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18.グリズリー③

「しょ、少々お待ちくださいね」


 そう言って受付嬢は奥に入っていった。

 多分、上の人に対応を求めにいったんだろう。

 大ネズミの時と同じ流れだ。


 2分ほど待つと、30歳前後の女性が出てきた。


「受付嬢のヒルデと申します。本来はギルド長が対応するところですが、あいにく不在のため、私が対応させていただきます」


 あ、この人がギルド長ではないのね。

 別にこっちとしては何も問題ない。


 このヒルデさんには、どのあたりにいたとか、いつ頃だとか詳しいことを聞かれた。

 わかる範囲でそれらに答えた。


「…以上で終了です。後はこちらで対応させていただきますね。ご協力ありがとうございました。」


「あ、それと魔石の換金もお願いしたいんですが」


「承知しました。エラちゃん、換金お願いね」


 最初にいた受付嬢と担当が交代する。


「はい、魔石の換金ですね。じゃあ出してください」


「ここにですか?」


 明らかにこのカウンターじゃ幅が足りない。

 …あ、俺が何にも持ってないからか。


「あの、俺アイテムボックスのスキル持ってるんで、結構量あるんですよ」


「あ、そうでしたか、失礼しました。ではこちらにお願いします」


 そう言って別の部屋に案内される。

 中央に大きなテーブルが一つあるだけのシンプルな部屋だ。

 そのテーブルに淡々と魔石を出していく。


「…………まだあるんですか!?」


 半分を過ぎたくらいで、痺れを切らした受付嬢が声をあげた。

 やっぱ多かったみたいだ。


「ずっと溜めてたんで」


 まだ先もあるので、軽く答えて続きを出す。


 そして5分ほどかかってようやく全て出し終わった。


「……これで全部ですか?鑑定に時間がかかるので椅子に座ってお待ちください」


 座ると目の前で鑑定が始められた。

 顕微鏡みたいな機械で魔石を見ていく。

 ペース的にしばらくかかりそうなので仮眠でもとるとしますか。




 ◇ ◇ ◇




「あの、すみません!」


 受付嬢の興奮したような声で起こされる。

 どうしたんだろ。


「あ、起きられましたか!あの、これってグリズリーの魔石ですよね!?どうやってこれを?」


 ああ、その話か。

 そういえばこっちでは話してなかったな。


「さっき出てきたって言ったグリズリー倒したんですよ。そいつの魔石です」


「あ、あなたが倒したんですか!?」


「そうですよ」


「それなら早く言って下さいよ〜!それによってこっちのこの問題の対応が変わってくるんですから」


「ああ、すみません」


 またもやさっきのヒルデさんが呼ばれて出てくる。


「あなたグリズリー倒せるほど強かったんですか。すみません、その強さを見込んでお願いがあるんですが、あと二体グリズリーを狩ってきていただけないでしょうか?」


「二体ですか?」


「ええ、あなたから報告いただいたすぐ後、他の冒険者の方からも報告いただいたんです。それによると、どうやら後二体外に出てきてるみたいなんです」


 …まじか。

 倒すの結構きつかったんだけどな。


「他にグリズリー倒せる冒険者の方いないんですか?」


 誰かしらいそうなもんだけど…。


「…それが、ステータスにはグリズリー以上の方もいらっしゃるのですが、危険だからということで受けていただけないんです。一定のランク以上の冒険者の方への強制クエストというのもあるのですが、それにはギルド本部の承諾が必要なので、数日時間がかかるんですよ…」


 それまで待ってると街に被害が出る可能性もあるから、早めに倒しておきたいってことか。


「…はあ、報酬は」


 やっぱり報酬次第かな。


「魔石の買取価格に加えて、3万リルでどうです?普通に倒した時の7倍以上ですよ」


 三万リルか…。

 今の収入じゃ冒険者になるまで持つか怪しいからなあ。


 …受けるしかないか。


「分かりました。やりますよ」


「ありがとうございます!よろしくお願いしますね」


 そんなわけで明日またグリズリーを倒しに行かなきゃいけなくなった。

 冒険者たちは何してんのかね。


 ダンジョンキーの追加クエストも後二体だったし、まあいいか。


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