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『TLS第四話』  作者: 黒田純能介
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最上階


如月達が一階に無事忍び込んだ頃。


ビルの最上階、社長室とでも言うのだろうか。その照明が落とされた部屋の中、青白く光るモニターを眺める人物がいた。


「………」


その人物の表情は窺えない。何故ならば、目の部分だけが空いている仮面を付けていたから。


モニターにはビル内部に忍び込み、辺りを窺う如月と浅野の姿が写し出されていた。


「鼠が二匹、忍び込んだ様ですね…」


不意に暗闇から女の声。その声の主が下界を一望できる窓辺に近付く。


差し込む月明りに現れたのは、鳴神。

首領は何も答えない。


「処置は如何なさいます?」


目を細め、微笑を浮かべ問う。


「…『アレ』二体を使え。調整は済んでいるのだろう?」


目線を鳴神に移す。……暗闇に爛々とした瞳が浮かんでいた。


「畏まりました。…それでは侵入者の排除に参ります」


まるで楽しむ様な声音を残し、踵を返す。



パタン、と扉が閉まり、首領だけが残された。


「…女狐が」


悪態を吐くと、再びモニターに目を遣る。


既に侵入者は移動を開始していた。…ふと、他の画面に違和感を感じる。


「………守名」


直ぐ側に、黒い影が舞い降りた。


「ここに」


「屋上に狂犬が迷いこんだ様だ。追い払え」


「御意」


守名と呼ばれた男は、現れた時と同じ様に音も無く消えた。


「………」


再び静寂が戻る。


カチッ。ブンッ。


首領が側にあるパソコンを立ち上げ、キーボードを叩き始めた。


「…見極めてやろう」


カタカタカタ…タンッ。


最後のキーを押し、首領が椅子に深く座り直す。


「どちらが生き残るにふさわしいかをな…」


パソコンのモニターには、


『緊急自爆装置』


とだけ表示されていた…。

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