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第6話 忘れてた欠点

微妙に忙しくて更新遅くなりました。

ごめんなさい。


アカネ村近くに住み着いた盗賊団を壊滅させた4人は、辺りが暗くなってきたので盗賊団のアジトからすこし離れた森の中で野営をすることにした。


今夜のご飯は、盗賊団を壊滅した後に見つけた熊を使った熊汁だ。


……あんまり美味しくはなかったが、何も食べないよりはマシだ。



腹も満足したので寝ようとした時、パキパキ、と地面に落ちている小枝を踏みながら歩く足音が聞こえたのでテントから出てみると、少し離れたところにヤ〇ザみたいなイカツイおじさんが3人組歩いているのが見えた。


「あれは……盗賊団の生き残りか?」


「そうかもね。生き残りがいると村がまた襲われるかもしれないから、たおしちゃう?」


「昼間に戦った盗賊のボスより強いってことは無いだろうから、余裕だろ。

——流れ人だとしても、さっきの龍斗の強さは異常だったけどな。」


アルターが軽い調子で人殺しを提案してくる。

ベーファでさえなんとも思ってないようだ。

……この世界、物騒だなぁ。


まぁ、俺もさっき盗賊相手とはいえ大量殺人をやらかしているので文句は言えないが。


「そうだな。

パパッと片付けてくるから、お前らは待っててくれ。」



そう言うと俺はテントを飛び出し、出来るだけ足音を立てないようにヤ〇ザ—もとい、盗賊に近寄ったところ、彼らの話し声が聞こえた。


「今回は空振りだったな。」

「ああ、昼から6時間も見張ってたのにまさか1人も商人が来ないとは思わなかったぜ。」

「ボスになんて言われるか……」

「せめて女のひとりでも攫えたらよかったんだけどな。」


—どう考えても盗賊の会話で、人相が悪いだけの一般人ではないとわかったので、後ろから真ん中を歩いている盗賊に切りかかった。


—ザシュッ。

「っいってぇぇぇえええ!!!」


盗賊が転げ回って切られたところから血を吹き出しながら痛がっている。


——あれ、首を断ち切るつもりだったのに。


「テメェよくもやりやがったな!」

残りの盗賊2人が懐からナイフを取り出して左右から切りかかってくる。


俺は右側の盗賊の背後に回り、今度は【剣道】を発動して切りつけた。


それでも、戦闘不能にはできたが一撃必殺とはいかなかった。


(あ、もしかして今が夜だからか?)


ガラティーンの特性に《所有者は日中はステータスの3倍の力を発揮することができる》というものがあったはずだ。

盗賊団を壊滅させた時は昼間だったからあそこまで簡単に蹂躙することが出来たのかもしれない。


そうすると、下っ端相手に(比較的)苦戦するのもうなずける。


最後の1人を技よりも力優先で叩き切り、動けなくしてから3人に止めを刺した。


「意外と手こずってたな。

強かったのか?」


エルフ3人組の元に戻ると、ガントが聞いてきた。

「いや、ガラティーンなんだけど———」


3人にガラティーンの特性について話すと、昼間の異常な強さのことも含めて納得してくれた。



テントに入って、いざ寝ようとした時、気付いてしまった。



人を斬った時の感覚が手から離れない。

しかも、相手が悪だから仕方が無いと思っている自分がいる。


現代日本ならありえない発想だ。


普通なら、相手が善だろうが悪だろうが、殺すのはいけないことだ。



俺は、この世界に馴染んでしまっていると———




翌朝、まだ辺りが仄暗い時間に龍斗が起きると、先に起きていたガントが昨日の熊汁の残りを温め直していた。


「ああ、起きたのか龍斗。おはよう。」

「おはよう。

アカネ村にはどれくらいで着くんだ?」

「そうだな、帰りはずっと上り坂だから、1時間くらいかかるかもな。」


その程度なら昨日のうちに帰れたのでは?と思った龍斗を見透かしたように、後ろからいつの間にか起きていたベーファが声をかけてきた。


「アカネ村は防犯のために、日が沈むと門を締めちまうんだよ。」


——そうなのか。

案外しっかりしてるんだな。

それでも盗賊に目をつけられたのか。



熊鍋が温まると、匂いにつられて起きてきたアルターも交えて朝ごはんにした。




ガントの予想どうり1時間かけてアカネ村に帰ってきた頃には、村人達は起きて農作業や村の近くの川で洗濯をしていた。


みんな呑気なものだ。

前言撤回。こんなだから盗賊団に狙われたんじゃないか?


なんて思っていると、村で一番大きな建物から村長が出てきた。


「おお!皆さんご無事で!

ということは盗賊団を退治してくれたのですね!?」


「ああ、大して苦戦することもなく壊滅できた。

たた、まだ生き残りがいるかもしれないから、あと何回かはアジトに行ってみるけどな。」


「か、壊滅……ですか…?」


あれ、何かマズかったのか?と思っていると、村長が慌てて付け足した。


「い、いえ!今回は退治クエストということでしたので、壊滅までして頂けるとは思ってもいなかったのです。

本当にありがとうございます。」


—なるほどな。追い払うだけでよかったのか。

いや、あの短気な連中をただ追い払うって、壊滅させるよりも難しいんじゃないか?



その後、村長に頼んで盗賊の持ち物を回収するための荷馬車と遺体を埋めるための穴を掘るスコップに、体力自慢の若者を3人を借りて、盗賊団のアジトにとんぼ返りした。



その道中は特に問題もなく、散発的に現れるモンスターも俺が叩き切った。



前回とは違って荷馬車を連れていることもあり、少し時間がかかったが、それでも昼過ぎに盗賊団のアジトについた。


あ、盗賊の死体置きっぱなしだったわ。



「——————ッッ!」

「ウップ……」

「おぇぇええええ……」



案の定というか、村から連れてきた3人組が盛大に吐いていた。


……これ、トラウマもんだな。

ごめんね。


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