てる間に攻撃されるだろう。
しっかり寝ないと経験値は入ってくれないから、それで起こされたら意味がない。
…悩んだ結果、寝ないで扉を開けることにした。
まだ薬草15個近く残ってるから大丈夫でしょう。
まあ一撃で殺されなければの話だけどね。
土の壁に似合わない、金属感の強いドアノブに手をかける。
ガチャッ。
恐る恐るドアを引いて、その先を見る。
「…何だよ」
そこにあったのは、8畳くらいの何もないスペースと下に続く階段だけだった。
緊張して損したわ。
まあでも良かった。
ここなら安心して寝れる。
ドア閉めとけば、スライムも入ってこれないし。
そうと決まれば、寝る準備開始。
と思ったけど何も持ってきてないや。
アイテムボックスあるんだから、布団でも詰めてくれば良かったな。
仕方ないので、土の上に直で寝る。
おやすみなさい。
《1100の経験値を獲得しました》
《テオ=シェーファーがレベルアップしました》
『ステータス』
《名前》 テオ=シェーファー
《レベル》10→19
《職業》 ダンジョン探索者
《HP》 19→28
《MP》 19→28
《物攻》 19→28
《物防》 19→28
《魔攻》 19→28
《魔防》 19→28
《経験値》 115/140
《スキル》ダンジョンキー
疲労無効
鑑定
アイテムボックス