17.グリズリー②
執筆再開しました!
これから、月・水・金・土の20〜22時頃の週4日更新にしようと思います。
《フォシュ島の追加クエスト1が解放されました》
[追加クエスト1]【鍵ランク2】
《アルムグリズリー討伐》 1/3
格上のはずのグリズリーを倒せて、正直自分でも相当驚いてる。
弱いほうだとは言ってたけど、一応はEランク指定されてる魔物だ。
てことは、もうすでに俺は冒険者になれる強さがあるってことになる。
まあ、正確には不意打ちできればだけど。
それでも不意打ちとはいえ、実際の冒険者と同じ仕事をこなせたことは自信につながる。
初めは、なれる可能性のほうが低いと思ってた冒険者って職業が、一気に現実的になったように感じられた。
それどころか合格者のなかでも上位に入れる可能性さえ十分あり得る。
今で修業を始めてから約十日だ。
これまでは残りの日数ばかり考えて焦ってたけど、今考えるとまだ十日しかたってないのだ。
それでEランクを一応倒せるほどまで成長したなら、あと二十日あれば楽に倒せるようになるだろう。
そうすれば確実に上位合格者に入るはずだ。
ただそれは、もちろんこれまで通りに魔物を倒していったらの話。
慢心せずに早速残りの討伐も再開した。
◇ ◇ ◇
ダンジョンキーの基本クエストを達成し終わったので、今日はちょっと早いけど街に戻ることにする。
換金とかもしなくちゃいけないしね。
帰りも魔物と遭うことなく街に到着。
まだ朝と同じ門番が門のところにいた。
「おう、兄ちゃん。よかった、ちゃんと戻ってきたな。」
「ありがとうございます。ちょっと危なかったですけどね」
「まあ、アルムフォックスとかも一般的には弱い魔物って言われちゃいるが、俺たち非戦闘職にとっちゃ強いもんな。その若さで全く危なげなく倒せたら相当なもんだ」
「あ、そうじゃなくてグリズリーですよ。深くまで入ってないのに、なぜか出てきたんです」
「? ハハ、そんなわけないだろ。今まであいつらが奥から出てきたって話は聞かないし、だいいち兄ちゃんみたいな若造に倒せるほど弱かないぞ」
門番は俺が言ったことを冗談ととらえたようだ。
ほら吹き扱いされても嫌なので、アイテムボックスでしまっておいたグリズリーの魔石を取り出す。
「はい、証拠です」
魔石を手渡す。
「…!」
手に取った瞬間、門番の表情が変わった。
「これ…このサイズはこの島じゃグリズリーだけだ…。他の魔物じゃこんなにデカイ魔石が取れることはない。…てことは、兄ちゃんホントにアレ倒しちまったのか!?」
相当驚いてくれてるようだ。
なんかちょっと嬉しい。
「不意打ちでですけどね。さすがに正面から戦って勝てるほどは強くないですよ」
「いや、それにしてもすげえや。こりゃ冒険者になるって目標は簡単にクリアできそうだな」
そう言って魔石を俺に返す。
すると、それまでの笑顔から突然神妙な面持ちに変わった。
「…あ、そうだ、それでそのグリズリーが奥から出てきてたんだったな。それは結構マズイぞ。兄ちゃんは勝てたからいいが、他の冒険者も森に入る。いくら戦闘職とは言ってもこんな場所で働いてる甘ちゃん達だ。殺されないとは限らないからな…」
「え?」
いや、さすがにそれはないんじゃ…。
少なくとも一年以上は冒険者やってるんなら、弱い魔物しか倒してなくたって、ある程度のレベルにはなってるだろう。
「なんだ、兄ちゃん知らないのか?倒す魔物とステータス差がありすぎると経験値もらえないんだ。逆に自分より強い魔物だと増える」
…そうだったのか、初耳だ。
じゃあ、俺のレベルが異常に上がるようになったのは、それでブーストかかってたってことか。
「だから安全な仕事しかしてないあいつらは、レベルが低いからそんなに強くない。他にも出てきてるグリズリーがいると危険だから、悪いがギルドに報告しといてくれないか」
「いいですよ。どうせ用ありましたし」
どっちにしろ換金しに行く予定だったから別に手間でもない。
「そうか、ありがとう。助かる」
てことで、そのままギルドに向かった。
◇ ◇ ◇
門番の人に教えられたとおりに道を歩くと、ギルドの看板を発見した。
この島のはちゃんとした建物だ。
中に入ると、正面にカウンターがあり、そこに若い受付嬢が立ってた。
よっしゃ、お姉さんだ。
やっぱりこの前のおばちゃんが珍しいだけだよね。
初めて見たイメージ通りの受付嬢に、若干テンション上がった状態で、その受付嬢のカウンターに向かう。
「どのようなご用件でしょうか?」
「えと、魔石の換金と、あとグリズリーが森の奥から出てきてたってことの報告に来ました」
「え、グリズリーがですか!?」
ここでもなかなかの驚きっぷり。
ホントに出てきたことなかったんだね。