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【マッキー:え? 丁寧にしたら回復量が上がった!?】
貧乏から抜け出すため、駒田にポーションを買ってくれとメッセージを送った。
その際、通常より回復量が多いぞと自慢する。
自慢すれば、何故そうなったのかと突っ込まれるのはお約束。
経緯を話して駒田から届いたメッセージがこれだ。
【クー:薬草を水洗いしたのもいいのかもしれない】
【マッキー:でかしたクー。絶対高値で売れるぞ】
【クー:町ではプラスのポーションとか売ってないのか?】
【マッキー:俺が知る限りは見てないな。といっても――】
ギルドで委託販売に出されているポーションだけで、数百点もあるのだと駒田は言う。
露店ってのを出して、実際に売り買いしたい人たちもいるが、その数も相当数ある……と。
まぁそれだけあれば、確かに確認のしようがないな。
☆2ポーションだけを駒田に買って貰い、残りはここの住民用に販売しよう。
☆2の相場は、単純に☆1の二倍、60Gだという。
なら55Gでどうだろうか。
【マッキー:オケ。助かるよ】
【クー:★ポーションもあるんだが?】
【マッキー:おおおお! 質の良い草あったのか!】
【クー:あった。知ってるってことは、珍しい訳でもないんだな】
【マッキー:まぁな。でもCTが別だから、これまた需要あるぜ】
【クー:買う?】
【マッキー:もちのろん】
こちらは相場120G。うひょー、たっけー。
売上金、6320G頂きましたー!
「うおおおおぉぉぉぉ、金持ちに戻ったどおおおぉぉぉっ!」
『ワオオオォォォォーンッ!』
満月に向かって遠吠えする俺たち。
そこへ、ティト君とリリーチェさんがやってきた。
「こんばんはお兄さん」
「こんばんはークーさん」
「お、こんばんは。今から? それとも戻ってきたのか?」
『ワフッ』
二人は狩りから戻って来て、アイテム整理の為に戻ってきたようだ。
ポーションいるかな?
「お兄さん、MPポーション持ってる? 売って欲しいんだけど」
「僕はライフポーションがあれば」
「おぉ。あるある!」
『ワッフワッフッ』
このクエストに相場なんてものは存在しない。他に生産者もいないから、価格競争なんてのも存在しない。
なので価格は俺が設定する!
「たださ、町だと結構高いみたいなんだよなー」
「需要がありますしねぇ」
「でもさお兄さん。冒険者ギルドが出来たら、委託販売できるようになるんでしょ? その時はどうするの?」
「うん……。でもその頃になったら、消費者も増えるだろ? 実際今だって増えてるし。だから代理の必要もないかなって」
直接販売なら、俺の好きな価格で販売できる。
時間がもったいなくってギルドに代理販売を頼む時には、相場を見て値段を決めるつもりだ。
あくまでもここで活動する人向けには、俺の価格で売る。そういう感じで行こうと思っている。
「他にポーション屋さんとか出来たら、ちょっと揉めそうではあるかなぁ」
「え……それは考えてなかった……うぅん、MMOって面倒だなぁ」
「ま、その時はその時だよお兄さん。今は少しでも安い方が、私たちも助かっちゃうし」
「そうだね。他にポーション屋の人が来て、価格のことで何か言われたらその時話し合えばいいですね」
「むしろ、お金を稼ぎたいならギルドで委託すればいいんだし」
二人の話を聞きながら、確かにそうかもしれないと思う。
俺も貧乏になったら、ギルドに代理販売を頼もう。
その前に……。
「冒険者ギルドを建てなきゃならないんだけどな」
「「そうだね」」
「住民NPCも三家族になったし、そろそろ畑作りをしようかなぁ」
正確には、畑区画を作って柵で囲う作業だ。
ただここでちょっとした悩み事があった。
現在の壁の外に柵を立て、畑区画を作るとする。
だけどクエストは拡張しなきゃならない。そうなると畑が邪魔になるかもしれないんだよなぁ。
植林場もあるし。
ちょっとミャーニーに相談しよう。
双子に「ミャーニーに相談あるから」と言い、ポーションを売ってその場を後にする。
工房から一番近い武具店の一階は明るく、道を挟んだ雑貨屋も明かりが灯っていた。
ちらっと覗くと、にゃんごがカウンターの向こう側でにこにこ笑っているのが見えた。
「おっす、にゃんご」
「にゃー。お客ニャん。何か買って行くかにゃ?」
う……そういうつもりで声を掛けたんじゃないんだが、キラキラした目で見られたら……。
誘惑に負け店舗へと足を踏み入れる。
そういえば、カウンターを設置しただけの店舗だったのに、いつの間にかガラスのショーケースだ鉢植えだなんだと揃っているんだよなぁ。
若干殺風景ではあるが、どことなくファンタジー臭はしている。
「お店を持てたニャから、新商品もあるニャよ」
「お、そうなのか。どれどれ」
だが真っ先に、商品が減っていることに気づく。
武器防具のページが消えてなくなっているのだ。
武具店が出来たからかな?
ポーション類を見ると、一定時間ステータスを上昇するとかいうのが増えていた。
俺には必要ないな。うん。
他にも俺が作った解毒や、麻痺解除なんてのもある。
うひー。麻痺攻撃なんてのもあるのかぁ。
そして道具には――ランタンやロープ、設置用トラップ? 更には塩コショウ以外の調味料が増え、植物の種なんかまで売られていた。
トラップで動物を生け捕りに?
いや、そもそもこの世界に動物って居るのか?
「何買うニャ?」
「え……えぇっと……」
畑区画を作るにしろ、壁を拡張するにしろ、作業は主に夜行う。
ってことで、試しにランタンと、それに必要な油、それに使えそうなロープを購入。
ロープは10メートル、20メートル、30メートルとあって、それぞれひとづずつ買っておいた。
「まいどありニャー」
「ランタンか。さすがに焚火より、火のもちはいいよな?」
「鑑定するニャよお客ニャん。新しい物を手に入れたら、なんでもかんでも鑑定する癖をつけるといいニャ。そうすればスキルのレベルも上がるニャから」
それもそうか。
じゃあ早速鑑定。
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ランタン:道具
効果:油を使用して周辺を照らす道具。
半径2メートル内明るさレベル5。
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明るい範囲が焚火より狭い? しかも燃える時間も書かれてないし。
あ――油のほうか!?
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ランタン用油:道具
効果:ランタン専用。
燃焼時間九十分。
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よっし! 九十分と大幅拡張だな。
油は一個8G。一晩百五十分なので、ランタンだと三十分オーバーになるが、途中で油を一回補充するだけなので手間が減る。
明るい範囲が狭くなるが、焚火と違って持ち運びも出来る。四つぐらいで作業スペースを照らし、少しずつ移動させていけばいい。
焚火は再利用も出来なかったから、無駄に燃やしてる時間もあったからなぁ。
長く使えばこっちのほうが経済的だろう。
「にゃんご、ランタンと油、追加で売ってくれ!」
「ニャー。まいどありニャー」
ランタンひとつ2000Gを三つ追加し、油はまとめて百個買い。
ふっふっふ。
駒田にポーションを売って稼いだお金が……ランタン代で消えてなくなったぜフゥー!
異世界ファンタジーもの書き始めました。
「二人の冒険譚~一攫千金を夢見た少年と、英雄に憧れた少女~」
こちらもぜひ、よろしくお願いします。




