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第4話 初めてのクエスト


(ベーファ目線)


「KYUOOOOOOOOOO!!!!」


馬に乗って、目的地に向かって呑気に進んでいた俺達の前に現れたのは、ルーキー殺しとして有名であり、中級冒険者でも5人以上のパーティを組まないと苦戦すると言われている、怪鳥イーグレッドだった。


「まずい!逃げるぞ!」

咄嗟に叫んだベーファだったが、内心では死を覚悟していた。


ここ1年間共に冒険してきたアルター,ガントも、決して弱くはないが、それはあくまでも【初心冒険者の中では】という但し書きが付く。


俺の実力も彼らと大差はない。


いくら流れ人といっても、龍斗はまだこの世界に来て2日目だ。

さすがにこのレベルの魔物には太刀打ち出来ないだろう。



そう思い振り返った俺が見たのは、初めて見る自分よりも大きいモンスターに対する恐怖ではなく、心底愉しそうに歪んだ笑みを浮かべた龍斗だった。


——まさかこいつ、やる気か!?


次の瞬間、驚きのあまり声を掛けそびれた俺の視界から龍斗は消えた。


そして数瞬の後に、龍斗は爆音を伴う剣撃でイーグレッドを一刀両断していた。




「……いまの攻撃は、何かのスキルなのか?」

「ん?ああ、たしかに【剣道】ってスキルを使ったぞ。攻撃力と俊敏性、防御力を上げるスキルだ。」


……いや、俺は歴代最強の流れ人である金剛由美が持つ【一撃必殺】のような即死効果のあるスキルを使ったのか?という意味で聞いたのだが…


やはり流れ人という人種はケタ違いに強いらしい。




(龍斗目線)


この世界でそこそこ強いとされている魔物【イーグレッド】と出会った以外は特に何も問題もなく、目的のアカネ村まであと少しという所で辺りが暗くなってきたので、また野営をすることにした。


今日の晩飯は、野生のイノシシだ。


捕まえた直後にガントがしっかりと血抜きをしてくれたお陰で、あまり血生臭くもなく、美味しくいただいた。




ガラティーンでイーグレッドを斬った時に確信していたが、やはりこの世界は出来のいい夢などではなく歴とした現実のようで、翌朝も目覚め直後に野郎の寝顔を見るハメになってしまった。

気分わりぃ……



男所帯なので仕方が無いが、やはり女の子のメンバーが欲しいな。

俺達のパーティには癒しと華やかさが足りなさすぎる。




そんな事を考えているうちに、まだ日も登りきらないうちに俺達は目的のアカネ村にたどり着いた。



「貴方が今回のクエストを受けてくださった流れ人の龍斗様ですね?

ありがとうございます。

では早速、クエストの詳細についてお話させて頂きますので、こちらへどうぞ。」


村に入るとすぐに村長らしき老人に歓迎された。

連れていかれたのは、この村で一番大きいと思しき、この村唯一のレンガ造りの立派な建物だった。


ちなみに、彼は村長らしき老人、ではなく本物の村長だったらしい。



村長の話を聞いたところ、今回の敵である盗賊団はレベルもかなり高く、恐らく傭兵上がりの者が多いとのことで、これまで盗賊退治に駆り出された3組の初心冒険者パーティが返り討ち(皆殺しともいう)にあっているらしい。


その間も行商の馬車や村人達は襲われ続けていたので、レベルの高い冒険者を呼び込むために報酬を上げたらしい。


それなら冒険者ではなく王国に頼めばいいのでは?とも思ったが、国軍を動かすにはとんでもない大金が必要らしく、そんな事をすればすぐさま村は解体、村人達はみな奴隷に成り下がり、一生をかけて借金を返すハメになるそうだ。


中級冒険者パーティとか来ないかな〜、と思っていたら来たのがまさかの流れ人でビックリ!みたいな感じらしい。



「——まぁとにかく、俺達はその盗賊団を潰せばいいんだな?

アジトの場所は分かっているのか?」


「ええ、それでしたら、この村の南300メートルに位置するアキネ山の麓にあるはずです。

我が村一番の猟師だった男が、狩りの途中にスキルで見つけました。」


「——だった?」


「——ええ、彼はこの村最初の犠牲者でもあります。

村の近くに盗賊団が住み着いたと私に報告した後、仲間の猟師をつれて退治に向かったのですが、そのままかえってくることはありませんでした……

彼には幼い娘が二人もいるというのに……」


そういって村長は涙を貯めた目を俺達から隠すように俯いてしまった。



その後、もしかしたら生きたまま捉えられているかもしれない、という事で(まぁありえないけど)攫われた村人達の特徴を聞き出し、俺達はその盗賊団のアジトへ向かった。



村長が行っていた通り、村から300メートルほどの所に盗賊団のアジトらしきものがあった。


これだけ近ければ、そりゃあいいようにされるだろう。


しかし、そのアジトは上手く山の一部に偽装されており、出入口らしい扉を見つけるのに30分ほどかかってしまった。

村一番の猟師さん、よくみつけたなぁ。


「——アジトは……結構大きいな。

この感じだと、少なく見積もっても30人くらいはいるだろうな。」


「そうだな。

——よし、【索敵】!」


ベーファがそう言うと、彼の目が突然金色に光り輝いた。


そして一言、

「敵は全部で48人、そのうち6人はレベル50オーバー、捕虜はなし、って所だな……」



———え?そんな便利なスキル持ってたの?

じゃあなんでアジトを探す時に使わなかったんだよ……



「そんな便利なスキルがあるのか。

他のみんなは何が使えるんだ?」


「ああ、この際、教えてしまっても構わないか。」


そういってベーファはバックから3枚の紙を取り出した。

鑑定書だ。


「どれどれ……」


【アルター】

種族:エルフ♂(Lv.16)

ジョブ:戦士

HP:650

MP:330

物理攻撃力:480

魔法攻撃力:420

物理防御力:460

魔法防御力:320

俊敏性:440

器用:620

(スキル)

・剣術Lv.2:剣使用時の攻撃力上昇(上昇幅はスキルレベル依存)

・初級魔法(風)Lv.1:初級の風属性を使うことができる。(威力、効果範囲、効果時間はスキルレベル依存)

・博徒Lv.1:攻撃に確率でクリティカル発生。(確率はスキルレベル依存)


【ベーファ】

種族:エルフ♂(Lv.22)

ジョブ:戦士

HP:820

MP:460

物理攻撃力:620

魔法攻撃力:560

物理防御力:610

魔法防御力:390

俊敏性:630

器用:690

(スキル)

・剣術Lv.3:剣使用時の攻撃力上昇(上昇幅はスキルレベル依存)

・初級魔法(火)Lv.1:初級の火属性を使うことができる。(威力、効果範囲、効果時間はスキルレベル依存)

・索敵Lv.2:敵の存在を感知しやすくなる。(効果範囲はスキルレベル依存)


【ガント】

種族:エルフ♂(Lv.20)

ジョブ:戦士

HP:790

MP:420

物理攻撃力:640

魔法攻撃力:520

物理防御力:580

魔法防御力:350

俊敏性:490

器用:660

(スキル)

・剣術Lv.2:剣使用時の攻撃力上昇(上昇幅はスキルレベル依存)

・初級魔法(水)Lv.1:初級の水属性を使うことができる。(威力、効果範囲、効果時間はスキルレベル依存)

・威圧Lv.1:確率で敵を恐怖状態にする。(確率はスキルレベル依存)


「あれ……なんか、レベルもステータスも低くない?」


「いや、こんなもんだろ。

といってもこれは先月のものだから、レベルも1くらいは上がってると思うけどな。」

ベーファがそう言うので、俺は自分の鑑定書を3人に見せた。


——すると———


「「「なんじゃこれぇぇぇ!!」」」

3人が見事にハモった。


「ははは、3人は息ピッタリだな。」


「なに呑気なこと言ってんだよ!

なんだこの化物じみたステータスは!?

常人ならレベルカンストさせてやっと追いつけるかどうかってレベルだぞ!」

「そうなの?」

「「「そうなの!」」」


—やはり、流れ人のステータスは異常なようだ。

敵のアジトの近くで大騒ぎする4人……


でも見つかりません。

主人公だから。(横暴)

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