19.グリズリー④
最後に魔石の代金10万6800リルを受け取って、ギルドを後にし、昨日と同じ宿に泊まった。
思った以上にもらえたから、別にグリズリー討伐受けなくても良かったんだよね。
依頼受けてから代金渡すとか、完全にヒルデさんにしてやられたな。
《17440+17860の経験値を獲得しました》
《テオ=シェーファーがレベルアップしました》
『ステータス』
《名前》 テオ=シェーファー
《レベル》127→172
《職業》 ダンジョン探索者
《HP》 136→181(+20)
《MP》 136→181(+20)
《物攻》 136→181(+470)
《物防》 136→181(+20)
《魔攻》 136→181(+20)
《魔防》 136→181(+20)
《経験値》 275/905
《スキル》ダンジョンキー
疲労無効
鑑定
アイテムボックス
毒弾
電纏
電気弾
飛斬撃
◇ ◇ ◇
今日も朝から町の外に出かける。
「おう兄ちゃん、今日も行くのか。疲労度は大丈夫なのか?」
「そんなに溜まってないので大丈夫ですよ」
門番と軽く話をして外に出る。
そんなにっていうか全くたまらないんだけどね。
森に入り、キツネとヤギを倒しながら、昨日グリズリーが出たって報告のあった場所に到着。
そのあたりを1時間以上フラフラしてると、ようやく大きなシルエットを発見した。
斬撃の届く距離まで近づく。
すると最悪な状況が目に入ってきた。
「…嘘だろ」
そのシルエットは昨日見たのと同じグリズリーであった。
ステータスも同じだ。
だが問題があった。
…なんとグリズリーが同時に二体いたのである。
多分昨日の報告の二体が一緒にいるんだろう。
てことはコイツらを倒さなきゃ以来の完了にはならない。
「はあ、しょうがない。やるしかないか」
近づきたくないなあ。
なのでやっぱり最初は遠距離からの飛斬撃。
まだ俺に気づいてない二体に一発ずつ当たる。
「グオオオオ」
怒ってこっちに走ってくる。
だがそれほど速くない。
距離を取りながら斬撃を飛ばす。
カキン、カキン。
しかし、これは奇襲じゃないため、グリズリーの爪に弾かれる。
その後も何回か斬撃を飛ばし続けてみるが、全て弾かれてしまった。
このまま飛ばしてても俺のMPが減るだけで、意味がなさそうなのでやめにする。
立ち止まると、徐々に距離が詰まってくる。
ちょっとでいいからばらけてくれると助かったんだけど、二体並んで走ってくる。
やりにくいなあ。
左側によけ、なんとか一体ずつ相手にできるようにする。
すると思惑通りに、左にいたグリズリーが先に攻撃を仕掛けてくる。
それをかわし、電狼剣で腹を斬りつける。
しかし、斬り込みが浅く、倒すまではいかなかった。
体をひねって追撃を食らわす。
よし、まずは一体目だ。
続けて二体目に移ろうとする
…あれ、どこ行った?
一体目を見てるうちに視界から外れ、いると思ってた場所にいなかった。
「グハッ」
探そうと顔を後ろに向けようと思った瞬間、背中に衝撃を受けた。
振りかぶったグリズリーの手が、俺の背中を直撃した。
その勢いで俺の体は宙を舞い、少し離れたところに生えていた木に衝突する。
「いってえ…」
自分のHPを見ると、満タンの201だったのが、一気に14まで減ってた。
これ、レベルアップなかった昨日のうちに攻撃受けてたら、一撃で死んでたな。
ただ今も死んではいないが、体のめちゃくちゃな痛みで動きが鈍くなってる。
はっきり言って相当ピンチだ。
剣を杖代わりに、なんとかフラフラになりながら立つと、グリズリーが近づいて来ていた。
剣を持ち直し、斬撃を何発も飛ばす。
グリズリーはそれを受けて、進む速度が遅くなった。
痛みが少しでも引くように時間を稼ぐ作戦だ。
この作戦が功を奏し、グリズリーが俺にたどり着くまでには、魔物を斬り裂くくらいの力は入れられるくらいには痛みが引いてきた。
だが避けられるかは微妙だから、できれば一撃で仕留めたい。
それにはクリーンヒットが必須だ。
さっきみたいな浅い攻撃じゃ殺しきれず、反撃されてお陀仏。
近づいてくるグリズリーの喉元に狙いをすます。
そして、俺の剣の長さで攻撃が届く距離にグリズリーがきたタイミングで電狼剣で薙ぐ。
スパッ。
グリズリーの喉から鮮血が勢いよく飛び出す。
…はあ。
その場に座り込む。
ギリギリ倒せたな。
今までで一番死ぬ可能性高かった気がするよ。