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039

 これで一般住民タイプのNPCは二家族になった。

 最初にやってきた一家は、ヒューマン……つまり俺たちと同じ種族だ。

 新たにやって来たのも同じくヒューマン。

 一般住民はヒューマンが多いのかな。


「この家を頂いてもよろしいのですか!?」

「わぁ、ここが僕たちの新しいお家なの?」

「これからここはもっと発展していきますミャ。その為にも是非、ご協力くださいミャ」

「えぇえぇ。畑仕事しか取り柄がありませんが、何でもやらせてください」


 そんな会話が俺の前で行われている。昨夜も同じような流れだった。

 この一家には男の子が居て、ちょうどガチャ君と同じ年ぐらいだろう。

 種族は違えど、きっと良い友達になるに違いない。


「よし、ワオール。入居の儀式も終わったようだし、俺たちは北に行ってみるか」

『オンッ』


 一家に挨拶をし、俺とワオールは北に向かった。

 駆け足で五分。この辺りはまだノンアクティブゾーンだ。

 暫くすると、渚さんが言っていたランランを発見。


 何がそんなに嬉しいのか、土団子から生えた短い足でスキップをしている。

 更にくるくると回転し、転がり、笑い、起き上がって再びスキップ。

 このローテーションを繰り返しているようだ。


「一発殴ってみるか」

『オン』


 戦斧を掲げ近づくと、こちらが攻撃する前に襲ってきた!

 が、足が短くて動きが遅い。

 斧を振り上げ待ち、届く距離まで来たら振り下ろすっ!


『ベギャッ』


 声というか音?

 そんなものを出して、土団子は潰れた。


 ……お?


「おおおおぉぉぉぉぉっ!?」

『ワオオオォォォォ!?』


 首を傾げて俺を見つめるワオールは、どうしたの? という顔を見せながら、それでも一緒に吠えてくれる。


「遂に……遂にモンスターを一撃で仕留めることが出来るようになったぞ!」

『ワオ!? ウオオォォォォォォォーン』

「やったやった!」


 嬉しくってつい、ワオールの手を取って飛び跳ねる。

 そんな俺のお尻に、何かがぶつかった。


「ぐふっ」

『モギャ』


 振り向くとそこには、ハリネズミに似た何かがいた。

 ただし中型犬サイズ。


「ぐぬぬ。人様のお尻を針で突き刺すとは……セクハラで訴えるぞ!」


 なんて言ったところで、相手はモンスターだ。

 誰も逮捕なんてしてくれない。

 振り下ろした斧の一撃で、ハリネズミも昇天。


 ふ……弱いぜ。


 あ――。


 弱い敵を倒しても、スキルの神様はポイントをくれない!?

 現在のポイントを確認して、手近なモンスターを一匹倒す。

 が、ポイントは増えていない。


 そんな……。


「くっ。ワオール、もっと奥に進むぞ!」

『ウォンッ!』


 駆け足で走ること数分。

 前方やや東寄りに、森を発見した。


 隠しダンジョンから南に下った、丘の向こうに見えた森より、こっちの方が近そうだな。


「行ってみるか、ワオール?」

『ワンワンッ』

「よし、行くか!」

 

 まだ遠くに見える森は、十分近く駆け足で走ってようやく到着した。

 そびえ立つ木々。

 木こり魂が疼くぜ!


 手にした斧を、目の前の太い幹に叩きつける――。


「痛ったーっ! な、なんだこの木。めちゃくちゃ硬……あ、戦斧だった」

『オォン……』


 斧を持ち替えれば、普通に難なく切り倒せた。

 戦闘用斧と伐採用の斧とでは、用途がしっかり分けられているんだな。


『ガルルゥッ』

「モンスターか?」


 ワオールは森に向かって威嚇している。

 茂みから現れたのは、にゃんごぐらいの大きさの人型モンスター。

 人型なのにモンスターと直感できるのは、そいつの肌が緑色だからだろう。

 こういうの、子供のころやったコンシューマーゲームでも見たことがある。


「えぇっと……ゴ……ゴブ……」

『ゲギャ』

「だー! 人が名前を思い出そうとしてんのに、襲ってくるなよっ」

『ゲギャギャ』

『グルルガァッ!』


 俺が後ずさって出来た隙間に、ワオールがにゅっと滑り込む。そこから爪が一閃。

 その一撃を食らったゴブは、だがしかし倒れない!?


 ワオールが一撃で倒せない!?

 強いのか!!


 だが加勢に入った俺の一撃でゴブは倒れ、そのまま動かなかった。


 その後も襲ってくるゴブを、時々一撃で葬れたりもするが、基本は俺が一撃入れて倒れる感じだな。

 ワオールがゴブに与えるダメージは120前後。

 俺のほうは30前後。


 ワオールの攻撃が125を超えると倒せているようだ。

 つまりこれが俺だと……全体的に高ダメージが出れば四発。ちょっとでも低い数値を叩き出せば、五発入れなきゃ倒せない相手ってことになるな。


「ゴブ……なんとか。強いじゃないか」

『ゲギャーッ』


 なんか怒ってるようだ。

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