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021

 リアルでは日付が変わった時刻で、双子は慌ててログアウト。

 なんでも十二時までしか遊んじゃダメだって、親御さんから言われているようだ。

 だがそれも今週いっぱいまで。

 来週からは夜の十一時でログアウトを約束させられているらしい。


「俺はそういう約束事は無いが……自己管理ぐらいはしなきゃな」


 明日は朝一に講義があって、終わったらその足で病院。昼が終わって四限目がまた講義だ。

 朝は八時半過ぎに家を出ればいいから――起きるのは七時半過ぎでもいいな。


 一度ログインロビーに戻って、アラームを一時五十分にセットして貰う。


「じゃあよろしく」

『畏まりました。ではいってらっしゃいませ』


 ゲームに戻って杖を作る準備だ。

 スマホで木工スキルをタップすると、【道具】と【装備品】の項目がある。

 桶を作る時はまったく気にせず【道具】を押していたが、そういえば装備品ってあるじゃん!

 開いてみると、確かに杖や弓が作れるのがわかる。

 更に――。


「おぉ! 木の盾もあるぞっ。へぇ。これならティト君にも作ってやれるな」


 いろいろ調べてみると、杖も片手と両手とがあり、片手用の杖なら木の盾も装備できるんじゃないかという結論に。

 両手杖は魔力の最低値が15必須だと書いてある。

 ステータスは最初、一律で1しかない。まだ15まで行ってないだろう。


 よし。じゃあ片手杖一本と木の盾を二つ作ろう!


「まずは杖――材料はケヤキっと。ん? 他にも材料をセットする枠があるな。なんだろう? なぁにゃんごぉ」

「ニャー。レア素材をセットする枠ニャーね〜」

「製造をする際、最低限必要となる素材の他に、装備品のレア度を決める素材がありますミャ」


 レア度?

 手作りポーション同様、装備品にも☆マークが付くようだ。

 無い物はノーマル品。

 ☆ひとつでプチレア。特殊能力がひとつ付くようだ。

 ☆二つでレア。特殊能力も二つ。

 そして☆三つが激レア! 特殊能力三つ!!


「へぇ、そんなものがあるのか。でもレア素材をセットする枠って、ひとつしか無いぞ?」

「ミャー。それはクーさんの木工レベルが足りてないからですミャ。二つ目はレベル3、三つ目はレベル5からですミャ」

「そっか。じゃあせめてレア素材ひとつは欲しいな。どこに行けば拾えるんだ?」


 そう尋ねると、にゃんごとミャーニーがひそひそ話をし始める。

 な、なんか凄い所とか、そう言うんじゃないだろうな。

 話し合いが終わったのか、二人は俺を見ながらため息を吐く。


「素材はモンスターが持っているニャ」

「ですがレア素材となると、ダンジョンモンスターしか持っていませんミャ」

「この近辺にダンジョンは無いニャ。少なくともあっしは見たことないニャし」

「私も、ここまでの道中でダンジョンは見てないですミャ」

「そんなぁ〜っ」


 せっかく内緒でちょっと良い装備作ってあげようと思ったのに。


『ワフ』

「ん、ごめんなワオール。今大事な話してる最中だから。終わるまで外で遊んでていいぞ」

『ハフハフ』

「どうしたんだワオール」


 首を振ってどこかを指差すワオール。

 あっちに行きたいってことか?


「まぁ地表に入り口のない、隠しダンジョンなんてのもあるニャが。そう滅多に見つかるもんでもニャいニャよ」

「そうですミャ〜。土砂崩れや地盤沈下で発見されることはあるようですミャが」

「隠しダンジョン――あっ」

『ワッフーッ』


 そうだ。土を取るためにワオールと掘った穴。

 その穴が別の穴に繋がって――そのことをワオールは伝えようとしていたのか。


「ワオール。お前って賢いなぁ。よしよしよし」

『ワフゥ〜♪』


 撫でてやると嬉しそうに目を細め、頭を摺り寄せてくる。

 そのままぎゅ〜っと――しようとするとササっと逃げられた。

 くっ。もうちょっとだったのに!


「さっそく隠しダンジョンに行くか!」

『ワンッ』


 俺とワオールの掛け声に驚いたのは、猫人族の二人だ。


「ちょ、ちょっと待つニャ! 今、隠しダンジョンって言ったニャか!?」

「ミャーッ。発見したんですミャかっ」

「うん」


 再びひそひそ話を始める二人。時折俺を嘗め回すように見ている。


「うぅん、ワオールさんはとても強いですミャが、その……クーさんが……」

「お客ニャん。武器も防具も持たないで、危なすぎるニャ」

「それにお二人だけってのも心配ですミャ」

「あの二人を待った方がいいニャよ。その方があの二人も喜ぶニャし」


 双子のことか。

 でも二人の装備を作ってやりたいから行く訳だし。


『ワオ』

「ん? お前もその方が良いって言うのか?」

『ワンッ』


 ワオールは頷き、その場に犬座りをする。

 

 そう……だな。


「あの二人、冒険がしたいって言ってたもんな」

「そうニャ。とりあえずお客ニャんが今作れる一番いい物を作ってやって、それを持って四人で行くニャよ」

「クーさんも装備を揃えてくだミャいね」

「そうそう! お客ニャん。何か買うミャか?」


 目をキラキラさせた猫人族が二人。

 ミャーニーは雑貨屋じゃないだろう!

 これは反則だ。反則攻撃だ!


「買う」


 だがしかし、俺は貧乏だった。


「ワオール! お金を稼ぎに行くぞっ」

『ワオーンッ』


 フィールドに出て解体と採取をしまくる。

 双子は夕方の六時過ぎにログインするって言ってたな。その時間なら俺もログインできる。

 それまでに金を工面して、なんとかしよう。


「うおおおぉぉぉぉっ!」

『ワオオォォォーンッ!』


 アラームが鳴るまで狩りをし、にゃんごの所に戻ってアイテムを処分。

 なんとか所持金は1502Gになった。

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